太田・森発言に対する全国ネットの要望書

2003年7月6日


自由民主党総裁 小泉純一郎 様

太田 誠一 様

森 喜朗 様

衆議院議長 綿貫 民輔 様

男女共同参画担当大臣 福田 康夫 様


要望書


 私どもキャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワークは、1997年設立以来、大学、学校をセクシュアル・ハラスメント、性暴力のない平等で安全な環境にするために日夜とりくんでいます。現在大学教職員・学生を中心に全国で約400名の会員がおります。

 新聞やテレビ等によると、自民党太田誠一衆議院議員は6月26日、鹿児島市内で開かれた全国私立幼稚園連合会九州地区会の公開討論会の場において、「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」と評し、また同会場で森喜朗衆議院議員も「二次会に参加する被害者の方も悪い」旨の発言をしたとされています。これが事実であるならば、見過ごすことのできない発言であり、ここに厳重に抗議致します。

 太田議員の発言は、第一に、相手の意思を踏みにじり自分の思いのままにしようとする性暴力行為を容認しており、許しがたいものです。第二に、合意による性関係と性暴力を同一視するものであり、とうてい受け入れることができません。大学におけるセクシュアル・ハラスメント事件においても、相手の意思を尊重せず性的関係を強要する行為が行われ、それを合意だとする抗弁がしばしば行われています。太田議員の発言は、このような抗弁を補強することになり、私たちとしては看過できません。

 森議員の発言は、性暴力の被害者の落ち度を非難するという典型的な「セカンドレイプ」、二次加害行為です。大学のセクシュアル・ハラスメント事件においても被害を受けた者はこうした周囲の者、とりわけ組織で責任ある地位にある者による無理解、二次加害によって、いっそう苦しめられ、就業や学習・研究の権利を回復できないまま大学を去るということが数多くおきています。

 そしてこうした二次加害行為を防ぐため、大学の構成員や国家公務員全体に対するセクシュアル・ハラスメント研修、教育が目下全国で取り組まれています。

 そのような中での両議員のこのような発言は、男女共同参画社会基本法の理念に反し、セクシュアル・ハラスメント防止政策を全否定するものであり、国会議員の資質に欠けるものと言わざるを得ません。

 以上の理由から、両議員は発言について、国民に謝罪するとともに、ただちに発言を撤回することを要望致します。さらに、自由民主党および国会において、性暴力問題の特質や実情について定期的に研修を行うこと、および、相談窓口などセクシュアル・ハラスメント防止体制を早急に整備されることを要望致します。



キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク
事務局 お茶の水女子大学 戒能研究室


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Last update:2003-07-07
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