米国はコロンビアに戦闘部隊を送りたがっている

ギャリー・リーチ
2006年3月27日
コロンビア・ジャーナル原文


米国の主流はメディアは、米国司法省が最近コロンビアの左派ゲリラコロンビア革命軍の指導者50名を訴追したことについては広く報じたが、その翌日、米国国務省が行った発表への注目は驚くほどわずかである。3月24日、国務次官補アン・パターソンはコロンビアのラジオ局カラコルに対し、米国はFARCの指導者たちを捕まえるために単独で軍事行動を開始はしないが、コロンビア政府の要請があれば介入するだろうと述べた。すでに米国政府はコロンビアで、戦闘部隊を送る以外のあらゆる介入を行っていることを考えると、パターソンの発言は、ブッシュ政権がFARCゲリラとの戦闘に米軍兵士を送る意志があることを示しているのは明らかである。

FARCの指導者たちを訴追したこともまた、ブッシュ政権がFARCをコロンビア最大の暴力実行者・麻薬商人として描き出そうとする戦略を採用していることを示している。しかしながら、現実は、ブッシュのホワイトハウスが描き出す絵物語とは大きく違っている。米国の訴追では、FARCの指導者たちが麻薬取引から250億ドルを稼ぎ、米国に持ち込まれるコカインの60%を担っているという主張について何も証拠を示していない。

一方、コロンビアを専門とする人のほとんどは、そろって、コロンビアの右派準軍組織のほうが左派ゲリラよりもはるかに深く麻薬取引に関わっているとの意見を持っている。このことは、数多くの麻薬捜査で押収されたコカインをたどると準軍組織に行き着くことからも示される事実である。実際、コロンビア最大の準軍組織のいくつかを創設したのは、今は崩壊したメデジン・カルテルの悪名高い指導者パブロ・エスコバルの元の仲間たちである。

ブッシュ政権が麻薬戦争プロパガンダの矛先をFARCに向けているまさにそのときに、米国が後押ししている準軍組織解散が見え透いたお芝居以外の何ものでもないことがますますはっきりしてきている。先週、解隊した準軍組織の指導者イバン・ロベルト・デュケは、カラコル・ラジオで、アムネスティ・インターナショナルや国連そして多くのアナリストが1年以上にわたって主張してきたことを公言した。すなわち、解隊した準軍組織はまた武器を手にしているというのである。デュケによると、元民兵たちは、麻薬商人や「私的正義」グループつまり準軍組織に、サービスを提供しており、その結果、2005年に準軍組織が行った殺人はその前年の2倍以上になっている。

5年以上をかけて40億ドル以上を費やしたプラン・コロンビアは、米国の諸都市におけるコカインの価格や純度、入手可能性を十分減らすことができなかった。また、コロンビア大統領アレバロ・ウリベが米国の支援を受けて3年間にわたり行ってきた軍事攻撃も、FARCの軍事力に重大な打撃を与えることはできなかった。コロンビアは米国政府によりすでに世界第三番目の米国軍事援助の受け取り手----情報・武器・訓練を受けている----となっていることを考えると、ブッシュ政権に残された唯一のエスカレーション手段は、麻薬戦争を装って南米の国コロンビアに米軍戦闘部隊兵士を派遣することだけである。

ペンタゴンがイラクに力を注いでいる現在、コロンビアに大規模な部隊を派遣する戦略はできないため、大規模派遣とはなりそうにない。そのかわりとして最もありそうなのは、米軍特殊部隊を送ってコロンビアのジャングル地帯でFARC指導者たちを見つけだしつかまえることである。すなわち、現在、アフガニスタン・パキスタン国境の山岳地帯でアルカーイダ指導者を捜し出すために使っている戦略をコピーするだろう。

皮肉なことに、プラン・コロンビアにより、米国の主な標的であるFARCがそれほど大きく麻薬取引に依存してはいないことが実際に示された。アナリストのジェームズ・ブリテンとジェームズ・サクマンによると、プラン・コロンビアによりFARCが支配する南部地域でのコカ栽培は大幅に減り、栽培はコロンビアの別に地域に移った。同じとき、ウリベの治安部隊は過去3年で誘拐の件数を大幅に減らした。FARCがゲリラ戦の資金としてこれら二つの資金源に大きく頼っているとするならば、FARCの軍事力はこの5年で大幅に弱体化したはずである。しかしながら、ブリテンとサクマンが指摘するように、この2年間で、コロンビア軍やインフラ、海外企業の操業に対するFARCの攻撃は劇的に増えているのである。

コロンビアに対する米国の直接的な軍事介入は、麻薬との戦いとはほとんど関係がない。結局のところ、本当に麻薬の取り締まりを目的とするならば、ブッシュ政権はコロンビアの準軍組織指導者たちを標的としているはずである。ところがこれら準軍組織指導者たちは、解隊合意のもとで、麻薬取引組織は維持しながら、米国への身柄引き渡しを避け、コロンビアの豪華な農場でわずか22カ月といった軟禁刑に服しているだけなのである。

米国による軍事介入の真の目的はイデオゴリーと経済にある。ブッシュ政権は、米国の経済利益および中南米で米国政府と最も親しい同盟者に対して持続的な脅威となっている左派ゲリラを粉砕しようとしている。コロンビアは米国にとって石油とガスの供給源としてますます重要になっているが、それら資源のほとんどは地方部にあり、多国籍企業の操業はゲリラの攻撃に対して脆弱である。さらに、米国とコロンビアが二国間の自由貿易協定に署名してから1カ月もたたないうちに、コロンビアへの軍事介入を激化させる意図を発表したことも偶然ではない。経済政策を確立しても、コロンビアでは、FARCがあるため、政策の多くは軍事力により適用しなくてはならないのである。

5月の大統領選挙より前にコロンビアに米国が戦闘部隊を送ることはなさそうである。2月に人気のない自由貿易協定が調印されてから、コロンビアの人々の間には反米感情がすでに高まっている。その結果、5月寄りも前にコロンビアに米軍を派遣して戦争を始めると、ウリベ再選にダメージとなる可能性がある。実際に派遣されるとすると、それはウリベが二期目の大統領に就任してすぐのことになる可能性が高い。米軍の介入は、コロンビア大統領ウリベが4年近く前に開始した「民主的治安」戦略と言われるものを激化する助けとなるだろう。


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2005年/イラク/32分/日本語字幕付
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日本語版制作:『ファッルージャからの証言』日本語版制作委員会

頒価:2500円(資料付)+送料200円(2枚以上は送 料無料)
5枚以上注文の場合は委託料金扱い:1枚 2000円
ライブラリー価格:5000円

2004年11月、米軍はイラク中部の町、ファッルージャを包囲攻撃し、数千人にのぼる住民を虐殺しました。

このドキュメンタリー映画は、包囲下のファッルージャに潜入して撮影された映像と、虐殺を生き延びた住民たちの目撃証言をもとにした貴重な映像作品です。

この日本語版の売上げの利益は、イラクの「女性の意志委員会」などへのカンパとします。

□DVD版(日本語字 幕付)販売元・問合せ先
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■ドキュメンタリー映画上映会&トーク
 『ファッルージャからの証言』

 映像が語る、戦争の真実・・・・
  メディアが伝えない事実がここに・・・
    これが今のイラクの現実・・・

◎日時:2006年4月8日(土)午後6時〜8時30分
◎場所:かながわ県民センター304号室
◎参加費:500円
◎お話:小倉 利丸さん
 (富山大教員/アジア平和連合(APA)ジャパン/ピープルズプラン)

□ファッルージャへの総攻撃!
 2004年11月5日、米軍は町一つを壊滅させるような攻撃を行ないました。ファッルージャが武装集団などのテロ行為の拠点になっているとして4月頃から空爆が行なわれていましたが、ザルカイゥが潜伏していることを理由に総攻撃を開始したのです。住民の犠牲は4〜6千人にのぼるといわれますが、町を封鎖し報道管制をおこなったために、メディアの取り上げ方も小さいものでした。昨年、一年以上経過してやっと国際法違反である白燐爆弾(化学兵器)がこの作戦に使われたことも明かになっています。
□いまだ終わらないイラクの戦火!
 毎日のように自爆テロや戦闘が各地で起き、いまだに平和な日常をイラク市民は手にすることが出来ていません。戦争開始からすでに3年、ブッシュ米大統領は「大量破壊兵器」がなかったことを認めたにもかかわらず占領を続けています。小泉首相もまたブッシュ大統領支持の姿勢を続けており、サマーワの自衛隊撤退の時期をはっきりと示すこともできていません。
□真実を語る映像!重い現実を受け止めて考えよう!
 アジア各国で活動する市民たちとの平和ネットワークを提唱する小倉さんに、最近の状勢を含めたお話を聞いて、平和なアジアを構築するために考えていきましょう。
◎主催:戦争反対・平和の白いリボン神奈川

■報告会『小児がん・白血病とたたかうイラクの子どもたち』

佐藤真紀JIM−NET(日本イラク医療支援ネットワーク)事務局長による最新現地報告。3月下旬からのアンマンでの活動を終え、4月14日に帰国予定の佐藤真紀JIM−NET事務局長が、小児がん・白血病とたたかうイラクの子どもたちの最新情報を報告します。

◎日時:4月16日(日)午後6時30分(開場6時)
◎場所:四谷区民センター集会室2・3
 (地図はCADU−JPJIM−NETサイトに掲載
◎参加費:500円
◎お問い合わせ:cadu_jp_news@yahoo.co.jp
◎主催:CADU-JP劣化ウラン廃絶キャンペーン
◎協力JIM-NET日本イラク医療ネットワーク

■青森県六ヶ所村で、再処理工場のアクティブ試運が始まってしまいました。美浜の会などをご覧の上、反対の声をあげていきましょう。
益岡賢 2006年4月3日

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