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2005年2月10日発行201号ピースネットニュースより

しなやかに、ゆるやかに「非暴力」で行こう!
危機を超える希望を創り出そうよ!

ピースネット・市民平和基金 青山 正

 先月号はお休みしたので今月号が201号となります。一から出直す気持ちでまずは表紙からリニューアルしました。本文のデザインはまだですが、これから中身も含め少しずつ変えていければと考えています。200号の巻頭でも予告しましたし、また表紙を見ていただいてもおわかりのように、これからは今まで以上に「非暴力」を主要なキーワードにして、ニュース作りと新たなネットワーク作りを目指していきます。
 これまでも本誌では「非暴力」を多く取り上げてきました。そして昨年から同じ事務所にある「非暴力平和隊」と一緒に月例で非暴力連続講座を行ってきました。今年もその連続講座を続けていきますが、そこでの経験や議論を通しても、やはり「非暴力」という考え方、生き方、そして社会のあり方が、これからの日本と世界にとって、さらに私たち自身にとっても、非常に有効で大事であるという思いを強めました。
 今私たちの周りには政治・経済・安全・環境問題など、重大な問題が山積です。特に日本ではこれから憲法9条の改悪をめぐる動きが加速しそうです。憲法改定を可能とするための国民投票の実現をめざそうとしています。 その動きと連動して北朝鮮の拉致問題に対する経済制裁を求める声が高まっています。それはどう考えても拉致問題の解決に結びつくとは思えません。むしろ日朝間、そして朝鮮半島の緊張を増すことになり、突発的な衝突や暴発をもたらすかもしれません。それはさらなる悲劇と悲惨な殺戮に結びつくだけです。しかしそうした緊張状態やあるいは国際的な「テロ」事件を利用しながら、危機をあおり、憲法の改悪と自衛隊の国軍化をめざす動きはこれからも進んでくるでしょう。また愛国主義を盛り込んだ教育基本法の改悪の動きや学校での「国旗・国歌」の強制、教育の管理強化など、恐ろしい状況も進行しています。
 こうした動きに私たちはどう対応したらいいのでしょうか。もちろん憲法や教育基本法の改悪を止めるための活動は必要です。でもそれだけで今の状況を変えられるとも思いません。例えば憲法9条について考えてみると、誤解を受けるかもしれませんが、私は湾岸戦争やPKO協力法の成立以降、「9条」によりかかりすぎる日本の平和運動に正直疑問を感じてきました。本当に「9条」が私たちの求めるべき理想なのか、戦争や軍隊や武器がなければ本当に平和が創れるのか、そういう根本的なことを問い直すことも必要ではないかとずっと考えてきました。そういう私の疑問に「非暴力」がひとつの答えを出してくれたように思います。
 あえて言えば、反戦や非戦を超えたより積極的な平和を創りだすものとしての「非暴力」という考え方があるのではないか、ということです。「非暴力」という言葉自体はある意味で言い古されてきましたし、普通に反戦運動の現場でも主張されています。しかし、それは非常に狭い意味での考え方でしかないように思います。より積極的に、そしてより広範で多様な視点と手段により平和を創りだすための思想としての新たな「非暴力」が今求められているのではないか、とこのところ思い始めています。まだそれは漠然としたものですが、しかし平和はまず自分の心の中から創り出すものであり、自らを変えながら社会を変えていくという「非暴力」の考え方に私は少しずつ確信を持ちつつあります。人間の中にある暴力性に向き合いながら、社会全体の暴力をなくすための仕組みを創りだすことが必要です。暴力の頂点としての戦争や軍隊をなくすには、その原因を取り除くことがまず求められるはずです。それらの手がかりとしての「非暴力」を求める人の輪を広げていきたいと思います。
 非暴力連続講座の会議でも話し合っていますが、「非暴力」という言葉が持つイメージの狭さを考えると、何か別なネーミングがいいのではないかと思案中です。ですが、当面は希望を創りだす希望力としての積極的「非暴力」ということで広めていきます。今の危機を超える希望をこれから新たな出会いを築きながら少しずつ創りだしていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。

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