反占領・平和レポート NO.51 (2006/11/6)
Anti-Occupation Pro-Peace Report No.51

再びガザが危機的状況に
イスラエルは攻囲・封鎖を解け!軍事攻撃を止めよ!
−−イスラエルの平和団体が国際行動を提起−−

◎米国・EUは不当な制裁を解除せよ!
◎パレスチナ人の民主的に選ばれた政府を認めよ!


Gaza in humanitarian crisis
Stop the Siege! Stop the War!


■ガザの攻囲・封鎖とイスラエル軍による攻撃が続いている
 11月1日からイスラエル軍は、また新たなガザ侵攻を開始しました。5日までの死者は48人にのぼっています。3日(金)には、イスラエル軍に包囲されたモスクへ「人間の盾」として入ろうとした女性たちにイスラエル軍が発砲し、2人が殺され多数が負傷しました。まさに常軌を逸した殺戮が行なわれています。パレスチナ自治政府アッバス議長は、国連安保理に介入を要請しました。
※このときの模様は『ナブルス通信』が詳しく伝えています。http://0000000000.net/p-navi/info/news/200611042313.htm

■「国際社会」による不当な制裁によって人道的危機が差し迫っている
 パレスチナ自治政府の主要な財源は、欧米からの支援とイスラエルが代理徴収して自治政府に移送する関税等の税収入との2つですが、それがともに止められています。特に、イスラエルによる税の送金停止は、窃盗行為であり、それはもう5億ドル近くにものぼっています。
 現在ガザ地区の失業は40%にのぼり、80%近くの世帯が貧困ライン以下の生活になっている模様です。イスラエルはガザ地区を完全封鎖し、物流もストップしています。発電施設が破壊され、電気と水の不足が深刻化しています。
 そのような状況の下で、絶え間なくイスラエル軍が空から爆撃し、地上から海から砲撃し、家屋を破壊し、果樹園や畑を破壊し続けているのです。

■11月中のキャンペーンと12月2日の世界中でのデモンストレーションの提起
 イスラエルの平和運動諸組織諸団体が「女性連合」の呼びかけに結集する形で、全世界的なキャンペーンを開始しました。12月2日にイスラエルと全世界で同時に大規模な抗議のデモンストレーションを行うことを提起し、それまでの1ヶ月の間、さまざまな活動を展開するよう全世界に要請しています。
 11月初めに届いた「女性連合」のギラ・スヴィルスキーさんからの呼びかけのメールを、以下全文翻訳紹介します。

2006年11月6日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




[翻訳紹介](ギラ・スヴィルスキーさんからの配信メール)
※英文テキストは「女性連合」(http://coalitionofwomen.org/home/english)の次のサイトに掲載されています。http://coalitionofwomen.org/home/english/activities/open_gaza_gates/

ガザ
攻囲・封鎖を止めよ! 戦争を止めよ!
1ヶ月にわたる抗議:2006年11月4日〜12月2日

 ガザの現状は緊急事態のレベルに達しています−−水と電気と医薬品の不足、飢餓と貧困と失業の広まり、学校その他の行政サービスの機能マヒ、そしてイスラエル軍による絶え間ない爆撃と攻撃。問題は、イスラエルによるガザ地区の攻囲・封鎖と国際社会による制裁です。それが、イスラエル軍による引き続く攻撃によって、いっそう事態の悪化をもたらしているのです。もしこのままこの攻囲・封鎖が続けば、疫病と栄養不良の蔓延と無政府状態を、私たちは目撃することになるでしょう。

私たちの国際的キャンペーンに参加を

 イスラエルの平和運動諸組織諸団体は、ガザの攻囲・封鎖を終わらせ、イスラエルにパレスチナ人の正統に選ばれた代表者との交渉を開始するよう要求するために、一致協力した大規模なキャンペーンに結集しました。イスラエルと国際社会は、パレスチナ人民の政治的選択を尊重しなければなりません。

ガザ:攻囲・封鎖を止めよ、戦争を止めよ!
−−11月中を通して:抗議のヴィジル、ティーチイン、請願行動、チラシの配布、ポスターなど
−−12月2日:世界中でデモンストレーションを

 私たちのこの人道的政治的活動に参加してください。12月2日のデモンストレーションまで1ヶ月を使って、あなたがたのまわりで人々の意識を喚起してください。選挙で選ばれたあなたがたの代表者たちに、手紙やファックスを送り、請願してください。抗議のヴィジルやティーチイン(討論集会)を行なってください。

 あなたがたの計画を知らせてください。私たちのウェブサイトに、たくさんの活動計画を掲載し宣伝することで、私たちがお互いに力を与え合うことができるように。
 あなたがたの計画を、デビィ・ラーマン debbyl@actcom.co.il まで書き送ってください。

イスラエルに対して計画されている活動
 おそらくこれらのうちのいくつかは、あなたがた自身の活動のためのアイデアを提供するでしょう。

印刷物: 情報を提供するチラシ、ポスター、広告、ステッカー。

ローカル企画: フィルム上映、目撃証言、ジャーナリスト報告、ガザの人々の証言などを伴った“ティーチイン(討論集会)”。

小規模な抗議のヴィジルやデモンストレーション: 首相官邸、EU大使館、外国大使館、主だったイスラエル議会議員の事務所などの前で。11月4日のラビン・スクウェアでの大衆集会で活動家たちは印刷物をまき、人間の鎖をつくります。

イスラエル議会での特別会合が開催され、そこへ戦略的に重要なイスラエル議会議員が招かれます。彼らは、ガザからの報告――パレスチナ人、人権諸組織、ジャーナリストなどの報告――を聞くことになります。

メディア: 私たちは、新聞、テレビ、ラジオ、インターネットに向けて、記事や編集者への手紙やブログを書き、対話します。

車でのデモ行進: ガザとの境界まで。

大衆集会: 12月2日、テルアビブと全世界で。ガザと電話でつなぎ、できれば全世界的な連帯行動を。

国際的キャンペーン
・人々の意識を喚起し、米国とヨーロッパ諸国政府に圧力をかける諸行動――EUと米国政府は制裁を解除すべきだと要求する、為政者と市民社会へのアピール。
・12月2日、全世界でのデモンストレーション。


このキャンペーンの組織者
 このキャンペーンは、「平和のための女性連合」が、イスラエル国内の9つのメンバー諸組織(Machsom Watch, Bat Shalom, New Profileを含む)とともに開始したものです。他の積極的な諸組織: Anarchist Against the Wall, Gush Shalom, Hadash, High School Seniors draft refusers, Rabbis for Human Rights, University Student Coalition, Yesh Gvul。

For more information and your updates: Debby Lerman at debbyl@actcom.co.il or +972-52) 457-0704



[背景資料]



ガザの経済

 ...世界銀行によれば、パレスチナ人は現在、近現代史で最悪の経済的不況を経験しつつある。恥ずべき国際的な制裁措置は、既に厳しい状況にあった経済に壊滅的な影響をもたらした。外部からの金融的支援に極度に依存しているという前提からすれば理の当然である。たとえば、パレスチナ自治政府は、その収入を2つの源泉に高度に依存している。第一には、欧米からの年間約10億ドルの支援パッケージである。(世界銀行によれば、2005年には、支援は13億ドルで、人道的支援、緊急支援[5億ドル・38%]、開発支援[4億5,000万ドル・35%]、予算支援[3億5,000万ドル・27%]。)その大半が現在中止されている。第二には、イスラエルがパレスチナ自治政府に代わって徴収している関税等の税収入、5,500万ドルの、イスラエルによる月々の移送金である。これは、パレスチナの予算にとって決定的に死活的な財源であるが、完全に移送が中止されている。実際、イスラエルは現在、パレスチナの財源の5億ドル近くを留保している。それはガザにおいてぜひとも必要とされるものである。

 いくつもの制裁措置が結びついての影響、特にほとんど弱められることのない封鎖と現在進行しつつある経済的排斥による影響は、前例のない失業のレベルをもたらし、それは現在ガザで40%に近づいている(比較として1999年で12%ほどであった)。実際、ガザのパレスチナ人労働者は、2006年3月12日からイスラエルに入ることを許されていない。ガザの最も主要な市場と出入地点は、ガザでの現在のイスラエルによる軍事作戦が始まった2006年6月25日から、事実上ほとんど封鎖されてきた。さらに、失業率を10%におしとどめておくためにさえ今後5年で135,000人分の新規雇用が必要とされる。貿易のレベルも同様の影響を受けてきた。たとえば、2006年5月はじめまでに、ガザに物品が流入してくる物流拠点であるカルニは、1年のうち47%閉鎖された。その日々の損失は、50〜60万ドルと見積もられている。これを集計すれば、過去6年にわたるガザと西岸地区での農業における損失は、12億ドルと見積もられる。

 2006年4月までに、ガザの79%の世帯が貧困生活におちいっていた(比較として2000年では30%ほど)。この数値はおそらく増大している。多くの人々が飢餓にある。

サラ・ロイ、「パレスチナ・センター」
2006年10月12日



パレスチナの内政問題ではない

 ...これらは、この実験における数々のステップである。;投獄(1991年以来);収監者の通常の生活手段を取り去る;外部世界へのすべての出口をほとんど密閉に近く封鎖する;原材料の流入と商品や生産物の取引を妨げることによって現存する生活手段を破壊する;医薬品と病院の必需物資の通常の流入を妨げる;何週間も続けて生鮮食料品を持ち込ませない;親戚、業者、友人その他の立ち入りを何年間も妨げる;そして何千何万もの人々――病人、家族の長、業者、子どもたち――を、ガザ地区の唯一の出入り口のゲートを閉じて立ち往生させる。
(訳注:ガザ地区は隔離壁で隔てられて巨大な青空監獄と化している。それをイスラエルによる「experiment 実験」として述べ、隔離壁がつくられた1991年を「Imprison 投獄」のときとしている。)
 数億ドル(パレスチナ政府の資金であるイスラエルによって徴収された関税等の税収)を盗み、そのことによって、既に低い給与水準にある大部分の政府職員への給与不払いを何ヶ月にもわたって強要する;女性や子供や老人を傷つけずには阻止されえない手作りのカッサムロケットを戦略的脅威として描き出す;住宅密集地域に空からも地上からも砲撃する;果樹園や畑を破壊する。
 住民をソニック・ブーム(超音速飛行による爆発音)で脅かすために飛行機を飛ばす;新しい発電施設を破壊し、封鎖され閉じ込められた住民に4ヶ月にもわたって一日の大半電気のない生活を強要する――それがまる1年にわたることも大いにありそうであるが、それは言い換えれば、冷蔵庫も扇風機もテレビもなく、勉強したり本を読んだりする明かりもない1年を意味する;人々に十分な水の供給――これも電気に依存している――もなしにやっていくことを強要する。
 これが、旧き良きイスラエルの、「彼らを圧力釜に放り込んでどうなるかを見よう」という実験である。だからこれは、パレスチナの内政問題ではないのである。

 アミラ・ハス、「ハ・アレツ」
2006年10月4日



イスラエルの恥ずべきガザ封鎖

 イスラエルは、ここ6年でガザで2,300人を殺した。6月25日にパレスチナ戦闘員による襲撃でイスラエル兵士ギラッド・シャリット伍長が拘束されてからの4ヶ月では、300人である。負傷者は数万人を数える。犠牲者の大半は一般市民、それも多くは子どもである。
 殺戮は毎日続いている。戦車によって、狙撃手によって、空からと海からの砲撃によって。そして、アラブ人地域に送り込まれた秘密諜報活動チームによる待ち伏せ攻撃による殺害によって。これは過去数十年にわたってイスラエルによって作り上げられた専門部隊である。
 どれだけ長く「国際社会」はこの殺戮を許し続けるのだろうか? 占領地における、そして特にガザにおけるこの残虐な抑圧は、今日の世界で最も恥ずべきもののひとつである。これは、民主主義国家のつもりであるイスラエルの裏腹な歴史記録における最も恥ずべきどす黒い汚点である。...

パトリック・シール「インタナショナル・ヘラルド・トリビューン」
2006年10月27日



この攻囲・封鎖はガザの無政府状態と死の種をまいている
これは私たちが終わらせなければならない人為的な大惨事である