現代企画室

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モロッコ人の手紙/鬱夜

ホセ・デ・カダルソ/著
富田広樹/訳
2017年3月刊行
定価3200円+税
4-6上製・344頁
ISBN978-4-7738-1706-5 C0097

黒い絵で知られるゴヤの同時代に生きたスペインの作家カダルソ。客観的で公平な批評によって普遍を追求する『モロッコ人の手紙』、暗い夜の闇のなかで人間存在の悲惨を炸裂せる『鬱夜』。
理性の光ゆえにその影をも見出した彼の作品は、「理性の眠りが怪物を生み出す」(ロス・カプリチョス43番)時代のヨーロッパに屹立する。
異国人による書簡の形式に仮託した研ぎ澄まされた批評精神。新しい芸術思潮の始まりを告げるみずみずしい戯曲。世界が激動する世紀末を目前に控えた時代の息吹を如実に示す、18世紀スペインを代表する文学的達成、待望の邦訳成る。

【著者紹介】ホセ・デ・カダルソ(ホセ デ カダルソ)

スペイン・カディス生まれ。ヴォルテールらが輩出した当時ヨーロッパ最高の教育機関であったパリのルイ・ル・グラン校などに学ぶ。帰国後は軍務に身を投じるとともに、マドリード社交界の寵児となる。数多くの文学者と交友を結び、詩、演劇、小説など多岐にわたるジャンルで作品を残した。『モロッコ人の手紙』、『鬱夜』はそれぞれ同時 代の批評精神とロマン主義的感性を体現する作品として評価が高い。そのほかの作品に、小説『菫薫る賢人』、詩集『わが青春の手すさび』、 悲劇『ソラーヤ、あるいはチェルケス人たち』と『ドン・サンチョ・ガルシア』などがある。ジブラルタル包囲戦に従軍、手榴弾の破片を頭部に受けて戦死した。

【著者紹介】富田広樹(トミタ ヒロキ)

1978年、札幌生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士過程修了(学術博士)。北九州市立大学准教授。専門は18世紀スペイン文学。