国連パリ原則にもとづく政府から独立した実効性のある
国内人権機関(人権委員会)設立にむけ

国会は審議を尽すべき

人権擁護法案への人権フォーラム21の見解
人権フォーラム21
代表 武者小路公秀
事務局長 山崎公士

◎ さる4月24日、参議院において人権擁護法案の趣旨説明と代表質問が行われ、いよいよ本格的な国会での論戦がスタートした。今後の国会審議においては、法案の内容と問題点を精査し、実効性のある人権救済法とするため、必要な修正を行うことが期待される。国会での本格的審議の開始の際、ここに示す我々の見解が、参考になれば幸いである。

◎ 3月8日に政府が今国会に提出した人権擁護法案は、差別や虐待等に代表される人権侵害の禁止を謳い、これら人権侵害の防止・救済を図るための機関として人権委員会を新設することを規定している。これまで一般的・包括的な人権救済法を持たなかった日本において、曲がりなりにもこのような法律が整備されようとしていることは、本来であれば歓迎すべきものである。
 しかし、この法案は下記のわれわれの見解〔1〕に掲げるような根本的な問題をはらんでいるため、諸手を挙げてこれを受け入れることはできない。また、この法案は、下記の見解〔2〕に示すように、その細部にわたっても様々な問題点を含んでおり、これらを改善しない限り、真に人権救済に役立つものとなり得ないであろう。

◎ われわれは、1997年11月の結成以来、一貫して人権擁護推進審議会の審議を注視し、日本における人権政策に関する数々の提言を行なってきた。今後の日本の人権政策は、「上から」でなく「下から」の視点で、「タテワリ」的でなく総合的な人権政策や制度の確立を目指すべきであることを訴え、しばしば政策提言を公表してきた。
 特に2002年1月には、「これからの日本の人権保障システムの整備をめざして-人権政策提言ver.2.1」を明らかにし、今後の人権政策の基本理念を実現するにあたっては、(1)当事者性、すなわち「当事者の視点に立った施策の推進と当事者自らによる事案解決に対する適切な支援」、(2)地域性、すなわち「地域において人権侵害・差別事案を自ら解決する取り組みの支援」、(3)総合性、すなわち「人権侵害の被害者に多面的・多角的な救済を施す総合的取り組み」、という人権政策三原則を柱にした積極的なとりくみが必要であると提言してきた。

◎ われわれは、さる3月8日に同法案が閣議決定されたのを受け、「人権擁護法案に対する見解−3/8閣議決定を受けて−」を公表し、4月に入り参議院でこの法案審議が開始される情勢を踏まえ「見解(改訂版4/8)」を明らかにしてきた。そしてマスコミ三団体共催のシンポジウム(3/25、東京)や人権フォーラム21主催シンポジウム(3/30)、日弁連主催のシンポジウム(4/11)などで「人権政策提言ver.2.1」と「見解(改訂版4/8)」にもとづき、積極的に意見表明してきたところである。
 今後とも人権フォーラム21は、国会における同法案審議を注視するとともに、国連パリ原則にもとづく政府から独立した実効性のある国内人権機関(人権委員会)の実現に向け、意見表明を続ける決意である。なお人権フォーラム21のホームページでは、法案審議の経過を随時、紹介の予定である。

     →人権擁護法案に対する人権フォーラム21の見解(改訂版)
     →パリ原則から見た「人権擁護法案」の問題点
     →人権擁護法案全文
     →人権擁護法案の概要(人権フォーラム21作成)
     →人権擁護法案の国会審議状況


 

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