原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その144   2017年9月9日

節操なく柏崎刈羽原発の駆け込み合格(設置変更許可)を出す規制委
〜次期・更田(ふけた)規制委員長体制も全く信頼できないことを示す9月6日の規制委定例会合〜
  9月7日の東京新聞第一面トップで<柏崎刈羽原発13日「適合」へ「東
電資格ない」一転 規制委「決意」を評価 田中委員長の退任直前>と報道
された。

 詳細は9月6日(水)の次の会合の速記録または動画を観ていただきたい。
◇原子力規制委員会定例会議
 http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000267.html
◇田中委員長記者会見
 http://www.nsr.go.jp/nra/kaiken/index.html

 不思議なことに、定例会議を傍聴してきた多くの人が、結構議論があり
すぐには柏崎刈羽「合格」は出せなくなったとの見解を示した。規制委が
いくつかの宿題を規制庁に出したからだ。
 一方、午後の田中委員長の記者会見を聞けば、冒頭の東京新聞ほかの報
道のとおり、規制委は来週13日(田中委員長の最後の定例会議)にも柏崎刈
羽「合格」を出すつもりなのは明らかだ。
 傍聴者の所感と報道との違いは、規制委ばかりではないが各省庁が良く
やる方法で、多様な議論をしておいて、何らかの手続きを添えておいて、
結局は自分たちの思惑どおりの(「原子力ムラ」の意向に沿った)決定を次
に出してしまうのだ。
 この議題では最終的に次のことを規制庁長官が確認した。
○今日の議論(適格性についての考え方)を紙に落としたものを作成する
○次の3点も検討する
・この議論が将来を拘束できる規制上のメカニズムがどういうものか
・当局(経産省)の回答文書に対する見解を明らかにさせる
・TMI(米国スリーマイル島原発事故)の時の考え方を整理する
これら整理したものと(今まで行ってきた)技術審査とを合わせて次の定例
会議で議論する。

 それにしても、この議論では、5人の各委員の姿勢が良くわかって面白い。
特に更田次期規制委員長が東電を擁護するために次の発言をした。
・東電の技術力が劣っていたから福島第一原発事故が起こったのではない
・どこの電力会社でもあれだけの津波に襲われた場合には事故に至った
・技術力や安全文化で特に東電が劣っていたと考えるのは間違いではない
だろうか
・東電が悪かった、だから事故が起こったというのは、一種の思考の停止
であって、今後の原子力安全を考える上でマイナスの面もある

 確かに国策民営で、いい加減な規制行政と金儲け優先の電力会社による
事故はどこでも起こり得た。だからこそ、我々はどこの原発も止めるべき
と訴えているのだ。
 一方で、更田委員は、福島第一原発については巨大な津波の来襲が科学的
に予測されていて、その対策を規制側も東電側も考えていたのにそれを怠
ったこと、だからこそ当時の東電トップが今告訴され東電元幹部が刑事裁
判にかけられていることを無視している。地震で配管破断が起こった可能
性も全く無視している。
 さらに、加害者東京電力が未だに存続し再度原発を稼働させることが、
事故被害者に対する冒涜であるばかりか、日本社会の「安全文化」の欠如
と無責任をもたらすことを、全く無視している。
 「あれはあれ、これはこれ、とはいかない」と言っていた更田次期規制
委員長も所詮「原子力マフィア」の人だ。
 私たちは何としても柏崎刈羽原発の再稼働を許してはいけない。