シンポジウム「これからの社会教育はどう変わるか!」 アピール

 中央教育審議会生涯学習分科会は
2008123日に、「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」 (答申素案)を発表しました。その大きな特徴は、「社会の要請」という名のもとに行政が積極的に国民の教育に関与し、家庭の教育や、地域の教育にも関与す る方針を示していることです。これは、政府・行政や、財界の要望を国民に押しつけ、コントロールしようとするものです。

教育は本来、国民の間で自由に行われるものです。社会教育は基 本的に住民主体の学習活動です。社会教育や生涯学習の成果は、住民自身にとっての成果でなくてはなりません。教育行政は、教育の自由と自治を尊重し、国民 の教育を受ける権利を保障するための条件整備をすることが大きな役割です。その基本的な役割を曖昧にして、行政が直接、市民生活に「教育」という形で介入 してくる結果にも結びつきかねない懸念を抱かせる内容になっています。

 また、現在、社会教育を担っている人々の多くは、業務委託や指定管理の進行で、悪い労働条件 で働いています。職員の専門性も尊重されていません。社会教育行政は、人々が自由に学ぶための条件整備をすべきであるにもかかわらず、それをサポートすべ き職員やスタッフの位置づけを軽視していると言わざるを得ません。このような現状を改革・刷新する内容には、この素案では残念ながらなっていません。

私達は、真の社会教育の充実のため、行政が責任をもって公民 館・図書館・博物館等の教育機関を運営すること、専門的職員制度について具体的な効果のある形で十分整備することを答申の中ではっきり位置づけることを求 めます。

2008210

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