六ヶ所再処理工場のアクティブ試験についての「青森県知事への要望書」に関連する
質  問  書


青森県知事 三村申吾 様

2006年2月10日
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民

 本日提出する青森県知事への要望書「六ヶ所再処理工場のアクティブ試験をけっして認めないでください」に関連して、以下の点を質問いたします。
 2月17日までに文書でご回答くださるよう要請します。

質 問 事 項

1.アクティブ試験了承の前提であるプルサーマル計画の実施は保証されていないのではないでしょうか?
 貴職は、アクティブ試験の了承に踏み切るための前提として、プルトニウム利用計画・プルサーマル計画が確実に実施されることの保証を求めておられると私たちは理解しています。
 ところが今回、東京電力は、原子力委員会の2003年8月5日付決定に基づいてプルサーマル計画を公表したものの、新潟県と福島県の原発名を書かないようにという事前の強い要請があったため、原発名を書くことができませんでした。東京電力は両県の意向に従わざるを得なかったのです。
 関西電力も「具体的計画は示せない」と明確に述べており、今回示した「計画」は1997年2月時点の計画を引用したものに過ぎないことを認めています。
 このように現実に、プルサーマルの実施は当該自治体の意向によって左右されています。その背後には、住民・県民の強い不安・不信が存在していると見なすべきです。もし貴職が原子力委員会や電気事業連合会に確認しただけで、プルサーマルの実施は確実だと判断されるならば、そのことは、プルサーマルの実施を認めていない当該自治体の意思を無視することを意味します。

質問1.
(1)電気事業連合会がプルサーマルを実施するために努力するとの意思表明を行ったところで、それは実際にプルサーマルを実施できる保証にはならないと判断すべきではありませんか。
(2)貴職はアクティブ試験に関する判断を下す前に、全国のプルサーマル関係自治体の状況・意向について、何らかの方法で具体的に把握すべきではありませんか。

2.高レベル廃液をガラス固化する日本原燃の技術が未熟である問題について、県としてどのような措置を取るのですか?
 アクティブ試験を行えば危険な高レベル放射性廃液が産み出されます。それをガラス固化することができなければ、永久に施設内に保管するという危険が生じるのは明らかです。
 ところが、六ヶ所再処理工場で採用するガラス固化技術は未熟で、未だ東海村で技術開発のための試験が実施されています。

質問2.
(1)高レベル放射性廃液がガラス固化されないで、廃液のまま保管せざるを得ない状況が生じることを貴職は想定されていますか。
(2)そのような場合、その廃液をどのように処置するのかを日本原燃や政府に対して問いただし確認していますか。
(3)貴職は、アクティブ試験の検討に入る前にこの問題を明確にすべきではないでしょうか。 

3.再処理工場から放出される放射性物質についてはどのように評価されていますか?
 再処理工場から放出される放射性物質(放射能)が大気や海水や食品にどれだけ含まれるようになるかについては、1月24日に貴県から公表された資料で評価がなされています。それに関連して以下の点を質問します(この件については2月10日に担当者から説明をお願いします)。

質問3.
(1)貴県の評価では、例えば地表に降下する放射能の蓄積についてはどのように判断されているのですか。
(2)大気中のガンマ核種の影響についてはどのように評価されていますか。
(3)ヨウ素の経口摂取となる食品中のヨウ素についてはどのように評価されているのですか。
(4)海洋に放出される放射能が三陸沿岸に与える影響について、具体的な海流に即して拡散を評価されていますか。また、リアス式湾内での蓄積や海産物中の放射能濃度についてはどのような評価ですか。もし具体的な検討がなされていれば、その結果を示してください。

4.風評被害対策について
 貴職は「攻めの農業」を掲げ、青森県産品の安全・安心を積極的にPRされておられますが、安全・安心を求める全国の消費者は、再処理工場稼動による放射性物質の放出によって、青森県産品が安全だとは思わなくなるでしょう。ウラン試験が始まる5ヶ月前の平成16年7月に貴県が行った「青森県産品に関するアンケ−ト調査<県外消費者>」において、「安心して食べられない」と回答した人が2.5%いました。再処理工場から放出される放射性物質の安全性については特に、国民から十分な理解を得ていないと、青森県産品は「安心して食べられない」と回答する人が更に増えると予想されます。また、三陸の海産物についても同様の風評被害の起こることが考えられます。

質問4.
(1)上記の「安心して食べられない」と回答した人がなぜ2.5%いたのかについてはどのように考えておられますか。その原因を調査する考えはありますか。
(2)JCO臨界事故では長期的な影響による風評被害の認定や補償に問題が残りましたが、貴職は、それらの事例を十分に調査されましたか。調査報告があれば公表してください。
(3)アクティブ試験に起因する風評被害に対して、どのような対策を準備されていますか。
(4)三陸沿岸で起こる風評被害については、どのような対策を考慮されていますか。当該県として人々の安全安心に責任をもつのは当然ではないですか。
 
5.六ヶ所再処理工場の安全管理問題について
 昨年、六ヶ所再処理工場で実際に起こった安全管理の問題について次の点を質問します。

質問5.
(1)昨年のプールの水漏れ問題では、貴職は県民の安全を守る立場から国に安全管理に関する要請をされました。しかし、昨年8月の国の最終的な説明では、漏えいが続いてもプール水が確保される限り安全性に問題はないとの立場が強く打ち出されました。貴職は結局国の説明を受け入れたのですか。
(2)ガラス固化体貯蔵建屋の改造計画(変更申請書)では、コンクリート温度が制限値の65℃を超える部分があることが明らかになりながら、原子力安全・保安院はそれを容認しました。貴職は制限値65℃を守ることを要求したのですか。
(3)このようになし崩し的に安全管理を緩める方向に対して、なぜ貴職は安全管理を徹底するという独自の姿勢を堅持しないのですか。


六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民

呼びかけ団体(33団体)

牛小舎/核燃を考える住民の会/核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会/核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団/再処理工場について勉強する農業者の会/花とハーブの里/PEACE LAND/三陸の海を放射能汚染から守る岩手の会/柏崎原発反対地元三団体/原発反対刈羽村を守る会/プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/脱原発福島ネットワーク/核燃やめておいしいごはん/核のゴミキャンペーン/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議/ストップ・ザ・もんじゅ東京/東京電力と共に脱原発をめざす会/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会/浜岡原発を考える静岡ネットワーク/核のごみキャンペーン・中部/原子力発電に反対する福井県民会議/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/島根原発増設反対運動/原発さよなら四国ネットワーク/原発さよならネットワーク高知/からつ環境ネットワーク/脱原発ネットワーク・九州


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