学労ネット

教職員課交渉報告
(2020.9.23)

2021年3月31日掲載



 現場で働いているものがいれば、その労働条件を守るのは組合として当然のことです。現役組合員の減少によりあやぶまれてい ましたが、今年も交渉することができました。しかし今回は、新型コロナと熱中症の不安の中での交渉となりました。
 「C.新型コロナ対応」と「D.超過勤務時間について」を重点的に交渉しました。                      (末廣)

C.新型コロナウィルスに関わる、高槻市の職員への対応について

◆職員の在宅勤務について
 
 『半日の在宅勤務』が認められていないため、この間の組合員の実態として「4~5月の自粛期間、担任外の職員に預かり児童の見守り(毎日)が分担され、『在宅勤務』を取ることができなかった。管理職に「職免を取って下さい」と言われ、何回か午後帰宅した。しかし、そのような職免適用項目はなく、後日「職免(項目)を生理休暇に変えてほしい」と依頼された。」という理不尽なことが起こった。
 市教委の回答は、「府に準じて行っている」というお粗末なもの。現実の状況を見て職員の健康安全を考えていく、市教委の自主的主体的な姿勢を強く要求した。

◆(希望する)全ての教職員にPCR検査実施を!
 
 9月に高槻市内小学校児童への感染があり、該当校は三日間休校となった。この時何人の教職員がPCR検査を受けたのかと聞くと、市教委は、「把握していない」と平然と答え、「府国、近隣他都市の様子を見て対応していく」としか言えず、具体的なことを何も答えられなかった。担当が他の課だということで「把握していなくて何か問題が?」というような態度に驚きと怒り。私たちは、教職員の健康と安全を担当する教職員課としての責任をもって対応しているのか!と追及した。すると、「教職員は自分で健康管理をするようにしている」と、神経を逆なでする回答。
 児童に影響がないように職員は考え行動しているが、超多忙な教員をカバーするのが市教委の仕事であり、義務やろ!
 こんな回答しかしない教職員課に対して、以下のことを要求した。

・教職員課として、教職員の健康安全にどう対応するのか、主体性を持 って動くこと。
・PCR検査いついて、市としての方針がない中では教育委員会としての方針が出ない。新型コロナ対策本部に、考えていくよう問題提起をすること。

D.勤務時間短縮に伴う制度変更について

 ◆昨年度(2019年度)の出退勤把握システムの集約結果について
 
 今回も昨年度同様、私たちが要求した昨年度(2019年度)の出退勤把握システムの集約結果は、準備できていなかった。この不誠実な態度に対して、強く抗議した。市教委は、働き方改革の効果は少しずつ出ていると思っているようだが、肝心の比較する資料がでていないので話にならない。
 後日提供された上記の資料は、昨年度までは「時間外在校時間の比較」という平均の折れ線グラフだけであったが、今回はグラフの元データと「時間外在校時間の集計結果・80時間及び100時間越えの人数及び割合」という3種が提供された。全職員の平均なので正確な実態ではないが、今までの交渉で平均のグラフだけでは分からないと強く追及してきた結果である。
 資料を見ると、確かにこの3年超勤時間は少しずつ減少しているといえる。しかし、この数字自体が平均であるので実態はつかめない。実際に2018年度には、中学校で200時間超や100時間超が数か月続いている職員もいた。
 新型コロナのため消毒や、授業・行事のやり方の見直し、英語や道徳の新設などで職員にかかる負担が大幅に増加している現在、業務削減や行事精選などを徹底していく必要がある。私たちが何年来続けてきた要求である。
 市教委がこの現実を認識してどう動いていくのか、目に見える形で示すべきである。

◆変形労働制について 
 
「高槻市立学校の府費負担級職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則の一部を改正する規則」の第7条に,「職員が業務を行う時間(中略)から所定の勤務時間(中略)を除いた時間を次の各号に掲げる時間の上限を範囲内とするために、職員の業務量の適切な管理を行うものとする。

 1)1ヶ月について45時間
 2)1年について360時間」 と、ある。

 規則改正ではさらに、
(2)「職員が児童生徒等に係わる通常予見することのできない業務量の 大幅な増加等に伴い、一時的又は突発的に所定の勤務時間外に業務を 行わざるを得ない場合には、前項の規定にかかわらず、(中略)次の各 号に掲げる時間及び月数の上限の範囲内とする。
  ①1ヶ月について100時間未満
  ②1年については720時間」 と、ある。
 
 交渉のなかで、このふたつの規程はダブルスタンダードであることを追及した。
 
 後者の規程は過労死ラインを想定しているが、2018年度の高槻市の中学校においては、上記(2)の「1ヶ月100時間未満」どころか職員の20%以上が100時間を超えている中学校が4校もあり、特にA中学校は30%である。これは過労死ラインを優に越えている。その原因は休日のクラブ指導にある。これは「一時的又は突発的な業務」であるのかを問うたが、市教委は「クラブ指導は通常業務」であると回答した。これでは児童の夏休みに振休を取ることは出来ない、変形労働時間の枠組にすら入らないことを認めさせた。
 
 前段の「1ヶ月45時間」については、2018年度の高槻市の小学校においては、45時間越えが小学校A校で全職員の52%、B校で同47%、C校D校で44%にのぼった。通常的に上限を超え、変形労働時間制すら適用できない実態であるので、同様に夏休みに振休を取ることは不可能である事実を市教委に認めさせた。
 
 以上の結論として、市教委は上記のどちらを勤務時間の上限と考えているのかを追及すると、市教委は「45時間を守るべき」と回答した。  
 高槻の学校では市教委の考える勤務時間の上限を大きく越えている実態がある。従って、変形労働時間制を実施するには、勤務時間の縮減を徹底しなければならないことが明らかになった。

2019年4月~2020年3月 小学校 時間外勤務45時間越え
中学校 80時間越え、100時間越え(2019年度)