緊迫するイラク情勢と日本の反戦運動の緊急課題
○米軍はファルージャ、ナジャフへの再突入をやめろ! イラク民衆の大量虐殺を直ちにやめろ!
○米はイラク占領=植民地化をやめ即時無条件に撤退せよ!
○沖縄海兵隊によるファルージャ大虐殺を糾弾する! 小泉政権は自衛隊を即刻撤退させよ!
○イラク民衆の反米・反占領レジスタンス闘争を支持する!
○ブッシュによるシャロンの暗殺作戦支持、占領政策支持を糾弾する!

4月27日、ファルージャで、米海兵隊がレジスタンス勢力に激しい攻撃を再開した。(ロイターより)

T.はじめに−−ファルージャ、ナジャフへの米軍の再突入を阻止せよ! これ以上の大量虐殺を何としても防げ!

(1) 包囲されたスンニ派の拠点ファルージャ、そしてシーア派の拠点ナジャフへの米軍の再突入が差し迫っている。4月11日からかろうじて続いているファルージャの「停戦」が破棄される危険性が高まっている。新しい「停戦」交渉の期限は27日までである。

 米軍は、再突入をするかしないか、極めて難しい土壇場の選択を迫られている。これまでのところは味方の出血を恐れ躊躇してきたのだが、このままでは米軍の士気が保てなくなったのか、はっきりと焦り始めている。イラク駐留米軍のキミット准将は4月22日、ファルージャを防衛する武装した住民たちに重火器の引き渡しと全面降伏を要求してきたが、住民たちが戦う姿勢を崩さないため、攻撃再開を示唆した。ラムズフェルド国防長官は20日、「停戦は長くは続かない」と「停戦」の延長を冷笑した。既に22日には米軍による攻撃が始まり出している。
 というよりそもそも「停戦」は米軍側の勝手な言い方であり、米軍は「停戦」など守ってはいない。「停戦」中もファルージャの包囲をやめず、襲撃と挑発を繰り返し、逆に軍を増派し次の攻撃を準備するために利用しているだけである。彼らはスンニ派の武装部隊を徹底的に殲滅するつもりであり、そのために住民がどうなってもかまわないと考えている。ファルージャ再攻撃は必至の情勢にある。ナジャフもどうなるか分からない。

 これに対してスンニ派指導者は23日、もし米軍がファルージャに突入すれば、「イラク全土で人民が蜂起するであろう」「イラクの北から南、東から西、イラク中がファルージャになるだろう」と警告した。中部カルバラでも中心部の市庁舎で米軍とサドル師のマハディ軍とが激突した。ナジャフでも再び緊張が高まっている。サドル師は、もし米軍がナジャフに突入し、同師を殺害あるいは逮捕する動きを見せれば「配下の者が自爆攻撃によって報復するだろう」と警告した。

(2) ファルージャとナジャフが決戦の拠点になっている。ファルージャはすでに反米反占領の全イラクの拠点になってきた。サドル師はシーア派が大勢居住するナジャフに籠城し拠点化を始めた。米軍は、ファルージャを3000人の海兵隊で包囲し、イスラム教の聖地ナジャフも2500人の米兵で包囲し、屈服しなければ武力で鎮圧する構えを見せながら民衆と今なお対峙している。中・南部の各都市では、いつ何時、大規模な衝突が起こってもおかしくない状況にある。

 もし米軍とイラク民衆が激突すれば、多大な犠牲者が出るのは必至である。第二の大虐殺は避けられないだろう。サマワも例外ではない。私たち日本の反戦運動に緊急の差し迫った3つの課題が突き付けられている。
−−全世界の反戦運動と連帯して、始まろうとしているファルージャとナジャフでの米軍の蛮行を人々に知らせ何が何でも阻止しなければならない。
−−ファルージャの大虐殺の主力部隊は沖縄海兵隊である。ほとんど争点にされていないこの事実を徹底的に暴露しなければならない。
−−スペイン軍の撤退で始まった「撤退ドミノ」に続くこと、自衛隊撤退を勝ち取り、米英の占領支配体制に致命的打撃を与えねばならない。
 
 私たちは、イラク各地で殺戮を繰り広げる米英軍・占領軍を満身の怒りを込めて糾弾する!全責任は、石油資源の略奪と中東地域と世界の覇権のため今なおイラクを植民地のように占領する米軍・占領軍にある。そして「有志連合」の最有力の一角をなす日本にある。
 ファルージャやナジャフで大虐殺を始めさせてはならない。反米・反占領の民族解放闘争、人民蜂起に立ち上がったイラク民衆を断固支持し、彼らを米軍の攻撃と虐殺から守り抜くこと、それが世界と日本の反戦運動の責務である。ファルージャ、ナジャフの虐殺をやめろ!沖縄海兵隊=在日米軍基地の加担を暴け!自衛隊は撤退せよ!これらのスローガンを掲げて取り組みを強めよう。

(3) スンニ派住民30万人が住むファルージャは4月6日からの米軍の攻撃によって、たった1週間で600人、700人もの住民が虐殺された。負傷者は1500人とも2000人とも言われている。まさにベトナムのソンミやパレスチナのジェニンを超える無差別大量虐殺である。これが第一級の戦争犯罪と言わずして何と言おうか。

 米中央軍のキミット准将は、武装勢力を殺したと言うが、実際に殺されているのは大半が子どもや女性など非武装の一般住民だ。現地の医療従事者やNGOの報告では、子どもが少なくとも百人、女性が百数十人殺されたと言われている。アルジャジーラ英語版ですでに世界中にこの凄惨な映像が発信された。4月8日、侵攻した米海兵隊がモスクを攻撃、中に居た40人以上の住民が殺戮された。モスクを破壊するとはどういうことか。その前日7日には、人口密集地帯への米軍の爆撃によって子供多数を含む52人が死亡し100人を越える負傷者が出た。またこれとは別に、米地上軍との交戦で住民36人が死亡したと現地の医師は伝えている。

 米軍はファルージャ市街地に侵攻し、反撃してくるものを徹底的に殲滅する作戦をとった。歩兵部隊が徹底的に叩くだけでなく、戦闘機や攻撃ヘリでそこら中の民家や建物を破壊し抵抗部隊もろともせん滅したのだ。動くものは何でも戦車や装甲車で砲撃した。さらに米軍は病院さえ破壊し、臨時の診療所に向かう道を封鎖し近づく救急車を攻撃し、乗っている救急スタッフや患者を射撃している。まるでゲームをするようにスナイパーが住民を狙い撃ちにしている。人々は病院にすら行けずに死んでいる。サッカー場の臨時の埋葬地は一杯になり、民家の前に家族の遺体を埋めている。ファルージャの米軍支配地域では、自宅の玄関前で米軍の狙撃兵に撃ち殺された一般住民の死体が何日も放置されていると報告されている。まさに“地獄絵”だ。そして後述するように、この虐殺部隊の主力が沖縄の海兵隊なのである。

(4) イラク情勢は4月初め劇的に変化した。フセイン政権崩壊の1周年を迎える前後である。これまで米英占領支配に単独で熾烈な闘いを挑んできたスンニ派に加えて、シーア派の若いサドル師率いるマハディ軍が加わり、イラク国内の軍事的力関係が劇的に変化したからである。イラク国民の3分の2を占めるシーア派とスンニ派が、歴史的な反米反帝反占領の統一戦線を組み、一斉に武装蜂起したのである。それは“人民蜂起”の様相を呈した。クルド人を除くイラク国民の大多数が反米・反占領の民族解放闘争、民族解放の武装闘争に立ち上がったのだ。一方でシーア派の懐柔・抱き込み、他方でスンニ派の弾圧・孤立化−−かろうじて均衡を維持してきたこのイラク国内の力関係が根本的に変化した。
 米英によるイラク占領体制=植民地支配は根底から動揺し急速に崩れ始めた。ブッシュ政権はあくまでもイラク植民地を死守しようとして、これら蜂起したイラク人民を軍事力で鎮圧し、イラクを血の海に沈めようとしている。

(5) ファルージャの戦い、ナジャフの戦いが、イラク情勢の帰趨を決すると同時に、米大統領選の帰趨をも、さらにはアメリカ帝国主義の軍事覇権の帰趨をも決する決定的に重要な、現在と当面する世界情勢の核心中の核心になりつつある。ファルージャとナジャフ、この2つの都市での米軍とスンニ派・シーア派、イラク民衆との戦いが世界情勢の最前線に浮上している。この緊迫化するイラク情勢は、強固な岩盤の上にあるかに見える日本政治と小泉政権にも間違いなくはね返るだろう。



U.米軍による凄惨なせん滅作戦、大量虐殺。ファルージャとナジャフの人民蜂起と新たな段階に入った反米・反占領の民族解放闘争。


ファルージャ市内のサッカー場の墓標の前にうずくまって泣く犠牲者の遺族
(1) 4月初め米占領当局は、イラクに対する占領政策、軍事的・政治的方針の“大転換”を行った。6月末が期限の「主権委譲」を前に、イラク国内の反米レジスタンス運動のせん滅作戦を展開すると決定したのである。一つは、スンニ派トライアングルの中の最も強硬な反米武装勢力に対する壊滅方針。もう一つは、シーア派の中の反米強硬派であるサドル師とハマディ軍の壊滅方針の決定である。これが今日の全面的な戦争状態激化の直接的な原因である。言うまでもなく、ファルージャでの米傭兵惨殺への報復は口実に過ぎない。

(2) 米の占領政策の転換によって、ファルージャがスンニ派の反米レジスタンス闘争の決戦場に急浮上した。これまでスンニ派勢力は、ファルージャ、ラマディ、サマラ、ティクリット等、スンニ派トライアングルと呼ばれる地帯で、米軍の掃討作戦に対して頑強に抵抗してきた。今回の米軍のファルージャ包囲・攻撃・虐殺に対して、スンニ派武装勢力はファルージャ防衛のために総結集し闘争態勢を構築するとともに、各地で米軍に対する攻撃を激化させている。

 このスンニ派トライアングル地域における米軍の掃討作戦は凄まじく、多くの村々では罪なき住民が連行され、監獄に放り込まれている。抵抗勢力の拠点と疑われた村全体を包囲し、徹底した監視下においた。また抵抗に対する見せしめとして殺害し、畑・家屋を破壊した。そのような無法で残虐なやり方がさらに住民に怒りをかき立て、米軍に対する抵抗運動が忍耐強く持続し今日に至っている。現在ファルージャで頑強に抵抗しているのは、これら民衆と堅く結びついたレジスタンスである。米軍は、何かあればテロリストやアルカイダを持ち出すが、地理的条件を熟知し、住民の支持と支援を受けているのでなければ、このように長期に渡る頑強な抵抗闘争を行うことはできない。闘争主体は住民である。住民自身が武器を持って米兵と対峙しているのだ。

(3) もう一つの大きな特徴は、シーア派のサドル師支持者と米軍が全面的な戦闘局面に入ったことである。3月末に米軍はシーア派サドル師に対する挑発を開始した。機関紙の発行禁止、側近の逮捕、サドル氏への逮捕状、挙げ句の果ては殺害通告等々。
 イラクの中・南部ではこの米軍の挑発に対して多数の地点で同時多発的に抗議行動が組織された。この抗議行動を自衛するサドル師民兵マハディ軍に米軍が挑発する形で、クート、ナジャフ、アマラなどの各都市で占領軍との大規模な衝突が発生、多数の民間人が死亡した。更に南部のバスラ、ナシリアでも大規模な抗議行動と戦闘、武装勢力による警察などの施設占拠が起こった。米軍だけでなく、バスラ周辺の英軍、イタリア軍、スペイン軍やエルサドバドル軍なども一時都市中心から撤退を余儀なくされ、死傷者が出た。

(4) スンニ派・シーア派の一斉蜂起は、占領軍を恐怖に陥れた。4月4日、占領軍の拠点である首都バグダットのサドル・シティーにおける米軍とサドル師支持者との大規模交戦は、暫定行政当局(CPA)を震撼させた。同日、南部ナジャフではサドル支持者はスペイン軍とも交戦した。4月6日にはファルージャを封鎖した米軍とスンニ派武装組織とが交戦、6日にはナシリアでマハディ軍がイタリア軍と、アマラでは英軍とも交戦し、5日にはサドル支持者らがバスラで市庁舎を占拠した。抗議デモと米軍・占領軍との衝突、検問所での無差別な民衆殺戮、掃討作戦、モスク、人家への無差別攻撃等々、米軍・占領軍による民衆弾圧と大量殺戮が、これへの武装抵抗がイラク全土で繰り広げられた。

 これらの闘いがどこまで組織されたものかどうかは分からない。しかしシーア派・スンニ派が同時に決起した“一斉武装蜂起”、多数の人民に支持された“人民蜂起”であったことは確かである。一斉武装蜂起は、昨年のフセイン政権崩壊後初めてである。ファルージャへの医療・食料支援にはバグダッドからスンニ派・シーア派を超えた支援団が送られた。両派合同の礼拝が行われ、共同で米軍への抵抗を呼びかけている。スンニ派とシーア派の一部との間に暫定的で緩やかな統一戦線が作られ、連携して闘争が行われている。ファルージャでの米の残虐行為が、アラブ民族主義を燃え上がらせたのである。「我々は一つの民族」という主張が出始めている。

 きっかけは米軍による米軍の傭兵の惨殺への報復であるかもしれない。しかし本当の目的は、暫定行政当局(CPA)と駐留米軍が、日程が差し迫った「主権委譲」にせき立てられたことにある。言うまでもなくブッシュの再選のためだ。そこで占領軍は、ごく一握りの「過激派」を掃討すれば万事うまく行くと思いこんで、一気にせん滅作戦に打って出たのである。侵略者、植民地主義者の思い上がりと過信である。

(5) イラクのレジスタンス勢力が日本の5人の人質を含め、「有志連合」各国の人質を取る新しい戦術に出たのは、こうしたファルージャでの米軍の包囲・攻撃と住民虐殺、米軍の蛮行を世界中に訴えるため、米に譲歩を迫るためであった。近代兵器も重火器も持たぬファルージャとその周辺の住民は、圧倒的な攻撃力・破壊力・殺戮手段を持つ米軍の攻撃を止めるために、あらゆる手段を取ることを余儀なくされたのだ。これは住民の自衛措置である。

 日本人が人質になった直接のきっかけもファルージャの包囲・攻撃であったし、その人質の解放が遅れたのも米のファルージャ包囲のせいであった。ところが小泉首相は虐殺を世界に訴えようとした彼らをテロリストと呼び、彼らの怒りを買った。「米軍増派支持」を表明し、米軍のファルージャ包囲と虐殺を支持した。断じて許せないことである。5人の人質がイラクの人々のために仕事をしていることを知って解放した彼らと、占領軍に刃向かうものはおろか、何の関係もない子どもや女性を無差別に何百人も殺したあげくそれをあろうことか“戦果”と誇る極悪非道の米軍と、どちらがテロリストなのか。



V.イラクでの「米軍の過剰展開」問題と軍事占領体制の危機。

(1) 私たちの予想を超えたことが起こっている。米兵がファルージャにおいて、イラク戦争において初めの本格的な“市街戦”に直面しているのである。包囲され余儀なくされての自衛措置とは言え、ファルージャの多くの住民が武器を取って米軍の侵攻に立ち向かっているのだ。昨年の4月のバグダッド陥落の際にはバース党指導部と軍が市街戦を避けて逃亡し自滅したために、米軍は都市部での本格的な市街戦を経験していない。それが1年後の今、私たちの目の前で繰り広げられているのである。

 ナジャフ、ナシリア等々でも、サドル師の民兵が大衆の支持を背景に、米軍と激しい市街戦を行った。ナジャフやナシリアでは、米軍は交戦の中で一時撤退したという。個々の戦闘で敗北した可能性がある。また中部から西部への幹線道路、中部から南部への幹線道路を、武装レジスタンス側が支配している、少なくとも米軍が全一支配できていない可能性が指摘されている。米軍・「有志連合」軍の兵站ルートが脅かされているのである。

(2) 市街戦の激烈さは、軍事的に圧倒的優位にあるはずの米軍の犠牲者数に集中的に現れている。何と4月に入ってからの米兵の死者が100人を超えたのである。これはイラク戦争が始まって以来最も多い犠牲者であり、バグダッド攻略までの開戦時にさえ経験したことのない数字である。しかも、戦死者の内容は、昨年5月から激化したRPGや手製爆弾を使ったヒットエンドランのこれまでの“待ち伏せ攻撃”によるものから一変した。戦闘での死者が続出しているのだ。

 ワシントン・ポストによれば100人の戦死者のうち47人がファルージャで戦死した海兵隊員である。その他の戦死者も各地での戦闘の死者となっている。イラク民衆の頑強な抵抗が、攻撃する米軍の側に大量の出血を迫っているのだ。開戦時には百数十人の米軍の戦死者で数万のイラク兵と住民を殺した数字になる。バグダッド攻略は圧倒的な空爆と重武装の地上部隊によって破壊の限りを尽くすことで、自軍の犠牲を最小限に抑えることができた。

 しかし、市街戦は様相が異なる。歩兵部隊が近接するため、クラスター爆弾や大規模砲撃で前方を広域に破壊してから進むわけにはいかない。一つ一つ相手をピンポイントで潰していかなければならない。今や死者の比率は100人対1000人(戦闘部隊に限れば数百人)になっている。米軍は極めて犠牲の多い、これまで経験したこともないような本格的な市街戦を強いられているのである。ファルージャやナジャフへこれまでのところ突入できないのは、突入すれば米軍側に相当の甚大な犠牲が出ることを恐れていることが最大の理由である。
※もちろん米軍はクラスター爆弾を使っている。だが開戦時のように大量に使用すれば味方に被害を与える危険がある。今クラスター爆弾を使っているのは、市街戦でというより殺戮と破壊だけを目的にしている地域だと推測される。

(3) 更に幾つかの条件が米軍の予想を超えた“不利”となって現れている。ファルージャがイラクレジスタンス闘争のシンボルとなり、サドル派が各地で武装蜂起による抵抗を行ったことで、米軍は二正面作戦を余儀なくされることとなった。
 「これまで、同盟軍部隊との衝突の約60%は、イラクのスンニ派の中心地で発生した。しかしナジャフ、バグダット、アマラ、そしてナシリアでの武力衝突は、第二の局面の始まりの合図となるかもしれない。それは、米軍が、イラクの中央から北部に位置するスンニ過激派とシーア派民兵との二正面戦争に直面することを意味する。」
※“Phase U of the Anti-Occupation Revolt Begins” by Juan Cole April 5,04
http://www.antiwar.com/cole/?articleid=2246

 この二正面作戦が、米軍・占領軍の軍事態勢を危機に陥れ始めた。戦闘地域がバグダットとその北西地域だけの段階から、中・南部を含む広大な範囲に一気に拡大したからである。またスンニ派対占領軍の構図が、イラク民衆全体対占領軍へと大きく拡大し様変わりしたからである。

 これまでスンニ派の北西部に重点的に兵力を配備するだけだった米軍にとって、イラク中部と南部に新たな戦線を抱えることは、限界を超えることである。米軍自身、ファルージャとナジャフへ小兵力しか投入できない状況にある。現在ファルージャ3000人、ナジャフ2500人でしかない。しかしこの過小兵力が残虐さ、大量虐殺を生み出している。過小兵力で鎮圧しようと米軍は戦闘機や戦車や攻撃ヘリなどの圧倒的火力を使って、住民もろとも皆殺しているのである。

 これによって13万5千人とも言われている現在のイラク駐留米軍を行く行くは10万人程度まで縮小するというシナリオは破綻した。これまで、世界的規模で問題視されてきた米軍の「伸びすぎ」(オーバー・ストレッチ)問題、兵力不足問題が、今度はイラク国内で顕在化することとなったのである。
 すでに13万5千人体制を維持するために、4月に帰国予定の第1機甲師団や第2機甲連隊、州兵部隊などの帰国を3ヶ月延期した。かろうじて表向きだけ人数を維持しているに過ぎない。士気の低下や家族や米国内からの批判や不満は避けられないだろう。7月までに更に2万人の部隊を増派すると言うが、メドはまだ立っていない。

 1年前のイラク侵略自体が過小兵力で断行し、その後も占領・治安維持を過小兵力で賄ってきたため、現場兵士の士気が急速に低下している。多数の犠牲者と劣化ウラン弾が一因と思われる原因不明の奇病や自殺の増加など、さらに兵力が低下している。米ソ冷戦が終焉して以降、兵力の大幅削減の下で世界中に「過剰展開」したアメリカ帝国主義の支配維持、権益と勢力圏維持のため世界中にその過小兵力を投入したために「戦線が伸び切った」。ところが今さらに「イラク戦線も伸び切った」のである。ブッシュ冒険主義のしわ寄せをイラクの現場兵士が一身に背負う格好になっているのだ。



W.スペイン軍を引き金とする“撤退ドミノ”とイラク占領体制の崩壊状況。

(1) この米軍の兵力不足問題に輪をかけているのが、「有志連合」軍の崩壊と亀裂である。社会労働党のサパテロ首相が就任してすぐにスペイン軍が撤退を表明し、交代要員を補充しないという形ですでに撤退を開始した。ブッシュと「有志連合」軍が最も恐れていたことが現実のものになったのだ。“撤退ドミノ”が広がり、イラク占領体制が音を立ててきしみ始めた。

 首都バグダッドとスンニ派トライアングルにおける激突の下での、スペイン軍撤退を引き金とする占領軍体制のドミノ的崩壊は米軍にとって致命的な打撃である。これを補完し巻き返そうと、ブッシュは「有志連合」各国に撤退を思いとどまらせるだけではなく、追加派兵・増派を要求しているが、思惑通りには進んでいない。
 米軍がたちまちその穴埋めをせざるを得なくなっている。しかし中部に生じた約2000人の穴は当座は米兵が埋めるが、7月以降どうするのか、全く見通しはない。当初米は、国連を巻き込むことで「主権委譲」後も各国に派兵を継続させ、更に新たな派兵を求める戦略であったが、容易に派兵・増派に応じる国は見つかりそうにない状況にある。今や「有志連合」各国がイラクにおける全面的な武装蜂起や戦闘を不可避と見なし、それに巻き込まれるのを嫌って撤退しようとしているのである。米軍が一方的に始めた侵略戦争で、米軍に代わって矢面に立たされるのはごめんなのである。

 今や中・南部のイラク全域への衝突拡大によって、米軍だけではなく、イラクに駐留する「有志連合」各国の軍隊が住民と対峙する事態となっている。エルサルバドル軍、ウクライナ軍の兵士が住民との衝突において死亡した。ポーランド軍、スペイン軍、オランダ軍も住民に銃を向け住民と対峙している。このまま住民と敵対し、泥沼化するイラクに関与し続けるのか、各国政府の姿勢が問われている。自衛隊を派兵した日本政府も例外ではない。

(2) イラク占領は軍事占領であるが故に、その軍事力の根幹がどうなるかが決定的である。イラクの軍事支配は、a)首都・北部の米軍、b)中部のポーランド軍、スペイン軍、c)南部の英軍、オランダ軍からなる。上述したように、a)は米軍の「過剰展開」、兵力不足で根底から揺らいでいる。

−−b)の一角の崩壊。スペイン軍の撤退はスペイン軍指揮下のホンジュラスやドミニカなど中南米の小国の軍隊の撤退のドミノを引き起こしている。同時にポーランド軍にも動揺が走り、まだ撤退を表明するには至っていないが、スペイン軍の撤退の穴を埋めるための増派には応じられないと米側に釘を刺した。ポーランドではイラク駐留反対世論が多数になったため、大統領が米の大量破壊兵器のでっち上げを非難する発言をして物議を醸す事態に至っている。

−−c)にも衝撃が走っている。英軍はバスラで住民を殺害し弾圧する動きを強めている。しかしその一方で、米軍のファルージャなどでの残虐な皆殺し作戦のやり方を批判する動きが出始めている。英国軍の幾人かの現地司令官が米軍の戦線拡大と軍事作戦を批判した。
 米は英に追加派兵を要求しているが、それをめぐってブレア政権内部、与党内部、英軍内部で、どこまでイラクの泥沼化に追随するのか、懐疑と批判が再浮上している。

 サマワでも情勢が急変している。サドル師支持デモ、反米デモが起こり、衝突事件が頻発し始めている。治安維持を担うオランダ軍が住民に発砲し殺害する事件も起こった。オランダ軍陣地への迫撃砲攻撃も起こっている。それより先にも自衛隊陣地への迫撃砲撃ち込みがあった。これまで比較的平穏だったサマワでも状況は緊迫化し始めている。

(3) 兵力不足を補うために米軍は多数の“傭兵”をかき集めている。その数は2万人とも、3万人とも言われる。イラクでは何と“傭兵”が米軍に次ぐ「第2の戦闘部隊」となっているほど依存を強めているのだ。
 米がファルージャ攻撃の口実とする、あの殺された米の民間人4人も、実は「米民間人」や「請負業者」などではなく、多くのマス・メディアがほとんど報道しなかったが、“傭兵”という名の米の正規軍と同じ占領軍兵士であったのである。輸送を防護する「警備会社」に属する“私兵”“傭兵”であったと言われるが、特殊任務に就いていたという情報もある。4人はかつて海軍特殊部隊SEALに所属していた。彼ら“傭兵”は、米軍の兵站部門を担当する民間業者に雇用されたり、進出した多国籍企業要員の安全確保など、米軍が担ってきた役割を代替しているのである。驚くべきことに、彼らは日本政府にも雇われ、サマワの駐屯地や市街地で自衛隊や政府派遣要員の護衛の任についているという。
 
 彼らの多くは常に武装し、何の法的根拠もないためジュネーブ条約に縛られず、自由自在にイラク民衆を殺戮できる。“傭兵”の多くが元々チリや南アで残虐行為に手を染めてきた各国の特殊部隊出身者であり、カネ目当てでイラクに集まっている「戦争の犬」である。人殺しを続けてきたこのような“傭兵”が大量虐殺に加わっているため、イラク民衆の怒りと憎悪の対象になっているのである。

 このように米軍はイラクにおける兵力不足を補うために兵士まで「民間」に委託している。米軍による「戦争の民営化」の最もどす黒い闇の部分である。彼らは死んでも戦死者にカウントされず、米軍にとって便利な“私兵”なのである。現地の人々が彼らを米軍と同一視し攻撃しても何も不思議もない。ファルージャの民衆による“傭兵”の惨殺が示しているのは、米軍がファルージャの一般大衆にどれほど憎まれているか、占領支配への反感と憤激がどれほど大きいかと言うことである。
※参考 「イラク戦争被害の記録」3月14日“アメリカの請負業者はイラクでの警護のため、チリで新兵を集めている。”



X.破綻した「主権委譲」の虚構。公然と軍事占領体制継続を主張し始めたブッシュ政権。

(1) 「権力委譲」後に国内治安の矢面に立たせるつもりで再建してきたイラク軍は、事実上崩壊した。当初米軍は3万5千人のイラク軍の再建を計画したが、占領軍に奉仕する新「イラク軍」に応募したのはわずか5000人に過ぎなかった。ファルージャの戦闘に直面し、出動の命令をうけたイラク軍の部隊はイラク人を撃ち殺す命令を拒否した。米軍によれば、イラク軍の兵士のうち1割は米軍に対して武器を取り、4割はイラク軍を離れた。まだ残っているのは半数に過ぎず、これでは部隊として成り立たない。

(2) 米軍はここへ来てイラク政策の転換を余儀なくされることとなった。6月末までに「新たな傀儡政権」を作ってそこへ形式的に「主権委譲」し、7月からの大統領選挙の本格化の中でイラク政策の成功を打ち上げる。−−この自分勝手なバラ色のシナリオは破綻した。つい先日、新聞の紙面を飾った「国連主導の主権委譲」も、元々ウソ・デタラメであることがばれた。

 そこでブッシュ政権は4月24日、とうとう本音を出した。上院外交委員会の公聴会で、ウォルフォウィッツ国防副長官、グロスマン国務次官がこう証言した。
−−暫定政権は「選挙管理政権」に過ぎない。よって立法権は持たない。新しい法律の制定や米政府が認めた法律を修正することもできない。
−−暫定政権が立案する内外政策は「米国駐イラク大使」と「調整」する。
−−暫定政権は駐留米軍の法的地位を保護する。
−−イラク軍に対する指揮権は米軍が持つ。等々。

 これでは傀儡政権にもならない。軍事占領の継続そのものである。21世紀の時代に、これほど露骨な植民地があるだろうか。すでにこれを裏付ける動きが出ている。旧ユーゴへの空爆以降、国連でアメリカの数々の侵略戦争遂行を仕切ってきたネグロポンテをイラク大使に就任させ、世界最大の3000人もの要塞のような大使館(まるで“イラク植民地総督府”だ)を造ることを、米政府は明らかにした。

 もしこのように露骨な「新イラク植民地化構想」が明らかになれば、イラク民衆の不満と怒りは一気に爆発するだろう。それだけではない。世界中の反戦運動、国際世論が許さないだろう。もし国連とブラヒミ国連顧問が米政府の意向を受けて、こんな構想に加担すれば、イラク民衆は今度は国連に怒りと不満を爆発させるだろう。

(3) ブッシュ政権の目算は大きく狂った。今になって教職員や医師などスンニ派旧バース党員の職場復帰の容認をあたふたと発表した。さらにこれまで操り人形にしてきた統治評議会のメンバーがあまりに親米過ぎてイラク国内で誰も支持しないことを思い知らされ、暫定政権からこの統治評議会メンバーを排除することを提案した。これらはスンニ派やシーア派の懐柔と分断を狙ったものである。しかし今さら遅すぎる。事態はもはや小手先の弥縫策では押さえきれなくなっている。燃え上がった反米・反占領の武装闘争は更に勢いを付けるだろう。これらの泥縄対応は、ブッシュ政権のイラク政策をめぐる矛盾と対立を益々深め、破綻した占領体制の迷走と孤立を一層強めるだろう。



Y.イラク危機とパレスチナ危機が結び付き、アラブ・イスラム民衆の反米・反イスラエル感情が中東世界全体に燃え広がる。

(1) イラク情勢、とりわけファルージャ大虐殺の惨劇はアラブ世界、イスラム世界全体に怒りと憤激の嵐を巻き起こしている。ガザ地区やヨルダン川西岸のパレスチナ民衆は、軍事封鎖されたファルージャを、自らの「囚われの地」に重ね合わせている。中東全体で反米・反イスラエルのアラブ民族主義が燃え上がっている。

(2) シャロン首相はイスラエルのパレスチナ=アパルトヘイト体制を完成させる野望を成し遂げようと、その帝国主義的植民地主義をエスカレートさせている。ヤシン師、ランティシ師暗殺、更にアラファト議長暗殺の恫喝。分離壁(ウォール)による西岸の強制収容キャンプ化、新たな大規模領土併合。「ガザから撤退する」と言いながら撤退するつもりはないようだ。エジプトとの国境を封鎖しガザ地区の完全隔離を推し進めている。ガザ・西岸の両方での殺戮行為・破壊行為もエスカレートするばかりである。

(3) ブッシュ大統領は、こんなシャロン政権による入植地と分離壁、従って領土併合政策を公然と支持した。パレスチナ難民の帰還権の公然たる否定を支持した。6月の先進国サミットでブッシュは「中東民主化」構想をぶち上げるつもりだ。ブッシュの「中東民主化」−−それはファルージャの大虐殺であり、パレスチナ民衆に対するとどまることのない殺戮と破壊である。イラクとパレスチナの占領支配である。しかし植民地支配を中東全体に押し広げるこのような帝国主義的覇権主義は、イラクやパレスチナはもちろん、中東諸国全体から、更には世界中から反発と非難を浴びるだろう。



Z.ファルージャ虐殺の中心は沖縄海兵隊。自衛隊撤退と結び付けて在沖米軍基地の犯罪的役割を暴こう!

(1) 私たちは、沖縄海兵隊がファルージャの大虐殺を引き起こした張本人である事実を徹底して暴露しなければならない。ところがこの事実は全く人々に知らされていない。イラク占領軍の掃討作戦の出撃拠点として、在沖・在日米軍基地が最も危険で、最も残虐な役割を果たしているという事実を、何としても争点化しなければならない。
 しかも政府首脳は、ファルージャ情勢が緊迫化し始めた最初の段階でファルージャ攻撃のための「米軍増派支持」を公然と表明した。小泉首相は野党からの「米にファルージャでの自制を要求をすべき」との提案をはねつけた。もちろん自衛隊のイラク駐留自体が問題である。これら一連の出来事は、日本政府がファルージャの大虐殺を事実上支持したことを意味する。

 海兵隊のウェブサイトによると、ファルージャでモスクを攻撃し40数人の住民と共に丸ごと破壊したのも沖縄の部隊である。沖縄の海兵隊が虐殺の最前線に動員されているのだ。彼らは何とウェブサイトで「600人の敵を殲滅した」と住民虐殺を誇っている。
 ファルージャ包囲の最前線にいるのは、沖縄の都市型ゲリラ訓練施設で3ヶ月の訓練を受けた海兵第5連隊第1大隊と海兵第4連隊3大隊、この2つの部隊1600人である。その他に沖縄に配備される予定で米本土から直接イラクに送られた部隊や20数機(在沖へリ部隊の約半数)を加えると16,000人のうち、3000人がイラク占領と戦闘に送り込まれている。沖縄にローテーションで配備されている4個大隊のうち半分がイラクに送られているのだ。

(2) 小泉首相は、イラク民衆と本気で事を構えるつもりなのか。緊迫化する情勢の中で4月22日、改めて「主権委譲後も駐留を継続する」と表明した。
 しかし現実はどうか。サマワ情勢も緊迫し始めている。ファルージャとナジャフで次の衝突が勃発すれば、間違いなくサマワなどイラク南部にも波及し、自衛隊も巻き込まれ矢面に立たされるだろう。
 自衛隊は衝突に巻き込まれることを恐れて宿営地内の塹壕に立て籠もっている。4月7日には宿営地近くに迫撃砲3発が打ち込まれた。サマワでも自衛隊撤退のデモが行われるようになった。「平穏」のはずのサマワにもレジスタンス闘争の足音が響き始めた。4月21日に明らかにされた地元紙のアンケート調査によれば、「陸自はサマワの利益になると思わない」が遂に過半数の51%となった。「駐留を続けてほしい」が49%、「撤退してほしい」が47%、拮抗し始めている。今年1月段階で8〜9割が自衛隊を歓迎していた状況から様変わりである。
 
(3) 私たちは国際法にも憲法にも違反する自衛隊派兵に反対である。しかしイラク情勢の緊迫化の中で今や自衛隊駐留はイラク特措法にさえ反する事態に至った。法に従い直ちに撤退を命じるべきである。
−−まず第一に、「イラクは非戦闘地域」の虚構は崩れた。イラク全土で米軍とイラク民衆との激突が起こり、イラク民衆は言うまでもなく米軍兵士にも開戦時を超える犠牲者が出ているというのに、なぜイラクは戦闘地域でなく「非戦闘地域」なのか。
−−第二に、情勢の緊迫化で、自衛隊はもはや口先の「人道復興支援」すら出来ない状況にある。今自衛隊は、宿営地に立て籠もっているだけだ。政府の命令で活動を再開してもせいぜい缶ジュースを配ったり音楽隊を繰り出すことしかできない。笑い話にもならない。これでは地元住民が不満と不信を露わにするのも当然である。
−−第三に、元々自衛隊は「人道復興支援」など出来ないのである。ウソがばれ、期待が幻滅になっている。自衛隊は「道路補修」といっても舗装もできない。「校舎修理」と言っても建築もできない。政府は最近、自衛隊の給水能力の欠如を事実上認め、フランスのNGOを支援する方式に転換した。当の自衛隊員すらが、自分の浄化した水を使わずペットボトルで間に合わせている。自衛隊の「給水活動」の虚構は崩れたのだ。

 それでも政府が自衛隊を帰さないのはなぜか。イラク占領軍に加担するためである。現に空自は武装した米兵の輸送を行った。文字通り軍事協力である。「人道復興支援」もしないのに地上部隊を派兵し続けることは、崩壊し始めたイラク占領支配を見捨てない、日米同盟の利害を堅持するとの誓いのためだ。しかも驚くことに、スペインに始まる「撤退ドミノ」が広がる中で、真っ先に“増派”を示唆したのが日本の自衛隊なのである。政府は自衛隊警備を強化するため、30人を追加派兵し、イラク特措法の上限ぎりぎりの600人体制に強化する方向で検討を始めた。現在でも「復興支援」部隊より「警備」部隊の方が多いのに、これで益々「占領軍」の性格が強まる。世界の動きに全く逆行するものである。日本の軍隊は占領軍の中で次第に目立つ存在になりつつある。

(4) このまま撤退させずサマワに衝突が拡大すればどうなるか。−−私たちが恐れる最大の懸念は、自衛隊がイラク民衆に銃を向ける危険である。ファルージャやナジャフで第二の虐殺が起これば、サマワの危機は一気に先鋭化し占領軍の撤退を求める群衆が押し寄せる可能性が高い。米軍やオランダ軍、あるいは自衛隊の対応によってはイラク民衆に発砲する事態も起こりうる。私たちは断固主張する。自衛隊はイラク民衆に銃を向ける前に直ちに撤退せよ!

(5) 5人の人質問題の差し当たりの解決で、小泉政権は当面の危機を乗り切ったかに見える。そして逆にこの5人に卑劣な「自己責任」攻撃を加えている。何よりも異常なのは、米国や英国でも、ブッシュやブレアへに逆風が吹き支持率が急落し、イラク戦争への批判が高まっているのに、それに加担した日本の小泉政権への支持・派兵支持がまだ高いという驚くべき事実である。「戦争の大義」をめぐっても「嘘つきブレア」「嘘つきブッシュ」の声が上がっているのに、日本では小泉首相が未だに「大量破壊兵器はある」というウソを平気でついてもどこからもとがめられない。
 しかしいつまでも安泰ではない。イラク情勢の急変、ブッシュの窮地がさらに進展すれば、必ずや小泉政権による自衛隊派兵の強硬政策は深刻な矛盾に陥るだろう。情勢は緊迫している。沖縄海兵隊加担の暴露、自衛隊撤退の新しい取り組みが急務である。

2004年4月26日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




    ファルージャの大虐殺を今すぐ中止せよ!