公共図書館職務一覧表2000年版(案) 1 総括的業務

公共図書館職務一覧表2000年版(案) 1 総括的業務
      項目 解説・コメント
1.総括的業務       企画・人事・財務など、組織体の維持に関する事項のほか、運営計画の策定・PR・研修など図書館の制度や条件を整え推進する業務も含まれる。
  (1)図書館の理念・目的に関する事項      
      図書館の目的、運営理念の策定  
      総合運営計画(将来計画を含む)の企画・立案 ここは総論的なものを指す。各論は各項目で扱う。
      サービスポイントの配置計画の立案 分館の他、図書館類似施設を含んだ図書館サービス網の計画立案。
      資料配送計画の立案  
      図書館の運営に関する情報収集と分析 世界や全国の図書館界の動き、論文等の収集・分析。
      他自治体・図書館等との連携・協力 地区協議会、地区館長会等。日本図書館協会も含む。
      統計の立案 蔵書・利用・職員・経費・施設等に関して、どのような統計が必要か、どのようにしたら取れるのか等を立案する作業。
      統計の分析・評価 統計の立案に基づき取られた統計を活用する業務。
      統計の作成(月報・季報・年報等) 統計作成の実務。アンケート方式のような統計については、その実務を指す。
         
  (2)法的整備に関する事項      
      条例・規則等の制定・改廃の検討  
      条例・規則等の成文化および改廃手続き  
         
  (3)議会・教育委員会・市長部局に関する事項      
      議会・教育委員会等との連絡・調整 日常的連絡等は〈専門的職務〉としない。
      議会の質問等への対応 専門的見地から意見を述べたり、資料を作成したりする業務。
      教育委員会事務局との調整 日常的連絡等は〈専門的職務〉としない。
         
      市長部局との調整 日常的連絡等は〈専門的職務〉としない。
      議会・教育委員会等との日常的な連絡・調整 事務的連絡、専門的知識を必要としない調整などを指す。
         
  (4)図書館協議会     図書館法第14条に基き設置される図書館長の諮問機関。
      協議事項の提案 専門的見地から、協議事項について意見を述べる業務。
      委員の選任 委員の選任に際し、図書館法第15条に基づき、専門的観点から意見を述べる業務。
      視察先の選定・研修内容への助言 専門的見地から、視察先の選定や協議会委員の研修について意見を述べる。
      協議会開催事務 資料作成、日程調整、会議招集、視察同行等。
      議事録の作成 行われた協議会の議事録を編集・作成する。
         
  (5)プロモーション活動      
      地方新聞・ミニコミ等のチェック 地域を知るための手段として。
      図書館のPR計画の策定 自館を効果的にPRする方法を計画する業務。
      行事の企画 講座、講演会、文学散歩、展示会、上映会、リサイクルフェア、図書館祭り等を企画する。
      記事の計画・執筆 自館作成資料のほか、新聞・ミニコミ等への執筆も含む。
      各種メディアとの対応 インタビュー、取材、談話等。
      「図書館友の会」の後援 「図書館友の会」の活動に対し、さまざまな場面で支援・後援を行なう業務。
      読書団体の育成 読書に関連した団体(読書サークルや文庫など)の設立・育成を図書館として推進する。
      域内の団体・個人との連絡等 サークル、自治会等。
      図書館調査の立案・実施 マーケティング、パフォーマンス測定、読書調査等を指す。
      利用者の声の対応 苦情・要望等のほか、首長への手紙等も含む。
      議会・行政内部に対するPR  
      マスコミに対するPR  
      図書館報等広報の作成 PR計画に基き、図書館報等を作成する業務。
      ポスター、チラシ等の作成 PR計画に基き、ポスター・チラシ等を作成する業務。
      利用案内の作成 PR計画に基き、利用案内を作成する業務。
      行事の開催 企画に基づき行われる会場準備や人員整理、パンフレットやチラシの作成など。
         
  (6)職員・研修      
      職員の採用 職員採用時、専門的内容に関し人事当局にアドバイス等を行う。
      職員の配置計画 担当区分の割り振り、ジョブローテーションなど。
      臨時職員・アルバイト等の採用 面接等で業務の説明を行ったり、適性を見極めたりする業務。
      職務分析の実施 自館の職務内容の分析、仕事量の分析など。
      業務と時間計画の監督  
      職員組合との交渉 館長および管理職。
      館内研修の立案・実施 図書館内で行う研修の立案・実施。非常勤職員へ図書館の理念や方針、技法などの研修を行う。
      館外研修の立案・実施 図書館外で行う研修の立案・実施。
      新規採用者のための研修 新規採用者については別プログラムで行われることが多いので上記の通常研修とは分けた。
      図書館類似施設の職員の研修 公民館図書室など。
      休日出勤等の割り振り 勤務ローテーション表を作成し、人事当局に報告する業務。
      職員の勤務状況の報告 出退勤等職員の勤務状況を、人事当局に報告する業務。
         
  (7)財務事務      
      予算立案 運営計画・サービス計画に基づく予算の立案を行う。
      予算管理 適正な予算執行が行われているかどうかの管理。
      予算の正当性の説明 図書館が求める予算や、決まった予算について、議会や住民などにその内容と、なぜ図書館がその予算を求めるのかという根拠を説明する業務。
      予算編成事務 予算立案に基づいて行う実務。
      予算執行 予算を具体的に執行する業務。
      物品購入・支払 備品・消耗品等物品の購入・支払に伴って生じる業務を行う。
      賃金等の支払 非常勤職員・アルバイト等の賃金。
      財政的資料の編さん 予算・決算・執行状況等予算に関する事項の資料を作成する業務。
      決算 決算に関する業務を行う。
      備品の点検・管理 財産管理規定等に基き行われる備品の点検・管理。日常的な点検・管理もここに含まれる。
      消耗品ストックの点検・払出・管理 消耗品が必要な時、直ちに払出しできるよう適切に管理する業務。
      現金出納 図書館で行う現金の出し入れ。自治体の会計規則に則って行う業務。
      財務課・会計課との連絡調整 日常的なもの、あるいは専門的知識を必要としない連絡・調整を指す。
      各館への予算配分 分館・分室がある場合。
      契約台帳管理 契約の台帳を適切な方法で管理する業務。
      補助金の申請から受領・報告、監査に関する事務  
         
  (8)施設の維持管理      
      施設の改修計画の企画立案 図書館はサービス機関であり、そのサービスが最も効果的にかつ安全に行えるよう、また利用者が安全・快適に利用できるよう計画を作成する業務。
      施設管理業務の委託契約・連絡調整 施設管理関して行う委託契約や、委託先との連絡調整を行う業務。
      施設補修 職員で行う小規模な補修や応急手当を指す。
      集会室等の利用受付、利用案内 図書館にある各種の部屋を管理・運営する業務。
      消防・防災計画の立案、訓練の実施 地震や火災などの不慮の事故に備え、消防・防災計画を立案したり、訓練を実施したりする業務。
      読書室等の管理運営 鍵の管理や使用簿の保管・管理など。
      ポスター等掲示物、チラシの整理 図書館に送られてくる、または直接持ち込まれるポスターやチラシなどを掲示したり、整理する業務。
      拾得物の整理、届出 図書館内での拾得物を整理したり、警察に届けたりする業務。
      利用者の整理・警備 催しの際また多数の利用者があった場合の整理、日常的な警備など。
      開館・閉館・休館の準備 日常的に行う、開館・閉館・休館に関する準備(例えば看板の出し入れなど)の業務。
      駐車・駐輪の管理 駐輪場・駐車場を良好に保つために行う業務。
         
  (9)庶務・その他の業務      
      各種調査回答 サービスに関するものや、専門的見地から回答すべきもの。
      館内会議の運営 ショートミーティングも含む。
      図書館協力者の受入 友の会、録音グループ、点訳等図書館協力者の養成と受入窓口。
      実習生の受入 大学等からの図書館実習を行う学生を受け入れ、実習を行う業務。
      文書管理・整理 図書館に関する文書についてファイリングなどで管理・整理する業務。
      郵便物の整理・配布 図書館に送られてくる郵便物について、整理・分類し、担当者に配布したり回覧したりする業務。
      郵便物の発送 郵便物や荷物などを発送する業務。
      必要書類の複写 会議等で必要となる書類の複写を行う業務。
      定型化した日常の通信 印刷物の発信、参加申し込みの発信等を指す。
      庁用車・連絡車・搬送車・自動車図書館車等の管理 点検や保険など、車両の管理に関する業務。
      視察等来客対応 特定の業務に絞った視察については、それぞれ担当が行う。
      電話対応 電話による受付、簡単な利用案内等。
      公印の管理 公印の紛失や、不正な利用が行われないよう管理を行う業務。
      マスターキーの管理 マスターキーの紛失や、不正な利用が行われないよう管理を行う業務。
      配送業務 分館等への郵便、資料以外の物品の配送。
         
  (10)コンピュータシステム管理      
      導入・更新計画の企画・立案 自館の運営計画やサービス計画に沿って、どのような機器構成にするのか、どのメーカーにするのか、どのようなソフトにするのかなどを企画・立案したり、そのための調査・選定などを行う業務。
      ネットワークの連絡調整 他自治体に関わる部分については「4.情報管理」を参照。
      職員への機器操作指導・研修 新規導入の場合はもちろん、更新の場合でもハード・ソフトウェア共に新しいものである場合がほとんどである。そのため機器の基本操作の指導・研修だけでなく、マニュアル作成なども必要となる。
      利用者への機器操作指導 OPACやCD-ROM検索用端末などの操作方法を指導する業務。
      メーカーとの連絡調整 データ入力・データ移行やカスタマイズ等、メーカー側と詳細な打ち合わせを必要とする業務。
      機器のリース契約・執行管理 機器のリース契約や執行管理は他のリース物件とほぼ同じなので、非専門的職務とした。
      システムソフトの管理委託・契約 高度な専門性が要求される上、最新の技術を維持しなければならないシステムソフトの管理は本来メーカーが行う業務。

ページの作成者: 図書館問題研究会職員問題委員会 日付: 2000年9月15日.