不戦へのネットワーク


申し入れ書(2020年8月22日)

申し入れ書
小牧基地司令 佐藤網夫様
自衛隊員の皆様

 世界を覆うコロナ禍のもとで、人間の安全保障にとって、軍事力による国家の安全保障政策の無力さが言われ、世界的な連帯の重要性が指摘されています。医療体制の整備、気候変動への対処などが現実の課題となっています。また世界の市民社会は軍事費の拡大にNOをつきつけていて、銀行などの金融機関は核など非人道兵器を作っている企業への融資をやめています。これが世界の流れです。残念ながら、その一方で、権威主義的な政治と軍事的な緊張を煽るような動きも顕著になっています。はたして日本政府はどちらの方向を見ているのでしょうか? イージスアショアの配備断念を機に安倍政権はミサイル発射基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有論議をすすめています。河野防衛相は8月4日、「敵基地攻撃能力保有」について中国や韓国の了解は前提ではないとしました。我が国を防衛するのに周辺国の了解はいらない、との意であるとされています。安倍首相の8月15日の全国戦没者追悼式の式辞のなかでは、「歴史と向き合う」との言葉がありませんでした。これらの発言から感じとれるのは、地域での平和への努力ではなく、ゆがんだナショナリズムといえます。政府が常々言っている「わが国周辺での安全保障環境の悪化」はいったいだれがもたらしているのでしょうか? 自衛隊員のみなさんの生命の安全を脅かしているのはだれなのでしょうか? 8月という月はかつてのアジアへの侵略戦争への反省をし、不戦の誓いを新たにすべき時と言えます。私たちは、日本政府が傲慢な物言いをやめ、周辺国と協力し、地域の平和を作り上げるという歴史的な原点にもどることを強く求めます。8月に入り、日米による共同訓練が、関東南方海空域、東「シナ」海、沖縄南方海空域で立て続けになされました。米韓による軍事訓練もおこなわれており、28日まで続けられます。このような演習は北東アジアの軍事的緊張を高めています。
 朝雲新聞によると海上自衛隊は、6月9日から7月22日まで遠洋練習航海(練習艦「かしま」「しまゆき」より編成 人員500人)を終えたとしています。途中、南「シナ」海で米軍と2度にわたり共同訓練を行い、インド、シンガポール海軍と親善訓練をおこなったとしています、これは「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づき、2018年より続けられている訓練ですが、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処、中東での「情報収集活動」ともつながる訓練です。ジブチ基地への人員・物資の輸送任務は小牧基地が担っています。 これが日米安保条約60年の現実の姿です。私たちは自衛隊が本来の「専守防衛」の枠にもどることを強く求めます。

私たちは以下のことを上申していただくことを基地司令にお願いします。
1,朝鮮半島周辺や東「シナ」海、南「シナ」海での軍事演習をやめること。
2,中東、アフリカから自衛隊をひきあげること。
3,「敵基地攻撃」のための兵器保有を断念すること。

2020年8月22日
不戦へのネットワーク


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