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チェチェン共和国憲法

(ノフチーン憲法/仮訳)

(2003年3月に住民投票により制定と、露国政府及び親露政権が主張する法律)



原文:http://chechnya.gov.ru/bulletins/reports/1079.html





多民族のチェチェン共和国国民は、
チェチェン共和国内における市民社会確立と協和に対する歴史的責任を自覚し、
人間の権利と自由を最高の価値として守り、社会の民主主義的基盤を強化し、
遍く認められた諸民族の平等と自決の原則を指針とし、
国家社会及び国民の過去、現在、未来に対する責任に立脚し、
ロシア及びこれを構成する多民族の国民との歴史的一体性を宣言し、
チェチェン共和国及び全ロシア連邦諸民族の最良の伝統を受け継ぎ、
父祖の地への愛情と尊敬、善への信念、公正を我々に伝えた祖先の精神を読み取り、
ここにチェチェン共和国憲法を宣言し、これを採択する。

第1部

第1章
立憲体制の基盤

第1条

1. チェチェン共和国(ノフチーン共和国)は共和国型統治形態の民主主義的 法治国家である。 チェチェン共和国の主権は、ロシア連邦の権能範囲並びにロシア連邦とチェチェン共和国の共同権能範囲を除くほか、十全なる権限(立法、行政、司法)を有することを以って具現され、チェチェン共和国固有の無形資産である。
2. チェチェン共和国の領土は単一にして不可分であり、ロシア連邦領土の不可分なる一部を構成する。

第2条

1. チェチェン共和国における唯一の権力の源泉は、共和国権能の限度内において、多民族からなる国民である。
2. 国民は自らの権力を直接、もしくは国権諸機関又は地方自治体を通じて行使する。
3. 国民の権力を直接発現する最高の形態は国民投票と自由選挙である。
4. 統治権の簒奪もしくは権力奪取は看過されてはならず、法律に照らして追求される。

第3条

1. 人とその権利及び自由は最高の価値である。チェチェン共和国はロシア連邦憲法の人及び国民の権利と自由を規定する条項をチェチェン共和国憲法に取り入れることにより、人及び国民の権利と自由が持つ格別の政治的、法律的重要性を確認するものである。
2. 人々の価値ある人生と自由な発展、国民の融和と社会における協調、民族それぞれの歴史的、文化的遺産や民族の独自性保護がチェチェン共和国の最高の目的である。

第4条

1. チェチェン共和国の国権は立法、行政、司法の分離をに基づいてこれを行使する。立法、行政、司法のそれぞれの機関は独立している。
2. チェチェン共和国における国権機関の体制は、ロシア連邦における立憲体制の基盤並びに連邦法に定める立法(代表制)及び行政に係わる国権機関の一般原則に従って本憲法により制定する。

第5条

1. チェチェン共和国における国家権力は、本憲法に従って設置したチェチェン共和国大統領、チェチェン共和国立法府(共和国会議、人民会議)、チェチェン共和国政府、チェチェン共和国裁判所並びにその他のチェチェン共和国国権機関がこれを行使する。
2. チェチェン共和国大統領、チェチェン共和国立法府、チェチェン共和国政府、その他のチェチェン共和国国権機関およびチェチェン共和国裁判所はその活動を行うに当たり、チェチェン共和国の経済社会発展過程を効果的に統御し、その国民の利益をはかるため、連邦法、本憲法及びチェチェン共和国の諸法の定める形式により互いに協力する。

第6条

1. チェチェン共和国運営に係わる事項についてはチェチェン共和国憲法及び諸法は共和国全領土に直接効力を及ぼし、最高の法的拘束力を持つ。チェチェン共和国運営にかかわる事項について、連邦法と公布済みのチェチェン共和国の規範的法令の間に矛盾がある場合、チェチェン共和国の規範的法令が効力をもつ。 ロシア連邦の排他的統治対象並びにロシア連邦とチェチェン共和国の共同統治の対象にかかわる場合、連邦憲法法及び連邦法がチェチェン共和国全領土において直接の効力を持つ。連邦法とチェチェン共和国の規範的法令の間に矛盾がある場合、連邦法が効力を持つ。 2. チェチェン共和国がその権能をもって採択する諸法その他の規範的法令は連邦法及びチェチェン共和国憲法に矛盾してはならない。
3. チェチェン共和国国権機関とロシア連邦国権機関、並びにチェチェン共和国国権機関同士の間で発生した権能に関する論争はロシア連邦憲法、本憲法、諸法に定める調停手続により、もしくは裁判により解決する。
4. 法律は全て公式に発表されるものとする。
公表されない法律が適用されることはない。人及び国民の権利、自由、義務に係わるその他の規範的法令も、これを広く告知すべく公表することなしに適用されることはない。
5. チェチェン共和国の国権機関、地方自治体、企業、機関、団体、公務員、国民及びその連合組織、並びに外国国民、無国籍者はロシア連邦憲法、連邦法、チェチェン共和国憲法、諸法及びその他の規範的法令を遵守する義務を負う。

第7条

チェチェン共和国に於いては地方自治を認め、これを保証する。地方自治はその権能の範囲内において独立している。地方自治体は国権機関の体制には含まれない。

第8条

1. チェチェン共和国に於いてはイデオロギーと政治の多様性、複数政党を容認する。
2. いかなるイデオロギーもこれを国家のイデオロギーとはせず、強制することはない。
3. 政党、社会的連合組織及びその他の連合組織は法のもとでは平等とする。
4. 立憲体制の根幹を暴力によって変更し、チェチェン共和国及びロシア連邦の一体性を損ない、社会的、人種的、民族的、宗教的不和を煽り、いかなるものであれロシア連邦憲法及び連邦法に規定のない武装組織もしくは軍組織をチェチェン共和国領土内に設立することを目的とし、もしくはその目的をもって行動する社会的連合組織の設立及び活動はこれを禁止する。

第9条

1. チェチェン共和国に於いては国家、地方公共団体、個人による所有形態及びその他の所有形態を容認し、平等にこれを保護する。
2. 土地その他の天然資源はチェチェン共和国に於いてはチェチェン共和国領土に居住する国民の生活と活動の基盤としてこれを利用し、保護する。
3. 土地とその他の天然資源の所有、利用、処分に係わる諸問題の法的調整はロシア連邦憲法及び連邦法に定める範囲と手続により、チェチェン共和国の法制にしたがって行う。

第10条

1. チェチェン共和国の国語はチェチェン語とロシア語とする。
2. チェチェン共和国にいては国際交流に使用する言語ならびに公用語はロシア語である。
3. チェチェン共和国国語の地位は連邦法及び共和国法により定める。

第11条

1. チェチェン共和国は非宗教的国家である。いかなる宗教も国家宗教と定め、もしくはこれを強要することはない。
2. いかなる宗教的連合組織も国家とは区別し、法のもとに平等である。

第12条

チェチェン共和国の領土に居住し、あるいは滞在するロシア連邦国民は一様に全ての権利と自由を享受し、等しくロシア連邦憲法、連邦法、チェチェン共和国憲法及び法律が定める義務を負う。

第13条

1. チェチェン共和国憲法の本章各項は共和国立憲体制の根幹をなすものである。本憲法のいかなる他の項目もチェチェン共和国立憲体制の根幹と齟齬を来たすことは許されない。
2. ロシア連邦による統治及びロシア連邦と連邦の地方行政主体による共同統治にかかわるロシア連邦憲法の諸条項が政治上並びに法律上特別の意味を持つことを考慮し、これらの条項をチェチェン共和国憲法に盛り込んだ。

第2章
人及び国民の権利と自由

第14条

1. チェチェン共和国に於いては人と国民の権利と自由はロシア連邦憲法、チェチェン共和国憲法に従い、また広く受け入れられている国際法の原則と規範に照らしてこれを認め、保証する。 人と国民の権利と自由の保護はチェチェン共和国、その国家機関及び公務員の義務である。
2. 人の基本的権利と自由は固有のものであり、生来各人に付与されている。
3. 人及び国民が権利と自由を行使する場合、これが他の人及び国民の権利及び自由を侵害してはならない。

第15条

人及び国民の権利と自由は直接的な作用を及ぼすものであり、諸法の意義、内容、適用並びに立法府、行政府、地方自治体の行為を決定し、司法によりこれを保証する。

第16条

1. 全ての人は法及び裁判のもとでは平等である。
2. チェチェン共和国は性別、人種、民族、言語、出自、財産の多寡、地位の高低、居住場所、宗教に対する態度、信条、団体への帰属並びにその他の条件にかかわらず、人と国民の権利と自由が平等であることを保障する。
社会的、人種的、民族的、言語的、宗教的属性により国民の権利を制限することは形態を問わずこれを禁止する。
3. 男性と女性は平等の権利と自由を享受しその行使に際しても同等の可能性をもつ。

第17条

各人は生きる権利を有す。何人も故意に生命を奪われることはない。

第18条

1. 個人の尊厳は国家がこれを擁護する。いかなることも個人の尊厳を貶める理由となってはならない。
2. 何人も拷問、強制、その他の残虐な、あるいは人間としての尊厳を傷つける扱いや刑罰を受けることは許されない。何人も自発的同意なしに医学的、科学的もしくはその他の実験に供されてはならない。

第19条

1. 何人たりとも自由と個人としての不可侵性に対する権利を持つ。何人も奴隷の身分に置かれてはならない。
2. 逮捕、監視下の監禁、監視下の拘束は裁判所の決定があった場合のみ許される。

第20条

1. 何人も個人生活の不可侵性、個人および家族の秘密、自らの名誉と名声を護る権利を有す。
2. 何人も親書、電話による会話、郵便物、電報その他の通信の秘密に対する権利を有す。この権利の制限は裁判所の決定があってはじめて許される。

第21条

1. 個人的な生活上の情報を本人の同意なくして収集し、使用し、伝達することは許されない。
2. 国権機関及び地方自治体ならびにそれらの機関で従事する公務員は、法に他の規定がない限り、国民がその権利及び自由に直接関連する公文書や資料を閲覧する機会を確保する義務を負う。

第22条

住居は不可侵である。連邦法に定める場合、もしくは裁判所の決定を根拠とする場合を除き、何人も住人の意思に反して住居に侵入する権利を有しない。

第23条

1. 何人も自らが所属する民族を決め、これを標榜する権利を有す。何人も自らが所属する民族の決定を強制されてはならない。
2. 何人も母国語を使用し、伝達、保育、教育、創作に使用する言語を自由に選択する権利を有す。

第24条

合法的にチェチェン共和国の領土に居住する者は何人たりとも自由に移動し、滞在地及び居住地を自由に選択する権利を有す。

第25条

いかなる宗教であろうとも個人的に、あるいは他の人々と一緒にこれを信仰し、あるいはいかなる宗教をも信仰せず、宗教的信念及び他の信念を自由に選択してこれを維持することを含め、何人にも良心の自由、信教の自由を保障する。

第26条

1. 何人たりとも思考と発言の自由を保障する。
2. 社会的、人種的、民族的、宗教的憎悪及び敵意を煽る宣伝又は扇動は許されない。 社会的、人種的、民族的、宗教的、もしくは言語の優越性、強姦及びポルノグラフィーの宣伝は禁止する。
3. 何人も自らの意見や信念の表明、もしくはその拒否を強制されてはならない。
4. 何人もあらゆる合法的方法により自由に情報を探し、受け取り、渡し、作成し、伝える権利を有する。
5. 大衆伝達媒体(マスコミ)の自由を保障する。検閲は禁止する。

第27条

1.自らの利益を擁護するために労働組合を設立する権利を含め、何人も団結の権利を有す。社会的連合組織の活動の自由を保証する。
2. 何人も連合組織への加盟もしくは残留を強制されてはならない。

第28条

国民は平和的に、武器を持たずに集合し、会合、集会、大衆示威行進、ピケを行う権利を有す。

第29条

1. チェチェン共和国に居住するロシア連邦国民(チェチェン共和国国民)は直接又は代表者を通じてチェチェン共和国の運営に参加する権利を有す。
2. チェチェン共和国国民は国権機関及び地方自治体の代表者を選挙し、あるいは代表者として選挙され、また国民投票に参加する権利を有す。
3. チェチェン共和国国民のうち裁判所が不適格と認めた者並びに裁判所の判決により自由剥奪の場所に収監されている者は選挙権及び被選挙権を持たない。
4. チェチェン共和国国民は国家及び地方公共団体に勤務する均等な機会を有す。
5. チェチェン共和国国民は司法行為に参加する権利を有す。

第30条

チェチェン共和国国民は国家機関及び地方自治機関に直接問いかけ、また個人的及び集団的訴えを送りつける権利を有す。

第31条

1. 何人もその能力と資産を企業活動及びその他の法で禁止されていない活動に自由に振り向ける権利を有す。
2. 独占化及び不正な競争を目指す経済活動は許されない。

第32条

1. 私的所有権は法律で保護する。
2. 何人も個人として、もしくは他人と共同で財産を取得し、所有し、利用し、処分する権利を有す。 3. 何人も裁判所の決定による場合を除き、財産を奪われてはならない。国家の用に供するための強制収用は事前に相当額の補償があった場合のみ実施することができる。
4. 相続権は保証される。

第33条

1. 国民及びその連合組織は土地を私有する権利を有す。
2. 土地及び他の天然資源の所有者は、環境を害し、他人の権利及び合法的な利益を損なわない限り、これを自由に所有、利用、処分することができる。
3. 土地利用の条件と規則は連邦法に基づいて定める。

第34条

1. 労働は自由である。何人も労働により生活費を取得し、自らの労働能力を自由に裁量し、活動の性格及び職業を選択する権利を有す。
2. 強制労働は禁止する。
3. 何人も安全衛生基準に合致する条件の仕事をみつけ、いかなる差別もなく、連邦法に定める最低労働報酬以上の労働対価を受け、失業から保護される権利を有す。
4. 連邦法に定めた解決法を使って個人的及び集団的労働争議を行う権利を認める。
5. 何人も休息の権利を有す。契約労働者には連邦法に定める労働時間、休日及び祭日、各年の有給休暇を保証する。

第35条

1. 母子及び家族は国家の庇護の下にある。
2. 幼児の世話と養育は両親の等しい権利であり、義務である。
3. 18歳に達した労働能力のある子供は両親の世話をする義務がある。
4. 老人、女性、各種の信仰を持つ人に対する尊敬の念、歓待の精神、慈悲の心のような一般に認められたチェチェン共和国諸民族の伝統や習慣は神聖であり、チェチェン共和国憲法及び共和国諸法によりこれを保護する。

第36条

1. チェチェン共和国国民は何人も老齢、病気、不具、養育者の喪失、幼児の保育その他法律に定めるものについては福祉の適用を保証する。
2. 国家年金及び諸手当は連邦法およびチェチェン共和国諸法に従ってこれを定める。
3. 自発的社会保険加入、社会保障及び慈善の補完形態創設を奨励する。

第37条

1. 何人も住居を持つ権利を有す。何人も理由無くして住宅を奪われることがあってはならない。
2. 国権機関及び地方自治体は住宅建設を奨励し、住宅を持つ権利の実現するための条件を整備する。
3. 住宅を必要とするチェチェン共和国の貧困者及び他のチェチェン共和国法律に指定する者には法に定める基準に従って国家、地方公共団体その他の住宅基金から無償もしくは支払可能な金額で住宅を提供する。

第38条

1. 何人も健康を維持し、医療を受ける権利を有す。国家及び地方公共団体の医療機関はそれぞれの予算、保険料収入、その他の収入を使い、国民に無料で医療を提供する。
2. チェチェン共和国は共和国健康維持強化プログラムに資金を提供し、国家、地方自治体、個人の健康増進制度発展対策に取り組み、人の健康強化、体育及びスポーツの発展、環境及び衛生防疫の改善に資する活動を奨励する。
3. 公務員が人々の生命と健康に脅威を与える事実を秘匿した場合、連邦法に従って責任を問われる。

第39条

何人も良好な環境、環境の現状に関する信頼に足る情報、環境に関する違法行為により健康と財産に与えた損害の賠償を受ける権利を有す。

第40条

1. 国民は等しく教育を受ける権利を有す。
2. 国家及び地方公共団体の教育機関による就学前の教育、初等一般教育、中等職業教育は何人も等しくこれを受けることができ、無償であることを保証する。
3. 何人も競争試験により無償で国家及び地方公共団体の教育機関による高等教育を受ける権利を有す。
4. 初等普通教育は義務教育とする。両親又はこれに代るものは児童に初等一般教育を受けさせねばならない。
5. チェチェン共和国は共和国の権限の範囲内で教育分野の諸問題を裁量する。

第41条

1. 文学、芸術、科学、技術及びその他の創作並びにその教授の自由を遍く保証する。知的所有権は法によりこれを保護する。
2. 何人も文化生活に参加し、文化施設を利用し、文化的価値に接する権利を有す。
3. 何人も歴史及び文化の遺産を保護し、歴史的、文化的遺跡を護る義務を負う。

第42条

何人も法で禁止されていないあらゆる手段を用いて自らの権利と自由を護る権利を有す。

第43条

1. 何人もその権利と自由は裁判に於いて保護されることを保証する。
2. 国権機関、地方自治体、社会的連合組織及び公務員の決定及び行為(又は無為)に対し裁判所において異議を申立てることができる。

第44条

1. 何人も法により管轄権を付与された裁判所及び裁判官により自らの事案を審理される権利を奪われることはない。
2. 刑事被告人は連邦法で定める場合陪審員が出席する裁判所において自らの事件を審理される権利を有す。

第45条

1. 何人も有資格者による法的支援を受ける権利を保障する。法に定める場合、法的支援は無償で行われる。
2. 逮捕され、監視下に監禁されたもの、被告人は誰でも逮捕、監視下の監禁、起訴状提示の瞬間から弁護士(擁護者)の支援を仰ぐ権利を有す。

第46条

1. 刑事被告人は誰でも連邦法に定める手続で有罪が証明され、裁判所の判決が発効してその有罪が確定するまでは無罪の取扱いとする。
2. 被告人に無罪を証明する義務はない。
3. 有罪であることに対する疑いが残る場合、このことは被告人に有利な材料として取り扱う。

第47条

1. 同一の犯罪について重ねて責任を問われることはない。
2. 裁判の実施に際し、連邦法に違反する方法で入手した証拠を使用することは許されない。
3. 有罪の判決を受けた者は連邦法に定める手続により上級裁判所に再審を請求し、もしくは赦免又は減刑を請願する権利を有す。

第48条

何人も自分自身、配偶者、近親者、法に定めるその他の関係者に不利な証言を強制されてはならない。

第49条

犯罪及び権力乱用の被害者の権利は法律をもってこれを擁護する。チェチェン共和国は被害者に裁判を受ける権利と蒙った被害の賠償を保証する。

第50条

何人もチェチェン共和国国権機関又はその公務員の不法行為(無為)に起因する被害につき、法に定める手続により賠償を受ける権利を有す。

第51条

1. 責任を定め、もしくはこれを重くする法律は遡及力をもたない。
2. 何人も実行のときにロシア連邦法制で犯罪と認められなかった行為に対し責任を問われてはならない。犯行の後にその責任を免除もしくは軽減する新しい法律が施行された場合、新しい法律が適用される。

第52条

1. チェチェン共和国憲法に列記する権利及び自由は一般に人及び国民に認められた他の権利及び自由の否定もしくは軽視と解釈してはならない。
2. チェチェン共和国においては人及び国民の権利及び自由を否定し、もしくは軽視する法律を公布してはならない。
3. 人及び国民の権利と自由はロシア連邦の立憲体制の基盤、道徳律、健康、他者の権利と合法的な利益、国防の保持及びロシア連邦の安全を確保するに必要な程度において、連邦法によりこれを制限することができる。

第53条

1. 非常事態下において国民の安全確保及び立憲体制擁護のため、連邦憲法法に従い、その範囲と効力継続期間を示した上で、権利と自由に個別の制限を定めることができる。
2. チェチェン共和国領土及びその個別の地域ににおいて連邦憲法法に定める事態が出来した場合、その定める手続により非常事態を制定することができる。

第54条

何人も法に定める税金及び賦課金を支払う義務を有す。 新税を制定し、もしくは納税者の事情を悪化させる法律は遡及力を持たない。

第55条

何人も自然と環境を保全し、自然の恵みを大事にする義務を負う。

第56条

チェチェン共和国国民は連邦法により兵役に服する。連邦法に定める場合兵役に替えて代替民間任務につく権利を有す。

第57条

国民は、法に他の定めがない限り、18歳より独立して自らの権利と義務を全面的に行使することができる。

第3章
チェチェン共和国の国家体制

第58条

チェチェン共和国とロシア連邦の関係はロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、並びに連邦法に従ってチェチェン共和国国権機関とロシア連邦国権機関が締結した権能と権限の区分に係わる条約、チェチェン共和国行政機関と連邦行政機関の一部権限行使の相互委譲に係わる協定に定めるところである。

第59条

1. チェチェン共和国の地位はロシア連邦憲法及びチェチェン共和国憲法に定める。 チェチェン共和国の地位を同共和国の同意なしに変更することはできない。
2. チェチェン共和国と他のロシア連邦行政主体との境界線は双方の合意によってのみこれを変更することができる。
3. チェチェン共和国と外国との境界線はロシア連邦の境界線であり、その地位は連邦法によって定める。
4. チェチェン共和国の行政地域制度とその変更、並びにチェチェン共和国首都の地位は共和国諸法に定める。
5. チェチェン共和国の構成は:
全共和国的重要性を持つ都市は:グロズヌイ、アルグン、グデルメスである。
行政区は:アチホイ−マルタノフスキー、ベデンスキー、ガランチョジスキー、グデルメッスキー、イトゥム−カリンスキー、クルチャロエフスキー、ナドテレチヌイ、ナウルスキー、ノジャイ−ユルトフスキー、スタロ−ユルトフスキー、スンジェンスキー、ウルス−マルタノフスキー、チェレブロエフスキー、シャリンスキー、シャロイスキー、シャトイスキー、シェルコフスコイである。
チェチェン共和国の首都はグロズヌイ市とする。

第60条

下記各項の権能はロシア連邦とチェチェン共和国の共同行使に属する:
a) チェチェン共和国憲法及び共和国諸法のロシア連邦憲法及び連邦諸法との整合性確保;
b) 人と国民の権利と自由の擁護;少数民族の権利の確保、合法性、法秩序、公共の安全確保;
c) 土地、地下、水等の天然資源の所有、利用、処分の諸問題;
d) 国家所有の区分;
e) 自然の利用;環境保護と自然環境の安全確保;特別自然保護地域;歴史遺産と文化遺産の保護;
f) 保育、教育、科学、文化、体育、スポーツにかかわる共通の問題;
g) 健康に係わる諸問題の調整;家族、母性、父性、児童の保護;社会保障を含む社会福祉; h) 事故、自然災害、疫病対策とその後遺症の払拭;
i) ロシア連邦における課税と徴税の一般原則確立;
j) 行政法、行政訴訟法、労働法、家族法、住居法、土地法、水利法、森林法、地殻及び環境保護にかかわる法制;
k) 裁判及び司法機関の人事;弁護士会、公証機関;
l) 少数民族社会の古くからの居住環境及び伝統的生活様式の保護;
m) 国権機関及び地方自治体制度構築の一般原則の確立;
n) チェチェン共和国の国際関係及び貿易の調整、ロシア連邦の国際条約遂行。

第61条

下記各項はチェチェン共和国の権能に属す:
a) チェチェン共和国憲法の採択、その改正と追加;
b) チェチェン共和国の権利と合法的利益の保護、その憲法及び諸法遵守の監視;
c) チェチェン共和国の法制;
d) チェチェン共和国国権機関体制確立、その組織・活動規則の整備;
e) チェチェン共和国地方自治体の組織及び行動基準の独自性確立;
f) チェチェン共和国の行政地域制度;
g) 社会−経済政策の策定と施行、チェチェン共和国予算の採択と実行監視;
h) 共和国租税及び賦課金の決定、各都市、地域、集落開発の共和国基金その他の予算外基金創設;
i) 共和国資産の諸問題とその処分手続の決定;
j) 共和国が所有するエネルギー等のライフライン・システム、チェチェン共和国の輸送、情報、通信
k) 連邦法制により与えられた権限の範囲内で行うチェチェン共和国の国際関係及び貿易;
l) チェチェン共和国の国家褒章及び称号、国の象徴;
m) 他のロシア連邦行政主体との合同による地域及び地域間連合、同盟形成の諸問題、協力と地域の全面的発展を目的とするそれら諸地域との条約締結;
n) チェチェン共和国の社会−経済発展計画;
o) チェチェン共和国に帰還した強制移住者の環境整備と社会的適応;
p) チェチェン共和国憲法裁判所の組織及び活動規則の制定。

第62条

チェチェン共和国の国旗、国章、国歌、その詳細と正式使用の規則は共和国の法律に定める。

第4章
チェチェン共和国大統領

第63条

チェチェン共和国大統領はチェチェン共和国最高の公務員にしてチェチェン共和国行政を統括する。

第64条

1. チェチェン共和国大統領就任に際しては多民族よりなるチェチェン共和国国民に対し次の誓約を行う:
「チェチェン共和国大統領の権限を行使するに当たり、人と国民の権利と自由を尊重し、多民族よりなるチェチェン共和国国民の権利を擁護し、忠実に国民に奉仕し、チェチェン共和国憲法並びに共和国諸法を遵守し、これを擁護することを誓約する。」
2. 誓約はチェチェン共和国立法府両院合同会議において、チェチェン共和国政府関係者、チェチェン共和国憲法裁判所裁判官、各政党、会派、社会運動代表者出席のもと、式典としてこれを行う。

第65条

チェチェン共和国大統領は、平等な直接普通選挙権に基づき、当日18歳に達し、連邦法に照らして選挙権を持つチェチェン共和国国民が無記名投票で選挙する。

第66条

チェチェン共和国大統領になることができるのは30歳以上のロシア連邦国民である。

第67条

1. チェチェン共和国大統領は4年の任期を持って選挙するが、2期連続して選ぶことはできない。
2. 連邦諸法及び本憲法に従って選挙されたチェチェン共和国大統領は前回の選挙で選ばれたチェチェン共和国大統領の就任より4年間の任期が満了した日就任する。期前に選挙を行った場合、並びに前回の選挙で選ばれたチェチェン共和国大統領就任日から4年の任期が満了する日に近くにチェチェン共和国大統領の再選挙日を指定した場合、就任はチェチェン共和国選挙管理委員会が大統領選挙の結果を公式に発表した日から30日後とする。

第68条

チェチェン共和国大統領選挙が成立せず、あるいは無効であると認められた場合、もしくは立候補者のいずれもが選出されなかった場合、新たに選出された大統領が就任するまでの期間、一時的にチェチェン共和国政府議長が大統領の任務を代行する。この場合前回の選挙結果公表より6ヶ月以内に再選挙を行うものとする。

第69条

チェチェン共和国大統領はチェチェン共和国立法府議員、地方自治体代表機関の議員を兼務することはできず、またロシア連邦の法制に他の規定がない限り、教職、科学その他の創造的活動を除く有給の職につくことはできない。

第70条

1. チェチェン共和国大統領はチェチェン共和国の社会−経済発展分野並びに財政、科学、教育、保険、社会保障、環境部門に於いて直接又はチェチェン共和国行政府を通じて統一国家政策を実施する。
2. チェチェン共和国大統領は:
a) 連邦国権機関、ロシア連邦の各行政主体の国権機関、地方自治体との関係において、また貿易及び国際関係においてチェチェン共和国を代表する;
b) チェチェン共和国諸法に署名し、これを公表し、もしくはチェチェン共和国立法府が採択した法律を却下し、チェチェン共和国を代表して条約及び協定に署名する;
c) ロシア連邦が採択の権限をもつ法案をロシア連邦大統領、ロシア連邦政府、その他のロシア連邦国権機関に提起する;
d) 人民会議の同意を得てチェチェン共和国政府議長、その代理、財政、経済、産業、農業分野の大臣を任命し、また解任する;共和国の法律に従ってその他の大臣及び他の行政機関の長を任命し、また解任する;
e) チェチェン共和国政府議長の提案によりチェチェン共和国政府を形成する;
f) 共和国議会に対しチェチェン共和国憲法裁判所議長及び副議長の候補者を提出し、チェチェン共和国調停判事候補者を合意する;
g) チェチェン共和国立法府が、ロシア連邦が権能を持つ事案及びロシア連邦とチェチェン共和国が共同で権能を持つ事案に関し、ロシア連邦憲法、連邦諸法に矛盾する法律又はその他の規範的法令を採択し、その矛盾をしかるべき裁判所が裁定したにもかかわらず、チェチェン共和国立法府が裁判所の裁定発効後6ヶ月以内にこれを棄却しない場合、任期満了以前にチェチェン共和国立法府の権限停止(立法府解散)の決定を下す;
h) チェチェン共和国立法府(立法府議院)の権限を任期満了前に停止した場合、チェチェン共和国立法府(立法府議院)の臨時選挙日を指定する;
i) 法案発議権をもつ;
j)チェチェン共和国立法府に対し(両院総会に於いて)少なくとも年に一度報告を行い、チェチェン共和国国民及び立法府に対し教書を読む;
k) 共和国議会に対しチェチェン共和国国立銀行総裁の候補者を提出する;共和国議会に対しチェチェン共和国国立銀行総裁の解任を提案する;
l) チェチェン共和国検事の候補者を合意する;
ロシア連邦検事総長の推薦を受け、チェチェン共和国立法府に対しチェチェン共和国検事候補を推薦し、その任命に対しロシア連邦検事総長の承認を受ける;
m) チェチェン共和国選挙管理委員会委員の半数を任命する;
n) チェチェン共和国立法府両院の臨時会議召集を要求し、またチェチェン共和国憲法に定める期日前に新たに選ばれたチェチェン共和国立法府議院を召集する権利を有す;
o) チェチェン共和国立法府議院の審議に審議権を持って参加する権利を有す;
p) 大統領府を形成し、その長を任命する;
q) 大統領在任期間中チェチェン共和国行政府からロシア連邦議会連邦協議会に派遣する代表を任命する;チェチェン共和国立法府に派遣するチェチェン共和国大統領全権代表を任命し、また解任する;
r) チェチェン共和国行政府の規範的法令等の法令がチェチェン共和国憲法に矛盾する場合、その効力を停止させ、あるいはこれを廃止する。
s) チェチェン共和国国家褒章を授与し、定められた手続によりロシア連邦の国家褒章授与を申請する;
t) 連邦法およびチェチェン共和国憲法に従ってその他の権限を行使する。
2. チェチェン共和国大統領は大統領令及び大統領布告を公布する。
3. チェチェン共和国大統領令及び大統領布告はチェチェン共和国全土で強制力を持つ。

第71条

チェチェン共和国大統領は自らの権限を行使するに当たってロシア連邦法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、共和国諸法を遵守し、またロシア連邦大統領令、大統領布告、ロシア連邦政府決議及び布告を執行する義務を負う。

第72条

下記の場合チェチェン共和国大統領の権限は任期満了を待たず停止する: a) 大統領の死亡;
b) チェチェン共和国立法府の不信任による退任;
c) 個人の意思による退任;
d) ロシア連邦大統領による解任;
e) 裁判所による責任能力否定もしくは限定の判定;
f) 裁判所による所在不明もしくは死亡の判定;
g) 裁判所の有罪判決の発効;
h) ロシア連邦外への居住地の移動、ロシア連邦国籍の喪失。

第73条

チェチェン共和国立法府は下記の場合チェチェン共和国大統領への不信任を表明する権利を有す:
a) チェチェン共和国大統領がロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法に矛盾する法令を発布し、しかるべき裁判所がその矛盾を立証したにもかかわらず、裁判所の決定発効より1ヶ月以内にその矛盾を排除しない場合;
b) ロシア連邦憲法、連邦諸法、ロシア連邦大統領令、ロシア連邦政府決議、チェチェン共和国憲法、連邦諸法に対してその他の重大な違反を犯し、これが国民の権利と自由を大幅に侵害する結果となった場合。

第74条

チェチェン共和国大統領に対するチェチェン共和国立法府の不信任決議は人民会議定数の三分の一以上の発案により、両院とも定数の三分の二の賛成で可決する。

第75条

1. チェチェン共和国立法府がチェチェン共和国大統領不信任決議を可決した場合、チェチェン共和国大統領とチェチェン共和国政府はただちに退任する。
2. ロシア連邦大統領がチェチェン共和国大統領を解任した場合、チェチェン共和国大統領は退任する。

第76条

チェチェン共和国大統領が職務を遂行できないときはいかなる場合でもチェチェン共和国政府議長が一時的にその職を代行する。

第77条

1. 任期満了前にチェチェン共和国大統領の権限を停止する場合、チェチェン共和国政府議長は一時的にチェチェン共和国大統領の職を代行し、チェチェン共和国大統領の臨時選挙を取決める。選挙は連邦法に定める期間にこれを指定し、実行する。
2. チェチェン共和国大統領の職務を代行するチェチェン共和国政府議長はチェチェン共和国立法府を解散し、もしくはチェチェン共和国憲法の改正及び見直しを提起する権利を有しない。

第5章
チェチェン共和国立法府

第78条

1. チェチェン共和国立法府は常設で、チェチェン共和国に於いて唯一にして最高の立法(代議)国権機関である。
2. チェチェン共和国立法府は共和国会議と人民会議の二院で構成する。

第79条

1. 共和国会議は一人区より直接選挙権により無記名投票で選出された共和国各地域行政単位(全共和国的重要性を持つ都市、行政区)を代表する21名の議員で構成する。
2. 人民会議は直接選挙権により無記名投票で選出された40名の議員で構成する。
3. チェチェン共和国立法府議員の地位、チェチェン去和国立法府議員選挙の準備と実施は連邦諸法、本憲法、共和国諸法により規制する。

第80条

1. チェチェン共和国立法府議員は連邦法により選挙権を付与されたチェチェン共和国国民が平等な直接普通選挙権に基づいて無記名投票により4年の任期をもって選出する。
2. チェチェン共和国立法府議員には選挙当日に21歳に達したロシア連邦国民にが立候補することができる。
3. チェチェン共和国立法府議員は、チェチェン共和国の法律に従い、職業として永続的にこれに従事し、もしくは一定期間、あるいは本業を中断せずにこれを行うことができる。
4. 連邦法に他の規定がない限り、チェチェン共和国立法府議員はその任期中ロシア連邦連邦会議下院議員、裁判官を兼務することはできず、ロシア連邦のその他の国家公務員の職、連邦国家機構の国家公務員の職、その他のチェチェン共和国国家公務員の職もしくはチェチェン共和国国家機構の国家公務員の職、さらに選挙による地方公共団体公務員の職、地方公共団体機構公務員の職を代行することはできない。
5. チェチェン共和国立法府議員の仕事を職業として永続的に行う場合、ロシア連邦の法制に他の規定がない限り、教職、科学その他の創造的活動を除く有給の職につくことはできない。
6. チェチェン共和国立法府議員は議員の権限行使にかかわらない活動に自らの地位を利用する権利を有しない。
7. チェチェン共和国立法府議員はその任期中連邦法に従い不可侵性を得る。

第81条

チェチェン共和国立法府議員は民事又は刑事事件に関し、自らの権限行使に関連して知るに到った状況の証言を拒否する権利を有す。

第82条

1. 立法府両院のいずれも議員定数の三分の二以上の議員が選出されていればチェチェン共和国立法府は議決権を得る。両院のうち片方のみに議員定数の三分の二の議員が選出されていれば、その議院のみ、その専権事項に係わる部分につき議決権を得る。
2. チェチェン共和国立法府両院は個別に会議を行う。
その会議は公開とする。ただし、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、並びにチェチェン共和国立法府規則に定める場合は例外とする。
3. チェチェン共和国選挙管理委員会は選挙より15日以内にチェチェン共和国立法府第1回目の会議を招集する。
4. チェチェン共和国立法府両院の第1回目会議は最年長の代議員が開会を宣し、それぞれの議院の議長選出まで議事を進行する。
5. 新たに選出されたチェチェン共和国立法府(新たに選出された両院)が活動を開始した日からそれ以前に召集されたチェチェン共和国立法府(それぞれの議院)の権限は停止する。
6. チェチェン共和国立法府両院は法人格として印章をもち、独立して自院の活動の組織、法制面、情報、資材器具、財政の諸問題を解決する。
7. チェチェン共和国立法府両院の活動の経費はチェチェン共和国立法府で承認し、チェチェン共和国予算に独立した項目を設ける。

第83条

1. チェチェン共和国立法府は:
a) チェチェン去和国憲法議会に於いてチェチェン共和国憲法修正案を提案する;
b) チェチェン共和国が単独で行使すべき権能並びにロシア連邦とチェチェン共和国が共同で行使すべき権能のうちチェチェン共和国の権限が及ぶ部分につき立法による規制を行う;
c) チェチェン共和国予算執行監視のためチェチェン共和国会計検査院を組織する。その構成と活動の手順は共和国の法律に定める。
d) ロシア連邦議会下院に法案を提出するための発議権を行使する;
e) 連邦法に従って自らの任期中チェチェン共和国立法(代議)及び行政国権機関からロシア連邦議会上院に派遣する代表者を選出する;
f) ロシア連邦憲法、ロシア連邦行政主体の立法(代議)及び行政国権機関運営の一般原則にかかわる連邦法、チェチェン共和国憲法、共和国諸法に定めた権限を行使する。
2. 共和国会議は:
a) チェチェン共和国国立銀行議長を任命し、これを解任する;
b) チェチェン共和国大統領の推薦によりチェチェン共和国憲法裁判所裁判官、議長及び副議長、チェチェン共和国調停判事を任命する;
c) チェチェン共和国会計検査院副議長及び会計検査官の半数を任命し、これを解任する;
d) チェチェン共和国選挙管理委員会委員の四分の一を任命し、これを解任する;
e) チェチェン共和国検事候補を合議する;
f) 共和国の法律に定める場合チェチェン共和国国民投票を決定する;
g) チェチェン共和国立法府選挙日及びチェチェン共和国大統領選挙日を指定する。
3. 人民会議は:
a) チェチェン共和国政府議長、副議長並びに財務、経済、産業、農業の分野で権限を行使する大臣の任命につきチェチェン共和国大統領に同意を与える;
b) チェチェン共和国会計検査院議長並びに会計検査官の半数を任命し、これを解任する;
c) チェチェン共和国選挙管理委員会委員四分の一を任命し、これを解任する;
d) チェチェン共和国人権擁護代表を任命し、これを解任する。

第84条

チェチェン共和国法律により:
a) チェチェン共和国大統領が提出するチェチェン共和国予算及びその執行にかかわる決算を承認する;
b) チェチェン共和国憲法に従ってチェチェン共和国立法府両院の組織及び活動の根幹を定める;
c) チェチェン共和国領土にある地方自治体の選挙実施手順を定め、その活動の規則を決める;
d) チェチェン共和国大統領が提出するチェチェン共和国社会‐経済発展計画を承認する;
e) 連邦法によりチェチェン共和国に制定の権能が与えられている租税及び賦課金の制定とその徴収規則を定める;
f) チェチェン共和国国営予算外地域基金の予算及び決算報告を承認する;
g) チェチェン共和国資産につき、株式会社、パートナーシップ、その他の法的形態をもつ企業の定款資本中チェチェン共和国の持分(パイ、株式)等その運営及び処分規則を定める;
h) チェチェン共和国の条約締結及びその破棄を批准する;
i) チェチェン共和国の国民投票決定及び実施規則を制定する;
j) チェチェン共和国立法府両院及びチェチェン共和国大統領選挙実施規則を制定する;
k) チェチェン共和国行政地域制度及びその制度変更のための規則を制定する;
l) チェチェン共和国行政機関の体制及び各機関の組織構築の規則を制定する;
m) チェチェン共和国国境変更に関する協定を批准する;
n) チェチェン共和国人権擁護代表の地位、権限、任命と解任の手順、活動の規則を制定する;
o) ロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、共和国諸法によりチェチェン共和国の権能に係わるその他の諸問題の調整を行う。

第85条

チェチェン共和国大統領は立法府が定めるべき法規制に不備がある場合、これを補う法令を公布する権利を有す。但しこの場合大統領が公布する法令はロシア連邦憲法、連邦及び共和国諸法に矛盾せず、その効力の波及がしかるべき法律の採択までの期間に限定されることが不可欠である。

第86条

チェチェン共和国立法府両院はロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、共和国諸法の取扱いに係わる決議を採択する。

第87条

チェチェン共和国両院はチェチェン共和国憲法及び共和国諸法に定める範囲及び形式に於いて:
a) 他の担当機関と共にチェチェン共和国諸法の遵守と実施、チェチェン共和国予算の執行、チェチェン共和国資産処分について定めた規則の遵守を監視する;
b) 連邦諸法及びチェチェン共和国諸法に定めるその他の権限を行使する。

第88条

1. 人民会議における発議権はチェチェン共和国大統領、チェチェン共和国政府、共和国会議、共和国会議及び人民会議議員、地方自治体代表各機関がこれを保持する。
発議権はまたチェチェン共和国憲法裁判所、チェチェン共和国最高裁判所、チェチェン共和国仲裁裁判所、チェチェン共和国検事局、チェチェン共和国選挙管理委員会もそれぞれその所掌するところにつきこれを保持する。
2. 法案は人民会議に提出する。
チェチェン共和国大統領が人民会議に提出した法案は、大統領が優先審議を求めた場合、優先的に審議する。
3. 租税の新設及び廃止、その支払免除、チェチェン共和国の財政債務の変更にかかわる法案、チェチェン共和国予算に経費支出を必要とするその他の法案はチェチェン共和国大統領の提案により、もしくは大統領の意見書を付して人民会議で審議する。上記意見書は一ヶ月以内に人民会議に提出する。

第89条

1. チェチェン共和国憲法修正案はチェチェン共和国立法府両院各々の定数の三分の二以上の多数の賛成をもって採択する。
2. チェチェン共和国諸法は、本憲法に異なる定めがない限り、チェチェン共和国立法府両院各々の定数に対する多数の賛成をもって採択する。
3. チェチェン共和国立法府両院決議は、本憲法に異なる定めがない限り、立法府両院に選出された議員数に対する多数の賛成により採択する。
4. チェチェン共和国法律案は二回以上の読会により人民会議で審議する。(チェチェン共和国の条約批准(締結もしくは破棄)に係わる法案は例外とする。)審議の結論が法律の採択となったか、もしくは否決されたかについては人民会議決議を作成する。

第90条

1. 人民会議で採択されたチェチェン共和国諸法は5日以内に共和国会議に送り、14日間審議を行う。この期間内に審議が終了しなかったチェチェン共和国諸法は共和国会議がこれを了承したものとみなす。
2. 本憲法第84条a)、e)、f)、g)、h)、k)、m) 各項に定めた事項に係わるチェチェン共和国諸法は人民会議で採択の後共和国会議の審議を必要とする。
3. 共和国会議で否決された法律は再度人民会議で審議する。人民会議が共和国会議の決定に同意しない場合、再採決において人民会議議員定数の三分の二以上が賛成票を投ずれば法律は採択されたものとみなす。
4. 採択された法律は5日以内にチェチェン共和国大統領に送り、署名の上公表する。
チェチェン共和国大統領は法律受理より14暦日以内にこれを署名することにより公表の許可を与え、もしくはこの期限内にこれを拒否する。
チェチェン共和国大統領がチェチェン共和国法律を拒否した場合、チェチェン共和国立法府両院各々の三分の二以上の多数が賛成すれば、以前採択された内容のまま承認される。
5. チェチェン共和国大統領は以前採択された内容のまま承認されたチェチェン共和国法律を再度拒否することはできず、その法律の受理より14暦日以内にこれに署名の上公表しなくてはならない。
6. チェチェン共和国憲法及び共和国諸法、並びに規範的性格のチェチェン共和国立法府両院決議は公表の日から発効する。人及び国民の権利と自由にかかわるチェチェン共和国の法律及び他の規範的法令はその公表日より10日後以前に発効することはない。
チェチェン共和国の法律及びその他の規範的法令を公表する手順はチェチェン共和国法律に定める。
7. チェチェン共和国領土内においてはロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法及び諸法は国家がこれを擁護する。

第91条

1. チェチェン共和国立法府の権限は下記の場合期間満了を待たずに停止されることがある: a) 立法府自身による解散決議の採択、この場合解散決議はチェチェン共和国立法府両院各々の定数中三分の二以上の賛成により採択される;
b) 本憲法に定める根拠に基づくチェチェン共和国大統領による解散;
c) 議員権限剥奪等チェチェン共和国立法府における当該議員構成の適格性喪失に係わるチェチェン共和国最高裁判所決定の発効;
d) 立法府解散に関する連邦法の発効。
2. チェチェン共和国立法府議院の権限は、議員権限剥奪等チェチェン共和国立法府議院における当該議員構成の適格性喪失に係わるチェチェン共和国最高裁判所決定の発効により期間満了を待たず停止されることがある。
3. チェチェン共和国立法府 (立法府議院) の権限がその期限を待たず停止された場合、チェチェン共和国大統領はチェチェン共和国立法府 (立法府議院)の臨時選挙を指定する。上記の選挙は連邦法に定める期間内に指定し、実施する。

第6章
チェチェン共和国行政諸機関

第92条

1. チェチェン共和国政府は常設のチェチェン共和国最高国権行政機関である。
2. チェチェン共和国政府議長、副議長および大臣はチェチェン共和国政府の一員である。
3. チェチェン共和国政府はその領土内におけるロシア連邦憲法、連邦諸法、その他のロシア連邦の規範的法令、チェチェン共和国憲法、共和国諸法およびその他の規範的法令の執行を保障する。
4. チェチェン共和国政府は法人格とし、紋章を持つ。
5. チェチェン共和国政府および政府が主催するチェチェン共和国行政諸機関の財政は本憲法の他の条項に定めるチェチェン共和国予算より支出する。

第93条

1. チェチェン共和国政府はチェチェン共和国の社会‐経済総合的発展対策を立案実施し、財政、科学、教育、保健、社会保障、環境各分野における統一国家政策施行に参加する。 2. チェチェン共和国政府は:
a) 権限の範囲内で人と国民の権利と自由の擁護、財産と社会秩序の保護、犯罪防止の対策を実行する;
b) チェチェン共和国大統領が人民会議に提出するチェチェン共和国予算案、並びにチェチェン共和国社会経済発展計画案を作成する;
c) チェチェン共和国予算執行を保障し、チェチェン共和国大統領がチェチェン共和国人民会議に提出する予算執行報告書およびチェチェン共和国社会経済発展計画執行報告書を作成する; d) チェチェン共和国のその他の行政機関を設立する;
e) チェチェン共和国諸法に従ってチェチェン共和国資産の運営及び処分を行い、また連邦諸法及びその他のロシア連邦の規範的法令に従ってチェチェン共和国に移管された連邦資産の運営及び処分を行う;
f) 地方自治体、選挙によって選ばれた、もしくはその他の地方自治体公務員が公布した法令がロシア連邦憲法、連邦諸法、その他のロシア連邦の規範的法令、チェチェン共和国憲法、共和国諸法及びその他の規範的法令に矛盾する場合、その地方自治体又は選挙によって選ばれた、もしくはその他の地方自治体公務員に対し、公布した法令をロシア連邦法制にあわせて改正するよう提案し、またこれを裁判所に提起する権利を有す;
g) 連邦法に従って連邦行政機関との間で権能権限対象の区分に関する協定並びに自らの権限行使の一部引渡しに関する協定を締結する:
h) 連邦法、チェチェン共和国憲法並びにロシア連邦憲法78条に定める連邦行政諸機関との協定に従いその他の権限を行使する。

第94条

1. チェチェン共和国政府に与えられた権限の範囲内で採択したその法令 (決議及び命令) はチェチェン共和国内に於いて強制力を持つ。
2.チェチェン共和国政府の法令はロシア連邦憲法、ロシア連邦の権能に属する事項及びロシア連邦とチェチェン共和国共同権能に属する事項に関して採択された連邦諸法、ロシア連邦大統領令、ロシア連邦政府決議、チェチェン共和国憲法、共和国諸法、チェチェン共和国大統領令に矛盾してはならない。

第95条

チェチェン共和国大統領が新たに選出された場合、チェチェン共和国政府は全権を奉還し、チェチェン共和国政府がチェチェン共和国大統領不信任を採択し、もしくはチェチェン共和国大統領を解任した場合、チェチェン共和国政府はロシア連邦大統領の決定により辞職する。
本憲法に定めるチェチェン共和国政府の総辞職(全権奉還)に当たっては、政府はチェチェン共和国新政府が発足するまでその活動を継続する。

第7章
裁判所、検事局、弁護士会、公証機関

1. チェチェン共和国において裁判は裁判所のみがこれを行う。非常裁判所及び連邦憲法法に定めのない裁判所を設立することは許されない。
2. 裁判権は憲法裁判、民事裁判、行政裁判、刑事裁判の手続を経て行使する。
3. チェチェン共和国領土においてはチェチェン共和国憲法裁判所、調停判事、並びに連邦裁判所:チェチェン共和国最高裁判所、チェチェン共和国仲裁裁判所、地方裁判所及び特殊裁判所が設置されている。
4. その他のいかなる機関、公務員もしくはその他の者も裁判の権能を私する権利を有しない。

第97条

1. 裁判官はロシア連邦憲法及び法律により裁判を行う権限を付与され、職業としてその職務を行う者である。
2. 裁判官は全て連邦憲法法及び連邦法に定める共通の地位を持つ。裁判官の範疇による法的地位の区分は連邦法に定め、また連邦法にその旨記載がある場合、チェチェン共和国諸法にもこれを定める。
3. 連邦諸法によりチェチェン共和国憲法裁判所およびチェチェン共和国調停判事の追加要件を定めることもある。

第98条

1. 裁判官は独立の存在であり、ロシア連邦憲法及び連邦法のみに拘束され、またチェチェン共和国憲法、共和国諸法に従う。
2. 裁判官は罷免されず、連邦法に定める手続で任命され、調停判事はチェチェン共和国法律により任命(選挙)される。裁判官の権限は連邦法に定める手続並びに根拠によらずして停止もしくは中断されることはない。
3. 裁判官は不可侵であり、連邦法に定める手続を経ずして刑事責任に問われることはない。

第99条

1. 裁判所における審理は公開とする。非公開の法廷における審理は連邦法に定める場合のみ許される。訴訟は両者の平等を原則として弁論により行われる。
2. チェチェン共和国において訴訟はロシア語で行う。訴訟の言語を知らない訴訟当事者には通訳を帯同して裁判書類を読み、訴訟行為に参加する権利が与えられ、また自国語で陳述を行う権利を有す。

第100条

1. チェチェン共和国憲法裁判所はチェチェン共和国諸法、チェチェン共和国立法府、チェチェン共和国大統領、チェチェン共和国政府、その他のチェチェン共和国行政機関、チェチェン共和国地方自治体の規範的法令のチェチェン共和国憲法に対する適合性を審査することを目的とする。 2. チェチェン共和国憲法裁判所は:
a) チェチェン共和国国権諸機関間並びにチェチェン共和国国権機関と地方自治体との間の論争を解決する;
b) チェチェン共和国国民投票に付される案件のチェチェン共和国憲法との適合性を決定する; c) チェチェン共和国大統領及びチェチェン共和国立法府両院の諮問に答え、チェチェン共和国憲法の解釈を下す。
3. チェチェン共和国憲法裁判所の費用は共和国予算から支出する。
4. チェチェン共和国憲法裁判所はチェチェン共和国法律に定める手続によりその権限に委ねられる案件を審理する。
5. チェチェン共和国憲法裁判所がその権限の範囲内で下した決定を他の裁判所で再審理することはない。
6. チェチェン共和国憲法裁判所議長、副議長、その他の裁判官の間での権限の配分は連邦諸法及びチェチェン共和国法律に定める。

第101条

1. 調停判事はチェチェン共和国の一般司法裁判官であり、ロシア連邦統一裁判機構に属す。調停判事の権限、執務規則、調停判事職創設規則は連邦法に定め、職務規則はまたチェチェン共和国諸法にも定める。
2. 調停判事はその権限の範囲内において第一審裁判所の資格で民事、行政、刑事の事案を審理する。
3. 調停判事職及びその管轄区はチェチェン共和国諸法によりこれを創設し、また廃止する。

第102条

チェチェン共和国領土内における連邦裁判所の権限、設立手続、業務はロシア連邦憲法、連邦憲法法その他の連邦法に定める。

第103条

1. チェチェン共和国検察庁はロシア連邦検察庁集中統一機構に属し、下位検事は上位検事及びロシア連邦検事総長の指揮下に入る。
2. 検察庁諸機関の業務に係わる権限、組織、手続は連邦法に定める。

第104条

1. チェチェン共和国検事はロシア連邦検事総長がチェチェン共和国大統領及び共和国議会と合意の上任命し、ロシア連邦検事総長が解任する。
チェチェン共和国のその他の検事はロシア連邦検事総長が任命し、解任する。
2. チェチェン共和国検事、各地区、市の検事はいかなるチェチェン共和国国権機関、地方自治体諸機関、それらの公務員からも独立して権限を行使する。

第105条

チェチェン共和国における弁護士会は弁護を任とする独立した職業的共同体である。弁護士会の組織、執務規則は連邦法およびチェチェン共和国法に規定する。

第106条

チェチェン共和国における公証機関はロシア連邦憲法、チェチェン共和国憲法に従い、ロシア連邦の名において公証行為を行うことによって国民及び法人の権利と法的利益を擁護することを目的とする。公証機関の組織および執務規則は連邦法およびチェチェン共和国法に定める。

第8章
地方自治

第107条

1. チェチェン共和国においては地方自治により地方独自の問題、地方の財産の所有、利用、処分は住民の自発的決定に任せる。地方自治体の構造は住民が法に従って決定する。 2. 地方自治を行使する版図の境界線変更はそれぞれの版図に居住する住民の意見を勘案して許可する。

第109条

1. チェチェン共和国の地方自治体設立手順及びその活動の運営は地方自治体運営一般原則に関する連邦法、チェチェン共和国地方自治体法、地方行政主体の憲章に定める。
2. グローズヌイ市における地方自治諸機関の設立についてはその独自性を共和国諸法に定めることができる。

第110条

1. 地方自治体は独自にその資産を運用し、地方予算を作成、承認、執行し、租税及び賦課金を設け、社会秩序を維持し、その他その地方独自の問題を解決する。
2. 地方自治体はチェチェン共和国の法律により国からその権限の一部を分与され、その行使に必要な資機材及び資金の引渡しを受けることができる。分与された権限の行使については国権機関の監督を受ける。

第111条

地方自治は裁判所の保護を受ける権利、国権機関の決定によって発生した追加経費の補償を受ける権利、ロシア連邦憲法、連邦諸法、チェチェン共和国憲法、共和国諸法に定める地方自治権に対する制限の禁止により保障する。

第9章 憲法の修正と憲法見直し

第112条

1. チェチェン共和国憲法はチェチェン共和国国民投票により採択する。
2. チェチェン共和国憲法条文の修正及び見直しはチェチェン共和国大統領、チェチェン共和国立法府がチェチェン共和国憲法会議に対しこれを提案することができる。
チェチェン共和国憲法会議にチェチェン共和国憲法条文の修正及び(又は)見直しを提案するための手続並びにチェチェン共和国憲法会議の地位、設立の手続、活動はチェチェン共和国法律に定める。
3. チェチェン共和国憲法会議はロシア連邦憲法に矛盾し、国民及び人の権利と自由を侵害し、チェチェン共和国で行われている共和国形態の統治及び立憲体制の根幹に違背する憲法条文の修正案及び見直し案を受理し、また国民投票に付することはできない。
4. チェチェン共和国憲法会議は共和国法に定める手続によりチェチェン共和国憲法第4-7章の修正を採択する権利を有す。上記修正はチェチェン共和国憲法会議において少なくともその総定数の三分の二の賛成を持って採択する。
5. チェチェン共和国憲法の条文の修正及び(又は)見直しの提案は、チェチェン共和国憲法会議定数の三分の二以上がこれを国民投票に付すことに賛成ならば、共和国国民投票に付す。
6. チェチェン共和国の地域行政単位の名称変更に際しては、その新名称はチェチェン共和国大統領令によりチェチェン共和国憲法に記載する。

第2部 補則及び経過規定 1. チェチェン共和国憲法はそのチェチェン共和国国民投票の結果を公表した日から発効する。 発効日より1年間はチェチェン共和国憲法を修正することはできない。
2. チェチェン共和国行政府の長はチェチェン共和国憲法発効日より選挙で選ばれたチェチェン共和国大統領が就任するまでチェチェン共和国憲法に定めるチェチェン共和国大統領の権限を代行する。
チェチェン共和国大統領代行は人民会議選出までの間、並びにチェチェン共和国大統領選出後チェチェン共和国政府議長を任命し、またこれを解任する。
3. チェチェン共和国立法府がしかるべきチェチェン共和国諸法採択までの間チェチェン共和国国権諸機関は連邦法制及び共和国の権限の範囲内で国権機関が公布するチェチェン共和国大統領代行者の法令に従い、選挙後はチェチェン共和国大統領の法令に従う。
共和国予算及び行政地域制度等法規制を必要とする案件に関しては、チェチェン共和国立法府選出までの期間においてはチェチェン共和国大統領代行者の、選挙後はチェチェン共和国大統領の公布する法令はチェチェン共和国国家会議の審議を受けなくてはならない。上記の法令はチェチェン共和国国家会議の承認を得てはじめて効力を得る。国家会議はまたチェチェン共和国諸法案を作成及び(又は)審議し、定められた手続によりこれをチェチェン共和国人民会議での審議に付す。
国家会議にはグローズヌイ市、アルグン市、グデルメス市、共和国各地区の長、ならびに地域住民の集会で選ばれた上記地域行政組織の代表者各1名が国家会議議員として参加する。
国家会議議員はロシア連邦連邦議会連邦協議会代表としての権限終了までを任期として選挙する。
国家会議はチェチェン共和国立法府両院の始動と同時にその任期を終了する。
4. チェチェン共和国において地方自治に関する諸法採択並びにこれら諸法に基づく地方自治体発足までの期間、各地方行政組織の権限はチェチェン共和国大統領代行者が発足させ、後にチェチェン共和国大統領が選んだチェチェン共和国各行政区および各集落がこれを行使する。
上記行政組織は当該行政区各集落の住民集会の決定に基づき、チェチェン共和国領土にある地域裁判所陪審員の名簿を作成する。チェチェン共和国大統領代行者、あるいは選挙後は大統領本人が国家会議の提出する地域人民裁判所陪審員名簿を承認する。共和国会議議員選挙後は共和国会議がこの名簿を提出する。
5. チェチェン共和国選挙管理委員会はチェチェン共和国憲法にかかわる国民投票実施日の委員構成のまま任期満了まで権限を行使する。
6. チェチェン共和国憲法は連邦諸法及びこれに従ったロシア連邦大統領令に基づいて採択する。
7. チェチェン共和国大統領選挙は本憲法採択より6ヶ月以上の期間をおいて実施する。
8. チェチェン共和国立法府の第一回目の議員選挙はチェチェン共和国大統領選挙より3ヶ月以上の期間をおいて実施する。
9. チェチェン共和国大統領及びチェチェン共和国立法府両院の第一回目の議員の選挙は連邦法およびロシア連邦大統領令、並びにチェチェン共和国憲法にかかわる投票と同時にチェチェン共和国国民投票で採択されたチェチェン共和国諸法に基づいて実施する。
チェチェン共和国憲法にかかわる投票と同時に行われるチェチェン共和国国民投票で採択された諸法の修正はチェチェン共和国諸法の変更と同様の手続を要す。
10. 連邦諸法及び本憲法に従って最初に選ばれたチェチェン共和国大統領はチェチェン共和国選挙管理員会がチェチェン共和国大統領選挙の総合的結果を公表した日から10日目に就任する。

仮訳:今西昌幸