不戦へのネットワーク


小野田元空将発言、イラン状勢、防衛白書、ブルーインパルスについての申し入れ書(2019年9月28日)

小牧基地司令 船倉慶太様
自衛隊員の皆様

 日ごろのお仕事、ご苦労様です。基地司令や隊員の皆様も、また基地周辺の自治体や住民の皆さまも平穏な日々が続くことを願っていると思います。しかし、安倍政権が進める軍事外交政策は、その平穏な日々を一歩一歩破壊し続けていると言っても過言ではありません。トランプ政権との日米同盟を深化・拡大する政治選択は、戦争の反省の中から積み上げてきた日本の「平和と安定」を根こそぎ破壊する道だと断定せざるを得ません。
 こうした状況の中で、本日の申し入れの前に小牧基地の皆さまにとって大先輩である元航空自衛隊教育集団司令官の元空将小野田治氏の話を紹介したいと思います。9月11日、東京で行われたNPO法人「言論NPO」が「出口の見えない日韓対立」をテーマに開いた座談会での発言です。「日本は30数年間、朝鮮半島に軍事力で入っていた。だから日本を軍事的脅威とみなすことは不自然とは思えないし、日本もその点を意識する必要がある。」「自衛隊と韓国軍は防衛交流を継続してきたが、現在のような日韓関係が5年、10年続けば危うい状況になる。」と警告し、「慰安婦や徴用工問題は感情的な問題になり、民間交流まで止まっている。その原因が韓国だけにあるとは思わない。日本政府の対応も間違っているところもある。日韓関係の緊張を緩和するためには、我々自身を変えていくことを通して、韓国の姿勢を変えていくという対話をしていかないといけない。」と発言をされました。嫌韓から断韓という風潮の中で、元航空自衛隊幹部としてまっとうで勇気ある発言だと思い、長々と紹介しました。

 さて、6月、7月、8月とイラン問題をめぐって申し入れをしてきました。安倍政権はイランとの関係を壊すことなく、かつアメリカの「有志連合」への呼びかけに参加することなく、実質的にトランプ政権の呼びかけに応ずる方針を作りつつあります。シナイ半島へ増派、バベルマンデブ海峡の監視、アデン湾からオマーン湾までの監視活動、その中心拠点がジブチの自衛隊基地となります。そのためには今の体制では対応できず、新型の対潜哨戒機、護衛艦を送り込むと言われています。輸送部隊として、小牧基地や三保基地が動かざるを得ません。私たちは、トランプ政権の要請で自衛隊をさらに派遣しようとする安倍政権の方針に断固反対します。トランプ政権の勝手な動きに同調しないように小牧基地から意見具申をしてくださるよう、お願いします。

 昨日、河野太郎防衛省は、閣議で2019年版防衛白書を報告しました。18年防衛大綱・中期防路線の確認白書と言えます。相変わらず、「北朝鮮・中国脅威論」を前提にした、軍事力強化路線です。特に目につくことは、日韓関係の悪化を列挙したうえで、「韓国側の否定的な対応が防衛協力、交流に影響を及ぼしている。」という記述です。最初に紹介をした、小野田元空将とは真逆の記述です。朝鮮民主主義人民共和国、中国、そして韓国と敵対するような白書を承認する安倍政権は、外交努力を捨てたと言えます。その分だけ、トランプ政権にすり寄り、要求をなんでも受け入れる国と化しています。ある憲法学者は、安倍政権を「売国政権」と言って批判しています。基地司令や他員の皆様には、どうかこの政権に同調することなく、批判的に見ていただきたい。

 最後になりますが、11月9日、小牧基地オープンベースで、ブルーインパルスの展示飛行が計画されています。3年前の展示飛行の際には、実施することも直前まで公表されませんでしたが、今は堂々と小牧基地のHPに掲載されています。私たちはもちろん、小牧基地周辺住民はこの展示飛行に反対をしています。既成事実の積み上げで異論を排除するようなことがあってはなりません。地域住民の安全を考え、中止とされるよう、強く要請します。

 2019年9月28日 不戦へのネットワーク


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