庄内南部広域水道受水にともなう、鶴岡市給水条例改正案の審議について

6/22


○注意:ここに記載している文章は、6/22 鶴岡市議会本会議場で使用した原稿です。広域水道問題の集大成として、今まで論じられてきたことなどもまとめて作成し、討論したものでありますが、とても長くなってしましました。約20分。お聞き苦しかったみなさんはどうも失礼をいたしました。なお、議場では途中、「簡潔に」などの指摘があり、はしょらせていただいたところもあります。


今、定例会に提出されています。議案 議62号と議 65 号について

反対の立場で討論をいたします。

議案となっている条例案は
○ 現状の28%値上げをするものであります。これは、平成10年に30%前倒し値上げに引き続いての値上げであり、今回の後にも、2年後に17%値上げを予定しているようであるが、全国で水道料金の値上げが相次いでいるとしても鶴岡市の水道料金値上げは、5年間で約2倍と、大幅な値上げ率であるということをまず申し上げる。

私は、こうした給水条例に対し、次の大きく3点を理由に反対するものであります。

まず、第一点、水道料金に直接かかわるコスト意識という点において、指摘したいと思います。

水道料金の算定の基準となるのは県からの受水費用でありますが、
150円台と言われ続けてきた県から受水する供給単価が105円22銭となった。これは、ねばり強い 市民運動の一つの成果だと考え、一定の評価をしたいとは思うのだが、全体の総括費用の中の当初の10年間のみのことであり、根本的なコスト削減にはつながっていないと考える。
53年の計画時、昭和80年には鶴岡市の人口が11万5千人、82600トン 一人1日あたり最大使用量718リットル。としたこの時と、現状一日最大給水量ほぼ半分の48500立方メートル、大幅な水需要のズレを生じている現状、なお人口、水需要ともに減少傾向という時代に直面しているのにかかわらず、契約水量は20年前の計画と一緒の72602立法メートル。これは、時代の変化による修正をおこなっていない。
■この水道高騰の原因として致命的な水需要のズレについては再三指摘しても当局は「安定給水のため」などと認めようとしなかった。県とその肝心な議論を積み重ねていないここに大きな問題がある。その失敗のツケが市民の水道負担にそのままかかってくるということであります。

要するにコスト意識をともなった、根本的な計画の変更は全くおこなわれていません。強いて変わったことは、ダムの総費用が、780億円から1780億円と大幅に増大してしまったということぐらいです。

特に、全国の水道事業体が、水需要の減少、右肩下がり時代を想定して、水道料金の大幅値上げや水道事業の破綻を回避するために、自己水源の地下水の見直しをはかったり、ダムの規模縮減をおこなって、コスト削減につとめている時代に、どうもこの山形の庄内広域水道事業のみが、20年前の右肩上がりの価値観を踏襲するかのように進んでいるようにしか感じられないのであります。

結局このことは10年、20年と長期的視点でみたときにこの水道事業の破綻を招くことになるのではないですか。

協定を結ぶ前に庄内全域として県と交渉し、契約水量の変更、施設の変更をおこなうなど、抜本的な修正が必要だったのではないですか。
■ また、今後の人口の推移はどうでしょうか。
水道協議会では10年後は人口がどうなっっているかわからない。2倍になるかもしれないといった委員の方がいらして、びっくりしましたが、これではあまりに無責任ではありませんか。
10年後23年以降の事は考えてあるのかという問いに、その時はそのときで考えるなどの発言をしているようだが、
10年後、20年後、人口が減ってくればますます水需要に影響する。水道料金協議会での資料も人口を徐々に増えることを前提として計算していますが、果たしてこれで大丈夫か非常に不安です。

■ 今後の見通しについて
水道料金協議会で気になったのは、高くなった分 水を節水すればいいという主婦の方の声でした。そうなると、事業収益はまたも赤字になることは歴然としていて、さらなる値上げをしないといけないのではありませんか。

■ 地下水源について

水道料金を低く抑えることや水質、災害時の対処という観点から、自己水源である地下水源を見直して使い続けようという動きが見られる。

しかしながら当市では、科学的根拠を全く調べようとせず、放棄する方向性を変えようとしない。  
まず、現状の水道の水源については、○25万トンの持続性補給量と指摘した調査報告書がだされ、それを指摘されながらも現状の根拠や明快な調査もせずに、地下水低下などといっている。井戸のメンテナンス不足が再三にわたって指摘されるも、十分な整備なし
→今年1月の断水事件をひきおこしている
● 工業用水での地下水利用 中央工業団地水道だけで1万トンこれは飲料水に適した水質のレベルに浄水してまかんたっています。 
● 消水用水として地下水利用 3万トン

ようするに地下水全体の水収支の計算ができず、水源の調整どころの話ではないこうしたところでは、まずダムありきで、この収支を計算しようともしない、水源を安易に高価なダムに求めていることも考え得る。

■ ダム事業について
○ダムの780億円→1780億円 2倍以上にわたる、総事業費になっている。 どこにどういった経費の削減策をおこなったのか疑問であり、このダム事業費の増大を安易に認めている姿勢は問題だと感じる。
○ 維持費用年間5億円かかる。ダムは、長野県の田中知事が指摘してるように、堆砂でいつかは埋まる運命、そして、その際の浚渫や新たなダム建設は、水道料金にそれ以上の負担になる。

■ 浄水施設について 53年度の調査書の中に水源が清浄なため、緩速濾過方式の浄水場が望ましいとあるのに、あえて、建設費用、維持費用がかさむ急速濾過方式にしている。

なお、この急速濾過方式の浄水場は、
○急速濾過方式を踏襲 → トリハロメタンの発生 (発ガン物質
            薬品費用など維持費用高い
            産業廃棄物として汚泥を排出する
○ クリプトスポリジウム が素通りする
○ カビ臭の対策も皆無である。
○ →これを100%解消するには高額な膜濾過装置や、オゾン殺菌が必要だということ。
であり、さらに水源費用がかさむ可能性がある。

維持費用もかからない、緩速濾過方式の浄水場の検討をおこなったのか。

第2に水質の面であります。
これはコストの面に関係することでありますが、まさか、この鶴岡市で、浄水器や、ペットボトルのミネラルウォーターに頼らざるを得ない状況をつくらないような

。■鶴岡の水道のビジョンをつくるべきである。

市民の健康、安全を考える上で、一切、現状の水質をおとしてはいけないと考える。
鶴岡から水道の難民をだしてはいけない。
水道難民= 浄水器、ペットボトルなどに頼らざるをえない市民今まで、世界的に見ても非常に質の高い水を供給してきた鶴岡市

10月20日に切り替わると今まで、60年余りにわたって使ってきた水源と全く違うものになる。水質も地下水と表流水とでは全く違う。そうしてこれ切り替えたら、一生、このダムの水とつきあっていかなくてはならないわけであります。

不安定だと指摘されているダム水の水源からの供給ということで市水道部として市民に提供する水の質に関して、この条例ではなんら指針がしめされていない。
国の基準値内だから大丈夫、というようだが、この基準値内でも、国でも、「水道離れ」を懸念する声もあがり、法律としても水質に対して、追加で法ができている。その施行

こうしたことを踏まえて、今や、水道の水質については、地方自治体レベルでどのように良質の水を提供できるか、そうした工夫が試されている。
現に、東京都昭島市では、東京都の水の一元化に参加しながらも地下水100%の水源を維持、利用し、神奈川県座間市、秦野市でも現状の地下水源を100%
活かして水源を維持している。

鶴岡ではどうなんでしょうか。今や、問題の指摘されているダム水の表流水を急速濾過した水を優先に県から買い、まるで申し訳程度に自己水源をブレンドする程度ではないですか。

ここに、他の自治体に比べれば、水質の観点でもまるで無策の当市の水道政策を見ることができると強く感じるものであります。

市民のサービス低下を招いてもいいのでしょうか。

市民の中には「値段が高くなってもいい水を飲みたい」という方々がいる。
こうした声を水道政策にいかす時代なんではないでしょうか。
         
とにかく、今、国の基準値内でも、水道離れが起きている。ペットボトルのミネラルウォーター、浄水器に頼らざるを得ない。そうした市民が増えている。それはやはり水道料金を納めても、十分な質の水道を得られない事から来ている。まさに水道の難民であります。
そうした水道難民を鶴岡からもだすんですか。
となりの町で同じ水源からくんで販売しているこのミネラルウォーターを鶴岡市民に飲ます気ですか。

私は、この全国、世界中で最も質のよい水道水を飲んでいると思われる鶴岡市民が、またこの水を使っている鶴岡の料亭飲食店、酒蔵が、そうした難民化することだけは許せない。

受益者どころか、難民なんですから。

これは、水源の優先順位をもうける等、まだまだ対処の方法がある。
しかしながら今条例にはひとつもそうしたことがない。

水道事業としての誇りも志も感じられない。何が低廉で清浄なのか、といいたいのであります

■ 民主的な「水道」の実現を
また、第3に、

この広域水道事業は、民主的で参加型で透明性のある政策決定による事業なのかということであります。大多数の鶴岡市民が10月20日、万歳をするのでしょうかといいたいのであります。
時代も変わった、そして水需要も変わった、ペットボトルを買う時代になった。
20年前とはどうも水の価値観も違ってきたということで、「市民はどんな水をのぞんでいるか」を確かめる、
そうした市民の率直なニーズを確かめるはずの住民投票の運動が、昨年12月ありました。おおよそ半年の間、大変なご努力をされた市民のみなさんがいらっしゃる。1万2千725名の直接請求署名が集まったにもかかわらず、
こうした未来の本当に豊かな鶴岡を考えて行動した市民の活動に市長みずからが、「反社会的」とか「無責任」「うまい話にのるな」とかとレッテルを張り、市民の声を踏みつぶし、また保守系議員のみなさんが、まるで当局と結託をするかのように、市民運動の妨害行為を平気でおこなった。受認車名簿を署名期間中に公開する。これは住民投票の歴史に残る非民主的な行為として全国的に有名になりました。

そうした、行いの中で、市民の声はつぶされ、結局は、この水道事業、水道政策は、20年前に計画をし、水需要のズレや、水質の問題を全く解決することなく、ここまで来てしまっている。

この料金は、市民の声が十分に反映されたものなのだろうか。

以上広域水道の受水にともなう料金値上げに関するこの条例案の改正案 
明確なコスト意識をもった修正がなく、未来に大いなる不安を残している点、
○ 水質として市民のニーズに答える努力をおこたっているような点
○  広域水道導入が、民主的な政策決定とは言い難い点

これらの点をもって、反対するものであります。