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アナン事務総長が2001年ダボス会議で演説(2001.1.31)


*ダボス会議において、アナン国連事務総長がグローバル・コンパクトと関連づけて演説を行った。以下、その内容を紹介する。


アナン国連事務総長がグローバル・コンパクトを一層支持するよう企業に対して奨励

「グローバリーションは、全ての人のために進められなければ、結果として、どの人のためにもならない。グローバリゼーションによる恩恵の不平等な配分、並びにグローバルな規則形成における不均衡といった今日のグローバリゼーションの特徴は、必ずや反発と保護主義を生むことになるだろう。さらに、こうしたグローバリゼーションの特徴は、過去半世紀にわたって多くの困難を乗り越えて構築されてきた開放世界経済(open world economy)を混乱させたり、その混乱を解消させたりする」。

この警告は、ダボス会議の特別会期において国連事務総長コフィー・アナンが発したものである。アナンは、1999年に旗揚げした国連のグローバル・コンパクトに一層多くの企業が参加するよう要請しつつ、2002年までに、1000の大企業がグローバル・コンパクトに加わる努力を導くために、スイスの元ABB会長のGoeran Lindahlの任命を表明した。

 グローバル・コンパクトは、人権、労働および環境という分野において9つの原則を掲げることによって、新グローバル経済(new global economy)という今はまだ存在しない社会インフラストラクチャーを構築するために、企業の助力を得ることを目的とする。多くのビジネス・リーダーは、(グローバル・コンパクトに対して*訳者註)積極的な反応を示している、とアナンは言う。

 またアナンは次のように述べる。「この場に集まった皆さんは、[グローバリゼーションは世界中の全ての人々のために]役に立つことができるだろう、と当然のことのように思っているかもしれない。しかし、全世界の人々の半数が一日2ドル以下で生活している世界では、また、全世界の衛生関連予算(Global health research budget)の10%以下しか世界人口の90%を苦しめている衛生問題に当てられていない世界では、グローバリゼーションの現実はより非情なものとなる」。さらに、そうした世界では、知的財産が基本的人権よりも厳格に保護されているという。

 残酷な紛争は世界の社会的経済的な進歩にとって最大の障壁である。アナンは、これが第一次的には政府の責任であると認めた上で、そのような紛争地域において、企業経営は、平和を構築する機会を増進するように、あるいは、少なくとも紛争に煽らないように行なわれるべきであると述べた。「グローバル・コンパクトにおいて、紛争地域において企業が果たしうる、また果たすべき適切な役割についての共通の理解を深めることを目的とした、初のテーマ別の対話(first thematic dialogue)が今始まろうとしている」とアナンは述べた。

 グローバル・コンパクトに批判的な人々は、国連が「民間セクターと連携することは一つの選択肢ではなく、避けられないことである」と覚えておくべきである。アナンによれば、「効果的なパートナーシップを通じてのみ、私たちは風土病や伝染病を克服することができる」。投資は途上国世界にとって極めて重要である。「現実に発展している途上国とは、自国民の貯蓄や資源を流通させたり、また、大規模な対外直接投資(direct foreign investment)を誘致するのに成功した国のみである」。もっとも、それ以外の途上国は、**その多くが対外投資を奨励するための規制枠組(regulatory frameworks)を採用しているにも関わらず**インフラストラクチャーや市場の欠如のために発展し損なっている。

 「国際企業は、お互いに協働したり、政府と共に活動することによって、こうした状況を変化するのに役立ち、最貧国におけるリスクやコストを減らすことができるだろう」。アナンは、多くの貧しい国々の将来にとって決定的に重要な「デジタル・デバイド」の橋渡しをする方法を見つけるのに役立つ小規模のアドバイザー・グループを設置すると述べた。

 アナンによれば、途上国には、迅速かつ寛容な債務帳消し、投資誘致のための開発援助の増大、並びに途上国製品のための先進国市場の開放が必要であり、ビジネス・リーダーは、これらのイニシアティブを擁護するのに役立ちうるだろう。

 「市場のグローバル化が進めば、企業社会責任の概念や実行もグローバル化を進めなければならないことを企業は学んできている」。グローバリゼーションの脆弱性は企業セクターの利益追及(self-interest)に対して真っ向から挑戦している、とアナンは警告した。

 アナンは言う。企業と市民社会のリーダー達は明日のグローバル社会の先頭に立つ者達である。そして、このグローバル社会においては、開かれた市場は共有価値(shared values)やグローバルな連帯によって支えられなければならない。企業や市民社会のリーダー達の行動が、グローバリゼーションから、富める者と貧しい者とを含む全ての人々が恩恵を被るかどうかを決定することになるだろう。



*上記の原文(英文)は以下のダボス会議のホームページから入手可能です。
http://www.weforum.org/KnowledgeForum.nsf/nodestartup?
OpenAgent&type=1&id=3403&search=3403*ion=-1&topic=-1&industry=-1&event=18&
fileurl=http://www.weforum.org/KnowledgeForum.nsf/
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