「アジア太平洋国内人権機関とNGOのパートナーシップで取り組む」スリランカ・ワークショップ に参加して


                                               佐藤敬子 (新潟大法学部大学院修士課程・NMPメンバー)

                                                       

7月26日から28日にかけて、スリランカのキャンディで開催されたワークショップは、各国NGOと国内人権機関および政府代表との意見交換の場であった。

 

ワークショップの模様

 

 スリランカ国内人権委員会議長とスリランカ外務大臣の開会あいさつののち、国連人権高等弁務官事務所、アジア太平洋国内人権機関フォーラム、そしてアジア太平洋人権NGO促進チーム(FT)のスピーチでこのワークショップは幕を開けた。各国国内人権委員会では、オーストラリア、インド、インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、スリランカの代表が参加し、まだ国内人権機関として発足していないが、類似する機関としてフィジーとイランの人権委員会代表者と政府代表としてバングラデシュとタイ、イエメンが名を連ねた。

 そしてNGO代表として、オーストラリア、バングラデシュ、インド、インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、イエメンが正式メンバーとして参加し、日本NGOも含めオブザーバーも数人参加した。

3日間にわたったワークショップは全体を9つのセクションに分け、各セクションで2名から3名のプレゼンの後、小グループに分かれて各国国内人権機関(もしくは政府代表)とNGOが議論をくりひろげるという方式を採用した。ワークショップ最大のテーマは勿論人権保護と人権促進活動におけるNGOとの協力であり、どのメンバーもNGOが当該分野で果たす役割の大きさは前提条件としてすでに存在していた。その上で、教育・国内人権機関のシステムへのNGO参画、議会への働きかけなどの話題で話し合い、オブザーバーでも正式参加者と平等の発言権が保証された。

 

今後の課題

 

個人的感想によれば、NGOは今回正式メンバーでありながら積極的とは言い難いように思えた。各問題においての関心のばらつき、極端に国内人権機関に依存しているNGO、もしくは国内人権機関への強い不信から冷め切った態度をとるNGOなど、アジア太平洋国内人権機関フォーラムによるNGO指名について今一度の検討が必要であるように思う。

それでも何人かのNGO代表も指摘しているように、NGOが正式メンバーとなるワークショップを開催できたという意義は大きく、今後の年次会合も含めたワークショップにおけるNGOの位置づけについて確固たる一歩であった。日本にとっては、国内人権機関設立に向けて日本国内NGO相互のネットワークづくり、そしてFTをはじめとする国際的なNGOネットワークへの関与をどのようにしていくかが問われている。全体としてまとまりに欠けていた反省をいかし、9月に予定されているマニラ年次会合ではNGOミーティングの充実を図る姿勢である。国内人権機関がない以上、経験談を語れない日本NGOがその席で今後の展望をどのように報告すればよいかが残り少ない期間で考えねばならない課題であろう。

1999/8/12)

 

 

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