イギリスからのレポート


英国では、日本のみなさんにも、知られているかもしれませんが、ロビン・クック元外相、現国務相が、英政府の先制攻撃の理由付ける新決議案を撤回した時点で、外交失敗を機に侵略攻撃に反対して辞任。その辞任演説は、彼の政治人生の中で一番すばらしい演説であったと、報道されていました。

英国では、攻撃が始まっても、以前以上に全国での抗議活動が大きく膨れ上がっており、一部メディアは、米英政府主導の攻撃が始まってしまった今の段階で、反戦活動は適切でないのでは無いか? と言う政治専門家の声もありましたが、活動が縮小される事もなく、米のように国内反戦活動鎮圧の大々的な警察力行使もなく、続けられています。

実際に侵攻攻撃が始まっても、攻撃同盟軍と言われる米英間でも色々な面で、問題が噴出して来ています。

国際刑事裁判所への署名を事前に撤回していたアメリカでは、きっと無視しても全く問題ないとされている事なのでしょうが、現在、英では、このイラク”戦争”(というより私は”侵攻”と呼ぶにふさわしい行為だと思っているだけでなく、英のメディアですら戦争と言う言葉は使われず、”侵攻”と呼んでいる場合が多くありますが...)の合法性を模索している状況です。

テレビやラジオに法律関係者が招かれ、英ジャーナリストの質問に対し、”12年前の前回の湾岸戦争時からの国連決議を全て鑑みれば、この戦争は合法的措置だ。”と言う法律家と、”いや、どう考えても国際法や国連決議1414からは、この戦争は法的には正当性は証明できないし、現在の国連決議に、過去の物を持って来て法的解釈する正当性も見当たらない。” と言う意見とまさに、反戦・戦争反対で国内が真っ二つに分かれた物と同じ形相を呈しています。

また、英国は米とは異なり、国際刑事裁判所の批准国でもあるため、軍事行動の範疇における国際法の解釈のしかたについても、英・米間の対応・認識が異なるため、英国では、これがかなり問題視されています。

ある過激な報道では、”人間の楯”について、米軍はこれらの人々は、自分の意思で敵地に留り、敵国を支持をして、敵の防衛に加担しているのであり、これは、攻撃の対象としても、問題ないとしている。とも聞かれ、”人間の楯”は民間人であり、これを攻撃の対象のみならずこの人達の負傷を誘発させる攻撃もしてはならないとする英の解釈とかなりかけ離れています。

また、攻撃対象とする軍事関連建造物の解釈についても、TV局は、民間施設であり、これへの攻撃に対する正当性はなんら認められない。とする英に対し、12年前も今回も、さっさと先制攻撃をしておいて、TV局は、敵国のプロパガンダを流すれっきとした軍事関連施設であるとする米軍の解釈と一線を画しています。

この延長線上に、最終的な敵国指導者の捕獲後における対応・対処についても、米からの見解が明らかにされず、英政府、英軍には、これに対する不安の色は払拭される事がありません。

現在も欧州の首脳会議において、欧州独自の防衛軍組織に関する論議は、今回の侵略戦争により英仏の距離の拡大が生じて、困難を極めているような形相ですが、このような細かな事柄における英米間の見解が必ずしも合意・一致しているとは限らないのが、現状だとみられます。

また、12年前の湾岸戦争では、米軍による流れ弾で、多数の英兵が犠牲になっていて、原因究明のための調査を米軍に依頼しても、米軍人保護法案によって、米政府から足蹴にされた事もあるそうで、今回もDU弾使用にも絡んで、まだまだ問題は山積みのようです。

長々と申し訳ありませんでしたが、以上BBCニュースなどから、ご参考まで。

(2003.3/21 英国在住 T.C)