日本の干潟

日本の干潟や湿地は大規模な公共事業でことごとく破壊されてしまった。しかも新たな埋め立て工事や計画が進行している。それらは他の公共事業と同じように、高度経済成長の時代に計画されたもので、今の状況では必要のないものばかりだ。おもな干潟の半分近くが危機的状況にあるという。


●諫早

1997年4月14日、長崎県・諫早湾で干拓事業のための閉め切り工事が行われた。「ギロチン」によって、干潟が外海と仕切られたのである。有明海の中で最も良質で広大な干潟が、農地や淡水の湿地に変えられようとしている。

干潟にはさまざまな生き物が生息している。締め切り工事によって干潟から海水がなくなると、移動することのできない岩ガキが腐敗して悪臭を放った。

干潟には海を浄化する大きな力がある。諫早湾の干拓工事が進むにつれ、有明海でノリの大不作が続くようになった。必要もない新たな農地を造成するよりも、干潟を残すことの方がはるかに経済的にも利益がある。潮受堤防の水門を開放して干拓地に海水を入れ、干潟の再生を始めるべきだ。