[大江・岩波裁判全面勝利判決]
沖縄「集団自決」への日本軍の深い関わりを認定
教科書検定での軍強制削除の根拠が破綻、文科省は検定意見撤回を!

3月28日、大江・岩波裁判判決で大阪地裁は、「軍命」を虚偽として名誉毀損で訴えていた元戦隊長らの主張を退け、沖縄「集団自決」への日本軍の深い関わりを認定した。「日本軍がいたから『集団自決』は起きた」という決定的な事実を認めた。大江健三郎氏と岩波書店側の全面勝訴である。
※「集団自決」軍が関与 岩波・大江訴訟(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130599-storytopic-101.html
※元隊長の請求棄却/「集団自決」訴訟 軍命に真実相当性/大阪地裁「深く関わった」(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803281700_01.html
※軍関与を司法明言 元隊長、悔しい表情 沖縄ノート判決(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0328/OSK200803280051.html
※沖縄戦集団自決・損賠訴訟:「軍が関与」 元隊長らの請求棄却−−大阪地裁
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080328dde001040069000c.html

 判決は、手榴弾が軍から自決用に配られたとする多数の住民の証言を何よりも重視した。「集団自決」を「情報が漏れることを懸念した」日本軍の意図、スパイとして日本軍が住民を虐殺した事実などと関係づけた。そして集団自決が起きたすべての場所で日本軍が駐屯し、日本軍が駐屯していなかったところでは集団自決が発生しなかったという動かしがたい事実から、日本軍の深い関与を認めた。遺族年金を得るために「集団自決」軍命がねつ造されたなどという原告の主張はことごとく退けられた。
 判決は、「集団自決」軍強制を狭義の「戦隊長の命令があったかどうか」に矮小化して「集団自決」の事実そのものを否定しようとした歴史改ざん勢力の意図を打ち砕いた。「集団自決」は「軍官民共生共死」、沖縄の捨て石作戦、総動員態勢の徹底、日本軍の住民恐怖支配の中で捉えられなければならない。
 この大江・岩波裁判は、自由主義史観研究会ら歴史改ざん勢力が、「日本軍『慰安婦』」「南京大虐殺」に続いて「集団自決」をターゲットにし、文科省に教科書記述削除の圧力をかける目的に仕組まれたものである。教科書検定で、文科省が「集団自決」軍強制を否定した最大の根拠が崩れた。
 勝利判決の背景には、11万6千人が県民大会に結集するまでに盛り上がった沖縄の運動と新たに証言に立ち上がった体験者たちの存在がある。改めて沖縄の人々の思いを強く受け止め、文科省に検定意見撤回を要求していこう。

2008年3月29日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




[参考記事]
[投稿]9・29教科書検定撤回県民大会と沖縄「島ぐるみ」闘争
改めて戦争責任を追及する[シリーズその3]政府・文科省が沖縄戦「集団自決」の日本軍関与削除を強制