有事法制反対ピースアクション

ブルーリッジの名古屋港寄港に関しての申し入れ

名古屋港管理組合
管理者:名古屋市長
松原 武久様

ブルーリッジの名古屋港寄港に関しての申し入れ

ヨコスカ平和船団
横須賀市本町3-14 山本ビル2階
TEL/FAX046-824-0157

 私たちは、ブルーリッジが母港をおく横須賀で、平和運動を続ける市民です。1月30日、貴職が管理者である名古屋港に、ブルーリッジが寄港した件について、文書での申し入れをさせていただきます。

 私たちは、自治体が管理する民間港への米艦寄港のデータを毎年集計しています。96年の日米安保共同宣言によるガイドラインの見直し開始と同時に、民間港への米艦寄港は活発になりました。以後、それまでの年平均のほぼ倍に増え、今日に至っています。

 民間港寄港の増加は、97年に合意された新ガイドラインで、有事の際の自治体と民間の「適切な活用」を日米が合意したことと無縁ではありません。96年を境にして、米軍が「そのとき」に民間港を提供施設(米軍基地)なみに使うための準備に入ったことは明らかです。前駐日大使のフォーリー氏が、「米艦船の民間港寄港に尽力した」実績を評価され、米海軍から表彰されたことは、このことを裏付る象徴的なできごとです。

 米軍再編のための日米協議においても、民間港の使用は重要なテーマでした。昨年10月に発表された「中間報告」でも、港湾の使用は次のように確認されています。「この検討作業は、空港及び港湾を含む日本の施設を自衛隊及び米軍が緊急時に使用するための基礎が強化された日本の有事法制を反映するものとなる。双方は、この検討作業を拡大することとし、そのために、検討作業により具体性を持たせ、関連政府機関及び地方当局と緊密に調整し、二国間の枠組みや計画手法を向上させ、一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査を実施し、二国間演習プログラムを強化することを通じて検討作業を確認する。」「地方当局と密接に調整」とあるところに、注目してください。地方当局の意向を聞くのではなく、あくまでも「調整」です。それも、「密接な調整」。「米軍が緊急時に使用するため」、つまり軍事使用のための「密接な調整」です。こうした自治体の意向を全く無視した港湾の強制使用は、再編協議の中で繰り返し出ていました。昨年4月には、「優先使用」という考え方が報道されました(読売新聞05年4月9日)。米軍の自由な使用が可能になるように、あらかじめ優先的に使用する港湾を名指しするというものです。

 また、今年1月11日の読売新聞では、自治体が拒否できないよう周辺事態法を改正することが、日米両政府で話し合われていることが報道されました。「友好親善」の仮面の下の、こうした意図をぜひ知ってください。

 優先使用の名指しや、周辺事態法の改正など、あの手この手を日米両政府が考えるのは、それだけ強い管理権が自治体にあるということの証明でもあります。自治体の港湾管理権の強さを示す資料はたくさんあります。たとえば、99年7月に、日本政府が自治体に配布した「周辺事態法9条の解説」という冊子は、有事の際の民間港の使用について次のように解説します。「米艦船が地方公共団体の管理する港湾施設を使用しようとする場合、周辺事態においても、通常と同様、地方公共団体(港湾管理者)の許可を得る必要がある」。有事の際にも許可が必要な自治体が管理する港湾施設を、平時に米軍が勝手に使えるはずがありません。

 こうした極めて強い自治体の港湾管理権は、地位協定5条をもってしても破ることはできません。だから今、米軍は、自治体の側から「どうぞお使いください」と言ってくれることが、最大の担保だと考えているのです。そのためにこそ、平時における「友好親善」寄港が繰り返えされています。

 私達が、なんの警戒心もなく、寄港を受け入れてしまうことは、取り返しのつかない結果を招いてしまう、と考えるのは、以上の理由からです。

 戦後の港湾の管理がなぜ自治体の手にゆだねられてのかを、今一度思い起こしてください。日本の港湾が侵略戦争の出撃基地として使われたことの反省のうえに、戦後、すべての港湾の管理は自治体の手にゆだねられました。今また、民間港の軍事使用が目論まれているとき、その港湾の管理責任者は、港湾の平和利用を確保する歴史的な責任を背負っています。

どうか、平和利用に徹する港湾管理を行使してくださるよう、心からお願い申し上げます。


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