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2005年7月10日発行206号ピースネットニュースより

ゆるやかに しなやかに 青山正の希望力時評
ロンドン爆破事件・郵政民営化そして「君が代強制」
暴力へ向かう動きを変えよう!

ピースネット・市民平和基金 青山 正

  7月7日にイギリスのロンドンで連続爆破事件が起き、多くの死傷者が出ました。地下鉄やバスの乗客の命をねらったこの卑劣な事件は許せません。しかし、この事件が「テロ」だとして、いくら警備や監視を強化したり、様々な規制を加えても完全に防ぐことは難しいでしょう。それどころか社会が自由をますます失い、疑心暗鬼に満ち、そして警察や国家の権力が増し、監視社会へと向かうことになる危険性があります。この間の「反テロ」の掛け声のもとで世界各国はその危険な方向へ進んでいます。
 チェチェン問題もそうですが、「テロ」が起きる根本原因を解決しない限り、残念ながらこれからも同様な事件は起きてしまうでしょう。「テロ」の悲劇の裏側で起きている、イラクやアフガニスタンやパレスチナ、そしてチェチェンで続いている悲劇に対しても私たちは直視し、問題の解決の糸口を探り続けなければならないと思います。全てを「力」で抑えつけ、表面的な平静を取り繕うとしても、犠牲となっている人々の無念さや怒りを消し去ることはできません。
 日本では様々な重要な課題が山積しているにもかかわらず、郵政の民営化をめぐって国会での茶番劇が繰り広げられました。「何のための民営化か」という基本的な問題すら市民に明らかにされないまま、「郵政民営化法案」が衆議院で可決されましたが、その裏では今後のさらなる大増税への布石が着々と進行しています。そして自民党では愛国主義を掲げ、自衛隊を正式な「軍」とするための憲法改正の準備も進んでいます。本屋ではその動きを強めるような「反自虐史観に基づく歴史」や「日本的な考え」を主張する書籍が氾濫しています。表向きは「新しい」とか「正しい」という言葉に満ちていますが、その本質は極めて暴力的です。「日の丸・君が代」強制をめぐる動きにもそれはあらわれています。
 前号で紹介した立川市立立川第二中学校教諭の根津公子さんの入学式での「君が代」不起立問題での、1ヵ月の停職処分はその象徴でしょう。この処分に抗議して校門前に立ち続けた根津さんの停職「出勤」報告の中から少し紹介します。
 『「都教委がやっていることは個人的には問題を感じている」。これは、近隣の市教委の役職にある人が市民との話し合いの場で漏らしたということばですが、(略)個人的には問題を感じていることはわかります。数年前あるいは10年前まで教員は、職員会議で激しく議論してきたのですから。ことは酷くなる一方なのですから、教育行政、教育現場にいて疑問を感じている人たちは黙っていないで、一言でも発言してほしい。学校が上意下達で支配されて一番の被害者が子どもたちであることは、歴史が証明していることです。外堀が滅茶苦茶に崩されて、教室だけで子どもたちを守ることはできないのですから。』
 『今週は停職「出勤」報告を読まれて遠くから何人もの方が校門前に私を訪ねてくださいました。クラクションで軽く合図をして下さる方、毎日挨拶を交わす方、いろいろな出会いを楽しませていただいています。(略)処分に対する抗議と励ましのアピールを書いた色紙、優しいことばなどなど。本当に幸せです。週末の今日一番多くもらった言葉は、「先生、あと何日?」「早く戻って来てよ(来いよ)」でした。毎日毎日うれしいことや、新しい出会いなどあって、処分にははらわたが煮えくり返りますが、意味ある非日常を送っています。17日の訪問者のお一人を紹介します。小学校の教員をされている韓国の女性で、今年の4月から1年留学中のTさんです。メールで私のことを知られ、ご自分のことと重なって駆けつけてくださったとのこと。彼女は、1980年に教員になり弾圧下にあって子どもにとってのよい教育と労働環境の改善のために主張し、行動してこられた。韓国ではこの頃、労働組合活動は非合法。その中で闘い、1989年に解雇される。一人、また一人と全部で千何百人の教員が解雇され、しかし、学校からは締め出されても諦めることなく闘い続け、学校の中の人たちに働きかけ、中と外とで結びつき、全国にまたがって活動をしてこられた。10年後、金大中政権になって復職する道が拓かれたことを私もニュースで聞いたことはありましたが、彼女はその一人。職場復帰をし、現在に至ります。
 彼女(たち)に対する教育省の攻撃の仕方は日本のいまと、私が受けた攻撃とまったく同じです。解雇のために保護者が使われる。利用された保護者たちが校門前で「Tを辞めさせろ」とデモを繰り広げたと言います。転任して直後、まだ授業をしていないうちから教育省に「教え方がおかしい」と保護者からの「苦情」が届く。同僚たちが、自分の身を守るために黙り、変容していったという話。(略)私には、多摩中で、嘘八百を言う校長が開催した根津糾弾のための緊急保護者会とその中で利用された保護者たちの姿がぴったり重なりました。(略)ひとは何歳になっても変わり得るという実例も聞きました。彼女が解雇される前のことです。その職場には彼女ともう一人、ものを言う若い人がいて、校長・教育省は彼女たち二人の監視・指導を年配の教員にさせたのだそうです。しかし、教育省らの思惑に反し、その老教員は彼女たちの教育に対する思いに共感していき、とうとう彼女たちと一緒に行動するに至り、解雇も一緒にされてしまう。だが、老教員は、「それまで気づかずに来たものが見えるようになり幸せだ」と言い、変わられ、現在も一緒に活動されているとのことでした。素敵な話です。ここまでではないけれど、私もこれに近い体験は何度かあります。だから、人はすてきですね。』
 いくら暴力で封じ込めようとしても真実を求める心を砕くことはできません。強権と偽りの言葉に塗り固められた今の日本社会の現状を、しなやかに、ゆるやかに変えていきましょう。
(ということで今号から表記のタイトルでの連載とします。

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