不戦へのネットワーク


申し入れ書(2021年2月27日)

小牧基地司令 佐藤網夫様
自衛隊員の皆様

 2月19日、海上自衛隊が九州西方海域で米仏艦と共同訓練を行ったと報道されています。一方、2月15日から16日にかけて中国海警局の船が「尖閣諸島」沖合で「領海」侵入したとも報道されています。中国の「領海侵入」報道は大きくとりあげられていましたが、同時期に自衛隊は米軍、仏軍と演習をおこなっていたことになります。もうどちらか一方がということではなく、双方が危険で挑発的な行動を続けていると言わなければなりません。

 5月には自衛隊と米軍、フランス軍が水陸両用訓練、着上陸訓練を南西方面で実施するとの報道もあります(産経新聞2020・12・5)。これは日本の南西諸島をくみこんだ中国包囲網づくりといわれます。また、自衛隊とオーストラリア軍は日豪円滑化協定(共同演習時の地位協定といわれる)も大筋合意しています。日本政府は安全保障の多角化と称し、多国間軍事同盟化を進めています。これは憲法違反であると同時にきわめて危険な方向です。日本政府はオーストラリア、英国、フランス、インドなどを「準同盟国」としようとしています。今の安保法制のなかでは、米国のみならずこれらの国にたいしても、自衛隊は「武器等防護」のため武器使用ができることになっていますし、重要影響事態の支援対象国ともなりえます。

 多国間軍事同盟の推進は中国の「海洋進出」に対抗するためとしていますが、中国からみれば脅威であり、当然大きな反発があります。最近になって中国は「18年8月、日本のP3Cがソマリア沖での海賊対処活動にあたった部隊交替時の帰国時に、ミスチーフ礁の近くの上空を飛行した」と抗議していることが明らかになりました(中日新聞・2021・2・26)。この人口島には中国の対艦巡航ミサイルと地対空ミサイルが配備されているとされています。自衛隊は一触即発の危険な駆け引きを続けているのです。この小牧基地もジブチ基地への輸送を担う基地となっています。ジブチ基地との往復時にわざわざ中国のミサイル基地の近くを飛んだりするのでしょうか? また小牧基地は空中給油機を有する基地となっています。米軍機やそのほかの外国機に給油を行うのでしょうか? 今、自衛隊員のみなさんは極度の緊張とストレスにさらされていることは容易に想像できます。万が一の時には生命の危険さえ心配されます。

 気が付けば、現在の自衛隊は「専守防衛」から遠くかけはなれてしまっています。それでも私たちは今ならまだ引き返せる、引き返さなければならないと考えています。

 小牧基地の隊員のみなさまのためにも、以下のことを上申していただくことを基地司令にお願いします。

1,中国封じ込めを念頭においた多国間連携による軍事演習をやめること。

2,中東、アフリカから自衛隊をひきあげること。

2021年2月27日
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