コロンビアのコントラ

2002年6月10日
ギャリー・リーチ
コロンビア・ジャーナル原文

米国の西半球担当国務次官補オットー・ライヒは、コロンビア大統領選終了後すぐに、当選したアルバロ・ウリベを祝福するため、ボゴタに赴いた。ライヒは、選挙規約を破って、選挙日の夜、ウリベの選出が公式に宣言されるより前に、ウリベの選挙キャンペーン本部を訪れ彼を祝福した駐コロンビア米国大使アン・パターソンに続いたのである。ウリベが大統領に当選したことにより、ブッシュ政権は、コロンビア内戦に対する米国の介入増大を実現する完璧なチャンスを手にしたことになる。けれども、介入を増大させるためには、レーガン政権下でプロパガンダを担当していたオットー・ライヒは、コロンビア軍とその同盟者である準軍組織のイメージを浄化しなくてはならない。そのために、この右翼死の部隊である準軍組織が、米国の人々に「自由の戦士」として表象されることにもうすぐなるかも知れない。ニカラグアのコントラの、コロンビア版である。

1983年から1986年まで、オットー・ライヒは、国務省の公共宣伝局(OPD:Office of Pulic Diplomacy)主任として、レーガン政権のプロパガンダを担当していた。米国市民にニカラグラのサンディニスタ政権の恐怖を広め、米国が支援するコントラの宣伝をしたのはライヒであった。コントラは、ニカラグアで再び権力を握ろうとしていた追放独裁者アナスタシオ・ソモサに忠誠を誓う兵士とギャングたちによって構成されていた、反革命集団であった。

1985年に米国議会がコントラに対する米国の資金提供を停止する決定をしてから、レーガンの対ニカラグア戦争は秘密作戦となった。オリバー・ノース中佐がイランに対して武器を不法売却し、その売り上げの一部を秘密かつ不法にコントラ部隊に提供したのはこのころである。ライヒはノース中佐と緊密な関係を保ち、また、ニカラグアに対するホワイトハウスの政策を管理するために国家安全保証委員会とも密接な関係を持っていた。これは、イラン−コントラ・スキャンダルが起こり、その結果、ライヒの事務所が「禁止された秘密プロパガンダ活動に従事していた」とする会計検査院報告が発表されたのち、1987年に、ODPが閉鎖されるまで続いた。

関連する議論として「誰がグローバル・テロリストか?」もご覧下さい。

2001年3月、レーガン政権下でのライヒの問題の多い不法な活動にもかかわらず、ジョージ・W・ブッシュは、彼を国務省のラテンアメリカ主任外交担当に指名した。ライヒの最近のボゴタ訪問は(これは、過去3ヶ月で二度目の訪問である)、ブッシュ政権が、コロンビア革命軍(FARC)をはじめとするコロンビアのマルクス主義ゲリラへの攻撃的態度を強化しているウリベ政権と、迅速に緊密な関係をうち立てる意図を持っていることを示している。

ライヒ及び同僚のコントラ支持犯罪者軍団であるエリオット・アブラムズ及びジョン・ネグロポンテ−いずれもブッシュ政権の政策立案チームのメンバー−の参加により、今や、もし、麻薬に対する戦争とか対テロ戦争といった口実で目的を達成できなかったら、米国政府は、1980年代コントラに行ったような秘密作戦に出る現実的な可能性が出てきた。ライヒがODPで行った過去の行動を考えるならば、米国の市民は、コロンビア内戦に対するワシントンの役割増大、特に、コロンビア軍とその同盟者である準軍組織に対する米国の関与について、だまされ、あからさまな嘘を伝えられる可能性が大きい。

昨年ブッシュ大統領がライヒを指名したあとで、メディア監視組織「報道の公平さと正確さ」(FAIR)のジェフ・コーエンは、レーガン政権下でのライヒのプロパガンダ作戦に関して次のように述べている。「ソ連のミグ戦闘機がニカラグアに到着したという恐ろしいニュースを見てみよう。この、匿名の「諜報情報」を引用したジャーナリストたちにより、レーガン再選の夜、米国のメディアはちょうどよいタイミングのニュースで溢れることとなった。NBCでは、アンドレア・ミッチェルが、選挙報道にこの物語を割り込ませた。興奮したある民主党上院議員は、ニカラグアに対する空爆の可能性について論じた。だが、この話はでたらめであることが明らかになった。ジャーナリストの何人かは、この物語が、ライヒの事務所から出たものだと認めた。」

コーエンはまた、「ライヒの事務所が、ニカラグアがソ連から化学兵器を入手したという嘘をばらまいた」と指摘する。ODPによるこうした嘘は、最近、国務省が述べた、キューバは生物兵器を製造しているという嘘と極めて似通っている。これについては、先週、ある政府報道官が、いやいやながらも、その主張を裏付ける証拠はないと認めたのであるが。さらに、失敗に終わった先月のベネスエラのクーデターを考えると、強硬な反カストロ・反チャベスであるライヒは、既に以前のトリックを使い始めているのではないかと疑われる。

ウリベの登場は、ブッシュ政権に、コロンビアの約40%を支配する左翼ゲリラと戦うために米国がコロンビアに軍事介入する完璧な機会を提供している。ウリベの軍事主義的キャンペーンレトリック及び彼がアンティオキア州で後に不法準軍組織に発展していくこととなった「自衛団」を密接な関係を持っていたことを考えると、ライヒ軍団の黄金時代が復活し、コロンビア軍への公の支援と右派準軍組織死の部隊への秘密支援とを提供することになる舞台は準備されたと言える。

コロンビア最大の準軍組織であるコロンビア自衛軍連合(AUC)が米国国務省の海外テロリスト組織リストに挙げられていることも、また、AUCがコロンビアにおける人権侵害の7割を行っていることも、ライヒの強硬な反コミュニスト姿勢をひるませることはないだろう。新たに活力を得たライヒのプロパガンダ・マシーンは、まもなく、批判的懐疑心を持たない米国人の間に、コロンビアの「自由の戦士」コントラと描き出されるに違いない右翼準軍組織死の部隊への応援を引き出すことになるだろう。


  益岡賢 2002年6月11日

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