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終了しました

日本寄せ場学会
2010年度秋季シンポジウム
[東京女子大学芝健介ゼミとの共催]
非定住と差別
−ロマ、スィンティ、在日朝鮮人、寄せ場を考える−

11月3日(
水・休日) 午前10時から午後5時
場所:東京女子大学25号館2階202号室
※どなたでも参加できます(予約不要・会場に直接お越しください)

 日本寄せ場学会の2010年秋季シンポジウムは、「非定住と差別」をテーマとして開催される。このシンポでは、偏見・差別のまなざしに晒され、定住社会から排除された非定住民の生と抗いを、ヨーロッパのロマとスィンティ、伊丹空港の在日朝鮮人「不法占拠」地域、そして寄せ場についての報告から浮き彫りにしていきたいと考えている。
 冒頭、オーストリアより来日された『私たちはこの世に存在すべきではなかった』の編著者ルードウィク・ラーハさんに、スィンティの一家三代の女性の生活史を通して、ナチス支配下から今日に至るヨーロッパ社会における非定住民差別の実状を講演いただく。それを受けて、今まさに問われているフランス、そして日本のロマへの偏見を金子マーティンが論じる。また、「中村のイヤギ」は、在日朝鮮人の伊丹空港「不法占拠」地域についての映像である。水野阿修羅は長年の釜ケ崎生活の体験を基に、在日朝鮮人および<不法占拠>について詳述する。国家暴力により非定住化され、非定住であるがゆえに定住社会から排除された人々は、生活すること自体、「不法」化されるのだ。この問題が野宿者排除の問題と通底していることは言うまでもない。その存在は、「私はこの世に存在すべきではなかったのか」と鋭く問いかけているのだ。(日本寄せ場学会事務局長・西澤晃彦)

午前の部 講演

午前10時から


講演1 ルードウィク・ラーハ(文筆家)
『スィンティ女性三代記 私たちはこの世に存在すべきではなかった』を著わして」
通訳 金子マーティン(日本女子大学・社会史)
午前の部のコメント 芝健介(東京女子大学・ドイツ現代史ナチス研究専攻)

(昼食・休憩)

午後の部 シンポジウム
13時から13時30分 講演2 金子マーティン(日本女子大学・社会史)
「EU圏における人権侵害−日本マスコミの『鎖国』的姿勢批判」
13時30分から14時50分 ドキュメンタリー映像「中村のイヤギ」(※)
 DVD上映 監督:張領太(チョウ・ヨンテ)
15時から15時30分 講演3 水野阿修羅(日本寄せ場学会運営委員長)
 「伊丹空港裏の『不法占拠』−在日朝鮮人と釜ヶ崎」
15時30分から15時50分 全体のコメント 池田浩士(京都精華大学・ドイツ文学)
15時50分から17時 討論

(終了後に懇親会を予定しています)
※「中村のイヤギ」内容のあらまし
 大阪国際空港(伊丹空港)の敷地内に、約100世帯・400人余りの在日朝鮮人が住む「中村地区」と呼ばれる場所が存在しました。
 そこは、かつて日本の植民地支配下で空港の建設・拡張工事に従事した朝鮮人達の飯場跡でした。
 2006年「中村地区」の移転を知った私は、その場所を訪れ人々の思いをカメラでおさめていこうと試みました。イヤギとは朝鮮語で、「話」などを意味します。移転を間近に控えた多くの在日朝鮮人の「イヤギ/話」に耳を傾けてみてください。

■東京女子大学への交通
西荻窪駅(JR中央線・総武線、東京メトロ東西線乗り入れ)より徒歩12分。
また、当日は休日ダイヤのため、特別快速・通勤快速・快速は停車しません。
総武線・東西線を利用するか、吉祥寺駅を利用してください)。
バス利用のときは、西荻窪駅北口(1番のりば)から吉祥寺駅行き「女子大前」下車
         吉祥寺駅北口(3番のりば)から西荻窪駅行き「女子大前」下車
案内地図(東京女子大学HP内)

日本寄せ場学会 2010年度総会

終了しました

2010年6月5日(土)、6日(日)
場所:日本福祉大学名古屋キャンパス
(名古屋市中区千代田5−22−35)北館7階7B教室
※どなたでも参加できます(予約不要・会場に直接お越しください)

総寄せ場化と労働力の再編成

 広範な産業部門において大量の非正規労働者が増大し、また、貧困化は著しく進行している。そして、そうした人々の中から、かつての下層労働者と連続的な質をもつ部分が確実に蓄積されつつある。彼ら彼女らは、非定住的で家族との結びつきを欠いており、また飯場のような「宿舎」を流動しつつ生きている。あるいは今はそうではなくとも、地域や家族とのつながりが時間とともに弱まればはっきりと社会から切断された下層へと吸収されそうな「予備軍」の膨張も推測される。現在の下層にはもはや「寄せ場」のような大掛かりな空間は用意されていない。「人材派遣会社」との携帯電話でのやりとりを通じての就労ルートが確立されることによって、今日の貧者の群れは、場所的に分散されている。そして、住処がなくなることで場所を失った人々は、飯場的宿舎やネットカフェのようなミニ寄せ場を転々としている。それが、私たちが、総寄せ場化と呼ぶ事態である。

 名古屋における総会では、初日、猿田正機さん(中京大学)と若月忠夫さん(ATU労組委員長)をお招きして、自動車産業の下請け構造と非正規雇用労働者の現状と問題について報告していただく。トヨティズムもまた、末端へと負担を委譲しつつ、また多くの外国人労働者を含む非正規雇用労働者を接合しつつ、大きく変容しつつある。自動車産業における総寄せ場化の現われを確認したいと思う。また、文貞實さん(中部学院大学)には熱海・箱根での女性サービス労働者について報告していただく。観光地において、そして時には観光地を転々として、「寮」に居住しながらサービス労働に従事する女性たちは、流動する下層労働者の女性版であった。明らかに私たちが見落としてきたその存在についての歴史と現状が述べられることだろう。

 トヨタと熱海・箱根、「宿舎」とネットカフェ、そして寄せ場と飯場。それらを貫いてある、排除による貧困のメカニズムを浮き彫りにしたい。もちろん、総寄せ場化による分断、孤立化をこえた、連帯の可能性も問われるだろう。総会全体の見取り図については、冒頭に西澤晃彦(東洋大学)が述べることにしたい。

 二日目は、前日を受けて、藤井克彦さん(笹島診療所)に反貧困運動の動向について報告をいただく。すべての産業部門にわたっての総寄せ場化において、「反貧困」は有力な結集軸の一つだろう。寄せ場学会においても、「反貧困」とこれまでの議論とをすり合わせたいと思う。最後に、藤田進さん(アラブ研究)に、グローバルな変動と総寄せ場化を伴った労働力再編とを関係付ける報告をしていただく。

 総寄せ場化を受けて、問われるのは想像力であるだろう。連帯と存在証明と「反貧困」はいかにして可能なのか。

第1日目(6月5日(土)13:00−18:00)

司会 岡本祥浩(中京大学)

●基調報告:西澤晃彦(東洋大学)13:00-13:30
(質疑応答時間を含む。以下も同様)
「総寄せ場化と労働力の再編成」

●講演1:猿田正機(中京大学)13:30-14:30
「トヨタシステムと労働者支配の構造」

●講演2:若槻忠夫(ATU労組委員長)14:30-15:30
「トヨタの労働現場はどうなっているのか−ATU労組の活動から−」

休憩(30分)

●講演3:文貞實(中部学院大学)16:00-17:00
「サービス業従業者特化地域と女性労働者」

第2日目(6月6日(日)9:30−12:30)

司会 濱村篤(寄せ場学会会員)

●講演1:藤井克彦(笹島診療所)9:30-10:30
「愛知における反貧困運動の状況」

●講演2:藤田進(アラブ研究家)10:30-11:30
「中東・アフリカの紛争当事国における経済開発と雇用契約労働」

全体討論 11:30-12:30


名古屋駅からの日本福祉大学名古屋キャンパスへの交通アクセス
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●地下鉄を利用する場合
 地下鉄名古屋駅から東山線で地下鉄伏見駅まで(2分)。
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