政府批判を封じるとんでもない悪法を次々と強行
共謀罪の審議再開、強行可決を許すな!
真実を隠す政府とメディア。まずは知ることから始めよう
◎子どもたちが危ない!教育基本法改悪案も国会上程の動き。
◎憲法改悪のための国民投票法の上程阻止を!


(1)無関心こそ小泉政権の思うつぼ。まずは3つの悪法−−共謀罪、教育基本法改悪案、国民投票法−−を知ることから始めよう
 昨年の小泉自民党の圧勝の恐ろしさがいよいよ本当になろうとしています。民主党が自滅し、政局が自民党と公明党の思うがままに進み始めた後半国会で、歴史的な悪法が次々と強行されようとしています。マス・メディアも政府与党とグルになるか、政府与党を恐れて、口をつぐんでいます。とにかく声を上げることが必要です。世論の力で与党やメディアに圧力をかけていかねばなりません。
 問題になるのは、3つの悪法−−共謀罪、教育基本法改悪案、国民投票法−−です。この3つの悪法の本当の恐さを、国民は全く知らされていません。無関心は小泉政権と与党の思うつぼです。ぜひこの3つの法律の強行に反対する声を一緒に上げましょう。


(2)ついに共謀罪の審議再開を強行−−「話し合った」だけで罪に。刑法の考え方を根底からひっくり返す危険
 4月21日、与党は衆議院法務委員会で、共謀罪(国会に出されている名前は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律」)の審議を強行し、与党修正案の趣旨説明まで行いました。この突然の審議再開は18日に理事会で突然提案し強引に多数決で可決したものです。与党側は更にまともな審議もなく4月28日にも衆院可決へ持ち込む強硬姿勢で、極めて緊迫した情勢になっています。

 この悪法は、619もの刑法の犯罪について「話し合った」というだけで罪とするという「共謀罪」を新設しようというとんでもない法律です。犯罪が行われなくても、話し合えば罪なのです。しかも「謀議」の認定は警察が好き勝手にできます。場合によっては目配せをしただけで「合意した」とされかねない法律なのです。おまけに「密告者」を免罪することで「密告」「スパイ」を奨励しています。こんな法律を許せば、政府や行政を批判する市民グループや民主団体を、証拠が何もなくても「共謀した」と罪をでっち上げることができるようになります。
 与党はすでにこれまでの国会で3回にわたって提案してきましたが、あまりにもひどい法律なので市民や弁護士などからの批判が強く成立させることができなかったのです。政府与党は、今後こそ有無を言わさず通そうと、強硬姿勢を前に出しています。与党が法案と一緒に提出する「修正案」も本質的な点では何一つ問題を解決せず、政府・警察の暴走に歯止めをかけられないものです。

 与党は、この重大な法案を25日、26日のわずか2日間だけ審議し、28日に採択、可決する方針です。これまで共謀罪に反対して運動してきた日弁連や様々な市民運動は緊迫する国会に向けて取り組みを強めています。4月25日、26日あたりに行動の山場を設定して反対集会が予定されています。これらの運動と力を合わせて共謀罪の強行可決に反対しましょう。


(3)教育基本法を巡っても情勢が緊迫−−「国家権力による教育の支配」の危険を知らそうとしない政府与党とメディア
 教育基本法改悪案もついに国会に提出される現実の危険が出てきました。自民、公明両党は13日の教育基本法改正検討会(大島理森座長)で、教育基本法改正案(「最終案」)をまとめました。自民党は文相経験者を集めて了承を取り付けたり、党内の合意をはかりながら28日の閣議で政府案を決定するように要求しています。教育基本法改悪法案が4月中にも国会に提出され、この国会で強引に成立させようとする動きが前に出てきました。
 マス・メディアは改正案で自民党が公明党に譲歩して改悪を若干抑制したかのように報じていますがとんでもありません。現行の教育基本法の根本目的を、一人一人の子ども個人の「人格の完成」をめざす教育から、時の国家権力の望み通りの「従順で忠実な子ども」に思想改造する教育へ、180度転換しようとするものなのです。

 第一に、国家権力による教育の支配の問題です。政府与党とマス・メディアは、この問題をあえて国民から隠そうとしています。現行の教育基本法は、戦前に子どもたちを侵略戦争に追いやった教育の反省、つまり「天皇陛下万歳」と言って、国家と天皇のために死ぬことを教えた間違った教育の反省から、第10条で「教育は、不当な支配に屈することなく」と、国家権力の教育への介入を厳しく禁止してきました。政府与党と右翼勢力はこの条項を撤廃しようと企んでいるのです。確かに、言葉としては残りましたが、「国民全体に対して直接に責任を負って行われるべき」は切り捨てられ、全く逆に「法律に基づき行われるべき」と規定されました。事実上、国家権力による教育の支配を法律化したのです。これは現行の教育のあり方を根本的にひっくり返すものです。国家権力がやりたい放題で教員や子どもの自主性や意見を押さえつけ、教える中身まで何から何まで法律によって強制するものです。
 時の国家権力、今なら小泉や自民党政府、文部省・文部官僚・自民党文教族や右翼勢力、そして財界が、自分達に都合のいい子どもを作ることを決めることができるという恐るべき法律です。その下で、子どもに教え込む「正義と責任」「公共心」「愛国心」などの「徳目」が教育の目標として新2条で羅列されています。

 第二に、「愛国心」問題です。今回それは「わが国と郷土を愛する」と表現されました。同じ事です。多義的な解釈でごまかそうとしていますが、単に言葉の問題ではないのです。何が「愛国」で、何が「愛国」でないのか。誰が「愛国民」で、誰が「非国民」なのか。それを誰が決めるのか。時の権力者が時の権力を愛するよう強制した時に何が起きたのか。それは戦前の天皇制軍国主義とアジア・太平洋戦争の暴走が何よりも実例でもって示しています。
 すなわち「愛国心」とは、国家権力やその打ち出す内外政策、特に軍事外交政策、今ならイラク戦争や自衛隊のイラク派兵、米軍のグローバルな軍事介入、米軍再編、在日米軍基地、日米共同軍事演習を「愛する」ことを指しています。そして自民党の政治家や右翼勢力、そして何よりも天皇制を指しているのです。これを「愛さない」のは、「非国民」になります。その証拠に「わが国と郷土を愛する」には「統治機関を指さない」と公明党が弁解しているほどです。でも、いったん法律になれば子どもへの「愛国心」の強制になることは火を見るよりも明らかです。

 4月末、あるいは連休明けに教育基本法改悪案が出てくる可能性が大きく、予断は許されません。しかし、与党案に対する批判と改悪反対の声を国会に集中することによって、何としても提出させない、提出されても可決させないようにしなければなりません。これまで改悪反対の運動の中心になってきた「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は4月末にかけて国会に対する集中した取り組みを提起し、26日には院内集会、反対声明を予定しています。全国連絡会や全国の運動と手を結んで何としても教基法改悪を阻止しましょう。


(4)国民投票法を巡る緊迫。メディアが隠そうとしている同法の本質−−言論弾圧法
 危険性は憲法改悪の最初の“突破口”である「国民投票法」についても同様です。与党は3月30日に衆議院憲法調査特別委員会理事懇談会で強引に法案についての「論点整理」に入り、毎週委員会で各党間の意見の違いを詰めています。
 自民党憲法調査会(船田元会長)は4月12日、昨年末の自民党案で反発の強かったメディア規制などを手直しした「改憲手続きに関する法律骨子」を確認しました。さらに18日に国民投票法に関する与党協議会を開き自公両党は自民党案に若干の修正を行い合意しました。
 その内容は、@メディア規制は緩和と言いながら「自主規制」、A投票権は公選法通りで20歳。B周知期間を伸ばして60−180日へ。CCMの1週間禁止。D公務員、教職員、外国人などに対する運動禁止と言うものです。

 ここでもメディアは本当の恐さを隠そうとしています。彼らは投票権の年齢ばかり取り上げていますが、「自主規制」という名の事実上のメディア規制が残っています。そして何よりも、公務員、教職員、外国人の運動を排除し、憲法改悪に対して反対できないようにして黙らせようとする点は全く変わっていません。私たちは声を大にして主張します。この法律は、憲法改悪に反対する自由な議論に罰則を加える“言論弾圧法”です。

 国民投票法は自公民の3党で法案を提出する約束です。今の局面で民主党は「国民投票法の必要性そのものは認めるが、今国会で決める必要はない」との態度を取っており、まだすぐには3党合意に持ち込めない状況にあります。民主党が小沢執行部の下で自民党との対決色を前に出せば、まだまだ法案化を阻止できる可能性が大きいのです。反対の声を集中することで、法案化そのものを食い止めましょう。


(5)3つの悪法は一つのもの−−政府批判を封じ、侵略と海外派兵、言論弾圧と人権蹂躙、強権支配と警察国家化の道へ
 3つの悪法は一つのものです。それらは、一体となって政府批判を封じるためのものなのです。憲法改悪は、9条を捨てて米軍とともに侵略と海外派兵を世界中で自由自在にできるようにするためのものであり、基本的人権を事実上投げ捨てて、国民に数多くの「義務」を強制するためのものです。もちろん天皇制の押し付けも強化されるでしょう。言論弾圧の「国民投票法」は、まさに憲法違反の法律です。共謀罪は、これまでの刑法の根本原則である「行為」を罰するものから、「話し合い」や「思想」までをも罰するという、戦前の「治安維持法」にも似た非常に恐ろしいものです。すでにイラク反戦運動の中で、ビラ配りだけで逮捕者が出るという今日の状況が更に悪化し、強権支配と警察国家化に道を開くものです。

 教育基本法の改悪は、すでにその布石が、石原都政と石原教育行政の下で、日の丸・君が代の強制と教職員に対する処罰の乱用となって現実のものになっています。同様のことは、自殺者が続出する広島県でも起こっています。政府・文科省の差別選別教育についても、すでに戦後教育の最重要原則である「機会均等」を投げ捨てる“格差教育”が跋扈しており、教育基本法が改悪されるならば、今後更に一層、貧富の格差、「格差社会」を生み出す原動力となっていくでしょう。

 3つの悪法の上程そのもの、審議そのものを阻止するために全力をあげて取り組みましょう。自民党執行部はまだ延長なしの成立に自信を持っていません。カギは反対世論を作ることです。まずは知ることから始めましょう。メディアに働き掛けましょう。知り合いに知らせましょう。国会議員への働きかけ、自民党への抗議、公明党議員への揺さぶり等々さまざまな取り組みを行いましょう。

2006年4月22日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




====3つの悪法に反対する緊急行動提起====

<共謀罪審議再開反対、採決強行阻止>

■学習連続講座に参加しましょう。
◎5月7日 私たち署名事務局主催の学習講座:“憲法と教育基本法改悪に反対する連続講座”
「共謀罪が危ない! 差し迫る国会成立の危機」(講師 永嶋弁護士)
・私たちの連続講座からも反対の声を上げたいと思いますので是非ご参集ください。

■署名活動、ビラまきをしましょう。
◎与党は4月28日の採決を目論んでいます。それまでに取り組を行うことが重要になります。街頭や自分の周辺で反対のビラまきや署名行動に取り組みましょう。
◎また「共謀罪反対の国際署名」が広範に取り組まれています。可能な方は是非ご協力ください。(集約は5月7日までとします)。

この「署名」は2つあります。以下からからダウンロードできます。
@共謀罪の新設に反対する請願署名 http://tochoho.jca.apc.org/ut/kyzhnsym_v2.pdf
A共謀罪新設反対国際共同署名 http://www.kyoubouzai-hantai.org/#kokkai

このほか、詳しい情報は以下のサイトをご覧ください。

●保坂展人議員の「どこどこ日記」
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/c70cefff055ca9475d3f5d9ca168f2bd

●盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会
http://tochoho.jca.apc.org/

●共謀罪新設反対国際共同署名
http://www.kyoubouzai-hantai.org/#kokkai

■国会に向けて行われる緊急の行動提起、集会などに参加しましょう。
◎4月25日(火)「改憲と共謀罪に反対する集い」午後6時半〜東京弁護士会館2階講堂クレオ (地下鉄丸ノ内線「霞ヶ関」駅B1出口すぐ)/主催:憲法と人権の日弁連をめざす会
◎4月26日(水)「共謀罪」に反対する!超党派国会議員と市民の緊急院内集会 午後4時〜5時 参議院議員会館 第三・四会議室 (地下鉄永田町駅・国会議事堂駅そば 入り口で通行証をお配りいたします)
◎4月26日(水)「共謀罪に反対する大集会」午後6時〜 弁護士会館2階講堂クレオ (地下鉄丸ノ内線「霞ヶ関」駅B1出口すぐ)/主催:日本弁護士連合会
◎4月26日(水)「共謀罪法案・未決拘禁法案を考える市民・弁護士のつどい」午後6時30分〜8時30分「アピオ大阪」(大阪市労働会館)小ホール/大阪弁護士会主催
 そのほかに4月25日から国会前ではハンストなども行われています。

■自民党、公明党、衆議院法務委員会委員長などに共謀罪強行採決反対の声をメール・FAX・電話で伝えよう。
◎自由民主党 TEL:03-3581-6211 (代)/ http://www.jimin.jp/jimin/main/mono.html投稿ページ
◎公明党TEL:03-3353-0111/FAX:03-3225-0207(公明新聞「ファクシミリ通信」)
WEBサイト投稿ページ:http://www.komei.or.jp/announcement.html
◎衆議院法務委員会委員長 石原伸晃 FAX 03-3593-7101 nobuteru@nobuteru.or.jp
 更に衆議院法務委員会委員のアドレスがhttp://tochoho.jca.apc.org/ut/syghm.htmlにあります


<教育基本法改悪案上程阻止>

■学習連続講座に参加しましょう。
◎連続講座第4回(6月4日)は冠木弁護士の講演を予定していましたが、教育基本法に関しても予断を許さないほど情勢が緊迫していましたので、当初の予定を順延し、第4回は「教育基本法改悪反対」で講座を持ちたいと思います。これも是非ご参加ください。

■国会行動に参加しましょう。
◎教育基本法・憲法の改悪をとめよう!4・26院内集会
 午後3時半〜午後4時45分 /衆院第1議員会館 第4集会室
 発言:国会議員、大内裕和・小森陽一・高橋哲哉・三宅晶子、その他
・「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は4月26日に国会で院内集会を開き、「最終案」に対する批判の声明を出します。私たちも教育基本法改悪案に対する批判を強めなければなりません。

※教育基本法の改革をとめよう全国連絡会のウェブに国会議員の連絡先リストがあります。
 http://www.kyokiren.net/_action/giin_yosei