リクルート青年編集者過労死損害賠償請求事件 記者発表資料


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リクルート青年編集者過労死損害賠償請求事件 記者発表資料

1999年6月9日 司法記者クラブ


1. 当事者

・ 被災者 石井偉(いしい いさむ、死亡当時29歳)(写真左から2人目)
・ 原 告 石井淳子(いしい じゅんこ、55歳、北海道旭川市在住)
・ 原 告 石井宏(いしい ひろし、54歳、北海道札幌市在住)
・ 被 告 株式会社リクルート(本店: 東京都中央区銀座8丁目4番17号)
代表取締役 河野栄子
* 約8,700万円の損害賠償金の支払いを求める。

2. 事案の概要

被災者故石井偉(以下「被死者」という)は、平成4年4月に被告株式会社リクルート(以下「リクルート」という)に入社。平成8年3月までは週間求人誌「B-ing」編集部所属、その後同年4月からインターネット「デジタル B-ing」編集部署に異動となり、約5か月後の8月25日、くも膜下出血を発生して同月29日に亡くなった。

「B-ing」配属当初から、被災者は、継続的に長時間かつ深夜にわたる過重労働に従事していた。また、同部署の貴重な男子正社員として重い責任のもとで編集業務以外にも様々な業務を行っており、業務は質的にも過重であった。

その後、リクルートにおいて、インターネットホームページ媒体を利用した求人情報発信のために編集部署を立ちあげることが決定、被災者が抜擢され「デジタル B-ing」編集部署へ異動となった。新しい部署でありシステムも確立していなかったため、週1回の画面更新のために、通常は深夜、時には明け方にまで及ぶ業務を余儀なくされていた。

このような入社以来継続した激務により、被災者の健康は次第に悪化し、ついに8月25日のくも膜下出血発症により死亡するに至ったのである。

3. 提訴に至る経過

原告らは、平成10年8月に労災申請を行うとともに、被災者の死亡につきリクルートに対して安全配慮義務違反による損害賠償を求めて交渉を行った。しかし、リクルートは自らの安全配慮義務違反を全く認めない態度に終始したことから、本件提訴に至ったものである。

4. リクルートの責任

リクルートの安全配慮義務違反は明らかと考える。

即ち、被災者は、学生時代には何らの病気もなく入社1年目の健康診断でも異常は認められなかったものの、長時間、不規則かつ質的にも過重な労働により次第に「血圧」等の数値が悪化していった。死亡した平成8年の7月の健康診断では再検査が必要という診断結果であった。

しかしながら、リクルートは、被災者の健康診断結果に鑑みて労働を緩和するなど必要な措置をとるどころか、何の配慮もなく、一貫して被災者を過重労働状況下に置き、ついには死に至らせたのである。

5. リクルートの問題性

本件訴訟準備を行う過程で、リクルートにおいては被災者のような長時間かつ不規則な業務が広く蔓延している実態を認めるに至った。徹夜勤務も常態化している。被災者の他にも、過労死の疑いがある死亡者や健康を害して退職した労働者が存在するという話も聞き及んだ。

このような実態を考えると、被災者のケースは決して例外的なものではなく、リクルートにおいて現在の勤務実態が継続する限り、今後も被災者のような被害者が繰り返される可能性がきわめて高いと言わざるを得ない。

リクルートは人事コンサルティング等を業として利益を上げている企業であるにもかかわらず、自社の従業員にこのような労働を強いていることは極めて問題が大きい。

6. 弁護団の見解

本件が「過労死」であることは明らかであると考えており、今後訴訟を通じて、被災者の量的質的過重労働の実対等を明らかにしていく予定である。

さらに、上記リクルートの問題性、および近時エスカレートするリストラにより労働者が心身の限界まで働かなければならない状況にあることを考えると、この問題はひとり被災者のみの問題ではなく、本件訴訟を通じて、広く労働者の労働のあり方について問題提起をしたいと考える。

【弁護団連絡先】

玉木一成(写真一番右) 東京駿河台法律事務所
TEL(03)5296-5533/FAX(03)5296-5534

村田智子(写真一番左) 北千住法律事務所
TEL(03)3870-0171/FAX(03)3881-7471

池田純一(写真右から2人目) 日比谷シティ法律事務所
TEL(03)3580-5460/FAX(03)3580-5465


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