[シリーズその2:医療におけるベネズエラ「ボリーバル革命」の前進
医療運動「バリオ・アデントロ」:貧しい労働者・農民のために無料医療体制の充実を図る

「キューバの医者は、おれたちを人間として扱ってくれる。」
ホセ・グレゴリオ・フリアス(労働者地区の住民)



(1) チャベス政権以前のベネズエラでは、貧しい労働者・農民は、世界でも高水準にあるベネズエラ医療の恩恵から取り残されてきました。住民500人に1人の医師が存在するにも関わらず、都市の労働者街や地方の農村では、ほとんど医療を受けることができない状態が続いていたのです。都会の公的な医療施設は名ばかりの存在で、医者は貧しい患者を人間扱いせず、おざなりの診療しかしていませんでした。中産層や富裕層のためには個人病院があるのですが、一回の診療に掛かる費用は、貧困層の一ヶ月の収入の4分の1にもなるので、貧しい民衆は事実上医療から排除されてきたのです。

(2) チャベス政権が2003年の春から開始した「バリオ・アデントロ」(Barrio Adentro地域の中へ)計画は、こうした貧しい人々を取り巻くベネズエラの既存の医療体制に画期的な変革をもたらすものとなっています。医療における「ボリーバル革命」です。
 現在、その「バリオ・アデントロ」運動の主役は、他の国で国際的なボランティアの経験を積んできたキューバ人医師です。彼らは志願してベネズエラに来て、貧しい労働者地区や交通の不便な農村地区での無料診療に携わっているのです。彼らは、多くのベネズエラの医師たちが足を踏み入れることすら嫌う労働者・貧民街に入り込んで、そこの住民とともに暮らし、貧困に打ちひしがれた労働者・貧民たちに献身的な医療活動を行っています。今やこれらキューバ人の医師たちは、医療から排除されてきた数百万人のベネズエラ人に基本的な医療を提供するまでになっているのです。

(3) ここで紹介する「ミリタント」紙の記事は、この「バリオ・アデントロ」計画が始まって半年、つまり昨年秋の段階の状況が、これに携わる多くの人々の証言をもとに、活き活きと具体的に綴られているルポルタージュです。
 このルポは、医療における「ボリーバル革命」の順風満帆の進展状況を伝えるプロパガンダ記事ではありません。読んでいただければ分かるように、むしろベネズエラで人民のための医療を実現していくのはどれだけの労苦と変革を経なければならないのか、その困難さ、その前途が必ずしも平坦でないことが率直に語られています。そして同時に、そういう困難に立ち向かうキューバ人医師とベネズエラ人医師の共同の闘いが描かれています。キューバ人医師がベネズエラの貧しい民衆に無料の医療を与えたことから起こる各方面への複雑な影響、既存の特権的医療体制の欠陥の露呈、再編成の必要性の高まり、これがベネズエラ医療体制変革の起爆剤、原動力になりつつある様子が活写されています。

(4) 予想通り、富裕で資産家、野党反チャベス派でもあるベネズエラ人医師たちとその医療連盟が猛反発を開始しました。特権にあぐらをかき、貧しい労働者や農民の住む地域には医師を派遣しなかったにも関わらず、そこにキューバ人医師たちが派遣されるや否や、営業妨害と訴訟に訴える、医療過誤をでっち上げる、キューバ人医師の紹介を受け付けない等々、ベネズエラの医師たち、反チャベス派などが、ありとあらゆる手段を使って嫌がらせや妨害をしているのです。更には、反チャベス派が牛耳るマス・メディアを通じての事実無根のデマ宣伝、匿名の脅迫者を使った卑劣な脅し等々もあります。「共産主義宣伝だ」「共産主義を広げる陰謀だ」というデマゴギーもまき散らされています。また、労働者の中にはびこる無知と偏見、さらには「バリオ・アデントロ」計画を支持する人々の間にある意見の相違とも闘わなければなりません。
 私たちは、こうした攻撃や妨害、あるいは困難に寡黙に立ち向かい、ラテン・アメリカの人民大衆のために奮闘するキューバ人医師の献身性と人民連帯、医療の面から影響を増すキューバ社会主義の威信というものを感じます。

(5) そして現在では、キューバ人医師たちの身の危険をも顧みない真摯な活動は、ベネズエラの民衆の間、特に貧しい労働者や農民の間で急速に支持を拡大し、彼らに続くベネズエラ人の若手医師たちが成長してくるまでになっています。キューバ社会主義のそれこそ実例の力です。
 「ミリタント」紙は、昨秋の取材に引き続き、今春、「バリオ・アデントロ」のその後と、成人のための識字教育の現場についての取材を行いました。次回は、この教育における「ボリーバル革命」の前進について紹介する予定です。
2004年6月20日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局


翻訳紹介:
ベネズエラのキューバ人医師 無料地域クリニックを展開
http://www.themilitant.com/2003/6738/673802.html
『The Militant』Vol. 67/No. 38 November 3, 2003
BY アルヒリス・マラパニス&カミロ・カタラン


      写真Granma/Ricardo Lopez Hevia
 この7月、キューバのラス・トゥナスから来たニルダ・コリャソ医師がヘスス・メネンデス(右)の息子ノルヘを診察しているところ。メネンデスはロス・ポルトネスの農民である。ここはベネズエラ北西部のララ州コロラ山地にあるドゥアカ行政区の地方集落である。コリャソ医師は、「バリオ・アデントロ(地域の中へ)」計画の役目を果たすボランティアとしてここへやって来た14人のキューバ人医師の一人である。このプログラムはベネズエラの富裕層から非難の砲火を浴びているが、このもとで、2000人以上のキューバ人医師が、これまで労働者が医療を受けることがほとんどできなかった地区で、無料で診療を行い、薬剤を提供している。


 カラカス(ベネズエラ) − 「キューバのお医者さんなら、お昼までしかこのクリニックにいないわ。それからは近所の人たちの家を次々と訪ねるのよ。時間なんて気にしてないわ。必要なだけいてくれるのよ。」と、マリア・エレン・レオンは述べた。「キューバのお医者さんがしてきたことは、ベネズエラのお医者さんがしようともしなかったことばかりよ。わたしは12月16日から6月19日の間、背中の下の所がすごく痛かったの。18キロも痩せたのよ。誰もわたしにどこが悪いのか言ってくれなかったわ。それでとうとうキューバのお医者さんのところに行ったの。そしたら原因を調べて、治してくれたわ。治療費はタダだったの。そして今はもう元気よ。」

 レオンは、カラカスの繁華街を見下ろす丘の上の労働者街、一月二三日地区の住民である。10月8日、彼女はこの地区で「ミリタント」の記者に語った。彼女の観点は、ベネズエラの首都の最貧困層の地区で「ミリタント」にインタビューされた労働者の圧倒的多数が表明した典型的な意見である。それはカラカスだけでなく、この国の他の4都市でも、いくつかの農村地区でも同様である。

 1998年にウーゴ・チャベスが大統領に就任して以来、ここ数年は、約250人のキューバ人医師、看護士、医療技術者が、ベネズエラで勤務してきた。しかし、今年の「バリオ・アデントロ(地域の中へ)」計画のもとで、彼らの存在が爆発的に増加した。今やキューバ人の医師は、これまで医療をほとんど受けられなかった数百万人のベネズエラ人に基本的な医療を提供している。「バリオ・アデントロ」は、今春、カラカスのリベルタドール(解放者)地区で始まった。早くも6月には、1000人以上のキューバ人医師が、まずはカラカスとその周辺の労働者街で勤務していた。4ヶ月後、その数は二倍以上に増え、その活動は、カラボボ州の工業都市プエルト・カベリョやベネズエラ北西部ララ州の山岳地帯にある農村にまで広がった。

 労働者街と農村での人気が高まれば高まるほど、「バリオ・アデントロ」は、ベネズエラの富裕層と中間層から非難の砲火を浴びるようになった。特に、「エル・ウニベルサル」や他の大新聞とテレビ局は、この計画に対して悪意のこもったキャンペーンを行ってきた。反対派の政治家たち −− 彼らはワシントンの支持を得て2年の間チャベス打倒運動を率いてきた −− は、ベネズエラ政府はこの国を「キューバ化」していると非難した。彼らはまた、キューバ人医師たちは、生命を救いに来るのではなく、「貧乏人を洗脳する」ために来た「カストロのまわし者」だと、キューバ大統領フィデル・カストロを引き合いに出して非難した。

 ベネズエラ医療連盟もこの計画を非難した。6月1日に、キューバ人医師の活動を禁止する訴えが裁判所に持ち込まれた。8月21日に第一行政裁判所が医療連盟の要請にそった判決を出したが、ベネズエラ政府はこれに対して上訴することになっている。先月からずっと、キューバ人医師に対して身体への攻撃をするという匿名の脅迫が増えた。

一月二三日地区を訪れて

 150万人以上の人々が一月二三日地区に住んでおり、かなりな数のバラックの住宅がある。それらはたいてい、住民が占拠した土地に彼ら自身が建てたもので、所有権は持っていない。狭い路地が丘の上にあるその地区にまでクネクネと続いている。多くの人々が、1960年代と70年代に中産層のために予定された居住計画で建てられた建物に住んでいる。しかしながら、地域住民によると、その時に労働者によって占拠されてきたという。それが、デベロッパーの「高級住宅化」の夢を終わらせた。その時以来、ほとんどの計画は荒廃していった。
[訳注「高級住宅化gentrification」とは、貧民街に高級住宅を建てることで、貧しい人々がそこに住めなくなることであり、都市の再開発に伴う社会問題となっている。]

 我々は、10年前に住民に占拠された地域クリニック「セルヒオ・ロドリゲス・アンブラトリオ」からこの地区の取材旅行を始めた。それは、予約なしで診てもらえるクリニックで、2000年以来20人の地域ボランティアによって運営されている。そこでは11人の医師が勤務しており、全てベネズエラ人であり、カラカスのリベルタドール地区によって報酬を支払われている。そこの区長フレディ・ベルナルは親チャベス派である。診察と薬は無料で、院内の薬局はストックが豊富であるようであった。

「私たちは、週末も含む二四時間の診療を展開するために、現在、資金集めにがんばっています。」と、「一月二三日コミュニティネットワーク」のフベナル・ゴンサレス・ボリーバルは述べた。彼は、医療外のボランティア職員を組織する任務を負っている。そのクリニックは、現在、月曜から金曜の午前8:00から午後5:00まで開業している。「このプロジェクトの中でのキューバ人医師の変わらぬ存在は、人々に息吹を吹き込む役割を果たしています。」

 「このクリニックは、カラカスでも国中のたいていの所でも例外的なものです。」とオマール・ゴンサレスは述べた。彼は、夜は赤十字で働き、昼はこのクリニックの薬局でボランティアをしている。実質的にほとんどのアンブラトリオ[訳注:チャベス以前の政府が作った貧民街の医療施設]は、カラカスの市行政部によって運営されている。カラカス市はチャベスの選挙以来、親帝国主義的な反対派の手に握られており、その医療サービスは、よく言っても、不十分なものでしかない。

 我々が「セルヒオ・ロドリゲス」に到着したのは、10月8日、昼の交代が始まる時であった。クリニックの職員によれば、全ての医療施設は、12時から午後1時までは昼休みである。このクリニックは満員で、約50人が列を作って待っていた。名前を書いた記録によれば、医師たちは1日に平均して230人の患者を診ている。多数の患者がキューバ人医師の紹介状を持ってここにやって来る。また、「バリオ・アデントロ」のプロジェクトでは供給されていないので、キューバ人内科医たちが持ち合わせていない設備を必要とする歯科や他の処置を受けるためにやってくる。

 「バリオ・アデントロ」に対する支持は我々がインタビューした人々の中で圧倒的なものであった。「たいていの場合、ベネズエラの医者は儲けるため、利益を得るために、仕事をする。」と、ホセ・グレゴリオ・フリアスは述べた。「キューバの医者はそうじゃない。先生らはおれたちを人間として扱ってくれる。」

 多くの者が、キューバ人医師に紹介されて出向いたベネズエラ人の医者や病院経営者のところで直面する問題点を指摘した。

「誰かがキューバの先生の紹介状をもって病院に行くとするでしょう。そしたら追い返されるか、一日中待たされるかなのよ。」と、カルメン・レイエスは述べた。「ある時、わたしはキューバの先生の紹介状を持ってエリアス・トロ小児科病院に行ったの。そしたら、悪いところがあるならチャベスに診てもらえって言われたのよ。キューバの先生は人々を『洗脳』しに来ただなんて嘘よ。バリオ・アデントロは、ここでたくさんの問題を解決してくれて、わたしたちはそのありがたみがわかったわ。ベネズエラの医者は丘の上に上ってこようとしないからね。」

 「セルヒオ・ロドリゲス・クリニック」の小児科医アウロラ・バスティダは、問題はもっと深刻だと述べた。「ベネズエラ医療連盟(FMV)は、キューバ人が医療過誤を犯したと非難しているのです。2ヶ月ほど前、一人の子どもが亡くなりました。FMVは、キューバ人医師が誤った薬を処方したせいだと非難しました。子どもの母親がついにテレビに出て、子どもはキューバ人医師からは薬を受けとっていないと証言して、この非難を論駁しました。そうではなくて、子どもが死ぬまで病院をたらい回しにされたからであると彼女は説明しました。彼女はキューバ人の紹介状を見せたが故に子どもの診察を拒絶した多くの病院と医者を名指ししました。」と、彼女は指摘した。

 その地域の他のクリニックは、もっと大規模で近代設備を取りそろえ、条件もいいのにも関わらず、ほとんど何の仕事もしていない、とバスティダは述べた。「ここでわたしたちは患者の世話をするのに悪戦苦闘しています。市の行政はわたしたちに何の援助もしていません。市は国から何も資金を受け取っていないのだと言います。でも、それでは、わたしたちはリベルタドール地区からどうやって資金を受け取れるっていうんですか? あそこにはどんな財源があるっていうんですか?」

他のクリニックは空っぽ

 他の近接する二つのクリニックを訪れてみると、バスティダの見解はまさにその通りであった。「カニョ・アマリリョ・アンブラトリオ」は、「セルヒオ・ロドリゲス・クリニック」よりもはるかに条件がよかった。しかし午後3:00だというのに空っぽだった。医者は皆帰っていた。看護士がいて、名前は教えてくれなかったが、我々に設備の中を案内して述べた。「薬は無料です。でも在庫はありません。」彼女はまた、うまく機能しない設備もあると述べた。

 その後、すぐに、別の地域クリニックで、我々は内科医の責任者ローサ・マルティンソンにインタビューした。このクリニックは「セルヒオ・ロドリゲス」よりも非常に広く、ほぼ同じ数の医者が勤務している。しかし、その日の午後、わずか2・3人の医師だけが敷地内にいた。彼らは一日に平均して70人の患者を診察する。セルヒオ・ロドリゲスでは230人である。なぜかと尋ねたとき、マルティンソンはここで働く者も含めて多くの医師たちの態度に問題があると述べた。「彼らにとって、この居住区で働くことは不快なのです。彼らはカラカスの中央病院で働きたがっています。この地域は見苦しいと彼らは言うのです。彼らはここの人々を、汚く、臭く、危険なように見なしています。」マルティンソンは、人々が医療を必要としていると思うから自分はここで働いているのだと言う。

 「バリオ・アデントロ」について尋ねたとき、マルティンソンは、キューバ人医師が、ほとんどどのベネズエラ人医師もしようとはしないことをしていると述べた。「わたしはまったく彼らに感服しています。」しかし、と彼女は言う。「彼らはベネズエラの医師と同じレベルの教育課程を受けてきてはいませんわ。」彼女は自分の教育課程のためにどれほど米国に行ったかということを説明しながら、自分が受けてきた学校教育の年数を列挙した。そして、ベネズエラの医師たちが、インターネットを含む最新の技術を使いこなしていることを強調した。「キューバではこんな教育課程を受けるだけの財源がないでしょ。」と彼女は述べた。キューバ人医師が近隣の住まいに医薬品が尽きたりしないよう努めている時、彼らは患者をマルティンソンのクリニックに送り、彼女の署名入りの処方箋を手に入れさせ、それで隣の薬屋で半額にさせる。キューバ人医師の書いた処方箋にいかなる誤りも発見したことがないのにもかかわらず、マルティンソンは、彼らの教育課程に未だ疑いを持っていると述べた。

 マルティンソン内科医は、チャベスを支持していると述べた。「なぜなら、彼は貧乏人のために民主主義的な方法で改善していこうとしているからですわ。」多くのベネズエラの家族がチャベス政府のことで意見が分かれていると彼女は述べた。彼女の夫と二人の子どもだけがベネズエラに残り、それ以外の親戚はみな米国に移住し、今はジョージアに住んでいるという。「でも、誤解しないで下さいね。」彼女は付け加えた。「わたしはチャベスが好きですわ。でもフィデル・カストロはまったく支持していませんわ。」彼女の言うには、キューバでは多くの物資の不足があり、「破滅的な結果を伴う」行き過ぎた平等を作ろうとしてきた。マルティンソンは、アルタ・ミラに二階建てのしゃれた家を持っているという。豊かな中産階級の住民の一人として、彼女はそれを手放そうとはしないだろう。

「バリオ・アデントロ(地域の中へ)」から「ブロケ・アデントロ(街々の中)」へ

 2・3ブロック離れたところの地区のモンテピエダード区の建設プロジェクトの内部でキューバ人医師が、「融和コミュニティセンター」の中に小さな診療所を構えている。4人の医師(午前2人、午後2人)がそこで勤務している。我々が到着したとき、キューバ人医師はそこにいなかった −− しかし富裕地区の別荘に行っているわけではなかった。

 「アリ・プリメラ委員会」の委員長でこのコミュニティセンターの組織者の一人であるルイス・カサディエゴは、キューバ人医師たちが「ブロケ・アデントロ(街々の中へ)」の役割を担うために戸別訪問へと出かけていったと語った。これは「バリオ・アデントロ(地域の中へ)」の新しい側面である。キューバ人医師は今いくつかの特定地域を担当している。彼らは全ての家を訪れ、全ての人々の生活条件と健康上の問題点を知る。そして彼らは家庭訪問に多くの時間をさき、時には真夜中を過ぎることもある。

 「キューバの医師たちの診療と薬は無料です。」とカサディエゴは言った。「たいていの人々が彼らがどこに住んでいるかを知っています。彼らは人々の家に滞在して、患者たちに居所を教えているんですから。彼らは、週末でも晩でも、緊急に呼び出されます。しかし彼らが『ブロケ・アデントロ』で今行っている最も重要なことは、予防医療です。以前にはわたしたちはそんなことは夢想だにしませんでした。」

 これは、我が社の記者たちが街頭や家庭で行った多くのインタビューで確認されたことである。

 これらのインタビューで、最も際だつことは、キューバ人医師と患者との間に −− ベネズエラ人の医師と比較して −− 全く異なった社会関係が築かれていることへの驚嘆であった。

「ベネズエラで福祉の医者のところへ行くとするでしょ。わしらは、医者の目からすると、ただの番号扱いですよ。」と、モンテピエダードの住民ホエル・ミエレスは言った。「机から目を上げないことだってあるんですよ。名前をチェックされて、薬の処方箋を書いてもらい、数分のうちに追い出されるってわけですよ。でも、キューバのお医者は人として診てくれる。家にだって往診してくれる。貧民街だなんて気にしやしない。わしらに話しかけ、何でもわかってくれる。ここのムードをよくしてくれましたよ。」

 一月二三日地区は、犯罪多発地帯として知られている。2002年7月、「ミリタント」記者の前の取材の時でさえ、我々はたいへん警戒しなければならないと言われた。タクシーにそこへ行くことを拒否されたこともあった。しかし、注目すべき変化が起こっている。今や全く異なった雰囲気がある。夕方に外出する人々は増え、新しい遊び場付きの小さな公園が整備され、街灯が明るくなり、何よりも多くの人々の顔に笑みが浮かぶことが多くなった。住居の補修や他の計画 −− 数十人のキューバ人医師の存在を伴う −− に資金を出している政府は、改革によって多くのことを成し遂げてきている。

 チャベス政権による公的な仕事や他の社会プログラム、それはベネズエラ中で労働者の生活条件の改善のための変化を作り出し始めている。それには、以下のものが含まれている。安普請の住宅を広く改築し、7つの都市で新しい地下鉄の交通網を作り、カラカスと北西部の都市を結ぶ鉄道を作り、先天的な心臓病 −− それは子どもに高い確率で死をもたらす原因の一つである −− の治療のための近代的なメディカルセンターを建設すること。この新しいメディカルセンターは、複合的な手術ができるように、これまでの4倍の能力を持つことを目指している。

キューバ人医師をめぐる階級分裂

 「バリオ・アデントロ」への反対者による攻撃でかえって、多くの労働者は、キューバ人医師の患者への態度からおのずと広がる人間としての連帯意識に喜びの驚きを感じ、キューバ革命について好奇心を覚えるようになってきた。この革命については、労働者階級の中でも、ずっと知らないままにさせられていたのである。同時に、キューバ革命に対する富者の階級的憎悪はよりいっそう公に表明されるようになり、キューバの医師に対する偏見が、資本家階級によって育成されて、労働者階級の中に明らかに存在している。

 「香水工場」の倉庫で働いているカルメン・ロサ・ゴンサレスは、カラカスのチャペリャン地区の「バリオ・ヌエボ(新地区)」に住んでいる。(詳細は10月20日のミリタント記事「ベネズエラの労働者、工場を占拠」参照。このゴンサレスが化粧品工場の占拠に活躍した。)彼女は、10月3日に「ミリタント」の記者と同行して、彼女の家の近くの「エル・レクレオ(娯楽)」コミュニティー・センターを訪れた。4人のキューバ人医師がそこに診療所を構えている「エル・レクレオ」は通りに面したところにあり、バリオ・ヌエボと隣接する中産層の地区 −− そこはフェンスで囲まれている −− そのちょうど境界にある。

「その地区には多くの個人クリニックがあります。しかしこの近くのどこにも、病院も助産院もありません。」と、「エル・レクレオ」でボランティアをしているフロール・ゴメスは言った。個人クリニックでは、医者が一回診察するだけで五万ボリーバル(31ドル)かかるが、これはバリオ・ヌエボの事実上全ての人間の支払い能力を超えていると、ゴメスは述べた。そこで仕事を持つほとんどの人の給与水準は、月に二十万ボリーバル(125ドル)の最低賃金に近い、とゴメスと他の人々は付け加えた。「しかし、通りを隔てた中産階級の多くの間でさえ、個人クリニックにいくのは負担が大きすぎるものとなっています。」と彼女は指摘した。「エル・レクレオはちょうど境界にあり、バリオ・ヌエボ地区の中ではない以上、中産階級地区からきた多くの住民もまた、キューバ人医師に診てもらい始めています。」

 これに応えてカルメン・ロサ・ゴンサレスが付け加えた。反対派の二人のベネズエラの医師は自分自身のクリニックを中産階級地区で開き、一週間に二回、数時間の間、キューバ人のように無料の診療を行い、無料の薬を提供している。ゴンサレス、ゴメス、その他の人々によれば、この地区のほとんどの人々がその診療所がどこにあるのかを知らないそうだ。「あの人たちにはそうさせるべきよ。」ゴンサレスは言った。「一体なんだって今までそれをしなかったのかしら。今まで、そのベネズエラの医者はバリオ・ヌエボ地区の中に足を運ぼうともしなかったわ。」と彼女は述べた。「たいていのベネズエラの医者は、医科大学を卒業した最初の年には、農村地区で勤務することになっていたんだけど、それを免れるために、当局によく賄賂を渡していたものだったわ。」

 我々が午後遅くに「エル・レクレオ」に着いた時には、キューバ人医師はそこでの勤務を終えていたので、ゴンサレスは、キューバ人医師のための住宅を世話しているバリオ・ヌエボ地区の看護士のところへ我々を連れていくと言ってくれた。看護士は、匿名を希望して、巨大メディアによって宣伝されているキューバ革命とキューバ人医師に対する偏見を取り除くために、バリオ・ヌエボ地区の中で、まだまだ多くの政治的な活動をすることが必要であると述べた。彼女はバリオ地区で、キューバ人医師の訪問を受け入れようとしない多くの人々に悩まされている、と述べた。彼らはこんなことを言うのである。「おかしな注射をして、キューバに連れていくつもりなんだろう?」これらは無知から生まれた見解で、労働者階級の住民の間ではまれなことではない。中産階級の多くはこのようなことを信じているわけではない。しかしながら、より多くのことを知っているからといって、それがキューバ人と共産主義の実例に対する彼らの憎しみを減少させるわけではない。

 我々が話した多くの労働者の中での「バリオ・アデントロ」への支持とキューバ人医師への賞賛は、キューバ革命とその政治的方向への共鳴にはつながっていないが、議論はオープンにされている。

 カルロス・エンリケ・ランヘルは、「香水工場」のトラック運転手で、一月二三日地区への訪問の時に我々に同行してくれた人物である。その彼は、キューバは指導者の若返りが必要だと思っており、ベネズエラは社会変革が「民主的な方法で」行われうることを示している、と言った。

 その後、ランヘルは、「香水工場」の同僚であるホセ・ランディネスの家でのコーヒーブレークの間、隣人で縫い子のセリナ・アスアヘの言うことを注意深く聞き、満足そうに相づちを打っていた。彼女は、この2月に23人の縫い子仲間とともに「コンフェクシオネス・パラマウント」をどうして解雇されたかを説明した。昨年の12月から1月に、チャベス打倒のために行われたが不成功に終わった上司たちの「ストライキ」の時に、彼女は「遠慮を知らないチャベス派」であったというのが解雇の理由であった。議論がキューバに移った時、アスアヘはキューバ革命についてはあまり知らないと述べた。「わたしはこれまで読み書きを習わなかったんだもの。でも今は識字学級に行ってるのよ。わたしは腑に落ちたような気がするわ。ベネズエラでわたしたちに必要なのは、キューバで行われた革命と同じようなものなんだってことが。それがわたしがキューバのお医者さんとキューバが識字計画のために援助していることからわかったことなの。」

悪意のこもった反対派のキャンペーン

 こういう観点のあけすけな表明こそが、ベネズエラの資産家の心に恐怖心を抱かせたのであり、それが、何が何でも「バリオ・アデントロ」に戦いを挑んだ理由である。

 8月22日の「マイアミ・ヘラルド」によると、ベネズエラ医療連盟(FMV)の会長ドウグラス・レオン・ナテラは、ベネズエラにおけるキューバ人内科医に言及してこう述べた。「彼らが医師なのかどうか判断することさえせずに、彼らに仕事を与えています。これは大きな公的な医療問題を引き起こしています。」
 
 レオン医師のグループは、45,000人のメンバーをかかえている。全てのベネズエラ人医師は営業するにあたっては、この連盟に加盟することが法的に義務づけられている。6月に、連盟はキューバ人に、営業の差し止め請求を裁判所に提出した。連盟の指導部は、ベネズエラの法律では、外国人医師 −− および海外で学んだベネズエラ人 −− がこの国で合法的に医療活動をするためにはどうしなければならないかを詳細に規定していると主張した。キューバ人医師は必要な年数の経験を欠いているので、この国の九つの医科大学の一つで彼らの外国での学位を認証される必要がある、とレオン医師は主張した。

 FMV の指導部はまた、キューバ人はベネズエラの労働者と農民を共産主義のプロパガンダで「改宗」させようとしていると主張した。さらに、レオン医師と他の富裕なベネズエラの医師たちは、この国は、国際的な保健機関が推奨している適切な公的医療水準からすれば、500人に1人という、十分すぎる数の医者をかかえていると強く主張した。彼らはまた、キューバ人がベネズエラ人医師の8000人分の仕事をすることで、彼らを経営不振や解雇に追い込むと非難した。ウオールストリートジャーナルによれば、チャベス政権はベネズエラの荒廃した公的保健システムを改善し、その活動を支えるために医師たちの報酬 −− 月約600ドルから始まる −− を高めるべきだと、レオン医師は、述べた。

 レオン医師およびFMV の指導部の見地は、「バリオ・アデントロ」に反対する悪意のこもったキャンペーンとして、日刊紙「エル・ウニベルサル」のトップページを通じてセンセーショナルに扱われ、広範に広められた。6月がその最大のピークであった。

 8月21日に第一審行政法廷は、キューバ人は地域の医師に取って代わられるべきだと述べ、FMVの訴えによるキューバ人医師の営業差し止め請求を認める裁決を下した。
 
 ベネズエラの保健相マリア・ウルバネハは、この決定を「異様なもの」と呼び、政府は上訴するつもりであると述べた。彼女は8月22日の記者会見で、キューバ人医師はベネズエラに留まり、その数は増えていくと語った。ロイター通信社によれば、彼女は次のように述べた。「健康と福利を供給するという私たちが人々にした約束に優る判決などあり得ません。」

 ウルバネハ保健相は、キューバ人医師が招かれたのは、労働者階級の居住区で喜んで働こうとするベネズエラ人医師が十分ではないと政府が判断したからである、と述べた。

 カラカスにあるベネズエラ中央大学医学部の学部長ミゲル・レケナは同様の指摘をし、この国はキューバ人医師を真に必要としていると主張した。最も必要とされているところ、農村や都市のプライマリー・ケア・クリニックで、何でも診療しなければならない医者として働きたいと思うベネズエラ人医師はごくわずかであると、彼は「ウォール・ストリート・ジャーナル」に語った。ほとんど全ての新しい医者は、カラカスや他の大都市に住みたがり、形成外科のような、利益の上がる専門分野に従事したがると、彼は述べた。

 この年の初め、ベネズエラ政府は、現在キューバ人医師が担っている役割を満たすよう、ベネズエラ人医師への呼びかけを発表したと、「セルヒオ・ロドリゲス」クリニックの小児科医アウロラ・バスティダは「ミリタント」紙に語った。「カラカスで志願したベネズエラ人医師は50人にもなりませんでした。これは『バリオ・アデントロ』がキューバ人医師によって開始される以前のことです。カラカスの最も大きな労働者階級の居住区の一つ、ペタレでは、たった一人しかやって来ませんでした。キューバ人医師がベネズエラ人医師の仕事を取り上げたなんて、嘘です。」

 バスティダ医師はまた、ベネズエラ医療連盟および反対派に、公立病院とクリニックのみじめな状態の責任があると非難した。「多くの州で、反対派の行政府と市長は、公立病院を閉鎖したり、民営化したりしました。医者が患者に、公立病院では手術ができないと言って、同じ処置をしても高額の費用がかかる個人クリニックへ行くよう、名刺を渡しているのは、よく知られた事実です。」

 チャベスの政府は、実質的に全ての地方クリニックを通じて無料の医療を供給し、それによって予防医療を重視することで、ベネズエラの保健システムを再編成するつもりであると述べてきた。将来、ベネズエラ人医師はキューバ人にとってかわることになるだろうと、ウルバネハ保健相および他の省庁の役人は述べてきた。しかし、それまでは、キューバ人が「排除された住民や貧窮に陥っている人々を援助」し続けると、ウルバネハ保健相は言明した。

 これらの条件の下で、ベネズエラにおけるキューバ人医師は非常に慎重になり、インタビューを受けるのを避けて自らの仕事に集中してきた。「マイアミ・ヘラルド」によれば、この8月、キューバ人内科医ラウラ・ゴンサレスは「私たちはヘルスケアのレベルを高めるためにここにいるのです。 −− それだけです。」と語った。

 これに関して、キューバ政府は、「バリオ・アデントロ」に対する集中砲火を不当だと公的に非難した。このような取り組みの一つとして、「カラカスの日刊紙エル・ウニベルサルの露骨な嘘」と題するテレビ討論番組が7月にキューバで放映された。この番組の録画やビデオが、ベネズエラの労働者階級の地域で広く行き渡ってきている。

キューバの医師を見習う当地の医師も

 キューバ人医師の革命的実例は、少数のベネズエラ人医師の間に広まり始めた。それは少数ではあるが意味深いものである。
 
 カラカスのアウロラ・バスティダは、彼女がボリーバル医師連盟に所属していると、我々に語った。それは、「バリオ・アデントロ」を支持し、チャベス政府がこの国の保健医療システムを再編成する取り組みを支持する医師たちのグループである。

 我々は、「エル・シマロン」に組織されたベネズエラの青年医師と医学部の学生のグループの間に最も強固なキューバ人医師への支持を見出した。「エル・シマロン(野に放たれた奴隷)」というのは、この国の最も工業の盛んな地域の一つであるカラボボ州の州都バレンシアで組織された地域・政治グループである。我々が10月7日にそこを訪れた時より二日前、チャベスはテレビで、「バリオ・アデントロ」はプエルト・カベリョですぐにでも開始されると発表していた。そこはカラボボ州の北部にあるバレンシア近くの沿岸都市である。その市の親チャベス行政府はキューバ人医師の招聘の準備を整えていた。

 今年カラボボ大学の医学部を卒業した26歳のホエル・パントーハは、「ぼくたちは5人でバレンシアにおける『バリオ・アデントロ』を開始するために保健省から協定書を得ました。」と述べた。カラボボの州政府とバレンシアの市長は反対派なので、パントーハはキューバ人医師の招聘なしで直接保健省にかけ合った。パントーハは我々にうち捨てられた建物を示した。それは、バレンシア南部の労働者地区の一つにあり、そこで5人の若い医師たちは小さなクリニックを設置し、無料の診療と医薬品の提供を行おうと計画していた。保健省は、そこをクリニックにするために彼らに資金を出す約束をした。

いかにしてこの計画が始まり、広がったか

7月7日、キューバのジャーナリスト、フェリックス・ロペスとリカルド・ロペス・エビアによるインタビューが、キューバの日刊紙「フベントゥド・レベルデ(反抗する青年)」に掲載された。そこで、カラカスのリベルタドール地区でのキューバ人の医療派遣団の団長ビクトル・フェリペ・タマヨが、「バリオ・アデントロ」がいかに始まったかを説明している。

 「私たちは、キューバ人医師がどこに滞在し、どこに診療所を構えるかを選定するために地域の人々と会合を持つことから始めました。自発的に、人々は自分たちの家やコミュニティセンターを提供し始めました。これで、私たちにはこの地区における22の地域のうち20の地域で724,000人の住民にケアを提供することが可能になりました。」とタマヨ団長は述べた。

 「4月21日に、最初の54人の医師がキューバからリベルタドール地区に到着しました。今や627人の医師が564,898人の患者に奉仕しています。そのうちの25%が在宅医療を受けています。そして私たちは699人のベネズエラ人の命を救ってきました。

 タマヨ団長は、ベネズエラでボランティアをしているほとんど全てのキューバ人医師が、これまでに、カリブ海やラテンアメリカやアフリカの、少なくとも一つ以上の国で国際的な派遣団の任務を果たしてきたと指摘した。

 もう一つのインタビューが7月にキューバの日刊紙「グランマ」に掲載された。そこでは、カラカス北部の丘陵地帯にある労働者街、スクレ地区におけるキューバ医療派遣団団長オダリス・レイバ・ゴンサレスが、キューバ人医師が最初にそこに到着したのは6月19日のことだったと述べた。

 「スクレは、100万人の人口を抱えていますが、そのうち60万人が貧困の中で生活しています。」とゴンサレス団長は指摘した。そこでフルタイムの仕事に就いているのは住民の20パーセントで、15歳以下の子どものうち38パーセントは学校に行っていない。キューバ人医師の記録によれば、女性の半分以上が18歳かそれ以下の年齢で妊娠し、6歳までの子どもの6パーセントが医者に全くかかったことがない。

 7月末までに500人のキューバ人医師がスクレで勤務するようになった。「10月にはさらに642人の専門医が到着する予定です。それによって、人口の100パーセントをカバーし、250家族に一人の割合で医師が付くことが可能になります。」と彼女は述べた。

 キューバ人医師への尊敬が下層貧困層住民の中に広がるにつれ、いくつかの地方自治体や他の組織が、この国の他の部分に「バリオ・アデントロ」を導入するイニシアティブをとるようになった。ベネズエラ北西部の広範な山岳地帯ララ州でのケースがそれである。その州の行政長ルイス・レイエスは親チャベス派である。

 キューバのラス・トゥナスから来たニルダ・コリャソ医師は、二人の歯科医を含む14人のキューバ人医師の一人である。彼らは7月以来、この山岳地帯の農民の集落で勤務をしている。コリャソ医師は「グランマ」の記者に語った。「ここでは、私たちの国でもうずっと前に根絶した病気が発見されています。寄生虫に苛まれていない子どもや一回でも医者の診察を受けた妊婦を見るのは稀なことです…。それは人間的な感性を刺激する一枚の写真のようです。」コリャソ医師がこの地域で広く知られ、尊敬されるようになったのは、ロス・ポルトネスで蛇に咬まれた子どもがもう少しで死にそうになった時のことである。そこは、ララの州都バルキシミエントから23マイルも離れた農村の集落であった。その日は雨が降っていて、乗り物は現地でしか動かなかった。コリャソ医師は子どもを毛布にくるみ、一番近い病院まで3時間かけて歩いていった。子どもは助かり、ロス・ポルトネスは喜びにつつまれた。

 ここ数週間、「バリオ・アデントロ」に対する反対派のキャンペーンが挫折するにつれ、キューバ人医師に対し匿名で死の脅迫がなされるようになった。キューバ人医師の中には、自分たちや同僚が傷つけられたり殺されたりする可能性が増すと思うと言う人もいる。 −− 1980年代のニカラグアで起こったように。そのころ、労働者と農民の政府がニカラグアで権力を握っていて、キューバ人医師と教師はそこで奉仕活動をしていたのである。しかし、と彼らは付け加える、そういう目にあうことは、自分たちが自らの意思で進んで支払う代償なのである、と。