現代企画室

お問い合わせ
  • twitter
  • facebook

ドン・アルバロ あるいは運命の力

リバス公爵/著
稲本健二/訳
2016年8月刊行
定価2500円+税
4-6上製・176頁
ISBN978-4-7738-1612-9 C0097

ヴェルディのオペラ『運命の力』原作!
19世紀初頭のスペイン。内では、ナポレオン軍に侵略されていた。ゴヤはその記憶を 「1808年、プリンシペ・ピオでの銃殺」に描いた。外では、中南米各国が、次々と独立を遂げていた。3世紀有余に及ぶスペインの植民地支配は終焉のときを迎えていた。
内憂外患の只中に突如現れた、ロマン主義演劇の精華!

1835年3月22日の夜、スペインの首都マドリードのプリンシペ劇場(現在のスペイン劇場)で初演され、 スペインにおけるロマン主義の勝利を決定的にしたとされる戯曲。 理不尽な状況と暴力的な運命のなかを、激しく生き抜く登場人物たち。ヨーロッパ世界が向かいつつある歴史の新たな局面、やがて訪れる激動の時代への予兆に満ちた作品。

【著者紹介】リバス公爵(リバスコウシャク)

(1791―1865)スペインの作家。詩と戯曲を中心としながら、評論にも筆を染めた。絵心もあり、一時は軍人となったが実戦で負傷し退役。貴族の出自から政治の世界へかり出されることになり、外交官として活躍もした。19 世紀スペインにおける最も重要な文人のひとり。フェルナンド七世(在位1808 年、1814 ~ 33 年)の保守反動政治から逃れるために自ら亡命し、イギリス、マルタ島、フランスを転々とした。こうした亡命地でロマン主義の息吹に触れたことが、帰国後に『ドン・アルバロ あるいは 運命の力』(1835 年)というスペイン・ロマン主義演劇の傑作を生み出すことに結実する。晩年に政界を引退してから、王立言語アカデミアの会長に就任するまでになったが、74 歳の時にマドリードで没した。代表作は先に挙げた戯曲の他に、未だ古典悲劇的な戯曲『ラヌーサ』や長編詩『モーロの棄児』などがある。

【著者紹介】稲本健二(イナモトケンジ)

1955年生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)大学院修士課程修了。同志社大学グローバル地域文化学部教授。スペイン文学専攻。マドリード・コンプルテンセ大学およびアルカラ・デ・エナーレス大学で在外研究。文献学、書誌学、古文書学を駆使して、セルバンテスやロペ・デ・ベガの作品論を展開。国際セルバンテス研究者協会理事。さまざまな国際学会で研究発表をこなし、論文のほとんどはスペイン語で執筆。元NHKラジオ・スペイン語講座(応用編)およびテレビ・スペイン語会話担当講師。日本イスパニヤ学会理事および学会誌『HISPANICA』の編集委員長も務めた。1990年から2001年まで文芸雑誌『ユリイカ』(青土社)のコラム「ワールド・カルチュア・マップ」でスペイン現代文学の紹介に努める。訳書には牛島信明他共訳『スペイン黄金世紀演劇集』(名古屋大学出版会、2003年)、フアン・マルセー『ロリータ・クラブでラヴソング』(現代企画室、2012年)、アントニオ・ガモネダ詩集(アンソロジー)』(現代企画室、2013年)など。