わたしの雑記帳

2004/10/8 大野悟くんの裁(2004/10/6)、元教頭の証人尋問の傍聴報告。


2004年10月6日(水)。この日は偶然、さいたま地裁での大野悟くんのいじめ自殺裁判と、横浜地裁での小野朋宏くん学校災害の裁判とが重なった。今年の5月26日にも、2つの民事裁判が重なり、その時には、小野さんの裁判はまだ書類のやりとりだったので、大野さんの裁判の傍聴に行った。
そして今回、双方ともに教師の証人尋問。時間帯は午前と午後に分かれてはいるものの、2つの裁判所は離れている。とりあえず、午前10時15分からの大野さんの裁判を傍聴してから、小野さんの裁判にかけつけることにした。

午前10時15分開始予定だったが、実際には前に2つの裁判が行われており、15分ずれ込んで10時30分からの開廷となった。本当は8月6日に元校長の証人尋問が行われる予定だったが、前日になって、体調不良を理由に急遽、延期となった。そして、10月6日。まだ、元校長の体調が思わしくないのか、それとも精神的に耐えられないのかどうかはわからないが、元校長に代わって、元教頭の証人尋問となった。

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まずは被告である川口市の代理人、中村光彦弁護士からの尋問からはじめられた。(質問内容は順不同)
元校長の陳述書の内容についての確認等が主に行われた。

平成12(2000)年7月27日、午後9時頃、悟くんが自殺したと聞いて、校長と学年主任(男性)、悟くんが所属していた化学部の顧問(女性)、1年の担任(男性)の4名で小野さん宅を弔問に訪ずれた。

「HELP」と書いたメモについては、実物を見たことはない。写しも見たことはない。誰も見ていない。
7月31日に大野家から帰った校長からメモのことは聞いた。おばあさんが電話のところに「HELP」と書かれたメモがあったことを思い出したという。その時には意味があるとは思わず捨ててしまったということだった。

平成12年のいじめの発生件数は2件だった。本件を含む。
教職員間の情報交換会を週1回行っていた。学年間の問題行動や課題について話し合われた。
必要に応じて、担任から家庭へ協力をお願いすることもあった。
研修会は年間計画に添って、月1回、いろいろなテーマで行っていた。
「さわやか相談員」を設けて、相談室で教育相談や生徒の悩みを聞いていた。

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次に原告代理人の桜井和人弁護士からの質問。

Q:情報交換会はいつからあったのか。
A:平成12年4月に同中に入ったときにはすでにあった。

Q:いじめ問題に関する反省会や研修はあったのか。
A:この題に関するものはなかった。1学期にいじめに関する研修はあった。人権を尊重するなど、全体的な教師の対応についてで、具体的に実際に存在した事例について検討はなかった。

Q:「さわやか相談員」とは?
A:民間の相談員で、1名。常駐している。

Q:悟くんの自殺後、事件の対応について、臨時の職員会議が何度も開催されたと思うが、会議録はとっていないのか?情報開示請求をしたら、「すべて不存在」ということだったが。
A:職員会議録は残っているものと、残っていないものがある。年間の計画に基づいた正式な職員会議は記録があるが、臨時の職員会議や集会の記録はない。そういう形で記録することはしなかった。事件の関連文書がひと綴りになったものはない。事故報告書はつくってある。

Q:事故報告書をつくるための基礎資料となるものはないのか?
A:報告事項のメモとかはあったが、残っていない。正式な文書のみとってある。

Q:加害生徒は最初8名で、結局は9名になったが、どういうふうにわかったのか。
A:7月28日に、全校集会で、悟くんの死について生徒に報告した際、知っていることがあったら教えてほしいと言ったところ、情報のなかから8名の名前があがってきた。
生徒が担任に口頭で申し出た。8名以外の名前も出た。学年教員が分担して事実確認をした。確認作業について自分(教頭)は携わっていない。

Q:「8名には注意、指導した」とあるが、いつ、どのように行ったのか?
A:8月1日に最終的に確認して、学年教諭や校長が会議室で注意した。自分が行ったことについてどう思うか、というような話をした。私自身は同席したこともあり、同席しないこともあった。

Q:校長名の報告書は誰が書いたのか。表は?
A:起案は学年担任。表は学年担任が立ち会ってつくった。

Q:「いやがらせ」のなかに「似顔絵」とあるがどういう意味か?
A:具体的にはわからない。

Q:「メガネをかりる」というのは、とりあげるという意味ではないのか。
A:メガネをかけたとき、どのように見えるか知りたくて、ちょっとかけさせてくれないかと言ったのではないかと。

Q:「定期試験中」に、のりが机に塗ってあったというが、定期試験とはいつのことか?2回あったのか。
A:中間試験が6月中旬てせ、期末テストが7月上旬。のりが机に塗られていたのは中間試験のとき。

Q:「謝罪して許してもらう」とはどういうことか。
A:今まで大野くんに対して行ったことに対して、今までこのようなことをして悪かったとAからMが謝罪したと聞いている。

Q:事件の翌年、人権擁護委員会から調査があったと思うが、資料などを出したのか。
A:人権擁護委員会から2名がきた。いきさつについて知りたいと言われたので、それまでわかった事実を出した。まとめになる資料は出していない。メモなど、今は一切ない。

Q:8月3日に記者会見が学校で行われたが、同席していたのか。
A:同席していた。記者が30名から40名。主な新聞、テレビはほとんど来ていた。
校長が説明して、それに対する質問があった。

Q:記者会見場に悟くんの祖父が同席したいと言ったのを最初、断ったのはなぜか。
A:予想していなかったから。

Q:校長が会見でエルボーやますい蹴りを実演してみせたが、こういういじめの方法があると知っていたか。
A:エルボーは知っていたが、ますい蹴りの名称は知らなかった。悟くんに行われていたということは知らなかった。

Q:8月21日のアンケート回答の内容と結果を覚えているか。
A:おおよそしか覚えていない。

Q:「いじめがあった」と回答した数が多かった。悟くんのいた1年生の1学期では、135人がいじめがあるとし、73人が見たことがあるとあった。2、3年生についても相当数ある。全校にいじめがまん延していたのではないか。
A:いじめのアンケートに対する全体の受け止め方にもよると思う。いじめをどう定義するかとか。単なるふざけあいも含めているかどうかはわからない。

Q:このアンケートは悟くんの自殺後にとられたものであり、いじめとはどういうことか説明してからとったのではないか。
それから、いじめを先生に相談したのは、1年生では7人、先生が解決してくれたのは1人しかいない。2、3年生についても似たようなものでわずかだった。
「さわやか相談員」が常駐していたということだったが、機能していたのか。
A:それ以外の悩みを相談にいった生徒はいた。

Q:教頭というのはどういう職務権限があるのか?
A:校長の補佐をしたり、職員に指示したり、施設管理、関係者の連絡調整を行う。

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被告生徒の代理人の牧野弁護士から。

Q:生徒に情報提供を呼びかけた以外に、情報を集めた方法は?
A:生徒からだけでなく、保護者からも情報があった。
8月21日の全校登校日に、集会で呼びかけたあと、生徒が担任に話した。電話はわからない。自分は外部との対応に負われていたので。
生徒から担任に、学年主任に情報があがって、生徒指導がまとめて、事実確認をした。
名前があがっていて、「自分がたしかにやりました」と認めた生徒のみ残った。

Q:最初から自殺の原因を探すことが目的だったのか、それとも最初は大野くんの学校生活の実態を知ることが目的だったのか?
A:最初はいじめがあったと把握できていなかっので、生活の実態を知ることが目的だった。大野くんについて、悩みを聞いたり、相談を受けたり、暴力やいやがらせをやったことがあるかどうかの事実確認をした。

Q:9名については、仲の良い子に実態を聞いたのか?
A:自分で、自分の行ったことを認めた。担任、ほかの報告があった。

Q:8月1日には9名だけが呼ばれて、他の生徒は呼ばれていないが、誰が決めたのか。
A:1名は体調が悪くて欠席し、8名。決めたのは校長。
7月31日夕方、大野さんから、他の保護者から情報が寄せられて、学校でこういうことがあった、暴力行為などの事実がわかったからとして、5名の名前をあがった。
2人以上から名前があがっていたのが、9名だった。担任が寄せられた情報を元に事実確認をしているはず。詳細は思い出せないが、そういう形で慎重を帰した。

Q:8月1日の午前中、1人はいじめを頑強に否定したのではないか。
A:その場にいて止められなかったと言った。ほかは認めた。

Q:大野家に出した報告書は8月1日現在と書いたものと8月6日付けの報告書があるが、登場人物が増えているのはなぜか。
A:元になった情報は8名を呼びだした結果。この間、1名、来れなかった生徒の確認を行った。自分は再調査をしていないので、はっきりとは覚えていない。
8月1日に大野さんから、これではわからない、もっとはっきりしたものにしてほしいとの要請を受けた。4月下旬から6月の暴力行為が7月までに。人数が18名になった。
その後、新たな事実がわかったから付け加えた。誰の判断で表記が変わったかはわからない。
8月1日以降に申し出たり、他学年のなかからも情報が出てきたのではないかと思う。

Q:9名は川口警察署から事情聴取を受けたのか。
A:クラス全員が、川口警察から事情聴取を受けた。9名が児童相談所送致になった。

Q:報告書には7月上旬のことまでしか記載されていないが、半月以上たってから自殺している。夏休みに入ってから、自殺の直前の部活動で何かあったのではないかとは考えなかったのか。
A:顧問に部活の活動状況を確認したところ、部活動には元気に出席していた。2日後に見学に行くのを楽しみにしていたという。非行は感じられなかった。夏休み中も部活には通っていたと顧問から聞いていた。部活動で何かあったとは思えない。

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11時50分頃に尋問終了。約1時間半。
次回は11月17日(水)。10時20分から12時00分の予定で、悟くんの母親の本人尋問が行われる。


小野さんの裁判傍聴に行くために、桜井弁護士からの解説を聞かずに、さいたま地裁を飛び出したこともあり、内容に不十分な部分があると思う。

小野さんの裁判傍聴については日を改めてUPする予定。




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