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ゴンサロ・ロハス詩集(アンソロジー)

ゴンサロ・ロハス/著
グレゴリー・サンブラーノ/編
寺尾 隆吉/訳
2015年4月刊行
定価2800円+税
4-6上製・248頁
ISBN978-4-7738-1509-2 C0098

「すべては傷」とうたうチリの詩人。

1916年、南米チリに生まれた少年は、幼くして「図書館」という魔法の世界を発見した。読み書きも覚束ない状態で「稲妻」という言葉の響きに心を打たれ、それが「崩れ落ちる空一面に広がる美しい花火より」大きな力を秘めていることを直感した。長じては、美しい牧歌的な風景と太平洋に広がる無限の地平線に恵まれたチリの自然によってその感性を育まれた。
やがて彼は、日常的な出来事を根源的に探究する場として「詩」を綴る、20世紀チリを代表する詩人となった……。

波乱に富む生涯をおくった詩人の、初期から晩年までの代表作をまとめたアンソロジー。

【著者紹介】ゴンサロ・ロハス(ロハス,G.)

1916年、チリの漁村レブに生まれ、コンセプシオンで初等教育を受ける。1937年、首都サンティアゴへ移り、チリ大学法学部に入学したが、文学書を読み耽る。法学研究を中絶し、教育研究所に入る。同時に、シュルレアリスムのグループに接触。首都での生活に嫌気がさし、北部のアタカマ砂漠地方で鉱山労働者に読み書きを教える日々を送ったりした。1947年にはバルパライソで教員となり、スペイン語や哲学を教える。48年に第1詩集『人間の惨めさ』を発表。50年代初頭からはその後18年間にわたって、幼少期を過ごしたコンセプシオンの教育環境の整備と、文学に関わる国際シンポジウムの開催に力を尽くした。サルバドール・アジェンデ政権下(1970―73)で中国やキューバで外交職をこなしたが、ピノチェトのクーデター後は、東ドイツ、ベネズエラ、アメリカ合衆国などで大学教員として亡命生活を送る。1990年、コンセプシオン大学名誉教授の称号を授与され、間もなくチリへ帰国、チジャンに居を定める。代表的詩集に『死に逆らって』(1964)、『闇』(1977)、『稲妻』(1981)、『遺言の題材』(1988)などがある。ソフィア王妃イベロアメリカ詩作賞(1992)、チリ国民文学賞(1992)、セルバンテス賞(2003)などを受賞している。2011年サンティアゴで没。

【著者紹介】グレゴリー・サンブラーノ(サンブラーノ,G.)

1963年、ベネズエラのメリダの生まれ。ベネズエラ・ロス・アンデス大学でイベロアメリカ文学修士号取得の後、メキシコのコレヒオ・デ・メヒコ大学院大学で文学博士号取得。
ロス・アンデス大学メリダ校人文学部教授、国際交流基金日本研究フェローなどを経て、現在東京大学教養学部准教授。主な著書に、De historias, héroes yotras metáforas(メキシコ、UNAM、2000)、Cartografíasliterarias (ベネズエラ・メリダ、ロス・アンデス大学、2008)などのラテンアメリカ文学研究書があるほか、安部公房のスペイン語訳に協力し、スペイン語で安部公房に関する研究書を執筆している。

【著者紹介】寺尾 隆吉(テラオ リュウキチ)

1971年名古屋生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。メキシコのコレヒオ・ デ・メヒコ大学院大学、コロンビアのカロ・イ・クエルボ研究所とアンデス大学、ベネズエラのロス・アンデス大学メリダ校など6年間にわたって、ラテンアメリカ各地で文学研究に従事。政治過程と文学創作の関係が中心テーマ。現在、フェリス女学院大学国際交流学部教授。
主な著書に『フィクションと証言の間で―現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007)、『魔術的リアリズム―20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012)、主な訳書にエルネスト・サバト『作家とその亡霊たち』(現代企画室、2009)、オラシオ・カステジャーノス・モヤ『崩壊』(同、2009)、マリオ・バルガス・ジョサ『嘘から出たまこと』(同、2010)、フアン・ヘルマン『価値ある痛み』(同、2010)、フアン・カルロス・オネッティ『屍集めのフンタ』(同、2011)、カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(同、2012)、ギジェルモ・カブレラ・インファンテ『TTT トラのトリオのトラウマトロジー』(同、2014)、ホセ・ドノソ『別荘』(同、2014年)がある。