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12月10日は人権デー


 12月10日の「人権デー」(Human Rights Day)は、1948年12月10日に採択された世界人権宣言を記念した日である。今年、この「人権デー」のために、コフィー・アナン国連事務総長、メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官、並びに、ハリー・ホルケリー国連総会第55会期議長よりメッセージが寄せられた。ここではメアリーロビンソン国連人権高等弁務官のメッセージの内容を簡単に紹介したい。



メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官のメッセージ(抄訳)

今年の人権デーのテーマ
 今日、人権社会(human rights community)は着実に進展しています。私は、人権擁護のために、地域的、国内的および国際的なレベルで活動している全ての方々の努力を想起すると同時に、世界中で人権を強化するために日々活躍している全ての人々に感謝を申し上げたいと思います
 今年の人権デーのテーマは、平和のための文化および人権教育です。また今年は、平和のための文化国際年(International Year for the Culture of Peace)であり、12月11日には、ウィルソン宮殿(Palais Wilson)において平和のための文化に関する会議が開かれ、人権教育が果たしうる貢献について話し合いがなされました。

平和のための文化
 平和のための文化の主要な原則は、次のような国連総会の宣言に的確に示されています。
 「平和は、紛争の除去のみならず、積極的かつ動態的な参加の過程もまた必要とする。相互理解および相互協力の精神の下において対話が奨励されることにより、紛争が解決されるのである。」
 最近私が訪問した中東において、対話が緊急に求められていることは極めて明白でした。中東での紛争状況下では、平和のための文化を構築するという展望は薄いもののようにも思われます。しかし、国連ミレミアム・サミットで描いた目標――国連憲章の諸原則と一致した世界における永続的な平和――を達成する意思があるのならば、私たちは、このような困難に立ち向かわなければなりません。ミレミアム・サミットで提示されたように、この目標を達成する手段には、法の支配を強化することに加えて、紛争予防、紛争の平和的解決、平和維持活動、紛争後の平和の再構築があり、それらを通じて、国連における平和および安全を維持するための諸活動を一層実効的にしていく必要があると考えられます。

平和のための文化と人権教育
 人権尊重を染み渡らせることが、平和のための文化にとって確固たる基礎となることを私は強く信じています。また、平和のための文化を構築する際には、人権教育が中心的な役割を果たすものと私は感じています。そのため、人権教育分野を活性化することは決定的に重要であり、その必要性は広く認識されているのですが、これまでの「国連人権教育の十年」の成果は落胆させられるものでありました。国連人権高等弁務官事務所で実施された調査によれば、「国連人権教育の十年」の目的が達成されるためには、より一層多くの努力を積み重ねることが必要であります。また、その理念は「国連人権教育の十年」以降にも引き継がれなければなりません。
 国連人権教育の十年行動プランは、効果的な人権教育教材を開発するなど、全てのレベルにおいて人権教育を促進するための一連の措置を定めています。この行動プランには、より大きなコミットメントが要求されるため、私は関係当事者に積極的に参加するよう求めます。

平和のための文化における二つの要点
 最後になりますが、平和のための文化を構築する際に、特に言及すべき二つの側面について述べたいと思います。一つは、紛争下にある女性の役割です。私の見解では、この問題についての最近の安保理決議は、前々から懸案事項のままであります。女性および少女はしばしば紛争によって最も悪影響を受ける対象であるのですが、それと同時に、彼女たちは、紛争予防、紛争解決そして平和構築にとって非常に貴重な貢献も果たしているのです。彼女たちが平和と安全の構築過程において、完全かつ平等に参加することを要請することは正当なことです。
 次に、私は、人種主義、人種差別、外国人排斥および不寛容と闘うことについて述べたいと思います。これらは平和のための文化に対して逆の影響を及ぼす要素であり、実際、多くの紛争の要因でもあります。現在、私たちは、2001年9月に南アフリカで開催予定の反人種主義・差別撤廃世界会議に向けて準備をしており、人種主義に対する取組を再活性化するための有用な機会を有しています。人種主義と闘うための態度および戦略に大きな影響力をもつこの機会を是非利用しましょう。この反人種主義・差別撤廃世界会議は、世界における永続的な平和のための文化を構築するための実際的な貢献となるでしょう。
(訳:川島聡)


 

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