Mumia Abu/Jamal

ムミア・アブ・ジャマルの死刑執行を阻止しよう


いま、アメリカの黒人ジャーナリスト、ムミア・アブ・ジャマル氏が、死刑執行の危機にさらされています。ムミアは元ブラックパンサー党の活動家で、その後ペンシルバニア州フィラデルフィアを拠点にして、放送ジャーナリストとしての活動を行い、フィラデルフィア黒人ジャーナリスト協会の会長もつとめました。州政府や警察を批判しつづけてきた彼は、「声無き者の声」(The voices of the voiceless)と呼ばれ、他方では要注意人物と見られてきました。
1981年に白人警察官殺害容疑で逮捕されたムミアは、半年ほどの裁判で死刑を宣告され、以来13年間死刑囚監房に拘禁されています。裁判では、狙撃者らしき人物が逃亡するのを見た、という複数の目撃証言が無視されたり、検察側の有力証人が別件で取調中で取引きに応じて不利な証言をしたのではないかという疑惑や、黒人が排除された陪審員に警察関係者が含まれ、ムミアのブラックパンサー当時の言動が法廷で引用されるなど、裁判の公正さの面でも、多くの疑問点があります。ムミアは一貫して無実を主張しています。
ほとんど正当な防御権を行使できないまま死刑を宣告されたムミアは、いま弁護団をたてて、再審、死刑執行の停止、獄中でのジャーナリスト活動の妨害の停止を求めて訴訟を提起しています。その矢先の今年の6月1日、ペンシルバニア州知事のトム・リッジ氏は、死刑執行許可証にサインしました。このまま知事が翻意しなければ、ムミアは8月17日、午後10時に刑の執行を受けてしまいます。
彼に対するこの死刑執行命令は、きわめて政治的・人種差別的なものといわざるをえません。執行停止と公正な裁判のやり直しを要求する圧力を、州政府と合衆国に対してかけていきましょう。