署名事務局声明
アメリカの対イラク侵略を糾弾する

2003年3月20日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局

(1)私たちは糾弾する。ブッシュの侵略戦争を。
 3月20日現地時間午前5時半(日本時間同11時半)すぎ、ついにブッシュとブレアは空爆を皮切りに侵略を開始した。小泉首相は「支持」を表明し、これら侵略者たちの「有志連合」に加わり、侵略者の共犯者となった。
 彼らは世界を納得させられなかった。安保理で自分たちの決議すら通せず、国連から総反対を食らって孤立したあげく暴走した。国連、国際社会、人類全部を敵に回した侵略である。世界平和を根底から覆す蛮行である。
 私たちはこの無法で理不尽で何の正当性もない侵略戦争を糾弾する。攻撃を即刻中止するよう要求する。すでに攻撃と同時に全世界各国で、日本の全国各地で、大勢の市民が怒濤のように抗議に立ち上がっている。予想を超える大勢の市民が街頭に出て反戦の狼煙を上げている。私たちは全力を挙げてこの野蛮な侵略をやめさせるために闘うだろう。ありとあらゆる手段を尽くして闘うだろう。

(2)私たちは許さない。罪なきイラクの民衆と子どもたちを大量虐殺することを。
 米英の侵略はイラクの2200万人の一般市民のいのち、人口の過半を占める1200万人の14歳以下の子どもたちのいのちを危険にさらす。米英軍が誇る精密誘導爆弾の前には地下シェルターも、ましてや土で作られた粗末な防空壕などひとたまりもない。市街戦になれば多くの市民が虐殺されるだろう。上下水道、電気など都市のインフラが攻撃され、これまで国家が担ってきた「配給制度」が崩壊し寸断すれば、食糧危機が起こるだろう。手遅れにならない間に、一刻も早く侵略を中止させなければならない。

(3)私たちは告発する。劣化ウランと大量破壊兵器、非人道兵器の実験場にすることを。
 すでに米国防省は劣化ウラン弾の使用を公式に表明した。多くの罪なき市民、子どもたちの上に放射能兵器を撃ち込むというのだ。米国防長官は化学兵器を使用すると公言している。燃料気化爆弾、クラスター爆弾、超大型爆弾「マザー・オブ・オール・ボムズ」等々、彼らはイラクをジュネーブ条約や人道法に反する多種多彩な非人道兵器の実験場にしようとしている。私たちはこの戦争犯罪を徹底的に告発するだろう。

(4)私たちは抗議する。国連憲章と国際法を蹂躙する無法行為に。
 今回の侵略は国際法に違反しそれを踏みにじるものである。国際法上軍事懲罰を受ける何の理由もないイラクを攻撃するのは、明らかに国連憲章違反、国際法違反であり、正真正銘の侵略行為である。ブッシュは「先制攻撃戦略」というが、単に「侵略」を言い換えたに過ぎない。このような無法行為を許せば世界全体が無法地帯になってしまうだろう。

(5)民衆は見抜いている。「イラク国民の解放」とは侵略者の常套文句であることを。
 「最後通告」でも「宣戦布告」でもブッシュは「イラク国民の解放」のスローガンを前に出した。何十万人、何百万人の犠牲者を出す恐れがある侵略戦争を仕掛けておいて何が「解放」なのか。戦前・戦中の天皇制日本が「アジアの解放」を掲げて「大東亜共栄圏」「八紘一宇」のスローガンを掲げたのと全く同じ論理、まさに侵略者の論理である。

(6)立ち上がろう。小泉政権の「支持表明」を撤回させる闘いに。
 小泉首相は、「最後通告」の後にも、「宣戦布告」の後にも、ブッシュのイラク攻撃を公式に「支持する」と表明した。理由は「日米同盟」重視。これまでの曖昧な態度を翻し、本音を丸出しにしたのである。しかしなぜ「日米同盟」重視が「支持」につながるのか。国民は誰も納得していない。ドイツもフランスもロシアもアメリカの「同盟国」である。にもかかわらず、無法な侵略を支持できない、と加担を拒否した。「日米同盟」は理由にならない。何としてもまずはこの国民の民意を踏みにじる「支持表明」を撤回させなければならない。

(7)阻止しよう。「戦後復興」を口実にした参戦・加担を。
 小泉政権は、「戦後復興」を口実にして自衛隊機や自衛艦のイラク参戦を策動している。自民党の山崎幹事長は5月連休明けにも「イラク戦後復興新法」を国会に上程すると述べた。増税や国債発行をしてまで大々的な「戦費負担」をする考えである。ブッシュもまた「がま口」日本に膨大な戦費を負担させようと手ぐすねを引いている。私たちは「戦後復興」という名の参戦・加担を断固拒否する。戦費の出費を一切拒否する。

(8)警戒を怠るな。どさくさ紛れの対北朝鮮挑発、有事法制の強行に。
 小泉政権はもう一つ「北朝鮮」を「支持」理由に挙げた。それならブッシュが「イラクの次は北朝鮮をやる」と言えば日本は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を攻撃するのだろうか。断じて許せない態度である。
 それを裏付ける危険な動きが始まっている。政府・防衛庁は、「警戒」と称して対北朝鮮の挑発政策をエスカレートさせている。政府与党は「核問題」と拉致問題を騒ぎ立て、北朝鮮の「脅威」を人為的に煽ることで、世論を好戦的な方向に誘導しようとしている。「イラクが片づけば次は北朝鮮」を煽り始めている。
 小泉政権は有事法制の審議をごり押ししようと根回しを始めた。イラク参戦・加担をテコに、「イラク新法」と有事法制を同時並行で審議し、早ければ4月中にも衆院通過を強行する構えである。イラク戦争「支持表明」を撤回させよう。そしてその力とエネルギーをテコに、「イラク新法」と有事法制の強行を阻止しよう。