反占領・平和レポート NO.13 (2002/04/17)

パレスチナ人の法律家たちがジェニン大虐殺を連日調査・報告
イスラエルの「平和のための女性連合」は救援物資を持ってジェニンへ向けて大行進

 「女性連合」をはじめとするイスラエルの反戦平和運動の人々が、ジェニンの大虐殺への抗議とジェニン難民キャンプの人々に対する緊急支援とを兼ねて大行進を行いました。何と31台ものトラックを引き連れてのデモ行進だったとのこと。「女性連合」のサイトでその様子を知ることができます。
 イスラエル軍の侵攻に対して、ジェニンとともに激しい抵抗が行われたと伝えられているナブルスでも、多人数の虐殺が行われた可能性が出てきました。パレスチナ人の人権を護る活動をおこなっている弁護士たちの組織「LAW(人権と環境を守るためのパレスチナ協会)」が、ジェニンとナブルスの状況を連日のように報じています。その抄訳を紹介します。全文の翻訳は間に合いそうにないので今回は見出しと最初の部分のみの翻訳です。ご了承ください。

■ 「女性連合」の4・13行動 ジェニン検問所までの抗議行進。


「平和のための女性連合」のHPより


 4月13日(土)、私たちは、ジェニン大虐殺に抗議して行進しました。私たちは、ジェニンへの道をメギド交差点からサレム検問所まで行きました。私たちに続く31台のトラックが、ジェニンの、家をなくした人々、必要なものを欠いている人々、追い出された人々に対する緊急必要物資を運びました。


■ パレスチナ人の法律家たちのグループ「LAW」の報告。

●4/8 イスラエル軍は戦争犯罪とたいへんな人権侵害を犯し続けている。
 ジェニンにて。イスラエル軍は、ジェニン難民キャンプへの7日連続の攻撃をおこない続けている。イスラエル軍は、様々な攻撃を行うために、何人ものパレスチナ人を人間の盾として使った。イスラエル軍は、救急車がジェニン難民キャンプに入ることをまだ禁止している。そして初期の情報によれば、これまでに40人の住民が殺され、死体はまだ路地や通りに横たわっている。

●4/8 イスラエル軍はジェニン難民キャンプで大虐殺をおこなっている。
 イスラエル軍は、150両の戦車、多くの兵員輸送車、砲兵隊を擁し、F16ジェット戦闘機にバックアップされて、1平方キロに 15,000人が居住するジェニン難民キャンプを攻撃し続けている。4月3日以来、イスラエル軍は、ミサイルや重砲その他の重火器を含むさまざまな重装備の武器で、難民キャンプを砲撃してきた。

●4/9 イスラエル軍は、ジェニンとナブルスで戦争犯罪を犯し続けている。
 イスラエルは、カルキリヤとトゥルカレムから軍が撤退したと主張しているが、イスラエル軍は、この二つのパレスチナの都市を包囲し続けている。今朝、イスラエル軍は、ヘブロン南西のドーラに入り、この村の民家に砲撃した。イスラエル軍は、今朝6時にナエフ・アフマド(35才)とアレフ・アフマド(25才)を銃撃し負傷させた。イスラエル軍は、救急車が彼らを搬出することを禁じた。二人は11時まで5時間、血を流しながら放置され死んだ。イスラエル軍は、アブデル・カデル・ドウディーン(25才)が村役場の前を歩いているところを銃撃し殺した。
 ナブルスでは難民キャンプを包囲して、イスラエル軍は民家を砲撃し続けている。旧市街の住民12人がこれまでに殺された。....

●4/9 酸素その他の危急物資がナブルスの病院に届かない。
 今日、ナブルスの病院から重要物資、特に酸素が尽きかけていると、LAWに連絡があった。ラフィディア病院の院長フサム・アルジョハリ博士に確認したところによれば、ラフィディアを含む複数の病院がここ3日間酸素の供給を要請し続けているが、まだ供給を受けることができていないということである。....

●4/10 イスラエルは大きな墓穴を掘っている−−戦争犯罪を隠そうとして。
 今朝4月10日、LAWは、ジェニン難民キャンプからの次のような情報をようやく得た。最初にキャンプを脱出した住民たちの証言である。目撃者たちは、今イスラエル軍がジェニン難民キャンプ内と周辺地域で大きな穴を掘っていると述べた。それは大規模墓地で、難民キャンプで殺された人々(その数はまだ確かめられていない)が埋められるのだろうと、彼らは恐れを抱いていることを語った。目撃者たちは、イスラエル軍がその穴の中へ死体を投げこんでいるのを見たという。そこは難民キャンプの中央に位置し、ハレット・アル・ハワリッシュとして知られている所である。
(これの全訳は「パレスチナ子どもキャンペーン」が掲載しています。)

●4/10 ジェニン難民キャンプでの非合法処刑:死体が瓦礫の中に見られる。
 ジェニン難民キャンプの目撃者たちからLAWによせられた複数の報告は、次のことを示している。ジェニン難民キャンプへのイスラエルの軍事攻撃に抵抗して戦っていたパレスチナ人の中から、かなりの数の人々が投降を求めたが、まとめて処刑されたということである。イスラエル軍が、難民キャンプの住民も外部の監視者もキャンプに戻ることも入ることも妨害しているために、処刑された人々の正確な数を確証することは困難である。

●4/11 ジェニン難民キャンプ付近でのイスラエル軍によるジャーナリストへの攻撃。
 今日、イスラエル軍兵士は、ジェニン難民キャンプ周辺で、現地と外国のジャーナリストのグループを攻撃した。彼らは持ち物を奪われ、記者証やフィルムを没収された。そのようにしてイスラエル軍兵士は、ジャーナリストたちが事実を報道することを妨害した。

●4/13 イスラエルはジェニン難民キャンプで戦争犯罪を犯し続けている。
 今日の午後3:50。ジェニン難民キャンプの目撃者が次のように報告している。ジェニン難民キャンプのアル・ソムラン地区とジョリッド・ダーヒブ地区の全ての家屋と避難場所がイスラエルのブルドーザーによって系統的に破壊されつつあると。イスラエルのブルドーザーと戦車は、ターバッシュ地区、アブ・ゼイド地区、アル・ダメッシュ地区を既に完全に破壊してしまった。

●4/14 裁判所の決定にもかかわらずイスラエル軍はジェニンから死体を移動させている。
 LAWが集めた目撃者からの複数の証言によれば、次のことは確実である。金曜日(4/13)に出されたイスラエル高裁の暫定命令にもかかわらず、イスラエル軍は、死体をジェニン難民キャンプ外へ移動させ続けた。目撃者たちの証言は、イスラエルのトラックがポリ袋に入れた死体を運んでいるのを目撃されたという報告を確証している。死体はトラックから、ブルドーザーによって掘られた穴に入れられた。

●4/14 イスラエル最高裁はICRC(赤十字国際委員会)がジェニン難民キャンプに入ることを許されねばならないという裁定を下した。
 イスラエル最高裁は、今日、ジェニン難民キャンプで殺されたパレスチナ人戦闘員と民間人の死体を埋葬するのに、赤十字国際委員会(ICRC)がイスラエル軍に随伴しアシストすることを許されねばならないと命じた。最高裁は、パレスチナ赤三日月協会(PRCS)もまたこの活動に加わるのを許されるべきだと勧告した。最高裁は、これらの問題が提起されていた3つの請求を却下したけれども、次のことは命じた。ICRCとイスラエル軍は、国際人道法に基づいて写真やその他の機器で死体を記録して、それを特定しなければならないということである。

2002年4月17日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局