監獄人権センターのお知らせに、センターは国連NGOのペナル・リフォーム・インターナショナルと協力して活動を進めて行くと記されています。このペナル・リフォーム・インターナショナルが去年の11月にオランダのハーグで国際会議を開いて、50か国以上の政府・NGOの参加を得て、メイキング・スタンダード・ワークというマニュアルを採択しています。これは国連の基準を実効性をもって実施するという意味です。
このペナル・リフォーム・インターナショナルの国際会議はオランダ政府の後援で行われたのですが、5月のゴールデン・ウィーク中にカイロで行われた国連犯罪防止会議にオランダ政府が、国連最低基準の実効性を確保するためにこのマニュアルを決議しようと提案しました。それが20か国の共同提案の決議案として採択されています。この決議の内容は、今月末からウィーンで開かれる国連の刑事司法ブランチのコミッションでこのメイキング・スタンダード・ワークに再検討を加え、各加盟国に配布し役に立ててもらうということです。それ以外にも規則の実施への協力を各国に呼びかける内容になっています。今までも国連の最低基準は守るべきものと言われながら、なかなか守られていない実態があったわけですが、本格的に国連基準を守らせるような実効性ある仕組みを作って行くために、各国で一般公衆・研究者・NGOと協力しながら情報交換していくことが決められています。これは、まさに日本でわれわれが今始めようとしている監獄人権センターのようなNGOを国連が直接バックアップしていこう、そして法務省などと連携して意見交換しながら国際人権基準に従った処遇をしていくという方向に向けて決議がなされている、と理解できます。
こういう動向も受けて、法務省に対しては4月14日に監獄人権センター設立のお知らせを出してあります。今年の秋か冬にペナル・リフォーム・インターナショナルの本部の役員の方や、もし可能であれば国連の刑事司法ブランチの人も呼び、法務省の方々にも加わっていただいて、国連のマニュアルについて共同で学び合うセミナーを実現できないか。そういうことをこれから検討していきたいと思いっています。これがセンターの秋以降の重要な活動になるだろうと考えています。