上告棄却直後のゴビンダさんからのアピール

 ゴビンダさん自身に上告棄却が伝わったのは、2003年10月21日の昼過ぎでした。この日、A4版2枚(実質10数行)の上告棄却決定書が突然届いたのです。
 以下は、上告棄却後の10月23日づけで送られてきたアピールです。(原文はネパール語 支える会・訳)

 私は「無実の」ゴビンダ・プラサド・マイナリです。私は決して女性を殺してはいませんし、お金を持ち去ってもいません。私は罪に陥れられた人間です。私は無実であり、日本の地方裁判所は2000年4月14日無罪の判決を下しました。しかし無罪の判決が出れば、日本人であれ、外国人であれ、新たな証拠と相当の理由が無い場合は釈放しなければならないという日本の最高の法律(憲法)に違反して、新たな証拠や理由がないまま、私は再び拘置所に拘留されました。日本の警察、裁判所は、自らが作った法律と憲法を遵守せずに、人権無視、民族差別をし、小さな貧しい国であるネパールの人間に対し、無期懲役の判決が下されたのです。しかし私は無実なので、最高裁判所からは正義(無実の宣告)が得られるものと、大きな期待を寄せていました。
 医学的な鑑定を含めて、私が無実であることを証明する証拠があり、私が犯人だと説明がつかない事実も指摘されているのです。
 にもかかわらず、最高裁は何の説明もしないで無期懲役の刑を下しました。私が思い描いていた美しい夢、私の家族の小さな夢、将来を、日本の警察と最高裁判所は粉々にうち砕き、日本の深い海底に沈めてしまったのです。
 日本の裁判所は、無罪でも、有罪でも同じように牢屋に閉じこめるのですか? これは大きな人種差別です。私はこの不当な仕打ちに耐えることはできません。
 悪いことをしてもいないのに、この先この厳しい獄中生活をどのようにすごせばいいのでしょうか? 私の年老いた両親にも、もう今生では会うこともできなくなってしまったのですね?
 なんとしてでも一日も早く正義が得られ、この苦境から私を救済してくださいますよう、日本弁護士会の全ての見識のある先生方に謹んでお願いいたします。また、皆様方のご支援、温情お慈悲によって、私と私の小さな幸せと喜びの家族の舟が海に沈まないよう、救ってくださることを固く信じています。
無実のゴビンダ・プラサド・マイナリ
東京、小菅より  2003年10月23日