パレスチナとイスラエルの現地から
反占領・平和レポート NO.5
2002/02/19


■占領それ自身が戦争犯罪である!
■シャロン政権を「戦争犯罪と不道徳の政権」として拒否する!





 2月9日テルアビブでの「反占領」集会に1万人が結集しました。そして、「占領それ自身が戦争犯罪である」「シャロン政権を“戦争犯罪と不道徳の政権”として拒否する!」ということが明確に打ち出されました。集会前日の「ハ・アレッツ」紙には、平和を求め占領を批判する広告があふれかえったといいます。

 この集会では、また、兵士たちの軍務拒否が熱烈に支持されました。占領地での軍務拒否の署名者は増え続けています。(2月19日現在で260人を突破)この拒否署名は、500人という目標が設定されていますが、500という数には実は特別の意味があったのです。1967年の占領の始まり以来1990年代半ばに死去するまで、占領を厳しく批判し続けたイスラエルの中心的知識人、ヘブライ大学のイェシャヤフ・レイボウィッツ教授が、同時に500人が軍務を拒否すれば占領は終わるだろう、と言い続けていたのです。

 集会では、軍務拒否者の代表として、3人が演壇に立ちました。今回の拒否で軍刑務所に収監されて出所したばかりの戦車部隊軍曹、1982年レバノン戦争のときに軍務拒否で収監されたベテラン、そしてこれから軍務拒否をすると決心している徴兵前の高校生。「子供たちを殺す軍隊にいったいどうやって勤務することができるでしょうか?」という戦車部隊軍曹の発言に表れているように、今回のインティファーダで、子供たち若者たちが石ころで戦車に挑む姿に、イスラエル軍兵士の心が揺さぶられたのはまちがいありません。多くの悲劇の中から、ついに、占領という根源をなくさなければパレスチナ人もイスラエル人も共に死ぬのだという意識が、イスラエル内の広範な大衆をとらえるところまできました。この夏に徴兵予定の高校生の間で、占領地の軍務を拒否しようという運動が起こっているそうです。拒否者を支援する一般市民の支持署名も始まっています。占領地での軍務拒否は、まさに全国民的運動へと発展し始めています。



 以下に翻訳した集会報告の原文と写真は次のサイトで見ることができます。
1:http://www.coalitionofwomen4peace.org/
 またその他の参考サイトは下記にもあります。
2:http://www.thenation.com/doc.mhtml?i=20020225&s=gordon
3:http://www.indymedia.org.il/imc/israel/webcast/display.php3?article_id=14642
 なお、1週間後の2月16日にもテルアビブで「ピース・ナウ」を中心とする反占領・平和集会が行われましたが、現地からの詳しい集会報告が発信され次第、翻訳紹介したいと思います。



緊急呼びかけ:シャロン裁判のオンライン署名に一層のご協力を!

 私たちも呼びかけてきたシャロン裁判を求めるオンライン署名が、24万人を突破して増えつつあります。しかし、2月に入って、ベルギーの外相法律顧問が、「現職の閣僚は告訴から護られるという国際司法裁判所の裁定に従って」シャロン裁判は却下されるだろうと語りました。
「パレスチナを攻撃し子ども達や住民を無差別に殺戮しているイスラエルのシャロン首相を国際裁判にかけよう!」参照
 ベルギー高裁は3月8日に判断を下すといわれています。オンライン署名を再度できうる限り周囲に広めて下さい。国際的な圧力を最大限に強めなければなりません。





2月9日テルアビブでの大衆集会
占領は我々すべてを殺しつつある!

シャロン政権は不法の黒旗がなびく恐ろしい行為を永続化しつつある。
引き続く占領は我々イスラエル人とパレスチナ人を等しく血の川に溺れさせつつある。
占領は双方から希望を奪い絶望へと導く。

「粛清」をやめろ! それが自爆を誘発しているのだ!
殺人をやめろ!
閉鎖と攻囲をやめろ!
家屋取り壊しをやめろ!
オリーブと果樹の破壊をやめろ!

占 領 を や め ろ ! 
沈黙をやめよう! このような時に沈黙している人は共犯者だから。抗議の声をあげない人は相互破壊の責任を共有するのだから!

<集会報告> by ギラ・シヴィルスキー

 私たちは、昨夜の平和デモンストレーションにかなり多くの参加者があるだろうということはわかっていました。その前日「ハ・アレッツ」紙に平和を求める広告の大洪水があったからです。何ページにもわたって声明や署名があふれ、すべて占領を批判していました。いくつか抜粋してみましょう。

 ***「選択の自由がある!」:占領の軍務を拒否している200名の将兵の新たな拡大したリスト。
 ***「限界がある!」:今回新たに軍務を拒否した兵士たちへの支援と、これまで一貫して軍務を拒否している人々の名前。「イエッシュ・グヴル」が掲載。
 ***「私たちは占領に奉仕する軍務を拒否している兵士たちを支持します。」:支援市民たちが掲載した署名。
 ***「ペレス、あなたは戦争犯罪の協力者だ!」:「グッシュ・シャロム」が掲載。(ペレス=外相、イスラエル労働党。−−訳者)
 ***「占領地を維持する代価を‘見たことがなかった、知らなかった’と言うことはもはやできない。」:「家屋取り壊し反対イスラエル委員会」が掲載。
 ***「国家的集団自殺の処方」:一市民が掲載。
 そして、でかい血の赤の広告「占領は我々すべてを殺しつつある」が、昨夜のテルアビブでの感銘的な大衆集会を主催するために結集した28組織の署名入りで掲載された。(後に全リスト)

 約1万人の参加者で行われたこの大衆集会は、今回のインティファーダが2000年9月に始まって以来最大規模の平和集会であった。イスラエル中から集まったユダヤ人とアラブ人で、巨大なテルアビブ・ミュージアム・プラザが埋め尽くされた。今イスラエルでは、明らかに大衆心理が大きく振れようとしている。何年もの間デモンストレーションに参加してこなかった人々の、手作りの標識が新たな思考を反映していた。−−「シャロンを止めろ!奴が我々すべてを殺す前に」「もっと多くの良心的兵役拒否者を!」「占領それ自体が戦争犯罪だ」。そして入れ替り立ち替わり目立ったスローガンは、「エルサレムを分かち合おう」「入植地を解体せよ」「我々の兵士を帰還させよ」であった。

 古くからの平和運動活動家イェフディット・ハレルがセレモニーを開始した時までに、群衆は、お互いの存在に驚き勇気づけ合い、この瞬間を分かち合っていることを喜び誰彼となく抱きしめ合って、巨大なかたまりとなっていた。そしてこの時、流暢なヘブライ語とアラビア語でイェフディットが述べた開会の言葉が、この日の集会全体のトーンを定めた。−−我々イスラエルのユダヤ人とアラブ人はともに、イスラエル政府がおこないつつある犯罪をもうこれ以上我慢しはしない。「ただ一つの旗が今日ここに高く掲げられている。それは、痛み、追悼、死、肉親の死別、そして我々の名において行われている戦争犯罪の不道徳、それらを表す黒旗である。」とイェフディットは述べた。彼女の言葉に呼応して、幾百幾千の黒旗が群衆によって高く掲げられた。それは、何年も前にイスラエルの法廷で述べられた声明、すなわち、もし軍事的秩序が「不道徳の黒旗」をその上に掲げるならばその秩序は拒否されねばならない、という声明を象徴するものである。

 占領の軍務を拒否した若者たちが、一言述べるごとに拍手喝采を受けて、この夜の大衆集会のヒーローであった。
 「私は、かつて、軍務拒否には賛成ではなかった。」とウリ・アヴネリ(「グッシュ・シャロム」)は述べた。「しかし今日、私は、軍務につかない意志を示した人々に敬意を持って挨拶します。軍務拒否は占領の終わりの始まりです。」
 これらの勇気ある若者たちは、ある者は指揮権を剥奪され、ある者は降格され、ある者は軍事法廷に立たされた。しかし彼らは良心に答え続けている。「私たちは、子供たちを殺す軍隊にいったいどうやって勤務することができるのでしょうか?」と正規軍戦車部隊予備役軍曹のイェシャイ・ローゼン・ツヴィは問うた。「私たちは、家屋を破壊し、病人に医療を受けさせることを許さず、住民全体に屈辱を与えることを追求し、彼らを飢えさせ貧困に突き落とす軍隊に、どうして奉仕することができるのでしょうか?」

 発言の合い間に、また時には発言のさなかに、突然群衆の中からおなじみのスローガンの連呼が沸き起こった。「フアッド、フアッド、国防相、今日は何人の子供をおまえは殺した?」「占領、ノー!平和、イエス!」「貧者にお金を!植民者にではなく」

 今日の大衆集会のステージは、アラブ人とユダヤ人が分かち合い、女性と男性が、MizrahimとAshkenazimが、若者と老人が、宗教者と無宗教者が分かち合った。著名な老齢の作家サミー・ミハエルは、現在行われている占領の無益さを指摘してこう述べた。「死は、大義のために進んで命を投げ出す人々にとっては脅威ではない。」と。元政府閣僚でイスラエルの絶えることのない良心であるシュラミット・アロウニは、彼女の希望のメッセージを叫んだ。「今日ここに集ったあなたがたのすべては、既に始まった大衆運動の先導者です。あなたがたは、この政府に対する民主主義の教師となるでしょう。あなたがたは、道徳性の実例を定めることでしょう。私たちは、必ずや、この国の犯罪を一掃し、この国を平和で満たすことでしょう!」

 昨夜は、眼に涙がにじむ時が何度もありました。二つだけお話しましょう。名高い歌手のアヒノウム・ニニ(彼女のアメリカのファンには“ノア”として知られているはずですが)は、イスラエルの右翼のファンを遠ざけるリスクを犯して、ビートルズの「イマジン」をヘブライ語、アラビア語、英語ヴァージョンで歌ったのでした。「あなたがたは私のことを夢想家と言うかもしれない。しかし私は一人じゃない。いつの日かあなたがたが私たちに加わり、そして世界がひとつになることを私は(可能なことと信じて)願う。」

 もう一つは、シオニズムのいとしい歌「Ein li eretz aheret」の替え歌でした。この 歌を二つの言語、ヘブライ語とアラビア語で朗唱することによって、それに新しい意味が吹き込まれました。「私には他に行くべき国はない。だからたとえこの地が私の足下で燃え上がろうとも、ここは私の故郷。」群衆の中のアラブ人にとっては、この歌が突如として彼らのものでもある歌になりました。そしてユダヤ人にとっては、それは私たちが共に深く愛する土地を意味しました。

 「いつの日かあなたがたが私たちに加わり、そして世界が一つになることを私は(可能なことと信じて)願う。」


主催諸組織:Association of Arab University Students / Baladna / BANKI / Bat Shalom / Coalition of Women for a Just Peace / Druse Initiative Committee / Du Siach / Gush Shalom / HaCampus Lo Shotek, Tel-Aviv University / Hadash Youth / Israel Committee Against House Demolitions / Kol Aher BaGalil / Kvisa Sh'hora:Lesbians and Gay Men Against the Occupation / Left Forum,Haifa University / MachsomWatch / Meretz Youth / Monitoring Committee of the Arab Population in Israel / NELED / Neve Shalom/Wahat al-Salaam / New Profile / Noga / TANDI / Ta'ayush:Arab-Jewish Partnership / Tajamu Youth / WILPF / Women and Mothers for Peace(formerly Four Mothers) / Women in Black / Yesh Gvul

アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動事務局



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