現代企画室

お問い合わせ
  • twitter
  • facebook

ブレス
呼吸

ティム・ウィントン/著
佐和田 敬司/訳
2013年12月刊行
定価2400円+税
4-6上製・272頁
ISBN978-4-7738-1317-3 C0097

はじめて広い世界に出会ったころの、傷だらけだけど宝物のような記憶がよみがえる。
オーストラリアで最も愛されている作家が、自らの少年時代に重ねあわせて綴ったサーフィンに賭ける青春。向こう見ずな友人と謎めいたヒッピー夫妻、そして身を震わす凶暴な波との出会いが、平凡だった僕の人生を変えた――

「ルーニーと僕とサンドーとイーヴァがやらかした、命にかかわる無茶の数々は、単調な呼吸に対する反抗だったんじゃないかと思っている。」

オーストラリア西南部の海辺の街で、サーフィンを通じて自然と他者、そして自らの限界とぶつかっていった少年たちの息づまる日々を描く、痛切な青春の物語。はじめて広い世界に出会ったころの、傷だらけだけど宝物のような記憶がよみがえる。
オーストラリアで最も愛されている作家が、自らの少年時代に重ねあわせて綴ったサーフィンに賭ける青春。


《オーストラリア現代文学傑作選》
駐日オーストラリア大使館および豪日交流基金の支援のもと、現代企画室は「オーストラリア現代文学傑作選」の刊行を2012 年からスタートしました。本傑作選は、オーストラリアをベースに活動する、あるいはオーストラリア出身の同時代の作家による文学作品を、1 年に1 作品、10 年間にわたって翻訳・出版することを目指しています。
本傑作選は、以下の目的をもって刊行されます。
●国際的には高い評価を受けながら、日本では紹介されていない同時代の作家を紹介する
●文化的な背景やルーツが多様な作家による作品の刊行を通して、オーストラリア社会を多面的に紹介する
●出版を通じて、日豪の相互理解・交流を促進する

【著者紹介】ティム・ウィントン(ティム・ウィントン)

1960年、ウェスタンオーストラリア州パース生まれ。少年時代を同州の地方都市アルバニーで過ごす。大学在学中に書いた最初の小説、An Open Swimmer(1981)でヴォ―ゲル文学賞を受賞。以降、最新作のEyrie(2013)まで児童文学や戯曲を含む25冊の本を発表している。パースの下町で暮らすふたつの労働者家族の人生を描いた代表作Cloudstreet(1991)は、読者、作家、批評家が選ぶ複数の人気投票で長きにわたり1位を獲得しつづけており、「オーストラリアで、もっとも愛されている小説作品」と見なされている。The Riders(1994)とDirt Music(2001)で2回ブッカー賞にノミネートされるなど国外からの評価も高く、これまでにウィントンの作品は28の言語に翻訳されている。また、本書『ブレス』を含む4作品で、オーストラリアで最も栄誉あるマイルズ・フランクリン文学賞を受賞した。作家活動の一方、環境保護運動にも尽力し、オーストラリアのナショナル・トラストが認定するLiving Treasureのひとり。これまでイタリア、フランス、アイルランド、ギリシャなど各地で生活してきたが、現在は故郷のウェスタンオーストラリア州で家族と暮らしている。

【著者紹介】佐和田 敬司(サワダ ケイジ)

1968年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻博士課程満期修了。豪マッコーリー大学大学院批評文化研究専攻博士課程修了。博士号(PhD)取得。現在、早稲田大学法学学術院教授(早稲田大学オーストラリア研究所研究員)。専攻はオーストラリア文化、演劇学、映像学。主な著書に『オーストラリア映画史―映し出された社会・文化・文学』(オセアニア出版社、2004)、『現代演劇と文化の混淆―オーストラリア先住民演劇と日本の翻訳劇との出会い』(早稲田大学出版部、2006)など。訳書に「オーストラリア演劇叢書」1-12巻(オセアニア出版、1993-2012)。戯曲『オナー』『ストルーン』『嘆きの七階段』の翻訳で第10回湯浅芳子賞(2003)を受賞。

syohyo