米軍によるコロンビアへの
軍事介入に反対する

東南アジアではフィリピンに、
中南米ではコロンビアに介入する戦争屋ブッシュ


 中南米のコロンビアでアメリカによる新しい軍事介入が始まりました。アメリカに後押しされたコロンビア政府が突然和平交渉を一方的に打ち切り、国軍がゲリラ支配地域を空爆し地上部隊を侵攻させたのです。2月22日には、国軍は、武装ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)が3年以上にわたり支配してきた南部の主要都市サンビセンテデルカグアンを奪回しました。国軍の緊急展開部隊は約900人をサンビセンテデルカグアン近郊の基地に展開させました。FARCとの交戦はなかったといわれています。国軍は、FARC支配地内のマカレナなど他の4都市へ同部隊約2500人の進駐を始めました。
 私たちは米のコロンビアへの軍事介入に断固反対します。パストラナ大統領に対して即刻和平交渉の席に戻ることを要求します。「戦争ではなく和平交渉を」がコロンビアの人々と中南米地域全体の民衆の願いであり望みです。
 ブッシュ政権は、今なおアフガニスタンで軍事作戦を遂行中です。空爆で人殺しを続けているのです。アメリカの傀儡であるカルザイ政権を維持するために、対立する地元部族を攻撃したり、アフガンの国土全体をまるで自分の演習場のように闊歩しているのです。アフガンでの死者は一般民衆、タリバン兵・アルカイダ兵を含めて1万5千名以上になります。これだけ殺してもまだ満足しないのでしょうか。


■コロンビア国軍を後押しして軍事介入するアメリカ
 パストラナ政権を強く後押ししているのはアメリカです。米はFARC支配地全域を制圧させようと圧力を加えています。現に地元マスコミも、今回の軍事行動の背景には米国の強い意向があった、と伝えています。

米ブラック・ホーク攻撃ヘリで、奪回したサンビセンテデルカグアン郊外の基地に降りたつコロンビア国軍(2月22日、AP/コロンビア国防省)
 米政府は公式にはコロンビア国軍への支援は、麻薬対策に限定しているとの立場ですが、昨年9月の米同時テロ後、事実上対FARC軍事作戦の全面支援に乗り出しました。昨年11月ごろ、FARC支配地周辺で国軍によるレーダー施設の建設に協力、昨年末にかけて、緊急展開部隊の軍事訓練を指導してきました。現に軍事顧問団が指揮している可能性が大きくなっています。今年1月には、攻撃用ヘリなど14機を供与しました。これだけからしても米の軍事介入は組織的系統的なものであることが分かります。元々アメリカはコロンビア介入の目的を「麻薬撲滅」と言ってきましたが、この名目をかなぐり捨て、公然とゲリラ掃討のための軍事介入を開始したのです。
 アン・パタソン駐ボゴタ米大使は「左翼ゲリラはウサマ・ビンラーディンと同じだ」と決めつけ、ベル国防相やタピアス国軍最高司令官と頻繁に会合を重ね、今回の軍事作戦を計画してきました。ブッシュ大統領とともに東アジア歴訪中だったパウエル米国務長官は22日、同行記者団に対して、コロンビア国軍によるFARC支配地攻撃について、「パストラナ大統領の決定を理解する」と述べました。周到な準備を伺わせる発言です。
 これに対してFARCは、今回の和平交渉の破棄と軍事攻撃について、「米国、大統領選挙の一部候補者、国軍の圧力に屈した」とパストラナ大統領を痛烈に非難し、和平交渉再開は5月の大統領選挙後に持ち越す意向を表明、解放闘争を再びゲリラ戦に移行させる準備に入っています。

■中南米の高まる反米傾向を叩き潰す狙い。ブッシュ政権の石油支配の野望
 今回のコロンビア政府の軍事作戦は、まず第一に、孤立したコロンビアだけの国内問題ではないということです。それはアフガンで米が継続する軍事行動と不可分一体のものであり、イスラエルによるパレスチナ自治政府に対する戦争と一体のものであり、フィリピンへの米の軍事介入と不可分一体のものであり、更には「悪の枢軸」論、イラク・イラン・北朝鮮への軍事的恫喝と不可分一体のものです。
 第二に、中南米諸国、特にベネズエラとチャベス大統領に重大な脅威を与えるものです。チャベス大統領は就任以来反米傾向を強め、キューバに接近し国内では社会主義的で急進主義的な土地改革を推進しています。最近では親米派の大土地所有者や金融資本家や一部の軍の将校らが民衆を焚き付けて反政府行動を煽り始めました。まるで今回のコロンビア介入に歩調を合わせたような動きです。また昨年1月には隣国のエクアドルで若手将校と先住民運動が連帯して一時的に権力を握る事態に発展しました。中南米ではフジモリ前大統領の失脚でペルーの政治情勢が流動化し、アルゼンチンでは対外債務危機の爆発によって労働者や「中流階級」の反政府暴動が起こりました。またブラジルでは先日、ポルト・アレグレで反グローバリズムの世界社会フォーラムが開催されたばかりです。アメリカはこれ以上反米傾向・離米傾向を中南米諸国で拡大させないために、中南米情勢全体を一変させ、この地域で緊張激化と戦争を巻き起こすことが必要と考えたに違いありません。
 第三に、なぜブッシュで、なぜ今なのかという問題です。ブッシュ政権が軍産複合体と並んで石油メジャーや石油業界の関係者が牛耳る政権だからです。コロンビアには石油資源があります。またベネズエラのチャベス政権はOPECの有力な構成メンバーであり、米政府や石油メジャーの石油支配や石油買い叩きに対抗してきた経緯があります。もう今では公然の秘密になっているのですが、アフガンへの侵略についてもアメリカと石油メジャーによる中央アジアの石油・天然ガス利権の強奪という狙いがあるのです。アフガンと併せて中南米の石油資源の支配という野望に踏み切ったとしても何の不思議もありません。そしてエクアドル・コロンビア・ベネズエラと続く中南米有数の石油資源地帯を押さえるにはその中間に位置するコロンビアが戦略的に重要であることは言うまでもないでしょうし、「麻薬撲滅」を格好の口実に使えるからです。


■反革命的な弾圧体制の終結こそが和平への唯一の道
 コロンビアの民族解放闘争の真の意味と血の弾圧の中で多数の犠牲者を出しながら戦い続けてきたコロンビアの農民大衆の真の声が、欧米のマスコミにも我が国のマスコミにも全く正確に伝えられていません。われわれはまずもってこの偽りの報道そのものを弾劾します。FARCはなぜハイジャックするのか、なぜ誘拐するのか。その本当の意味をちゃんと報道すべきです。
 和平交渉の根本問題は、文字通り「平和と民主主義の保証」です。これまでコロンビアでは平和運動や人権運動、労働運動や農民運動が徹底的に弾圧され、多くの労働組合活動家や農民運動活動家、人権活動家などが国軍とパラミリ(右派民兵、反革命準軍事組織)によって暗殺・虐殺されてきました。この進歩的革命的な人民運動に対する血の弾圧体制を終結させることこそが和平への唯一の道なのです。米・ペンタゴン・CIA−コロンビア政府・国軍−パラミリ−麻薬カルテル−大土地所有者・金融資本:このアメリカとコロンビア寡頭支配層こそが問題の根源なのです。
 ゲリラ闘争は1990年代半ばに大きな転換点を迎えました。アメリカが当時のサンペル大統領に圧力を加えコカインの栽培の根絶に動こうとしたからです。コカインの利益分配をめぐって権力抗争が激化しました。FARCが政治的前進を遂げたのはこの時期です。
 それ以来コロンビア政府と支配層は米への従属を強めてきました。パストラナは米の傀儡政権と言えるでしょう。つまり今回の軍事作戦はコロンビア国軍の戦争であるだけではなくアメリカの戦争でもあるのです。


■世界の反戦運動の連帯した力でコロンビアへの米の軍事介入に反対の声を!
 ゲリラ戦を得意とするFARCの主力部隊は山間部に移動しています。もしこのまま国軍が山間部へも進撃をすれば本格的な内戦が避けられないでしょう。FARCは数十年もの長い闘いの歴史を持っています。必ずや果敢な反撃をするでしょう。パストラナ政権の冒険主義的な目論見が成功する保証はどこにもありません。
米平和運動団体インターナショナル・アクション・センター(IAC)は、急遽米の軍事介入に反対する緊急抗議行動を呼びかけました。欧米のコロンビア人民連帯運動や人権諸団体、共産党などは緊急アピールを発し、空爆の即時停止と全面戦争への突入中止を要求して行動に立ち上がっています。日本でも米の軍事介入反対の声を拡大しましょう。





2002年2月25日
アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動事務局



 アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動 事務局