在沖米軍ヘリ墜落事故糾弾 ====
イラク戦争=軍事優先、人命無視の暴挙
米軍、墜落ヘリ同型機の飛行を強行
−−「放射性物質」疑惑に真摯に答えよ!
−−日米政府・軍当局に抗議のFAX・メールを集中しよう!

○米軍は普天間で再開した飛行訓練を全面中止せよ!沖縄全県での非行訓練中止!
○防護服を着て持ち去ったのは「放射性物質」なのか。米日政府は真相を明らかにせよ!墜落事故の原因究明・全容解明!
○これ以上周辺住民のいのちを危険なさらすな!普天間基地の即時閉鎖!無条件返還!
○辺野古の海上新基地建設反対!ボーリング調査中止!
○米軍に「治外法権」を与える日米地位協定の根本的見直し!


【1】 イラク侵略・占領継続のために米軍は8月22日、墜落ヘリ同型機を一方的に飛行強行。墜落事故とイラク戦争は密接不可分。
 8月13日、沖縄宜野湾市の沖縄国際大学の1号館本館に米海兵隊所属の大型ヘリCH53Dが墜落してから9日が経った。しかしわずか9日しか経っていない22日、米海兵隊は、墜落炎上した事故機(CH53D)と同型の大型輸送ヘリ6機の飛行再開を一方的に通告した。午後0時34分から6機が次々と離陸、沖縄近海の強襲揚陸艦「エセックス」に艦載されイラクへ向かった。ナジャフでの虐殺のためなのか。それともファルージャ包囲応援のためなのか。いずれにしても今回の事故も運行再開も、全て血生臭いイラク侵略・占領支配に結び付いていることが改めて明らかになった。
※<米軍ヘリ墜落>事故同型機の飛行再開 反発強める沖縄(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040822-00000058-mai-soci

 稲嶺知事は「一方的だ。県の申し入れを無視するもので、強く抗議する」と述べ、伊波・宜野湾市長も「ヘリ基地としての運用を中止すべきだ」と抗議声明を出した。被害者、地元住民はもとより県内外から強い怒り・反発が巻き起こっている。沖縄県民と日本の国民をこれほど馬鹿にした暴挙はない。
 稲嶺知事は今週早々にも小泉首相に申し入れするというが、首相は再び会談を拒否するのか。首相は事故直後、知事との会談を一度は門前払いした。私たちは事故を起こした米軍は言うまでもなく、どこまでも在沖米軍の横暴と主権侵害を容認する小泉政権を厳しく批判する。

 在沖米軍トップのロバート・ブラックマン4軍調整官は「イラク作戦との関係でやむを得なかった」と釈明した。私たちは、墜落事故そのものを糾弾すると同時に、無法なイラク侵略に参戦するために飛行訓練を行い、その最中に事故を起こし、原因究明も説明もなしに一方的に運行再開を強行しイラク侵略に向かわせる。米軍のこの一連の横暴と蛮行全体を満身の怒りを込めて糾弾する。小泉首相、川口外相、石破防衛庁長官、在日米軍司令部、在日米国大使館へ抗議のFAX・メールを集中しよう!
※在日米軍基地を抱える都市の市議からなるネットワーク「追跡!在日米軍・リムピース」によれば、同型機飛行強行の前日付の記事「エセックス、普天間のヘリを乗せて中東へ(04.8.21更新)」が掲載されている。 http://www.rimpeace.or.jp/index.shtml


【2】 事故直後防護服で身を固め証拠隠滅を図った「危険物」は何なのか。劣化ウラン、放射性物質なのか。それともその他の危険物なのか。−−米日政府はこの疑惑の真相を明らかにする責務がある。
 ここへきて宜野湾市当局、現地の周辺住民やメディアを中心に、事故機が「危険物」「放射性物質」を積載していたのではないかという重大な疑惑が急浮上している。なぜ米軍は、機体撤去をこれほど急いだのか。なぜ日本の警察との「共同捜査」をここまで頑なに拒否したのか。まるで見てはいけない“もの”を隠すように持ち去ったのか。等々。−−重大な疑惑である。米日政府は、周辺住民、沖縄県民、日本の国民全体に、この「危険物」を明らかにすべきである。そして事故の原因を徹底糾明し全容を報告する責務がある。
※放射能汚染を懸念 県が土壌調査実施 米軍ヘリ沖国大墜落(琉球新報)
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2004/2004_08/040820e.html

 焦点になっているのは、劣化ウラン、あるいは何らかの放射性物質が積まれていたのではないかという疑惑である。沖縄放送などメディアによれば、現場の火災が収まってから、機体撤去の段階で、明らかに通常とは異なる“防護服”の人物が確認されている。つまり事故現場で2種類の防護服の作業者が目撃されたのである。
 一つは、白い防護服に顔面マスクをつけ現場検証、撤去作業を行っており、完全な密閉型ではなかった。通常の白色の首までの服と顔面マスクであった。
 もう一つは、黄色い全身防護服で密閉型であった。マスクも顔面マスクで隙間なし、まるで原発の放射能高汚染領域で作業をするような厳重な格好をしていた。この黄色い防護服の作業員2人が、他の残骸とは異なる50cm四方くらいの物体を赤いシートで包んで持ち去った。これはローターの根本、またはエンジン部分の近くにあった物体と考えられる。また、前後してガイガーカウンターを持った人物がローターの根本付近をサーベイしていた。
※沖縄テレビ放送(8/17) http://www.otv.co.jp/newstxt/news.cgi?mode=detail&code=20040817191763 (黄色い防護服)
※沖縄テレビ放送(8/18) http://www.otv.jp/newstxt/news.cgi?mode=detail&code=20040818180661 (白い防護服)
※さらに沖縄国際大学のサイトにはガイガーカウンター(あるいはサーベイメータ)らしきものを機体の残骸に近づける作業員の写真が公表されている。沖縄国際大学サイト:http://www.okiu.ac.jp/a004.jpg この沖縄国際大学のサイトにはその他「米軍ヘリ墜落事故に関する情報」として特別のコーナーが設けられ、そこには墜落時直後の写真や、大学の「抗議文」など貴重な情報が掲載されている。 http://www.okiu.ac.jp/urgent.html

 “黄色い防護服”と“ガイガーカウンター”−−この2つの事実は、普通は“放射性物質”を意味する。墜落したヘリに“放射性物質”が積み込まれていた可能性が出てきた。伊波宜野湾市長はこの件で直接海兵隊に問いただしたが、米軍は通常のマニュアル通りの作業と答えたという。しかし、明らかに異常な事故調査・撤去作業だ。劣化ウランはヘリのローターのカウンターバランスに使われたこともあるので、マニュアルはそれを前提に書かれているのかもしれない。
 しかし、撤去していた物体はそのようなものには見えない。過去に自衛隊のジェット練習機T−33のエンジン部品(コンプレッサーディフューザー)に強度を増すために放射性のトリウムを加えていた例があるので、エンジン部品そのものに放射性物質が含まれているのかもしれない。いずれにしても全身防護服を着なければならないような“危険物質”、周辺の住民に危害を与えうる“危険物質”が積まれて、現に住宅地に墜落した可能性が高い。今回の事件を真相究明もせずこのまま放置すれば、今後もこの“危険物質”を積載し住宅地上空を飛び回ることは間違いない。更に、米軍は「オイルで汚染された」と主張し土の撤去と入れ替え作業をしたという。周辺の土壌も汚染された可能性がある。ヘリの墜落原因の徹底追及に加えて、この“危険物質”疑惑を徹底糾明する必要がある。
※自衛隊のジェット機のエンジンにトリウム http://www.jda.go.jp/jasdf/houdou/0202/020206.html


【3】 住民に死傷者が出なかったのは奇跡的。住宅密集地にある普天間基地で起こるべくして起きた重大事故。
 米海兵隊所属の大型ヘリが墜落したのは、大学構内とはいえ、市街地、住宅地の真ん中である。尾翼やプロペラなど機体の大型部品は数百メートルの範囲に飛び散った。テレビでは、周辺の店舗、ガレージ、マンションや住宅の部屋などに機体の破片や部品が飛び込み、広範な被害が出ている状況が映し出された。にもかかわらず米軍は、同型機を含めて飛行訓練を全面的に再開した。言語道断だ。断じて許せない。

 大学が夏休みだったのが幸いした。本来、多数の死傷者が出る大惨事になってもおかしくない重大事故である。少し条件が変わるだけで、墜落地が隣接する住宅密集地だった可能性があったわけである。住民に死傷者がでなかったのは不幸中の幸い、偶然の結果にすぎない。

 普天間基地は過密な市街地のど真ん中にあり、ラムズフェルド国防長官さえ「事故が起こらないのが不思議だ」と危険性を認めざるを得なかった“欠陥基地”である。事故は起こるべくして起こったものだ。住民を脅かし続けたこの“欠陥基地”を放置し続け、住民の生命に重大な脅威をもたらしたことは日米政府とこれに協力する県の責任である。唯一の事故防止策は普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去しかあり得ない。このまま米軍の占領者面・横暴を放置すれば、もっと重大な事故は避けられないだろう。

 普天間に配備された海兵隊のヘリは米軍の中で最も事故率が高いと言われる。ヘリ事故が連続している。同じ部隊の同型ヘリが広島で不時着事故を起こしたばかりである。にもかかわらず、同型ヘリが未だに市街地の真上を爆音を響かせ我が物顔に低空で飛び回っている。次はどこへ墜落するのか。そんな状況なのだ。事故の危険と住民の生命を犠牲にして日米安保体制が成り立っている現状をこれほどあからさまに物語る事実はない。日本政府は、まず米軍ヘリの事故状況を調査し、事故率が高い機種を飛行禁止にさせることが、当面の最も差し迫った対応ではないか。


【4】 米軍・日本政府の顔色を伺うだけで当事者能力の欠如を示した稲嶺知事、改めて辺野古への基地移転推進を表明。日本政府、沖縄県に対してわき上がる怒りの声。
 県民の怒りと反発は急速に広がっている。大小の集会や抗議行動が頻繁に行われている。21日には、沖縄で事故後初の県民集会(沖縄平和運動センターなどが主催)が宜野湾市の普天間飛行場第二ゲート前で開かれた。平和団体や労働団体や周辺住民のほか、名護市辺野古からもボーリング調査阻止を求めて闘う住民が集まり、主催者発表で2200人が米軍に抗議と怒りの声を上げた。集会後事故現場までデモ行進し、「米軍は飛行を中止せよ」「普天間基地を即時閉鎖せよ」などのシュプレヒコールを上げた。

 宜野湾市長、宜野湾市をはじめ普天間基地に隣接する市町議会も直ちに抗議、糾弾の議会決議を上げ、怒りの声を米軍に上げた。直接住民を危険に晒し続けている米軍とともに、こんな危険な状況を放置し沖縄県民を犠牲にする日本政府に怒りの声を上げた。墜落し直接被害を受けた沖縄国際大学も抗議声明を突き付けた。
 伊波・宜野湾市長は8月18日、事故への抗議とともに以下を要請した。
1.直ちに、普天間飛行場の閉鎖について協議し、全面返還を実現すること。
2.全ての米軍機の住宅地上空での飛行を止めヘリ基地としての運用を即時中止すること。
3.事故原因の早期究明とその結果を速やかに公表すること。
4.被害者全員への謝罪及び誠意ある補償をすること。
5.沖縄国際大学の運営及び周辺地域の生活機能を一刻も早く回復させること。
※宜野湾市は「沖縄国際大学構内への米軍ヘリ墜落事故について」というコーナーを市のホームページに設けて、抗議文や要請文、事故時の写真などを掲載している。
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/home.nsf/0/1d608ac4bbbcdcf649256eef002e62b5?OpenDocument

 事故後最も重大な変化の一つは、県民の反基地感情の急速な拡大を受けて、普天間基地返還、辺野古への移設、この2つの基地問題が連動して急浮上していることである。17日の宜野湾市議会、同日の沖縄市議会、那覇市議会等々、県内自治体は今回の事故を機に、普天間基地返還と同時に辺野古への移設を定めた日米行動委員会(SACO)合意の見直しを併せて要請し始めている。普天間の早期無条件返還、辺野古の海上新基地建設阻止が同時に争点化し始めたのだ。 

 県議会が大きく揺れている。事故を非難するところまでは一致したが、ヘリ基地撤去まで要求するかどうかで意見が割れた。対米追随を最優先する与党の自民、公明は、おそるおそる形式的な抗議にとどめる決議案を出し多数決で強行した。しかし、形だけの抗議だけでは世論が絶対に納得しないとみて、公明党は「移転までの分散訓練」を付け加えてポーズをとった。県議会野党は形だけの抗議にとどめず、SACOの見直しを決議案に加えるように主張した。

 稲嶺県知事も揺れている。知事は事故直後の記者会見で、安全確保までの飛行停止、訓練移転、兵力削減を求めたが、どれも弱々しい一般論に終始し、当事者能力が欠如している様を白日のもとにさらした。SACOには触ず、直ちに普天間基地の閉鎖を求めないと言明した。基地の辺野古移設をあくまでも支持した。知事が表明したこれら一連の見解は、どれもこれも普天間基地の差し迫った危険と脅威をさらに長期にわたって引き延ばす道に他ならない。
 しかし県民感情を裏切り、あくまでも米軍を容認し政府・防衛庁に加担する稲嶺知事に対する批判が強まった。その結果、16日までに県は若干の軌道修正を示唆、辺野古の代替施設が「完成し運用可能になった後に返還する」としたSACOの合意を一部見直し、移設作業と切り離して普天間の早期返還を求める方向で検討に入った。まだ「検討段階」である。しかし何かが動き始めている。ますます県内外の世論と運動が決定的に重要になってきた。


【5】 まるで「植民地」「占領地」−−日米地位協定にも違反する事故の後処理=主権侵害。原因究明・全容解明ないまま再び住民の命を無視した飛行訓練を再開。
 沖縄県民の怒りを一層かき立てているのは、日米安保体制の下で未だに沖縄が「植民地」や「占領地」と同様の状態にあるということだ。米軍は、墜落したヘリはおろか大学構内、本部建物、周辺道路まで勝手に閉鎖し、現地消防や警察など日本側に一切手を出させなかった。警察や消防に立ち入らせずヘリ機体と事故現場の検証をさせない。事故原因を調査することも、犯人を起訴するための証拠集めもさせず、重大事故の全容解明に当たって基本的なことを何一つ日本側にさせなかった。18日に米軍当局は「共同捜査を日本側警察に申し入れたのに断られた」と全く事実に反する作り話を公表し、沖縄の人々の怒りを買っている。

 今回の米軍の事故処理と対応は、日米地位協定を遙かに逸脱する横暴極まる、まさに違法行為である。というのも日米地位協定で取り決められているのは、「同意なしに米軍の財産であるヘリを捜査できない」ということだけだからである。私有財産である沖縄国際大学の建物や敷地、公的財産である周囲の道路を閉鎖する資格も権限もない。被害を被った大学の学長すら立ち入らせない、被害を実見にきた周辺自治体の首長さえ近づかせない。こんな権利は米軍にはない。米軍は、かかる違法行為を事故後数日間にわたり、機体を撤去し終わるまで押し通した。米政府・米軍は主権侵害を行ったのである。
※今回の事故は確かに、米軍の公務執行中の事故であるため、第一次裁判権は米軍にある(地位協定第17条)。米軍の法的地位などを定めた日米地位協定に伴う刑事特別法第13条は、「合衆国軍隊の財産についての捜索、差押又は検証は合衆国軍隊の権限ある者の同意」が必要としている。しかしヘリの残骸や散乱した部品の所有権は米軍にあるが、墜落した場所は日本の主権下にある。本来的には日本の警察の管理下で現場保存、現場検証を行い原因究明をすべきなのである。「米国財産」も日本の警察が保護し管理すべきなのだ。米軍が管理し取り仕切ることができるのは日本が提供した「施設及び区域内」、つまり米軍基地と米軍施設に限られるはずだ。基地内ならともかく、基地外の事故まで「治外法権」として米軍が管理する権限はどこにもない。13日午後2時15分頃に起こった事故直後に、米軍が沖縄国際大学敷地内に入り、すでに消火・警備活動を行っていた日本の消防士・警察官を実力で退去させたことは、明らかに地位協定違反の主権侵害行為である。http://www.jca.apc.org/~runner/chiikyoutei.html

 このままでは米軍が一方的に発表した事実関係と事故原因を無条件で受け入れ、米軍による「処分」、つまりは「非処分」を呑まされざるを得ない状態にある。今回、多数の犠牲者が出ていたとしても、米軍は同じことをしたであろう。沖縄県民が憤激しているのは、95年の少女暴行事件を経てもなおかつ何も状況が変わらず、沖縄がまるで米軍の「植民地」「占領地」のように踏みにじられている現状を改めて思い知らされたからである。そしてそのような隷属的状態を日本政府が積極的に認め、否むしろ米政府・米軍の後押しをしている現状を改めて思い知らされてたからである。


【6】 県民の抗議の声を聞くことすら拒否し、公然と米軍による“占領支配”を後押し。日米同盟を最優先し県民の命を切り捨てる小泉政権。
 米軍当局の唯一の関心事は軍事優先=飛行訓練再開だけだ。米軍は多数の住民・学生に生命の危険を与えた事態に何の責任も感じていない。本気で謝罪したり事故防止に取り組む姿勢も示していない。
 すでに述べたように、22日に同型機の飛行再開を強行する前、早くも事故の2日後の15日には、米軍は普天間でC2A輸送機のタッチ・アンド・ゴー訓練を始めた。事故直後で住民が不安に駆られているときに、原因究明も安全性も証明せずに訓練を再開するというのは傲慢そのものである。宜野湾市長が直ちに訓練を中止するよう申し入れたのは当然だ。さらに、米軍は飛行停止の申し入れを拒否し、16日には安全点検を終えたと称して事故機と同型機を除き他の機種のヘリも飛行訓練を再開した。これほど県民を馬鹿にした話はない。

 同時に、米軍に対する日本政府の対応が県民の怒りに更に油を注いでいる。宜野湾市をはじめ県議会まで飛行全面停止を要求し抗議しているときに、政府・外務省は、「飛行は最小限に」と訓練回数の抑制を懇願しただけで、事実上飛行訓練再開を後押しした。しかも外務省は、米軍の事故処理の違法性を問題にするどころか、「地位協定で決まっているから問題ない」と、米軍の地位協定違反を容認したのである。信じがたいほどの対米追随だ。米に媚びへつらう外務省は一体どこの国の外務省なのか。

 この対米追随姿勢は首相官邸も同じである。日頃は「危機管理」を主張しながら、今回の事件に当たって首相官邸は指一つ動かさなかった。無為無策、無関心を決め込んでいる。小泉首相はあろう事か「夏休み」と称して、政府与党の“仲間”であるはずの稲嶺沖縄県知事と会談することすら拒否したのだ。県民の命など何とも思っていない証である。日本政府の代表として、戦後一貫して沖縄県民に押しつけてきた犠牲に対して責任を負うべき首相が、日米政府の政策を忠実に遂行する稲嶺知事の声さえ聞かないというふざけた態度は一体何なのか。これは知事への侮辱であるだけではなく、沖縄県民への侮辱である。


【7】 普天間基地を今すぐ閉鎖し無条件に撤去せよ! 辺野古の新基地建設阻止! 墜落事故、米軍再編を機に県内外の反基地の声を結集しよう!
 今回のような重大事故の唯一の再発防止策は、住宅密集地のど真ん中に居座る危険極まりない普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去しかない。
 普天間の脅威を辺野古に押しつけることなど断じて許されない。“基地のたらい回し”を許してはならない。現在辺野古では、3ヶ月に及ぶ地元住民の座り込み闘争の力で環境調査を阻止している状況である。普天間返還と辺野古の基地新設をセットにした日米政府及び沖縄県の方針は、それ自体もはや我慢のならない過酷なものである。それはすなわち普天間基地の最低で15年の基地存続、15年後からの辺野古の新基地の“基地恒久化”を意味するからである。こんな「軍事占領地」「軍事植民地」を受け入れることなどできようはずがない。県や公明党が言い出した「本土分散」もその場限りの言い訳に過ぎない。普天間基地問題は今すぐ閉鎖し撤去・返還させるしかない。

 米軍は現在、世界的再編の最中にある。現在のところ米軍は、在沖・在日米軍基地の削減・撤去を公式には口に出していない。しかし基地撤去の好機である。韓国からは陸軍の半分、全体でも3分の1近く、約1万2500名の部隊が撤退する。在沖・在日米軍の撤退が大きな問題にならず、逆に日本が米軍の世界でも突出した出撃・兵站拠点として位置付けられようとしているのは、日本政府にその責任と原因がある。日本政府が、他国では考えられないほど巨額の「思いやり予算」をくれてやり、対米同盟最優先を内外政策の根幹に位置付けているからであり、在沖・在日米軍基地を自ら進んで引き止めようとしているからである。

 米軍が撤退したら日本の安全保障に影響が出るというのは全くのデタラメである。すでに現状が証明している。現に沖縄海兵隊の地上実戦部隊の全部(4000人)がイラクやアフガニスタンに出撃し、「不在」の状態が続いている。沖縄の海兵隊は「日本の防衛」などとは何の関係もないのであり、イラクをはじめ中東地域に侵略し、アジア・太平洋全域で軍事的プレゼンスを維持するために配備・展開していることはこれで明らかだ。米のイラク侵略が暴露したことは、沖縄と「本土」の在日米軍基地は米のグローバル侵略、グローバル軍事介入の拠点でしかないという事実である。日本が「世界の憲兵」の海外最大の拠点を引き受ける理由などどこにもない。それは小泉首相と政府与党にとってだけ、対米追随でこれまで政権を維持し浮揚させてきた小泉政権にとってだけ利益になることであって、沖縄県民、日本の民衆全体にとっては、まさに百害あって一利なしである。

 私たちの闘う矛先は小泉政権である。重大事故に直面しても米軍を守り、米軍の世界的再編の中で沖縄と「本土」の米軍基地を維持強化させ、米の海外最大の拠点にしようとしている日本政府自身である。米軍再編の編成期はチャンスである。日本政府を突き上げて、在沖米軍、特に住民への被害が大きい海兵隊の撤退・撤去を要求することが差し迫って重要である。すでに述べたように県民の反基地感情は一気に高まり、普天間閉鎖・返還と辺野古移設反対・新基地建設阻止が同時に政治争点化し始めている。防衛施設庁関係者が「移設作業はこれまで通りというわけにはいかなくなる」と吐露し始めている。もはやこれ以上普天間を放置できない。かといって辺野古もすぐに建設できるわけではない。今回の事故は、沖縄の基地問題を今一度重要な政治的争点に浮上させている。
 沖縄現地は来る9月5日に県民大会を予定している。「本土」の私たちが沖縄の闘いにどう連帯するのか。自分の問題として取り組んでいきたい。

2004年8月22日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




(追加情報 9月8日)

 宜野湾市で墜落炎上したヘリに搭載されていたのが放射性物質であるストロンチウム90であったとの米大使館の発表が、以下のサイトで報道されています。
※琉球新報「米軍ヘリ墜落 放射性物質1個未回収」
  http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2004/2004_09/040904c.html
※沖縄タイムス「墜落ヘリ放射性物質/ストロンチウム90と発表」
  http://www.okinawatimes.co.jp/day/200409041300.html#no_3

 しかし、大使館の一方的な発表で真実が明らかにされたとはとうてい思えません。
 まず、第1に、事故直後も、事故処理中もこのストロンチウムについて何の情報も与えず、日本側に危険を与えたことを何一つ反省していない。9月2日に当事者である沖縄国際大学で行われた会議の席上で米軍は放射性物質の名前さえ公表しませんでした。
 第2に公表された「回転翼安全装置と氷結探知機」に使われ、「ボールペン大」という内容と、テレビなどで報道された映像の赤いシートで包まれた一抱えもある物体が同一のものであるとは思えません。
 さらに、仮にストロンチウムだとしても、どれだけの量が積まれており、どれだけ行方不明(消失)したのか、米軍が持ち去った土壌の調査で土の中から検出されたのか、全く明らかにされていません。ストロンチウムは同じ質量ではウランよりも放射能の強い物質です。これらの一つ一つを明らかにすることなしには何の説得力もないと思います。
 とにかく、墜落したヘリの原因調査も終わってないうちに「イラクへ出撃する」と安全対策の常識さえ無視して同型機の飛行を強行させ、その後「同型機はとばさない」と言っておきながら、その口裏も乾かないうちに実際にはこっそりと飛行させてきた米軍です。軍事優先、生命軽視の常習犯の米軍です。住民の安全や生命に配慮するなどとは考えられません。すべてのデータを公表させるまで追及をし続けなければなりません。



「米軍ヘリの沖縄国際大学構内への墜落事故に抗議する緊急国会集会」参加報告

 沖縄での米軍ヘリの墜落事故に対する緊急国会集会が8月26日、衆議院第2議員会館第1会議室で開かれた。会場には30分前からたくさんの人が集まり、15分前には150人以上にふくれあがり、部屋に入れず廊下にあふれる状態になった。最終的には400人が集まり、廊下どころかさらに会館の外にも150人があふれる状態になった。
 緊急集会は、沖縄選出の野党国会議員6人の呼びかけで行われた。社民、共産、民主、社会大衆の各党が一致してこのような集会を組織したのは初めてであり、ヘリ墜落事件に対する沖縄現地の怒り、憤りを感じさせるものとなった。これに27人の国会議員をはじめ多数の市民が呼応して、怒りと熱気あふれる集会となった。
 沖縄選出の国会議員からの挨拶は事故の激しさに怒りをあらわにしていた。「不幸中の幸いと言うが、死傷者が出なかったのは奇跡としかいえない」「子どもが寝ていたところにも破片が貫通している」「みんな異常音で墜落すると思った。自分の上にきっと落ちると思って恐怖がすごかった」「これは戦場だと思った」など、地元の状況を生々しく伝えた。さらに、日本政府の対応やマスコミの対応に批判が集中した。「事故翌日には普天間飛行場は飛行を再開している。政府は『飛行は最小に、安全は最大に』と言うがまやかしだ。普天間は閉鎖しかない。」「原因究明と言うが、この10年で45件の事故のうち原因がわかったのはたった10件だ。安全など確保されていない」「政府の対応は形だけ」「事故を大きく取り上げたのは地元のマスコミだけ。NHKニュースはは墜落事故を5番目の話題でしか扱わなかった」等々、短い時間だが次々と怒りの報告をした。
 事故に当たっての米軍の振る舞いには怒りが集中した。 「副知事、市長が米軍に立ち入りを拒否されただけではない、防衛庁政務次官、外務省の政務次官も立ち入りを拒否された。政務次官たちは主権が蹂躙されているのに抗議さえせずにすごすご引き返した」と、地位協定とそれをさらに超える米軍の違法行為、主権蹂躙にも強い怒りの声が上げられた。
 「こんなひどいことが起こっているのに本土では自分のことと思っていない。温度差というが鈍感さと言うしかない」「遅れているのは東京だと自覚しよう」と会場では遅れている本土での闘争を強めることが強い拍手で確認された。最後に民間地上空の即時飛行停止、普天間飛行場の即時閉鎖、日本政府が責任ある対応をとり、原因を究明すること、日米地位協定改定、辺野古への新設阻止を確認して集会を終えた。

 残念ながら、ヘリ墜落事故に伴う「劣化ウラン・放射性物質疑惑」については新しい情報が寄せられなかった。この集会の直前に社民党の東門、土井議員らが米大使館に押しかけ、この問題で問いただしたが、何も知らないということに終始した。調べてわかれば回答するということにとどまった。この問題ではさらに追及していくことが必要だ。

2004年8月27日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局
吉田正弘



[抗議先]



● 小泉首相
 〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
  首相官邸 Fax: 03-3581-3883 Tel: 03-3581-0101/03-5253-2111
  WEBサイト投稿ページ: http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html


● 川口外務大臣
 〒105-8519 東京都港区芝公園2−11−1 外務省
 外務省 E-mail: goiken@mofa.go.jp Tel: 03-3580-3311 Fax: 03-5501-8430
 WEBサイト投稿ページ: http://www3.mofa.go.jp/mofaj/mail/qa.html


● 石破防衛庁長官
 〒162-8801 東京都新宿区市谷本村町5-1 防衛庁
 Tel 03-3508-7525 FAX 03-3502-5174 Eメール info@jda.go.jp


● 那覇防衛施設局
 〒900-8574 那覇市前島3丁目25−1
 Tel 098-868-0174 FAX 098-866-3375


● 防衛施設庁
 〒162-8861 東京都新宿区市谷本村町5−1
 Tel 03-3268-3111(大代表) Eメール info@dfaa.jda.go.jp


[米軍宛抗議先]

● アメリカ大使館
 Embassy of the United States of America in Japan
 〒107-8420 東京都港区赤坂1丁目10-5 アメリカ大使館
 駐日米国大使 ハワード・H・ベーカー
 His Excellency Mr. Howard H. BAKER Jr.

 E-mail    mail-jpn@pd.state.gov or pressjpn@pd.state.gov (今どちらも届かないようです)
 Tel:03-3224-5000 Fax:03-3505-1862
 WEBサイト投稿ページ: http://japan.usembassy.gov/j/info/tinfoj-email.html

● 在那覇アメリカ合衆国総領事館
 American Consulate‐General in Naha
 〒901‐2101 浦添市西原2564
 Tel:098‐876‐4211
 総領事 ティモシー・A・ベッツ
 Mr. Timothy A. BETTS