現代企画室

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子どもと共に生きる
ペルーの「解放の神学」者が歩んだ道

アレハンドロ・クシアノヴィッチ/著
五十川大輔/訳
2016年10月刊行
定価2800円+税
A5上製・288頁
ISBN978-4-7738-1610-5 C0036

1960年代初頭、バチカンは伝統的なカトリック協会刷新の動きに着手した。それを享けてラテンアメリカの協会内部から、構造的な暴力が作り出した貧困と抑圧、およびその渦中に生きる底辺の民衆に目を向けるキリスト者が輩出した。ペルーのアレハンドロ・クシアノビッチ神父は、そのひとりだった。経済的な苦境と権力の弾圧の下にあっても、人間の尊厳を賭け、働く者としての権利を要求するさまざまな運動に関わるうちに、彼は、強固な意志をもつ一群の働く子どもたちと出会う。その子どもたちは大人の付属物であることを拒否し、自らが人生と労働の主役であると考えて、自律的な運動を先駆的に展開していく。彼は後見人としてそれに随伴する。それは、やがて、不思議な糸に導かれて、日本の死刑囚との関係をもつに至った……。

【著者紹介】アレハンドロ・クシアノヴィッチ(アレハンドロ・クシアノヴィッチ)

父方はクロアチアからの移民の末裔としてペルーに生まれる。神学校を卒業し、同時に教職資格も得る。欧州各地で神学をさらに学び、帰国後教区司祭として叙階。グスタボ・グティエレスなどと共に、伝統的なカトリック教会の枠を飛び出て、貧者に寄り添う「解放の神学」を推進したために、保守的な教会権力と対立し、教会内では「冷遇」された。新自由主義的な経済秩序が浸透し、貧富の格差が拡大する中で、働く子どもたちの数もいっそう増加した。子どもたちは、自主・自律的な相互扶助団体を作り上げるという、世界的にも先駆的な活動を展開。これに胸を打たれたクシアノビッチは、子どもたちの「協働者」「後見人」の役を担って40年になる。子どもを大人社会の従属物とみなす大方の見方に対する厳しい批判を展開し、あくまでも子ども自身が「主役であること」が実現する社会を目指している。これをテーマにした執筆論文も多い。初めての翻訳。来日3回。

【著者紹介】五十川大輔(イソカワダイスケ)

1976年、大阪府東大阪市に生まれる。2001年よりペルーに移住。2002-2007年、ペルー国立フェデリコビジャレアル大学社会科学部ソーシャルワーク専攻。現在は、アヤクチョ県に在住。