イラクで戦争を起こすつもりか! 自衛隊派兵延長に断固反対する!
−−国会で遊び半分の答弁に終始。国民をあざ笑い愚弄しながら侵略国家への道を進む小泉政治−−


【1】 撤回せよ!国民愚弄発言:「自衛隊が活動するところは非戦闘地域」 −−居座り続けてイラクで戦争を起こすつもりの小泉首相。
 歴史には、人々が何も分からないまま、自覚しないまま事態が深刻化していくことがよくあります。平和だと思っていたのにいつもまにか戦争へまっしぐらということが、気が付いたときにはもう遅いということが。そしてよくもまあこんなデタラメな指導者に付いていったものだ、なぜ早く気が付かなかったのかと。−−かつて日本の戦前・戦中がそうでした。

 しかしかつてこんなにタガが外れた政治が横行した時代はなかったのではないでしょうか。腐敗か堕落か。とにかく緊張感が切れてしまったかのようです。戦争か平和かの、国と国民の運命を決する重大な問題がおふざけとそれを批判も対決もしない状況が、政治やメディアの中で放任されているのです。自民党と公明党、与党の責任は言うまでもありません。国民の責任も免れません。しかしマスコミと野党の責任はもっと重大です。「純ちゃんブーム」「抵抗勢力」「構造改革」等々、まるでアイドルのような「コイズミ・ブーム」なる虚構へ世論誘導したのですから。そして今もなお小泉政治を真正面から批判しないどころか、尻尾を振って現状を追認しているだけなのですから。

「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」
10日の党首討論で。近藤卓資写す(毎日新聞)
(Yahoo!News より
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041111-00000006-maip-pol.view-000



 私たちが唖然としたのは次の一言です。11月10日、参院国家基本政策委員会で行われたイラクへの自衛隊派兵延長問題をめぐる党首討論で、民主党・岡田代表がイラク特措法で定める派兵要件の「非戦闘地域」の定義を聞いたのに対し、首相は「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と答えたのです。それも、4回も繰り返したのです。野党席からは怒号が飛びましたが、与党席からは失笑が漏れたといいます。それだけではありません。首相は、「文章を持っていればすぐ言う」と述べ、実は「非戦闘地域」の定義を知らなかったことを自ら暴露しました。この答えにはさすがに与党内からでさえ批判が出たのに、彼は翌日には、その答えが「いい発言だった」と自画自賛する始末です。自分の一言と対米従属政治がこの国と国民をどこへ引きずり込んでいくのか、その自覚は全くありません。
※党首討論 「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」 首相(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041111-00000006-maip-pol
※<小泉首相>「戦闘地域」答弁で、「適切だった」と自賛(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041111-00000100-mai-pol

 何の勉強もせず将来への想像力もない、ただ軽いだけの右翼志向の首相が、その場の雰囲気でアドリブで言ったのが、この発言なのです。何が何でも「撤退しない」と主張しているだけ。もはや詭弁や説明不足を通り越しています。国民をあざ笑い愚弄するとんでもない発言です。今後2年間選挙はない。野党も非力。やりたい放題やる。いくら国民を馬鹿にしても国民が選ぶのですから“馬の耳に念仏”になるのです。
 この論理では、ミサイルや迫撃砲、銃弾が雨霰と飛び交っても、「自衛隊がいる限りそこは非戦闘地域」になるし、イラク民衆を殺しても自衛隊員が殺されても「自衛隊がいる限りそこは非戦闘地域」、米軍と武装勢力が真正面から戦闘するファルージャに自衛隊が展開しても「自衛隊がいる限りそこは非戦闘地域」になるのです。(なぜ岡田代表はそこまで徹底追及しなかったのか!!彼と民主党の腰砕けがその甘い追及姿勢に出ている)

 小泉首相、自民党と公明党は、イラクで戦争をやりたいということなのです。サマワの治安が更にエスカレートして地元の武装勢力と戦闘するつもりなのです。おそらく戦闘が起こったら、余計に引けなくなるでしょう。なぜなら「テロに屈しない」と宣言しているからです。もはや国会での論戦、論理だけでは限界があります。野党が本気で政治的力関係を変えるため大衆運動を組織して自衛隊撤退を要求しなければ大変な事態になるでしょう。


【2】 なし崩し的に変わる派兵根拠。「人道復興支援」から「テロとの闘い」へ。
 皆さんはお気づきでしょうか。小泉首相は自衛隊派兵の根拠をこっそりと変更していることを。政府与党も、野党も、メディアも、半ばは知りながら、明確に批判的態度を取っていないために、変更の本当の怖さを知らず、国民に伝えようとはしていません。
 これまで首相や政府がほとんど唯一繰り返してきた派兵根拠は、「人道復興支援」です。実はこれそのものも隠れ蓑であり、アリバイなのですが、しかし最近、小泉首相の「本音」がストレートに語られ始めたのです。−−「対テロ戦争」がそれです。

 なし崩しの戦略転換です。国会や中央政治で何の議論もなしにです。先日、拘束され殺害された香田証生さんについての「内閣総理大臣声明」で明確に記述されました。「我が国は、引き続き、国際社会と協調し、イラクの人々のために自衛隊による人道復興支援を行っていくとともに、断固たる姿勢でテロとの闘いを継続してまいります。」(10月31日 内閣総理大臣声明http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2004/10/31seimei.html)と。

 初めに自衛隊の駐留ありき。派兵を延長するのか否か、言を左右することはあっても、首相の頭の中に撤退の「て」の字も、もはやあるとは思えません。陸自宿営地のコンテナをロケット弾が貫いた後も、衆院本会議で首相が答えたことは、「ただちにサマワ周辺が非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていない」。そしてファルージャへの米軍突入を前にイラク全土に傀儡政権首相アラウィが非常事態宣言を布告した後、首相が記者団に述べたことは、「(来年)1月の選挙を実現させようというイラク政府の考え方を妨害したいというテロリストとのせめぎ合いでしょう。(サマワが非戦闘地域であることに)変わりはありません。」等々。−−事態の深刻化に即した分析や対応はなし。そう、自衛隊を戦争に参戦させるのが狙い目だと言わんばかりに、衝突を今か今かと待ちわびているのです。
※サマワは戦闘地域ではない=小泉首相(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041108-00000996-jij-pol


【3】 「成功させないといけない」−−小泉首相が公然とファルージャ大虐殺を支持!
 ファルージャへ米軍が突入を開始した時の発言が周知のように「成功させないといけない」。ファルージャ制圧を支持するこの発言は、各国首脳の中でもいの一番に、米軍による罪なき住民の大量虐殺を肯定し支持した許し難い発言として日本とイラクの民衆の心に刻み込まれました。そしてこの虐殺支持発言を、あろうことか翌日の岡田民主党党首との党首会談で繰り返したのみならず、次のように開き直ったのです。曰く、「ファルージャの作戦は来年1月の選挙を控え、治安を回復するためにきわめて重要だ。失敗してもいいなんて言えるわけない。成功させないと、と言うのはいけないのか。」
※「成功させないといけない」=ファルージャ総攻撃、小泉首相が支持(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000218-jij-pol
※ファルージャ攻撃を支持 首相、治安回復し復興(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000102-kyodo-pol
※イラクからの自衛隊撤退要求強める=小泉首相の「対米追従」を批判−野党3党(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000320-jij-pol
※不安と戸惑いの声が交錯 首相の米攻撃支持発言(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000211-kyodo-pol

 さらにサマワが非戦闘地域であると断言した根拠を問われて、「戦闘が行われていない。だからこそ非戦闘地域である」とうそぶきました。非常事態宣言はイラク全土が戦場であることを端的に示したものであり、かつまた駐屯地にロケット弾が打ち込まれ死傷者が出ても何ら不思議でない事態になってもなおかつ「非戦闘地域」だと強弁するのです。一体どういう事態になれば「非戦闘地域」であると認定するのでしょう。

 オランダ軍は11月12日、改めて3月に撤退すると表明しました。米英の説得を振り切って1400名もの治安部隊をサマワから撤退させると決断したのです。日本政府は英軍に依頼しているようですが、英国内にも反戦世論は根強く、そこまで余裕があるのか分かりません。しかも英軍はイラク侵略に直接参戦しただけではなく、今回のファルージャ攻撃にも参加しているのです。英軍にサマワの治安維持を任せるというのは、非常に危険なことなのです。
 それとも小泉首相は、更に大きく踏み込んで、それこそ憲法が禁止する武力行使をやるために自衛隊を増派して「治安維持」に当たると言い出すかもしれません。否、そんなことも真剣に考えていないかもしれません。とにかくその場限りなのかも。一体誰が自衛隊を守るのかと岡田氏に突っ込まれて、こう答えています――「3月になってみなければはっきり言うことができない。今の時点で自衛隊は手を引けということが国造りに必死になっているイラク国民にどういうメッセージを与えるかということも私は考えている」と。(この彼の発言は逆です。自衛隊が撤退することが、イラク民衆自身の手になる本当の国造りに寄与することなのだといったことは、米主導の傀儡政権造りを支持する小泉にとって夢にも思えないのである)
※<オランダ>イラク・サマワから国軍を来年3月撤退(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041113-00000019-mai-int


【4】 期限切れを無視して陸自第6師団中核のイラク4次隊出発へ。派兵期間1年延長の既成事実化を強める政府・自民党・公明党。
 派兵延長問題が政治的焦点になっている中で、陸上自衛隊第六師団(司令部山形県東根市)を主軸とする第4次イラク派遣部隊の第1陣約200人が13日、宮城県の仙台空港からイラクへ向けて出発しました。部隊名は「第4次イラク復興支援群」で山形、福島、宮城の3県の隊員を中心に総勢約500人。同部隊は来年2月までの任期を前提に活動を始めるといいます。12月14日の期限切れなど無視して、来年2月までのスケジュールがすでに決まっているのです。こんな馬鹿な話はありません。
※戦乱のイラクへ出発 陸自4次隊、仙台空港から(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041113-00000083-kyodo-soci

 バスで仙台空港に向かう第4次イラク派遣部隊を見送る家族ら=13日午後、山形県東根市の神町駐屯地
(共同通信。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041113-00000083-kyodo-sociより


 すでに政府サイドは自衛隊のイラク派兵について、更に1年間の延長を盛り込んだ基本計画案を作成しています。公明党・神崎代表の10日の日本外国特派員協会での発言はそうした既成事実化の呼び水となっています。思えば昨年自衛隊派兵の露払い役を務めたのも公明党・神崎代表でした。今回またしてもそうした犯罪的役割を果たそうとするのです。神崎代表は「今の治安状況を見る限りは、引き続き自衛隊を派遣できる状況にあると認識している」と述べたのです。ここまで露骨に自衛隊の居座りに加担する、あるいは推進役を買って出る公明党はもはや自民党ばりの戦争党と言っても過言ではありません。
 それだけではありません。自民党の久間氏や加藤・古賀・亀井氏らが期限を区切った延長あるいは慎重対応を主張しているのに、動揺するなと言わんばかりに、神崎代表は自民党よりも先走って1年延長をぶち上げたのです。これまでの派遣の基本計画は1年間だったが、イラクでは来年12月に新憲法下の国民議会選挙があると指摘し、だから延長期間は1年間が望ましいと。戦争へ、戦争へと自民党を突き上げる公明党です。
※自衛隊派遣、延長なら1年間=神崎公明代表(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041110-00000525-jij-pol
※イラク派遣 自民・加藤紘ら3氏、首相に慎重対応求める(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000021-maip-pol
※延長期間短縮も検討対象 自衛隊派遣で久間氏(共同通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000100-kyodo-pol


【5】 イラク特措法廃止法案を支持する。ファルージャの大虐殺への加担に断固反対する。一刻も早く自衛隊を撤退させ住民虐殺への加担から手を引け!
 いずれにしても現在、イラクでの非常事態宣言、ファルージャ攻撃の中で、12月14日に期限切れを迎えるイラクの自衛隊の派兵期間を延長するかどうかが、後半国会の最大の政治的焦点になっています。
 こうした中で民主、共産、社民の野党三党は自衛隊を派遣している根拠法=イラク復興特別措置法の廃止法案を11日午後、衆院に共同提出しました。民主党の腰のふらつき、甘い追及姿勢はありますが、私たちは積極的にこれを支持します。与党は、「政治とカネ」の集中審議をやめさせる代わりに、同法の委員会での審議入りに同意する考えを野党に伝えました。もちろん与党は、採決し否決するか、採決せずに審議未了・廃案とする方針です。
 政府・与党は12月3日に今国会を終える予定です。そして期限切れの14日までこの延長問題をうやむやにしておき、国会閉会中のどさく紛れに、反対世論の盛り上がりや国会での論戦に肩すかしを食わせ、こそこそと延長を決定・実施するという姑息な手を使おうとしています。民主党と野党は廃止法案を提出し、論戦を政府に挑もうとした以上、自衛隊派兵反対、即時撤退を掲げて、大衆運動を組織して腰をふらつかせることなく徹底抗戦すべきです。
※<民主党>イラク派遣延長問題、後半国会の焦点に(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000001-mai-pol


12日サマワで「自衛隊はすぐに出て行け」と書かれた横断幕を先頭に約200人のイラク住民がデモ
(時事通信。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041113-02154654-jijp-int.view-001より)

 私たちは、香田さんの死に際して、サマワの自衛隊のポジションは大きく変質しつつあると述べました。ファルージャへの米英軍の侵攻と大量の住民虐殺、ますます凄惨・残酷になる米英軍の残虐さに応じて、米英軍指揮下の「有志連合軍」「多国籍軍」もまた極めて過酷な存在になっています。現に首相は虐殺に支持を与えています。「人道復興」や「イラクのため」などあれこれ取り繕っても、自衛隊は血塗られた侵略軍の一員なのです。更に「有志連合軍」「多国籍軍」に離脱と撤退が相次いでいます。執拗に最後までイラクに居座り残る自衛隊はだんだんと突出した存在になっているのです。−−自衛隊は二重の意味で目立つ存在に転化しつつあるのです。
小泉政権の香田さん見殺しを糾弾する!−−事態は全く新しい段階に。彼の死は私たちに何を警告したのか−−(署名事務局)

 小泉と政府は自衛隊をいつまで居座らせその軍事的プレゼンスを続けるつもりなのでしょう。ファルージャでの戦闘開始以降、イラク全土で反米・抗米抵抗闘争は激しさを増しています。地元の武装勢力による自衛隊宿営地への迫撃砲やミサイル攻撃も次第に本格的になっています。反米・抗米闘争の矛先はいつ自衛隊に向いてもおかしくないのです。現に11月12日、サマワでサドル派支持者らが「自衛隊はすぐに出て行け」という横断幕を掲げてデモ行進しました。
 いつまでも米に追随してイラクに居座り続ければ、イラク人民にとって自衛隊は、人民虐殺と弾圧の元凶であるブッシュの手先であるという性格がますます鮮明になるでしょう。ましてや直接イラク民衆を殺せばどんなことになるか。自衛隊がいつイラク民衆と殺し殺される戦闘に入っていくか予断は許されないのです。ただちに自衛隊は撤退すべきです。最悪の事態が起こる前に何としても派兵延長阻止を勝ち取りましょう。

2004年11月13日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局