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仰天!武蔵野市『民主主義』周遊記

副題:借金火達磨・巨大政治犯罪都市

(その27)土地開発公社問題監査請求に的外れ却下決定

 先に報じた私の名義による武蔵野市の土地開発公社を通ずる土地購入の監査請求は、却下決定となりました。予想通りの「争点はぐらかし」却下で、土地開発公社は「特別法人であり、普通地方公共団体とは異なる」とする点は、最高裁こと実質は「最低」裁の違法判例に添うものですが、実に面白いのは、「監査請求日以前の一年間に市がその土地を公社から取得した」ことのみを審査したことなのです。

 次の監査決定通知の冒頭に再録してある私の監査請求の文章(1,000字以内の制限ぎりぎりで工夫)を見れば明らかなように、私は、「87年度以降の7年間、つまり、1987年度から1993年度までの土地取得」のみを指摘し、「以上の期間の全土地の先行取得に疑義あり」としているのであって、監査決定通知の方の文章のような「監査請求日以前の一年間」つまり、1997年から1998年の土地取得については、何らの監査請求もしていないのです。

 この監査結果についての詳しい論評は後日として、とりあえず広く参考に供します。

…………………………………………………………………………………………

085~93(監収)
平成11年12月16日

監査請求人 木村愛二殿

武蔵野市監査委員 鈴木 昭司
同 たき美世子[両者の名前に重なる朱印]

武蔵野市長に対する措置請求に基づく監査結果について

 平成11年10月18日受理した標記の請求について、地方自治法第242条第3項の規定により、監査の結果を次のとおり通知します。

第1.請求の受付

1.請求人

住所 武蔵野市西久保1丁目49番16号むさしの荘

職業 著述業

氏名 木村愛二

2.請求書の提出日

平成11年10月18日

3.請求の内容(原文のとおり)

市長土屋正忠に対する措置要求

 市は1974年以降、公拡法に基づき市議会決議で設立の土地開発公社(以下、公社)を通じて土地を取得してきた。80年代後半に暴騰した地価は87年以降に都内商業地で低迷、91年以降に暴落するが、公社と市の土地取得(単位:億円。4捨5入。括弧内は市の買い戻し)は87年度以降、29(33)、67(47)、65(41)、125(86)、236(130)、73(81)、90(39)。金額も面積も激増。

 94年度には「補正予算は諸用地の取得を控え」ざるを得ない財政状況に立ち至る。同期間に公社借入金が21から308へと激増。

 面積比率74%は事業計画のない諸用地・代替用地等。指定金融機関、三菱(現東京三菱)銀行への利払いは全く無駄な失費。

 市が買い戻した未使用の代替用地等も4千平米から1万5千平米へと1万1千平米激増、91年度の取得金額平均換算で192に相当。

 以上の両者末使用土地の取得価格合計は414だが、実勢価格でほぼ4分の1に下落。公共用地・道路用地も事業計画の実施時期が未決定か数年先の事例が多く、公社保有が激増しており、以上の期間の全土地の先行取得に疑義あり。

 史上空前の地価暴騰期間における購入の異常さはデータ上明白。

 最高額の90年、236は、同年の予算総額の40%に相当するが、議会には提案されず議決の対象となっておらず、市民は全く知り得なかった。

 市長は地方自治法施行令121条2項別表2に基づく市条例を盾に取り1件5,000平米以下の土地取得は同法96条で定めた議会の議決権限に属さないと主張するが、実態に合わなくなった法令を悪用する実質違法行為は厳罰に値する。

 以上、市の土地取得の全面的な責任を負い公社運営の専権を握る土屋市長は、実質違法行為をも犯して推定300以上の損害を市に与えたので同額の損害の弁償義務を負う。

 よって

(1)すみやかで厳正な監査実施、

(2)同人の損害額弁償による市の損害回復、

(3)同人への辞任勧告、を請求する。

 なお本請求は、公社資料の情報公開コーナーでの開示が全く不十分で上記市条例にも「1件」とあるのに個別土地価格が未だに不明、同人の後援会長(当時)・自民党公認の現都議・公社評議員井口秀男所有の農地購入では、財産価格審議会が当時は存在しない道路を前提に宅地の路線価格を仮に振ったことなどの疑惑が、本年の議会で、初めて明らかになったこと、当該行為は公社の取得から市の買い戻しまでが継続し、案件毎にその期間が異なり1991年の公社取得の最大額の土地が未だに公社保有のままなどの複雑な経過に鑑み、地方自治法第242条2項の請求期間1年の規定には抵触しない。

1999(平11)年10月18日

武蔵野市監査委員 鈴木 昭司 殿

同        たき美世子 殿

4.事実を証する書面(略)

5.請求の要件審査

 本件請求のうち、武蔵野市土地開発公社(以下「公社」という。)は、地方公共団体に代って土地の先行取得を行うことを目的とした特別法人であり、普通地方公共団体とは異なるものであるので、公社に関するものについてはこれを却下する。

 また、公社により先行取得された土地を市が取得したもののうち、監査請求日以前一年を経過したものはこれを却下し、一年以内のものについては、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という)第242条の所定の要件を具備しているものと認めた。

第2.監査の実施

1.監査対象事項

 本件請求の趣旨等を勘案し、監査対象事項を次のとおりとした。

 市が、公共用地の取得を公社に依頼し、監査請求日以前の一年間に市がその土地を公社から取得したことについて、違法若しくは不当な公金の支出が行われたのかどうか。

2.請求人の証拠の提出及び陳述

 請求人に対し、地方自治法第242条第5項の規定に基づき、平成11年11月17日に証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

 請求人から、新たな証拠として、新聞記事コピー資料39点並びに論文写し、記者会見用原稿等各種資料15点が提出された。(内容及び記載については略)

3.事情聴取

 平成11年11月25日に、都市開発部用地課及び総務部管財課の関係職員に対し事情聴取を行った。

第3.監査の結果

1.事実関係

(1)市が公社から取得した土地

 市が、監査請求日以前の一年間に、公社から取得した土地は次のとおりである。

件名          件数(件) 面積(平米)   金額(円)

道路用地(物件補償を含む) 5      319.11   1,543,400,470

公園用地          3     4,766.72   3,537,831,918

諸用地           3      794.79    571,329,600

合計            11     5,880.62   5,652,561,988

(2)公有地取得の手順

 市は、長期計画に基づいて公園、福祉施設等の土地を取得する場合、対象となる土地を取得するかどうかを市の理事者会議に諮り、市としての意思決定を行っている。

 当該土地を取得することが決定され、その土地の取得費用が市の予算に計上されている場合は、市側で買収を行っている。

 予算措置が行われていない場合には、市は公社に用地買収の依頼を行うとともに、公社が取得した価格に公社業務方法書第11条(譲渡価格)による経費等を勘案した額で買い戻しを行う旨の覚書の締結をしたうえで、公社は当該土地の取得を行うこととなっている。

 市が公社から土地を買い戻すときは、予算措置を行い、公社と土地売買契約を締結することにより、当該土地を取得している。

 一方、公社では、1件2,000万円以上の財産の取得又は処分については、公社理事会の議決に付すべき財産の取得又は処分に関する規程に基づき、公社理事会の議決を経て、市と土地売買契約を締結し、市に売却を行うこととなっている。

 なお、市が公社から土地を取得するときに、それぞれの事業について国や都の起債・補助金がつく場合には、それらに合わせて取得している。

(3)土地の取得価格の決定

 公社が市の依頼により1件5,000万円以上の価額の土地を取得する場合については、公社業務方法書第5条(取得価格の基準)により、適正な価格を評定するために、武蔵野市公有財産管理規則第37条の2、武蔵野市財産価格審議会(以下「財審」という。)条例及び同施行規則により設置された財審に諮問されている。財審では、地価公示地の価格、東京都基準地の価格、相続税の路線価格、取引事例価格及び不動産鑑定士による鑑定価格を資料として、当該物件の形状による加算・減価について、専門家の立場からの適正な評定を行うこととなっている。

 5,000万円未満の価額の土地を取得する場合については、財審の付議を省略するが、適正な価格を決定するために、地価公示地の価格、東京都基準地の価格、相続税の路線価格及び不動産鑑定士による鑑定価格等の資料に基づいて、当該物件の形伏による加算・減価について、適正な評定が公社担当によって行われている。

(4)覚書等

 市と公社との間では1件ごとに覚書を取り交わしており、その内容は次のとおりである。

第1条は、公社は市が必要とする土地の取得を行う。

第2条は、市は土地の取得に必要な資料を公社に貸与する。

第3条は、公社は、取得した土地の善良なる管理者の注意をもって保有する。

第4条は、市が予算措置を講じたときは、公社の土地を速やかに買い取る。

第5条は、市が買い取る場合には、(1)取得価格、(2)管理に要した経費、(3)借入金の利子相当額、(4)その他の経費の合計を支払う。

第6条は、公社は土地の取得に係る租税特別措置法等に関連する書類を発行する。

第7条は、覚書に疑義の生じた場合は両者の協議により定める。

 また、公社業務方法書については、6章と16の条文で構成されており、その内容は次のとおりである。

第1章「総則」の第1条は「趣旨」、第2条は「業務運営の基本方針」

第2章「土地の取得」の第3条は「取得の範囲」、第4条は「抵当権等の抹消」、第5条は「取得価格の基準」、第6条は「取得に係る捕償」、

第3章「土地の管理」の第7条は「境界標等の設置」、第8条は「土地の一時使用」、第9条は「財産台帳の作成」

第4章「土地の処分」の第10条は「土地の処分」、第11条は「譲渡価格」

第5章「土地の登記」の第12条は「登記の方法」、第13条は「登記の経費」

第6章「附帯業務」の第14条は「土地の取得のあっせん等」、第15条は「手続」、第16条「受託の拒否」

2.判断

 監査請求日以前の一年間に市が公社から取得した土地について、個別に価額の評定に関する書類等を審査し、関係職員に対する事情聴取を行い、その取得が適正に行われているかどうかの監査を行った。

 その結果、市が公社へ土地の取得を依頼し、公社は、その依頼によってその時点における土地価格を財審の評定等によって決定し、その価格の範囲内で取得した土地を、市が、覚書第5条及び公社業務方法書第11条により、その取得価格に経費等を勘案した価格で買い戻しを行っており、市は適正に土地を取得していることが認められた。

 以上のことから、本件監査請求について、市が公社から土地を取得するために支出した経費については、法第242条第1項に規定されている違法又は不当な公金の支出とは認められず、したがって請求人が要求する措置の理由も認められない。

以上で(その27)終わり。(その28)に続く。

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