自治労音協通信

  3面 NO31号/99.1.1発行

<道楽道>舞台裏から見続けた二十?年

第二話 照明って何だ?

(全電通) 常盤 数行

今回は舞台照明のことについてお話しましょう。

ひと口に照明といっても舞台、映画、TV、建造物照明等、様々なジャンルがあります。その中の舞台照明でも、演劇、舞踊、音楽等幅が広いのです。

音響のことをPA(パブリック・アドレス=民衆への伝達)と言いますが、これは音を伝える事で人の聴覚の部分に作用する事で、照明は光を当てて人に見せる事、すなわち人の視覚に作用する事であり、PAと照明があってステージをより効果的に演出出来ると思います。もちろん舞台で演じられている状況をフォローする二次的要素であることが前提となりますが…。

照明は、音響と比べてビジュアル的な要素が大きい感じがします。というのも、舞台照明は絵画的要素が大きいのです。舞台という四角の額縁にサウンドや歌の内容に伴ってどのような光の絵を書くかということなのです。たとえば「ありがとう私のうた」という歌がありますが皆さんはこの歌からどんな情景をイメージしますか?鞄一つに歌をつめて旅している旅人?、

戦火に震えながらいきている人?、ありがとうという気持ち、いろいろなイメージがあるでしょう。

ではそのイメージをどのような色と光で表現しますか?これはほんの一例ですが、橋幸夫の「子連れ狼」という歌があります。そう「シトシトピッチャン・シトシトピッチャン」で始まるあの歌です。

以前は、真っ青な舞台の照明でしたが、プランナーがかわって今度は真っ赤な照明に変わっていましたが、全然違和感がないばかりかこの歌で赤い舞台もいいものだなと思った事を今でも覚えています。感じ方は個人差があるので、そのように感じたのは私だけかもしれませんが…。

皆さん舞台照明といったら、使っている様々な色の光を思い浮かべる事でしょう。色の三原色といったら、赤、青、黄色であることはご存じだと思いますが、光の三原色といったら、赤、青、緑だと知ってましたか?この三色があると様々な色が作れます。たとえば、赤と青で紫、ピンク、赤と緑でオレンジ、等中間色がたくさん作れるのです。しかし、だれしもが陥りやすいパターンとして、あの色もほしい、この色もほしい、とたくさんの色の光を同時に使った結果、なんの色にも舞台が染まらず、ホワイトになってしまった。そうなんです、光の三原色を同時に使うと無色になります。ちなみに色の三原色は黒になりますよね…。

今、私たちが使っているカラーは主にポリカラーというものを使ってますが、色の種類として約四十種類以上あります。その他に、ロスコカラーや、LEEフィルター等他のメーカーのものを合わせると約二百種類以上に上ります。

良く使うポリカラーのカラー番号について簡単に説明しましょう。十番代はピンク、二十番代赤、三十番代オレンジ、四十番代黄色、五十番代緑、六十番代青緑、七十番代青、八十番代紫、となっています。このような事を知って、照明の仕込み図を見るとプランナーがどんな照明をしよとしているかが、少し見えて来るかもしれません。

今、私は12月10日〜13日までギルティーという劇団の旗揚げ公演の照明を担当しています。芝居の照明は難しいとあらためて感じているところです。この続きはまた次回…。(つづく)

韓国を代表する詩人 金芝河(キムジハ)

 初来日記念公演『五賊』

写真/ぼくが29才の時、28年前に作った「五賊」が日本の現在に奇妙にあてはまると知れば、

日本はどこかがおかしい」と語る金 芝河(英一)

詩をかくからにゃ、こせこせ書かず、まこと このように書くべきじゃ。(渋谷仙太郎訳「五賊」冒頭より)「五賊」が十二月六日(日)イイノホールで上演されました。

いがらっぽい声で「ガラッ」と、屋台の中から呼んできた。ああ、この声か、「五賊」の冒頭に響く、いきなり横っ面を張られたよう な、それでいて胸にしみこむ語り口は…と一九七二年冬の、明洞小路に立っていた時、金芝河は、屋台へ手招き、二つの劇団の役者交換は、誰にしようかと案じた。が案じるまでもなく、金芝河の芝居には僕、僕の芝居には金芝河がトビイリすることは誰もが分っていた。

戒厳令下のソウル、あの時の彼が、今来る。 唐十郎 アジア詩文学史の記念碑伝説の「五賊」遂に日本上陸! 金芝河(キム・ジハ)の名前を一躍世界に広めたのは一九七○年に発表された譚詩「五賊(ごぞく)」です。当時の権力層の不正・腐敗を痛烈に風刺したこの「五賊」を発表後、金芝河は逮捕・投獄されます。

しかし韓国朝鮮民族の伝統パンソリを創造的・天才的に継承発展させた「五賊」は全世界二〇以上の言語に翻訳され、大衆の中に爆発的な力をもって拡大されてゆき、弾圧の中からついに完全な復権を果たします。

「五賊」が発表されてから約三〇年の月日を経て、金芝河の初来日が実現し、初めて東京で伝説のパンソリ「五賊」がその姿を表わしました。パンソリの唱い手には、一九七○年代から金芝河作品を唄い続けてきた韓国マダン劇の旗手、林賑澤(イム・ジンテク)、鼓手に韓国国立唱劇団の張宗民(チャン・ジョンミン)をはじめ、この公演のためにベストメンバーが招聘されました。

また日本側からはオペラ歌手田月仙(チョン・ウォルソン)、金守珍(キム・スジン)率いる新宿梁山泊ほか強力な出演陣によって、金芝河作詞による歌「金冠のイエス」「緑豆花」「灼けつく喉の渇きに」などを含むオリジナル音楽劇「われわれはどこに行くのか」が上演されました。

「五賊」解説/作家 梁 石日

譚詩「五賊」は、一九七○年初頭の韓国社会の支配階層を、乙巳保護条約時に国を売った五賊に比喩し、不正腐敗した権力層の実像を告発、風刺しています。財閥・国会議員・高級公務員・将星・長次官(財閥・国会議員・高級公務員・将星・長次官)という名の獣の姿をした五人の盗賊達が、ソウルの真ん中の盗人の巣窟で、不正腐敗の競演を繰り広げ、豪華奢侈、放蕩な生活にひたっている…。

詩人は時の権力者たちの堕落した実像を、痛烈な風刺によってさらけだす。だが、ある晴れた日の朝、五賊の群は突如雷にうたれて、六孔から血を吹き出して倒れてしまう。悲劇的終焉というより、むしろ痛快な結末に、詩人の高らかな笑い声さえきこえてくるようである。

金芝河の長詩「五賊」が、ある日、突然われわれに与えた衝撃は、迷宮の観念の中で悶死する運命にあったわれわれの自我を現代のもっとも強靱な精神へと高揚させた。詠嘆から憤怒へ、涙から民衆の肉体に流れている血の言葉へわれわれを引きずり込んでいく。身におぼえのある権力の犬どもは、この途方もない死を賭した詩人に反逆罪という罪状を総動員して、いちはやく牢獄につないだ。彼らは金芝河を民衆の目から、耳から、口から隔絶することが急務だったのである。

だが、この間抜けな犬どもは、金芝河の詩法に対する無理解から彼を流言輩語の張本人に仕立てあげた。そして皮肉にも、彼らの見解は正しかった。なぜならば真にすぐれた詩は本質において流言輩語だからである。無知で狡猾な犬どもは、一人の無力な詩人を拘束し、その存在理由を剥奪してしまえば、すべては解決するものと考えたのだ。厚い壁の中に閉じ込 めてしまえば…。

だが彼の詩は、あたかも黒死病のごとく世界の隅々へ蔓延していった。彼らの想像をはるかに越えて、とてつもないイマージュを媒体しつつ増幅していくのだ。言葉の透視術によって世界がわれわれの内面で力学的な変貌を遂げたのである。金芝河の詩は言葉の肉性の中で無限に復活するのだ。(文章引用/五賊実行委員会ホームページより)

写真/左端は、「朝露」の作者で歌手・作曲家の金敏基(キムミンギ)。右端が金芝河

金芝河「五賊」実行委員会

ホームページURL先 http://www.iaw.co.jp/gozoku

メールアドレス gozoku@iaw.co.jp

オペラシアターこんにゃく座

新作オペラ『ロはロボットのロ』

初めまして、ぼく、テト。パン製造ロボットRKJ502A001です。空は飛べません。

吉村安見子さんがピアノで出演!

こんにゃく座が、こどもたちと、こどもだったおとうさんと、おかあさんと、こどもだったすべてのおとなたちに贈るロマンチックSFオペラ。

開催期間 1999年2月10日〜21日

*吉村さんの出演日は2月10.11.16.17.18日です。

開催場所 青山円形劇場 03-3797-5678

      JR渋谷駅徒歩10分

主催/連絡先 オペラシアターこんにゃく座 

   TEL03-3412-7202、FAX03-3412-7507

入場料 3,600円(全席指定)

その他 

福山公演/2月28/日ヒロシマ県民文化センターふくやま

笠岡公演/2月28日/笠岡市保険センターギャラクシーホール

*チケピ、セゾン取り扱い中。なおこんにゃく座申し込みの場合、印牧(かねまき)さんの知り合いといえば3,300円になりますよ。

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