(意見書)清津川ダムは不必要〜若干の要望を添えて

清津川ダムを考える会

□状 況(資料・)
・予備調査開始から35年以上、実施計画調査開始からすでに17年が経過している。
・長年にわたり水没予定地の住民(約120戸)と生活再建計画を巡る交渉が難航してき


・ダム建設予定地周辺に、絶滅が危惧されている猛禽類をはじめとする希少野生動植物
が生息している。
・その後の経済・社会情勢の中で希望利水量の激減、ダム建設=公共事業に対する社会
の認識の変化、行政の見直しなどの新たな状況が生まれている。
・与党3党の勧告(2000/8)で中止すべき事業であるとされた。地元の建設推進の要望
は土木建設業界など一部の利害関係者の意見でしかなく、住民の多数は建設推進でない
こと(ダム反対が92.3%:1980年に実施されたダム対策協の住民アンケート)。
・長年にわたってダム計画に翻弄されてきた住民の多くは、「国民」としては無駄なダ
ム計画に反対であるが、「住民」としては現行法制度では中止されても何の補償もない
ので賛成せざるをえない、ともいう。
・(財)日本自然保護協会(NACS-J)も見直しを求めている(2000/8/23)。環境大臣

要望書を提出(2000/12)。学術調査報告書「ダム建設は見合わせることが望ましい」
(1973/3)。

□今年(2001年)の動きから
・地元・中里村村長および村議会(全会一致)がダム建設に反対している。
・横塚尚志・北陸地方整備局長の発言「(清津川ダムは日本の)最後のダムになる可能
性はある」(9/11付け新潟日報)
・国民の73%が公共事業を削減すべきだと思っている(日本世論調査会が9/29〜30日に
実施した世論調査:新潟日報・01/10/7。資料・)
・10/15:山本茂穂・中里村長と村議のダム反対陳情に対して、高鳥修代議士(自民)

「清津川ダムは不必要」と発言(10/16付け各紙。資料・)
・10/17:平山征夫・新潟県知事の発言「(清津川ダムは)財政的に問題も」(10/18付
け各紙。資料・)
・10/20:公共事業チェック議員の会(中村敦夫会長)がダム予定地を視察(10/21付け
各紙。資料・)
・筒井信隆代議士(民主)「(清津川ダム)私も建設に反対」(10/29付け朝日新聞)
・11/6:高鳥代議士の発言「私の発言を新聞で見た県の幹部は『いいたいことを言って
くれた。止めたいと思っても、国土交通省がやって来たから、今更、県から止めてくれ
と言えないで困っている』と言っていた」(11/8付け十日町タイムス。資料・)

□財政は、国・新潟県とも深刻な危機(費用対効果が得られない:資料・)
 執行中の2001年度(平成13年度)予算を含めてこれまでに56.9億円(事業進捗率がわ
ずか2.3%)を投入している(実施計画調査費・国家予算=平成10年度2.5億円、11年度
3.5
億円、12年度4億円、13年度8億円)。建設費用は国と県が負担(負担割合は国:県=71
.4:28.6)、県はこれまでに16億円以上を負担。
 新潟県の財政状況は極めて深刻な状況。県がまとめた2006年度までの中期財政見通し
によると、毎年度平均で約660億円が不足し、このままでは来年度(2002年度)に財政
赤字
に転落し、03年度以降財政再建団体の転落する可能性もあり、財政課は「財政は今まで
以上に危機的な状況に陥る」と断言。歳出を減らすために公共事業などの投資的経費の
伸び率をゼロにしても、これまでに発行してきた県債の償還で公債発行額を増やさざる
を得ず、06年度には今年度より約1000億円増加し、歳出に占める割合は12%から18%に


□清津川ダムは中止すべきである

(1)治水について

・ 現行の工事実施基本計画は実現不可能である
 清津川ダム計画は、150年に1回の確率で起こる洪水を同ダムを含め数個の治水ダム群
を建設して調整する計画の一つとして立案された。その内容は、小千谷地点を基準点に
して、基本高水流量13,500・/sのうち2,500・/sを上流ダム群で調整するというもので
あるが
、建設済みのダムの洪水調節容量は、大町ダムが2,000万・、三国川ダムが1,800万・で
しかない。したがってこれから清津川ダムを建設したとしても、その洪水調節容量が6,
000
万・とされているから、工事実施基本計画が定めた計画容量の残りは、大町・三国川・
清津川の3ダム合わせた2倍以上に相当する2億・という膨大なものである。
 昔の古老の話では、信濃川の洪水の水は「小諸水」「信州水」と呼んでいたという。
その信濃川上流に数個のダム建設を想定していた長野県は、田中知事が「脱ダム宣言」
を出していることもあり、当初計画の実現の目途は全く立たない。つまり現行の工事実
施基本計画はすべて、立地条件や政治・社会・財政事情等からこの先数百年かけても絶
対に実現不可能(非現実的)な過大な治水計画となっている。

・ そもそもダムは、堆砂問題がクリアできていない
 ダム湖の堆砂が、予想した年数より大幅に早く進行してダムの寿命を縮めているダム
が多い。堆砂対策として排砂ゲートや排砂バイパスなどの方式が試みられているが、排
砂ゲートは下流で深刻な水質汚染や漁業被害を発生させ、また排砂バイパスは、バイパ
スの運用方法・期間によってはダム湖の汚染が進行し、バイパスそのものが土石流によ
って損傷を受けるので補修費用がかさみ、さらに下流域の河川生態環境の悪影響は軽減
されないという(排砂バイパスを設けた旭ダムがある十津川村住民の話)。

・ 国(国土交通省)や自民党国土交通部会も方針転換
 高鳥代議士は、11月6日、先述の発言の外に、当日開催された自民党国土交通部会
に出席して得た知見を披露し、「清津川ダムに反対する村長の考えは正しい。きょう自
民党内の勉強会でヨーロッパの河川専門家の話を聞いたが、ダムによる治水ではなく、
直線化しない曲がりくねった川や氾濫させる川にする治水が必要になっている」と演説
したという。しかもこの自民党交通部会の勉強会において、国土交通省河川局の竹村公
太郎局長が、国の政策「自然河川・ウェットランド再生の取組み」について説明してい
る。
 それによると、「環境保全を主目的においた初めての河川事業がスタート」「これま
での実施計画による事業と違い、自然のレスポンスを見ながら順応的、段階的に施工す
る21世紀型の新しい公共事業」「・生物の良好な生息・生育環境、・水質浄化機能、・
環境教育の場、・遊水機能 などを有する河川環境を実現」「旧河道を活かした蛇行河
川を再生」「河畔林の再生」などを説明し、平成14年度概算要求として河川環境の自
然再生事業費約20億円を提出したという。
 そのほか、ハンス・オレ・ハンセン・ヨーロッパ河川復元センター事務局長とモーゲ
ン・ビョルン・ニールセン・デンマーク南ユトランド県自然環境局長の講演の内容は、
いずれも河川流路の直線化や人工護岸、ダム建設を批判し自然復元型河川事業の意義と
取り組みに関するものであった。
 このように、自民党国土交通部会という、これまでダムや道路などの公共事業一辺倒
と目されてきた機関ですら、これまでのダムなどの事業を見直そうと動き出しているの
である。

・ 国土交通省の資料から導き出される結論は、「清津川ダムは不必要」
 嶋津意見書「治水対策として清津川ダムは必要か」(2001年11月3日)は、国土交通

の資料を詳細に分析したものであるが、その結論は以下の通りである。
 ン 信濃川の河川改修計画に基づく工事が遅れていること。すなわち、堤防の高さの
不  足と河床掘削高の不足の合計は、河口から40〜65km区間では2〜3m以上に達して
い 
 ること。
 ゛ 清津川ダムによる治水効果は、小千谷基準点でわずか10cmに過ぎないこと。
 ゜ 以上のことから、信濃川の治水対策として今行うべきことは信濃川中流部の河道
整  備であり、河道整備が完了すれば100年を超える洪水確率に対する信濃川の安全
度は
  十分に高まり、清津川ダムは不要であること。

・ 信濃川水系の河川整備基本方針・河川整備計画の策定が先決
 国土交通省(旧建設省)が設置する河川審議会ですら「川はあふれる」前提で洪水と
共存する治水政策を流域住民の参画を得て策定すべきであると答申している(00/12/19
)。したがって今すべきことは、まず新河川法で定められた信濃川水系の河川整備基本
方針・河川整備計画の策定作業を、開始することである。
 信濃川水系のうち、大河津分水・関屋分水を含む本川の河川整備計画は国(北陸地方
整備局)が住民等の意見を聞いて作成することになっているが、まだ作成の手続きに入
っていない。しかし、上記の国管理部分以外の信濃川水系の県担当部分については、す
でに信濃川中流圏域の河川整備計画が策定されており、それ以外の圏域についても協議
会が設置され審議が始まろうとしている。本川の整備計画の策定が急がれる所以である


・(対案)「新河川法」・21世紀型の新しい自然河川整備のための治水対策
 ダムに頼らない治水対策として以下の手法を提案したい。これらの手法をそれぞれ組
み合わせながら、地域住民と広範な分野の専門家の知恵を結集して行うことが重要であ
る。そのために、行政機関や研究機関が保有する治水策に関する基礎的な資料・情報を
公開し、社会全体で自由な議論を広く深く民主的に行うことを保障することが必要であ
る。
 ン都市計画、農村対策等を含む総合治水対策、゛堤防余裕高を活かした矢板や地中壁
等による堤防強化、゜必要な箇所の堤防嵩上げ、燻翼帯(水害防備林)の整備、瘠x
耕田等を活用した遊水池(地)の整備、竏cH堤、繪ヘ道掘削、苒・・~の設置、蜊・
床式住居、謳A林、棚田管理等による緑のダム整備
 具体的対策の一例を挙げる。゛の堤防強化策を実施した場合の費用は約1,000億円で

むという専門家の意見がある[約100万円/m×50km×2(両岸)=約1,000億円]。

(2)利水について

・ 利水要望が激減
 利水申込予定量は当初の35t/秒から2t/秒にまで激減している(資料・)。また、2t/
秒についても、流域市町村の給水量が横ばいであり人口の減少見込みもあるためさらに
見直すことが必要であること。

・ 利水要望団体の人口も減少
 総務省が発表した国勢調査の結果によると、新潟県の人口は1995年の2,488,364人か
ら2000年の2,475,733人に、12,631人(0.5%)も減少している(11/6付け新潟日報。資
料・
)。
  信濃川水系清津川ダム利水市町村協議会に加盟する45市町村について見ると、5年
間に人口が増加した市町村が16、減少した市町村が29で、減少した割合は64%と
なっている。
 同協議会加盟市町村の中で、平成11年11月調査時点で清津川ダム新規水道用水の
希望をした21団体の人口動態を調べて見た。それによると、21団体のうち人口が増
加したのは7団体で5,193人、減少したのは14団体(67%)で5,313人、差し引き12
0人の
人口減となっている。
  さらにこのうち、暫定水道用水希望団体について検討すると、8団体のうち人口増が
2団体490人、人口減が8団体2,450人で、差し引き1,960人の人口減となっている。
 以上のことから、水道用水については、清津川ダム利水市町村協議会加盟の大半の市
町村においては既に人口の減少傾向が顕著になっており、平成11年時点で新規水道用
水の希望を表明した21団体でさえ、大半(67%)の団体が人口減となり、21団体
全体でこの5年間に既に120人、暫定水道用水利用の8団体全体では1,960人も減少して
いることがわかる。しかも新潟県の郡部における人口減少のスピードは、前回調査(95
年)の0.6
%減から今回調査(2000年)の1.7%減へと拡大しているのである。

・ 住民の水に対する意識の変化
 内閣府が11月10日に発表した「水に関する世論調査」(2001年7〜8月調査)に
よると、国民の64.9%が節水していると答えており、15年前の51.2%に比べると大幅
に増えている。また、雨水や雑用水について使いたいと回答した人が75.0%に達してい
る。ただ、設備に費用をかけてでも家庭で導入したいと考える人は35.5%に過ぎない。
しかし、この調査で明らかになったことは、人々の水に対する意識(それは資源や環境
の保護意識に基づいている)がかつての浪費型から節水型に確実に変化していることで
ある。
 この調査結果からも、水道水の将来需要見通しを抜本的に見直す必要があることがわ
かる。(11/11付け新潟日報。資料・)

・ 農業用水の水質維持は別の対策がある
 資料・が示すとおり、農業用水要望量も激減している。1999年(平成11年)に
要望したのは西蒲原地区だけで、他の6地区はいずれも不要になっている(資料・、以
下同じ)。西蒲原地区も量的には、昭和55年の5.01t/秒から平成11年の0.476t/秒
に激減している(年間平均値。資料・参照)。
 この地区の新たな要望は、8〜9月の渇水期の一時期(15日間)に、排水河川から
水質の悪い水を反復利用しているのをやめて、ダムの「きれいな水」を利用するためで
あるという。ダムの水がきれいだと言う人はいないし、数十キロ上流に建設されるダム
から流れ出た水に、途中の百万人以上が住む数十の市町村の生活排水その他の排水が加
わった水が「きれい」だとは思われない。
 美味しい米などの農産物をつくるためなら、近年開発されている様々な水浄化法を採
用して反復利用する対策もあると思われる。また、農業用水をダムから得る場合、ダム
建設費や利用する受益者の負担が必要になり、それらの負担額が具体的に明らかになれ
ば、ただでさえ厳しい農業経営環境があるので要望側が辞退する可能性が高い。

・ (対案)21世紀型の新しい利水対策
 住民の節水意識を高め、雨水・雑用水の利用・再利用を政策誘導し、節水に努めると
ともに、漏水対策を強化・徹底すること。それでもなお不足する水道水源の手当は、農
業用水からの渇水時の融通や水源・水道施設に余裕のある他の自治体から融通してもら
うなどの方法がある。利水面でも清津川ダムの必要性は皆無である。
 
(3)環境について

・ 名勝・天然記念物「清津峡」を損なう
 計画予定地は、わが国有数の豊かな自然が保存されている国立公園の中にあり、ダム
建設によって名勝・天然記念物「清津峡」の保全を損なう危険性がある(日本自然保護
協会「清津川ダム計画に関する学術調査報告書」1973年)。

・ 希少猛禽類の生息が危うい
 改変区域は「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)
」が保存を義務づけているイヌワシ、クマタカ等が数つがい生息しており、とくにクマ
タカ等の営巣中心域そのものが改変予定地と一致しているので、環境アセスメントを実
施するまでもなく事業は中止されなければならない。
 また、実施計画調査の段階とはいえ、地形・地質調査に伴うボーリング調査や付替道
路工事などを行うことは、天然記念物のイヌワシほか希少猛禽類の繁殖・生息に重大な
影響を及ぼす恐れがあるので、直ちに中止しなければならない。
 なお、上記の猛禽類の生息に関する情報は、清津川ダム調査事務所がイヌワシ研究会
などのNGOメンバーほかに調査業務を委託してまとめた下記の報告書に記載されてい
るはずであるので、専門委員会としてそれらも精査すべきである。
 ・平成10年度 清津川ダム環境調査業務委託
 ・平成11年度 清津川ダム猛禽類調査業務委託
 ・平成11年度 環境調査(猛禽類)業務委託
 ・平成12年度 清津川ダム猛禽類調査業務委託

・ 貴重な植物・景観・文化世界
 石沢進・新潟大学名誉教授は、自然保護の観点から、以下の理由で、清津川ダム建設
は中止すべきであると述べている(新潟県植物保護・第29号)。
 ン 予定地は、日本海側と太平洋側の両側の植物限界の境界域にあたり、植物学上、
分布の限界要因を解析する重要な調査研究の対象地域であること。
 ゛ 古来の太くて高木の自然林に近い貴重なブナ林があり、ブナ林の歴史の研究が可
能な現場であること。
 ゜ 地球上で成立してきた自然の歴史を解き明かす「生き証人」の現場であること。
 焉@豊かな森林と様々な生物の自然観察の適地、観光資源であり、後世に残すべき
安らぎの場」であること。
 瘁@地形の変化に富み、複雑で素晴らしい景観は、絵画や詩歌などを醸し出す文化世
界を展開するものであること。

・ 水質・水棲動物・魚に悪影響
 ダム建設によって、ダム湖に落葉などの有機物が大量に沈澱し、これがヘドロ化し、
硫酸化水素ガスの発生とあいまって、水質の悪化が急速に進み、清津川流域に棲息する
イワナ・ヤマメ・アユなどは壊滅的打撃を受ける恐れがある。その恐れが現実化したな
ら、渓流釣り・アユ釣りの名所の一つである清津川の釣り客が激減し、地域の観光産業
にも大きな否定的影響をもたらすだろう。
 
・ (対案)21世紀型の新しい環境対策
 以上のような素晴らしい自然環境を、私たちは孫子の代に残す責務がある。21世紀型
の新しい環境対策は、これ以上不必要な開発をしないことである。

□ まとめ(要望事項)

・ NGOなどの意見を積極的に採用・活用すること
 本意見書のほかにも多数の専門家・NGOなどから意見が寄せられていると思われる
が、清津川ダムの見直し作業にあたっては、それらの意見を積極的に採用・活用すべき
である。

・ 利水要望水量を再調査したうえで、再検討すること
 直ちに利水要望水量、とくに水道用水希望水量の再調査を実施すべきである。先に述
べたように、国勢調査結果に表れた人口動態の実態から判断すれば、少なくとも平成1
1年調査における21団体の希望水道量1.772t/秒については、もはや必要性が薄れて
いると
思われる。利水のうち、残る工業用水と農業用水についても、最近の経済や農業を取り
巻く社会情勢を見れば、その必要性についても急速に変化していると思われるので、そ
れらを含めた清津川ダムの利水問題について、振り出しに戻って早急に再調査したうえ
で、その調査に基づく詳細なデータを公開するとともに、専門委員会において再検討(
審議)すべきであると考える。

・ 治水目的について再検討すること
 嶋津意見書などを精査し、治水について再調査・再検討を早急に行うべきである。

・ 環境について再検討すること
 自然環境について指摘した上記の問題について、再調査・再検討を行うこと。とくに
希少猛禽類のデータを早急に精査することは、絶滅危惧種の場合とくに重要である。

・ 資料・データをNGOらに開示して意見を聴取し、また公開討論会を行うこと
 専門委員会の調査・検討・審議に当たっては、対象となる調査データを複数の専門家
、関係住民およびNGOらに開示し、その意見を聴取するとともに充分な議論・討論を
公開で行うべきである。なぜなら、清津川ダムのような巨大開発計画は多額の公金が投
入されるだけでなく、信濃川水系とその周辺に広がる広大な自然環境(水質、野生生物
、景観など)に多大な影響を与えることが確実であり、地元住民はもちろんNGOや一
般県民(国民)にとって重大関心事であるから。
 したがって、事業者および事業評価監視委員会や専門委員会を含む関係行政機関は、
絶えず積極的に必要かつ十分な情報を公開するとともに、必要な都度、関係者や希望者
の意見聴取、公開討論会などを開催する責務がある。それらの機会を早急に設定するよ
う、貴専門委員会が独自に開催することを検討するとともに各方面に働きかけるよう要
望する。
・ 地元住民の意見聴取の場を設けること
 多くの地元住民が専門委員会の議論に注目するとともに、発言や事情聴取の機会を熱
望している。新潟日報の投書「私の視点」は、その一つの証左である(資料・)。

・ 専門委員会の資料を提供すること
 地元住民に限らず、県民・国民のこのダムに関する関心は高い。希望者に対して、専
門委員会に出された資料を提供されたい(現行は貸し出し閲覧させるだけである)。第
1回の資料については貸し出しすら許されないので、至急改められたい。

・ 来年度(平成14年度)予算の実施計画調査費を計上させないこと
 現在、清津川ダムについて、事業評価監視委員会と専門委員会で見直し作業(審議)
をしており、「場合によっては事業の中止という結論もある」(西澤委員)というので
あるから、少なくとも来年度(平成14年度)予算の実施計画調査費は計上はすべきでな
い。 専門委員会(委員)は、国土交通省(北陸地方整備局)に予算を計上しないよう
に働きかけるべきである。そうでないと、委員としての自らの立場・任務・職責に反す
る。なぜなら、見直し作業(審議)によって事業(または実施計画調査)が中止になれ
ば、そのための実施計画調査費が無駄になるからである。このようなことは、小学生に
もわかる理屈であるだけでなく、公務員(臨時)の公共の利益のため全力を挙げて専念
しなければならない服務規律に定められた当然の職務である。国民の眼は厳しいものと
なっている。


(参考)清津川ダム専門委員会等について

・「建設省所管公共事業の再評価実施要領」(1998年)の目的=「…事業の継続に当た
り、必要に応じその見直しを行うほか、事業の継続が適当と認められない場合には事業
を休止又は中止すること」
・「事業評価監視委員会」の提言=「新規利水の需要が減少した」ので「現行のダム規
模 案の見直しについて検討すること」「良好な自然環境等を配慮し、現行のダムサイ
ト案の見直しについて検討すること」「専門委員会を設置して(検討し)…報告するこ
と」
・国(整備局)は、「事業評価監視委員会」「専門委員会」の「答申」「意見」を最大
限尊重し、対応を図るものとする」とし、これらの機関は「事業の継続が適当と認めら
れない場合には事業を休止又は中止することとする」権限をいつでも有している。

(2001/11/15)


(添付資料)

資料・  清津川ダム事業等の主な経緯
資料・  日本世論調査会が9/29〜30日に実施した世論調査(新潟日報・01/10/7)
資料・  高鳥修代議士の発言(10/16付け各紙)
資料・  平山征夫・新潟県知事の発言(10/18付け各紙)
資料・  公共事業チェック議員の会の現地視察(10/21付け各紙)
資料・  高鳥修代議士の発言(11/8付け十日町タイムス)
資料・  「公共投資、効果は限定」(朝日新聞・01/10/26)
資料・  新規利水要望量・県の調査より
資料・  国勢調査結果(11/6付け新潟日報)
資料・  内閣府の「水に関する世論調査」(11/11付け新潟日報)
資料・  農業用水要望量の対比(県農地部・平成12/11/22)
資料・  「許されぬ清津川ダム建設」(藤ノ木信子・新潟日報・01/11/13)


      連絡先:新潟市東堀通2-481 くらしの相談・にいがた気付  T&F(025)228-2127



新潟市長 長谷川義明 様                      2001.11.22

 

 

特定非営利活動法人

新潟NPO越冬友の会

代表 まゆずみ ただし

新潟市栄所通り2−709−2 新潟教会内

 

 

要望書

 

私たちは、3年前よりホームレスの方々の生活支援を行っているNPO越冬友の会という団体です。ホームレス問題は、仕事、家庭、病気などが複合的に絡み合った新たな社会問題です。不況下においてその数は増加し、新潟市には4〜50名のホームレスの方がおります。私たちの活動は、(1)12月下旬から3月末日までの毎日1食、新潟駅周辺での炊き出し。(2)毎週日曜日、市の施設を借りて食事会を開催。健康・生活相談。毛布・衣類・洗面用具等の配布。(3)病人、高齢者の入居を優先とした住宅(4部屋の一軒家)の運営、寒波時の緊急避難所の確保(昨年は教会関係施設をお貸しいただきました)(4)諸施策改善に向けた市役所との話し合い。等々です。会員は現在、70名程です。

 

これまで厚生福祉課を窓口に諸問題について話し合いを行ってきましたが、いくつかの個々の改善はあるものの依然多くの課題が残されています。冬の到来を前に今期の要望を以下のように致します。特に、厚生福祉課とはすでに話し合ってた事項ですので、長谷川市長ご自身の積極的な対応をよろしくお願い致します。尚、本要望書に対するご回答は、書面にて12月7日までにお願い致します。

 

(1)   新潟市としての「ホームレス自立支援事業」を打ち出してください。国、厚生労働省は、近年ホームレスの対策にようやく重い腰をあげ「自立支援事業」(社援第2500号 平成121113日 「ホームレス自立支援事業の実施について」)をはじめ施策の充実をすすめています。また、国会においても「ホームレス自立支援法」が上程される状況と聞いています。しかし、この間新潟市(窓口 厚生福祉課)にあっては「当面、現行制度の枠で対応したい」「ホームレスを対象とした施策には、庁内合意を得られる段階にない」との対応でした。私たちは「現行制度での対応」において、いくつかの改善点があり、感謝している一方、すでにこの対応だけでは限界にきており、新潟市としての「ホームレス自立支援事業」を打ち出すことを、強く要望します。私たちがここでいう「ホームレス自立支援事業」とは国が目玉としている「自立支援センター」を即意味するものではありません。たとえば、私たちは高齢福祉課に対しては「ふろ券の発行」を要望したり、住宅課には「寒波時の避難所」を要望したりしてきましたが、いずれの課も「現行制度ではホームレスだけを特別扱いできない」との対応です。まさに「ホームレス対策事業(方針)」という新潟市としての全体方針が打ち出されない限り、個々の問題が前進できないという意味での必要性であることをご理解ください。

(2)   ホームレス自立支援センターを設置すること。上記、国の「ホームレス自立支援事業の実施について」の実施要綱の目的は「『ホームレス』が地域社会の中で可能な限り自立した生活を営むことができるよう、これらの者に対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活相談・指導を行い、就労意欲を助長するとともに、公共職業安定所との密接な連携の下で就職相談・斡旋等を行うことにより、就労による自立を支援することを目的とする。」とあります。そのための事業が「自立支援センター」であるわけですが、私たちは(1)で述べたとおり、国がいうような立派な施設を求めているわけではありません。上記目的を果たす、新潟市版の「自立支援センター」の設置を求めます。また、この際(1)(2)をあわせ、新潟市として「ホームレス対策」の基本的方針、考え方について明らかにしてください。

(3)   昨年度実施した生活・健康相談について、実施方法、時期等を本会と話し合って決めてください。

(4)   他市で実績のある「風呂券」を新潟市でも発給してください。

(5)   他市でも実績がありますが、市から仕事(清掃、草取、除雪等)を出してください。

(6)   寒波時の避難所を確保してください。

(7)   他市でも実績がある「食事券」「乾パン」等の発給をしてください。

(8)   ワールドカップサッカー等を理由とした新潟駅西側通路にいる人たちの排除は絶対に行わないでください。(再確認の意味で)

 

 

以上