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2004年5月10日発行193号ピースネットニュースより

時代錯誤の人質バッシングと
戦争犯罪を繰り返す米国を支持し続ける
日本を非暴力によって変えよう!

ピースネット・市民平和基金 青山 正

内向きの封建社会日本
 イラク人質事件は無事解決しました。しかし、イラクから戻って来た高遠さんら3人は、あたかも犯罪者として移送されてきたかのようにうなだれて日本に到着しました。政治家やマスコミなどで飛び交った「自己責任論」に基づく被害者やその家族へのバッシングは、本当にひどくあきれるものでした。 今回のイラクでの人質事件であらわとなった日本社会の異常さは、自民党の柏村武昭参議院議員の「反日分子」発言でより明らかとなりました。「明らかに反国家的で、武装勢力に対する利敵行為とも評価できますが、さらに聞くところによれば、人質の中には自衛隊イラク派遣に公然と反対していた人もいるらしい。もし仮にそうだとしたら、同じ日本国民であっても、そんな反政府、反日的分子のために、数十億円もの血税を用いることには強烈な違和感・不快感を持たざるを得ないと、私は思います。」という柏村議員の4月26日の参院決算委員会での発言は、第二次世界大戦前の日本に逆戻りしたかのようです。かつて戦争を批判する人々は「非国民」とされ弾圧されました。そして今政府が進める自衛隊のイラク派兵に反対する市民に「反日的分子」という言い方がされることは、戦前と変わらない日本の姿を示しました。ひょっとすると日本は敗戦後も今に至るまで何も変わっていなかったのかもしれません。
 まるで「お上」に逆らうものは罰せられる、あるいは政府の批判をしたり意向に従わない者は「反日的」として糾弾されてしまう今の日本の有り様は、しかしながら世界の中では通用しないものでした。各国の政府関係者やメディアなどで日本政府の対応のおかしさが指摘されました。それは当然のことです。まさしく日本の常識は世界の非常識であり、日本は極めて内向きの封建社会なのかもしれません。
 さらに問題なのは今回の人質バッシングに走ったのは、政府や一部マスコミあるいは右翼的学者・文化人だけではなく、比較的若い世代の中でも特にインターネットの世界を中心に目立ったことです。人質解放後の4月18日に東京・渋谷で自衛隊の撤退を求めるパレードがありましたが、渋谷のハチ公前の交差点で目にしたものに愕然とさせられました。いかにも渋谷の街にいるような年代の男女数人が、パレード参加者に向けて、いくつかのプラカードを見せていたのですが、そこには日の丸に大きく「自己責任」とありました。あきらかに人質バッシングの論調と同じ考えを持つ若者たちでした。パレード終了後参加者の一部と論争があったようですが、それによると彼らはバッシングの主要な舞台となっていたインターネットの有名な掲示板である「2チャンネル」でバッシングの意見を示していた若者たちでした。いかにも右翼という連中ではなく、こういう若い世代の人々が政府や一部マスコミの論調に乗せられて、「弱い者いじめ」的なバッシングに走るというのは、とても悲しく、そしてゆゆしいことであると思います。強きにへつらい弱きをくじく政府の姿勢と同じく、少なからず若い世代の中でそのお先棒を担ぐ層が存在することを私たちは厳しく受け止める必要があります。彼らはインターネットを通して世界中の情報が入るようになっても、結局は狭い視点の下で作られた世論操作に乗せられているだけです。

ボロが出た米軍の戦争犯罪と日本の世論操作
 しかし、それを超えることは可能だと思います。米軍によるイラク・ファルージャでの無差別攻撃は国際社会からの批判を浴び、さらにそれに続き発覚した収容所でのイラク人への信じがたい暴行の映像の数々は世界を驚愕させ、さすがに米・英の国内でも大きな批判が噴出しています。イラク戦争の大義などすっかり消えうせていましたが、今は米英軍の 戦争犯罪が問題とさえなっています。その米英軍の戦争を積極的に支持し、自衛隊までも差し出してきた日本の小泉政権の責任もまた大きく問われるべきです。結局は多少の小細工の世論操作をしても、ボロは出てきます。ましてや内向きの日本だけでしか通用しない言論が今の国際社会で成り立つわけはありません。ゆがんだ世論と日本社会を市民の手で少しずつ、あきらめずに変えていきましょう。
そのためにも必要なのは非暴力の考えだと思います。今回の人質バッシングにしろ米国や日本政府の言動にしても、とても暴力的です。社会全体が暴力的になり、その頂点に戦争と軍隊があるのではないでしょうか。私たちはこれまで以上に非暴力にこだわり、その考えと行動を広めていきたいと考えています。最後の案内にあるように非暴力平和隊と共同で連続講座も始めます。平和は一人一人の内から、そして社会全体の非暴力化が戦争をなくす道だと信じています。一緒に非暴力の道を歩みませんか。

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