有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク


 2007年5月26日定例の小牧基地への申し入れを行いました。イラク特措法の2年延長が衆院を通過し参院で審議されているという重要な時期での申し入れとなりました。 今回は16名の方が参加してくださりました。県外からも来ていただくことができました。ありがとうございました。
 4団体・グループからの申し入れと、お一人個人の申し入れを行いました。個人の方は、イラク派兵差止訴訟第7次訴訟において3月に出された「平和的生存権は全ての人権の基礎にあり、その享有を可能にする『基底的権利』」とする判決についてのたくさんの資料を応対してくださった方にお渡ししました。30分あまりにわたる申し入れ行動となりましたが、ずっと、司令の代理の方、お一人が応対してくれました。
 どこまで浮須司令と自衛隊員の方々に私たちの気持ちが伝わっているのかはわかりませんが、航空自衛隊員がイラクから帰ってくるまで続けていきたいと思っています。

航空自衛隊のイラクからの撤退を再度申し入れます(2007年5月26日)

航空自衛隊小牧基地司令  浮須一郎様
隊員の皆様

 私たちは、これまで何度も何度も航空自衛隊の皆様方が一日も早くイラクから撤退されるように申し入れを行ってきました。そのわけや思いも誠実に伝えてきたつもりです。そして私たちの心配も十分おわかりいただけているかと思っていますが、「またか」とか「いつまでやるんだ」と思わずにおつきあいしていただきたいと思います。私たちも一日も早くこの申し入れをしなくともよくなる日を待っています。

 この7月末でイラク特措法の期限が切れます。しかし、残念ながら2年延長が、ほぼ確実になっています。すでに、衆議院を通過し参議院での審議に入っています。安倍首相をはじめ政府が、イラクからの早期撤退などという考えを一つも持っていないことは私たちも十分わかっているつもりです。ブッシュ大統領が「もういいですよ」と言ってくれなければ無理な話なのかもしれません。情けない話です。恐らく、今この時点で航空自衛隊がイラクから撤退を始めてもブッシュ大統領以外は日本を責めないだろうと思います。「美しい国」ではなく「情けない国」にどんどん向かっているとしか思えません。簡単ではないにしろ知恵を出し合って緻密な外交によって平和的に国際社会を生き抜くことは無理なことなのでしょうか?いくら「石油」が重要なものであったとしても、「日米同盟」が重要なものであったとしても若い自衛隊員を戦地に送り出すような政府の政策に私たちは賛成できません。少しくらいブッシュに言われても、少なくとも今は憲法9条があるのだからダメだとなぜ言えないのでしょう?そもそもイラクへの派遣はイラクの人々の頼みではなかったはずです。

 このまま今のまま行けば結果は見えています。このまま、今のままというのは安倍首相の規定方針のことです。すでに9条改悪を主眼とする国民投票法が成立しています。米軍再編特措法も成立しました。イラク特措法は2年延長されます。集団的自衛権が認められ、派兵恒久法がつくられ、憲法9条の改悪を柱とする改憲が行われようとしています。一連の流れです。すべて自衛隊員のリスクが高められることに直接結びつきます。

 イラク開戦以来この4年間で、すでに米兵は3400人以上が死亡しています。イギリス兵も140人が死亡しています(4月初まで)。政府の言う「非戦闘地域」です。今のまま行けば、将来この「数」が自衛隊員の上にも重なることになります。イラクでの民間人の占領を原因とする死者は報道されたものだけで最も少なくみても6万4千人を超えました。占領は結局、抵抗を生み出し、混乱をあおり、人を殺すものであるということを、もう認めなければなりません。

 アメリカの世論はイラクからの撤退に向かっています。アメリカの民主党も撤退の時期を明確にするようブッシュ政権に求めました。イギリスのブレア首相もイラク政策の失敗がもとで民意が離れ退陣に追い込まれました。イギリスのBBC放送が3月にイラク全土で2千人を超える人を対象にした世論調査では、米軍が治安を悪化させていると考える人が7割近くに達し、8割を超える人々が不信を抱いていることが明らかにされています。やはり、イラクの多数の人々は米英軍の駐留を望んでいません。この先、米英軍が、いつか撤退した後、イラクの人々は自らの力で復興を成し遂げます。その時、イラクの人々は日本の行ったことの真相を知ることになります。その時「人道復興支援」と胸を張ることのできる活動となっているのでしょうか?ようやく、日本に住む私たちも見せていただいた、ほとんど黒塗りの空輸実績の黒塗りの部分の内容も、いつかイラクの人々の知るところとなります。結局、今行っていることは、将来大きなツケとして後世に残されていくことになるのかもしれまん。

 残念ながら、私たちは今すぐこの流れをくい止めるだけの力を持ち合わせていません。浮須司令をはじめ隊員の皆様方一人一人に冷静に考えていただき、慎重に行動していただくように要請するぐらいしかできません。

 これまでの幾度かの申し入れと同様、今回もイラクからの即時の撤退を久間防衛大臣に上申して下さるよう重ねてお願いします。

 最後にもう一つお願いします。

 去る5月12日海上自衛隊横須賀基地から掃海母艦ぶんごが沖縄、辺野古沖に派遣され米軍基地建設に関わる作業を行い、この辺野古において非暴力でもって米軍基地建設を止めようとしている市民の頭上を掃海ヘリによって偵察までしたという報道がありました。これまで自衛隊が発足して以来、民衆の抵抗運動に自衛隊が出たことはないといいます。それが今回ついに破られてしまいました。自衛隊はいったい何を何から守るのだろうかと考えさせられます。
 私たちは、海上自衛隊員がテロ特措法によって、いまだインド洋上で厳しい任務に就いていることを知っています。その任務がアフガニスタンの平和と安定に貢献するものであるかどうかは別の話です。海上自衛隊の早期の撤退についても、これまで幾度も政府に要請してきました。「命令」であれば、いたしかたないという現場の「思い」は理解できます。「命令」を出す側、それを支えてしまう世論の側の問題です。航空自衛隊、海上自衛隊の違いもあります。が、私たちにとって地元の自衛隊は、やはり自衛隊の代表でもあります。掃海母艦ぶんごの辺野古沖への派遣に抗議すると共に即時の撤退も合わせて求めます。また、今後のことではありますが航空自衛隊においては、このようなことがないように要請します。

2007年5月26日 有事法制反対ピースアクション


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