「県立高校の修学旅行先から
南京大虐殺記念館などを除くように」
との陳情を採択した
鹿児島県議会に抗議します


                     

抗議書


                                2002年7月13日

鹿児島県議会議長
溝口 宏二
                                ノーモア南京の会
                                代表 田中宏(龍谷大学教授)

 鹿児島県議会において、さる7月2日「県立高校の修学旅行先から南京大虐殺記念館などを除くよう」との陳情を採決されました。修学旅行のような総合的な学習から個別の場所を県議会で決議して排除するのは前代未聞であります。しかも南京大虐殺記念館は、正式な名称を侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館といい、65年前に日本が中国に全面的に侵略戦争を開始し南京大虐殺を起こした歴史事実を伝え、二度と残虐な行為を許さず平和を希求する姿勢を貫いています。

 ここ数年来、日本の歴代首相が侵略戦争の事実を認め、かつての戦争で被害を与えたことに遅ればせながら反省をする姿勢を示してきました。今回の鹿児島県議会本会議での決議は、自民、無所属の賛成多数という形で決議されましたが審議が尽くされたのか疑念を感じています。このような常識外れの陳情が採決されたために、鹿児島の多くの高校生たちが戦争の悲惨さと平和の大切さを学ぶ機会を奪われたといえるでしょう。今後、鹿児島の教育現場で平和教育を後退させる自主規制を蔓延させ、平和教育のみならず、自ら学ぶ力を子供たちから剥ぎ取っていくことになると懸念しています。

 鹿児島県民が選んだ議員とはいえ、偏った歴史認識に惑わされ、中国の一記念館を排除した行為は、その国家をも軽んじた行為を行ったと見られても仕方ないことでしょう。鹿児島県議会は、この世界的にも常識に反する「陳情」の決議に反対する人々を抑え多数決で決定しました。

 ここに、平和を求め歴史の事実を究明する市民運動をしています私たち「ノーモア南京の会」は、大きな懸念と怒りをもって、このような採択をした鹿児島県議会に抗議をいたします。そしてこれらの陳情こそ、「学習権を奪い」「公正さを欠く」ものであり、猛省を求めるものであります。

 日中共同声明の前文には「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」とあります。今年は、日中国交正常化30周年、南京大虐殺65周年に当たります。様々なイベントや記念行事が行われようとしています。しかし、鹿児島県で「修学旅行先に南京大虐殺記念館の訪問除外」を議会で採択したことは、日中友好に、また、正常化に反する行為に他なりません。今からでもいいから、歴史に逆行する行為であることに気づいてほしいと願っています。



この抗議書の趣旨に賛同する方へ
鹿児島県議会事務局宛に抗議のFAXを届けましょう
FAX番号 099−286−5955


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